第588条過去問 1
1合資会社の有限責任社員が自己を無限責任社員であると誤認させる行為をしたときは、当該有限責任社員は、その誤認に基づいて合資会社と取引をした者に対し、無限責任社員と同一の責任を負う。
2合資会社又は合同会社の有限責任社員がその責任の限度を誤認させる行為(前項の行為を除く。)をしたときは、当該有限責任社員は、その誤認に基づいて合資会社又は合同会社と取引をした者に対し、その誤認させた責任の範囲内で当該合資会社又は合同会社の債務を弁済する責任を負う。
この条文の過去問 1問
合資会社の有限責任社員は,その責任の限度を誤認させる行為をしたときであっても,出資の範囲を超えて合資会社の債務を弁済する責任を負わない。
解説
本肢は誤り。合資会社の有限責任社員は、原則として定款に記載された出資の価額を限度として会社債務を弁済する責任を負うにすぎない(会社法580条2項)。しかし、この責任の限度は外部から当然には明らかでないため、会社法は外観を信頼した取引相手方を保護する規定を置いている。
すなわち、588条1項は、合資会社の有限責任社員が自己を無限責任社員であると誤認させる行為をしたときは、その誤認に基づいて会社と取引をした者に対し無限責任社員と同一の責任を負うとする。さらに同条2項は、合資会社または合同会社の有限責任社員がその責任の限度を誤認させる行為(1項の行為を除く)をしたときは、当該有限責任社員は、その誤認に基づいて会社と取引をした者に対し、誤認させた責任の範囲内で会社の債務を弁済する責任を負うと定める。本肢の「責任の限度を誤認させる行為」は、この2項が正面から規律する場面である。
これらは禁反言ないし権利外観法理を具体化した規定であり、自ら誤った外観を作出した者に、その外観どおりの責任を負担させるものである。したがって、誤認させた責任の限度が実際の出資の価額を超える場合には、当該有限責任社員は出資の範囲を超えて会社債務の弁済責任を負うことになる。およそ出資の範囲を超える責任を負わないとする本肢は、588条2項の適用を看過するものであって誤りである。