会社は、社債を発行する場合には、社債管理者を定め、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければならない。ただし、各社債の金額が一億円以上である場合その他社債権者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合は、この限りでない。
この条文の過去問 2問
誤り。違うのは「各社債の金額を問わず」の部分である。各社債の金額が1億円以上である場合その他社債権者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、社債管理者を定めることを要しない(会社法702条ただし書)。
会社法702条本文は、会社は社債を発行する場合には社債管理者を定め、社債権者のために弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければならないと定める。社債権者は多数で一人一人の債権額が小さく、自ら会社の信用を監視して権利を行使することが期待しにくいので、銀行や信託会社などの専門機関に管理を委ねさせたのである。しかし同条ただし書は、各社債の金額が1億円以上である場合その他社債権者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合を除く。1億円以上の社債を取得するのは機関投資家など専門的な知識と経験を持つ者であり、自ら権利を守ることができるので、費用をかけて社債管理者を置く必要が無いからである。法務省令は、ある種類の社債の総額を各社債の金額で除した数が50を下回る場合もこれに加えており、社債権者が少数であれば管理者は要らない。したがって各社債の金額を問わず社債管理者を定めなければならないとする肢は誤っている。

会社は、社債を発行する場合には、社債管理者を定め、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければならない。ただし、各社債の金額が一億円以上である場合その他社債権者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合は、この限りでない。
正しい。社債管理者は、社債権者のために、公平かつ誠実に社債の管理を行わなければならない(会社法704条1項)。
会社法704条1項は、社債管理者は社債権者のために公平かつ誠実に社債の管理を行わなければならないと定め、同条2項は社債権者に対する善管注意義務を課す。社債管理者は、会社が社債を発行するときに、社債権者のために弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託される者であり(702条)、銀行・信託会社などに限られる(703条)。社債権者は多数で分散しており、一人ひとりの債権額は小さいため、各自が発行会社の信用状態を監視し権利を行使することは期待できない。そこで専門機関である社債管理者に管理を委ねたのであるが、社債管理者を選び報酬を払うのは発行会社であるから、社債管理者が発行会社の側に立って社債権者の利益を犠牲にするおそれがある。公平誠実義務と善管注意義務は、この利益相反の構造の中で社債管理者を社債権者の側に立たせるための規律であり、これに違反して社債権者に損害を与えた社債管理者は賠償責任を負う(710条1項)。肢は704条1項のとおりであり正しい。

社債管理者は、社債権者のために、公平かつ誠実に社債の管理を行わなければならない。
