第624条過去問 2
1社員は、持分会社に対し、既に出資として払込み又は給付をした金銭等の払戻し(以下この編において「出資の払戻し」という。)を請求することができる。この場合において、当該金銭等が金銭以外の財産であるときは、当該財産の価額に相当する金銭の払戻しを請求することを妨げない。
2持分会社は、出資の払戻しを請求する方法その他の出資の払戻しに関する事項を定款で定めることができる。
3社員の持分の差押えは、出資の払戻しを請求する権利に対しても、その効力を有する。
この条文の過去問 2問
持分会社は,出資の払戻しを請求するには他の社員の過半数の同意を要する旨の定款の定めを設けることはできない。
解説
本肢は誤り。会社法624条1項前段は、社員は持分会社に対し、既に出資として払込み又は給付をした金銭等の払戻し(出資の払戻し)を請求することができると定める。もっとも、同条2項は、出資の払戻しを請求する方法その他出資の払戻しに関する事項を定款で定めることができるとしており、その定款規定の内容について特段の制限を置いていない。持分会社の内部関係については、社員の合意により柔軟に規律することが認められており(577条参照)、出資の払戻しも基本的には社員間の内部的な利害調整の問題だからである。したがって、出資の払戻しの請求に他の社員の過半数の同意を要する旨の定款の定めを設けることも当然に可能であり、これを「設けることはできない」とする本肢は誤りである。もっとも、社員全員が有限責任社員である合同会社については、会社財産のみが債権者の引当てとなるため、定款自治は債権者保護の見地から制限される。すなわち、合同会社の社員は、定款を変更して出資の価額を減少する場合を除き出資の払戻しを請求できず(632条1項)、払戻しにより交付する金銭等の帳簿価額は剰余金額と出資価額減少額のいずれか少ない額を超えられない(同条2項)。これに違反した場合には業務執行社員等が支払義務を負い(633条1項)、資本金の額の減少を伴うときは債権者異議手続が必要となる(627条)。
匿名組合員及び合資会社の有限責任社員が出資した財産は,営業者又は合資会社に属する。
解説
本肢は正しい。匿名組合員については、商法536条1項が「匿名組合員の出資は、営業者の財産に属する」と定めている。匿名組合は組合という名称を有するものの、民法上の組合(民法667条以下)と異なり組合財産の合有関係を生じさせるものではなく、対外的には営業者の単独営業であって、出資された財産の所有権その他の権利は営業者に帰属する。それゆえ匿名組合員は営業者の債権者に対して自らの出資分を主張することができず、営業者が破産した場合にも出資財産は営業者の破産財団を構成するにとどまる。他方、匿名組合員は営業者の行為について第三者に対して権利義務を有しない(同条4項)から、営業上の債務につき責任を負うこともない。次に合資会社については、会社は法人とされ(会社法3条)、合資会社を含む持分会社も独立の法人格を有するから、社員が出資した財産は当然に会社自体の財産に帰属する。有限責任社員が出資の履行をした限度でその責任が消滅する(会社法580条2項参照)のも、拠出財産が会社に帰属して会社債権者の引当てとなることを前提とする。したがって、いずれについても出資財産は営業者又は合資会社に属し、本肢は正しい。