第471条過去問 2
株式会社は、次に掲げる事由によって解散する。
1 定款で定めた存続期間の満了
2 定款で定めた解散の事由の発生
3 株主総会の決議
4 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
5 破産手続開始の決定
6 第八百二十四条第一項又は第八百三十三条第一項の規定による解散を命ずる裁判
この条文の過去問 2問
吸収合併の場合には,消滅会社はそれによって当然に解散するが,事業譲渡の場合には,譲渡会社はその事業の全部を譲渡してもそれによって当然には解散しない。
解説
本肢は正しい。吸収合併は、消滅会社の権利義務の全部を存続会社に包括承継させる組織法上の行為である(会社法2条27号)。消滅会社は効力発生日に解散し(471条4号)、しかも通常の解散と異なり清算手続を経ることなく法人格が消滅する(475条1号括弧書は合併による解散を清算の対象から除外している)。権利義務が全部存続会社に移転する以上、清算すべき残余財産が存在しないからである。したがって、吸収合併においては消滅会社が当然に解散する。
これに対し事業譲渡は、有機的一体として機能する事業財産を譲渡する取引法上の契約にすぎず、譲渡会社の法人格には何ら影響しない。事業の全部を譲渡した場合であっても、譲渡会社は対価として受領した金銭等を保有する法人として存続し、定款の目的を変更して別の事業を開始することも、株主総会の特別決議により解散を選択することも(471条3号、309条2項11号)できる。全部譲渡が当然に解散事由となる旨の規定は存在しない。なお、事業の全部の譲渡には譲渡会社において株主総会の特別決議が必要であるが(467条1項1号、309条2項11号)、これは解散の効果とは無関係である。
よって、両者の差異を述べる本肢は正しい。
吸収合併の場合には,消滅会社はそれによって当然に解散するが,事業譲渡の場合には,譲渡会社はその事業の全部を譲渡してもそれによって当然には解散しない。
解説
本肢は正しい。吸収合併においては、消滅会社は効力発生日に解散する。会社法471条4号は解散事由として「合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)」を掲げており、消滅会社は当事者の別段の意思にかかわらず当然に解散する。しかも、この解散には清算手続が伴わない。475条1号括弧書は、合併により解散した場合を清算開始原因から除外しており、消滅会社の権利義務はすべて存続会社に包括承継される(750条1項)結果、清算すべき残余財産が存在しないからである。消滅会社は解散の登記ではなく吸収合併による解散の登記(921条)によって法人格を失う。
これに対して事業譲渡は、前述のとおり個別の財産・契約関係を移転する取引行為であり、会社の組織そのものには変動を生じさせない。471条は解散事由を1号から6号まで(および裁判による解散として471条6号・824条・833条)限定的に定めているところ、そこに「事業の全部の譲渡」は掲げられていない。したがって、譲渡会社が事業の全部を譲渡して事実上活動の実体を失っても、法人格は存続し、当然に解散するわけではない。譲渡会社を解散させるには、別途、株主総会の特別決議による解散決議(471条3号、309条2項11号)を要する。実務上は、事業全部譲渡の承認決議(467条1項1号)と解散決議が併せて行われることが多いが、これは両者が別個の決議事項であることの裏返しにほかならない。
よって、本肢の記述はいずれも正当である。