第625条過去問 1
合同会社の債権者は、当該合同会社の営業時間内は、いつでも、その計算書類(作成した日から五年以内のものに限る。)について第六百十八条第一項各号に掲げる請求をすることができる。
この条文の過去問 1問
合名会社の債権者は,当該合名会社の営業時間内は,いつでも,その計算書類の閲覧の請求をすることができる。

解説
誤り。違うのは「合名会社の債権者は…計算書類の閲覧の請求をすることができる」の部分である。債権者に計算書類の閲覧請求を認める規定は合同会社についてだけ置かれており(会社法625条)、合名会社の債権者にはこの権利が無い。
持分会社の計算書類の閲覧又は謄写は、社員が営業時間内はいつでも請求できる(会社法618条1項)。これに対して債権者については、625条が、合同会社の債権者は営業時間内はいつでも、作成した日から5年以内の計算書類について閲覧等の請求をすることができると定めるだけで、合名会社や合資会社の債権者に同じ権利を認める規定は無い。合同会社では社員の全員が間接有限責任しか負わず、債権者が引当てにできるのは会社の財産だけであるから、株式会社の債権者(442条3項)と同じように会社の財産の状況を確かめる手段を与える必要がある。一方、合名会社の債権者は、会社財産で完済できないときは無限責任社員の個人財産に掛かっていくことができ(580条1項)、会社財産の増減を監視する必要性が小さいので、閲覧請求権は与えられていない。本肢は合名会社の債権者に計算書類の閲覧請求を認める点で誤りである。資本金の額の減少の債権者異議手続(627条)や出資の払戻しの制限(632条)が合同会社にだけあるのも、同じ理由による。

会社法625条
合同会社の債権者は、当該合同会社の営業時間内は、いつでも、その計算書類(作成した日から五年以内のものに限る。)について第六百十八条第一項各号に掲げる請求をすることができる。
ポイント整理
持分会社の計算の規律(合名・合資と合同の違い)
- 会計帳簿・計算書類の作成と10年保存(615条・617条): すべての持分会社。貸借対照表の公告義務は無い
- 計算書類の閲覧: 社員はいつでも(618条)。債権者は合同会社のみ、5年以内のもの(625条)
- 利益の配当: 社員は請求できる(621条)。合同会社は利益額を超える配当不可(628条)
- 出資の払戻し: 合名・合資の社員は請求できる。方法は定款で定められる(624条)。合同会社は定款変更で出資の価額を減少する場合だけ、剰余金額の範囲内(632条)
- 持分の払戻し(退社時): 全持分会社(611条)。合同会社は剰余金額を超えると債権者異議手続(635条)
- 資本金の額の減少: 損失てん補のため(620条)。合同会社は払戻しのためにも可(626条)、債権者異議手続が必要(627条)。合名・合資には異議手続なし