第617条過去問 3
1持分会社は、法務省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。
2持分会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表その他持分会社の財産の状況を示すために必要かつ適切なものとして法務省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)を作成しなければならない。
3計算書類は、電磁的記録をもって作成することができる。
4持分会社は、計算書類を作成した時から十年間、これを保存しなければならない。
この条文の過去問 3問
合名会社は,会計帳簿及び各事業年度に係る計算書類を作成し,会社法所定の期間保存しなければならない。
解説
本肢は正しい。合名会社を含む持分会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならず(会社法615条1項)、会計帳簿の閉鎖の時から10年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない(同条2項)。また、持分会社は、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならないほか(617条1項)、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表その他持分会社の財産の状況を示すために必要かつ適切なものとして法務省令で定めるもの。同条2項、3項)を作成しなければならず、これを作成した時から10年間保存しなければならない(同条4項)。したがって、会計帳簿及び各事業年度に係る計算書類の作成義務と法定期間の保存義務を認める本肢は正しい。
注意すべきは、持分会社についても計算書類の「作成・保存」義務は課される一方、株式会社と異なり、計算書類の公告義務(440条参照)や監査・承認手続に関する規律は存在しない点である。開示についても、持分会社一般では社員による会計帳簿の閲覧謄写請求(618条)が中心であり、会社債権者に計算書類の閲覧等請求権が認められるのは、社員全員が有限責任社員である合同会社に限られる(625条)。これは、無限責任社員が存在する合名会社・合資会社では社員の個人的資力が債権者の引当てとなるため、会社財産に関する開示規制を緩和しても債権者保護に欠けないという考え方に基づく。
公告方法が官報に掲載する方法である合同会社は,貸借対照表の作成後遅滞なく,当該貸借対照表又はその要旨を公告しなければならない。
解説
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合名会社は,計算書類を作成する必要はない。
解説
本肢は誤り。会社法617条2項は「持分会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類……を作成しなければならない」と定めており、合名会社もまた持分会社の一類型である(575条1項参照)以上、この作成義務の対象となる。合名会社を除外する規定は置かれていない。加えて、持分会社は適時に正確な会計帳簿を作成しなければならず(615条1項)、成立の日における貸借対照表の作成も義務付けられ(617条1項)、計算書類は作成した時から10年間の保存義務を負う(617条4項)。
もっとも、計算書類の範囲や開示のあり方については種類ごとに差異がある。会社計算規則上、合名会社及び合資会社の計算書類は貸借対照表とされ、損益計算書等は定款の定め等により任意に作成し得るにとどまるのに対し、合同会社の計算書類は貸借対照表、損益計算書、社員資本等変動計算書及び個別注記表とされる。また、会社債権者による計算書類の閲覧・謄写請求権は、社員全員が有限責任である合同会社についてのみ認められている(625条)。これは、会社財産のみが債権者の引当てとなる合同会社では計算の開示の必要性が高いのに対し、無限責任社員が存在する合名会社・合資会社では社員の一般財産が引当てとなるためである。
このように差異があるのは計算書類の内容・開示の範囲であって、作成義務の有無ではない。よって本肢は誤りである。