第859条過去問 2
持分会社の社員(以下この条及び第八百六十一条第一号において「対象社員」という。)について次に掲げる事由があるときは、当該持分会社は、対象社員以外の社員の過半数の決議に基づき、訴えをもって対象社員の除名を請求することができる。
1 出資の義務を履行しないこと。
2 第五百九十四条第一項(第五百九十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反したこと。
3 業務を執行するに当たって不正の行為をし、又は業務を執行する権利がないのに業務の執行に関与したこと。
4 持分会社を代表するに当たって不正の行為をし、又は代表権がないのに持分会社を代表して行為をしたこと。
5 前各号に掲げるもののほか、重要な義務を尽くさないこと。
この条文の過去問 2問
合同会社の業務を執行するに当たって不正の行為をした社員は,他の社員の全員の同意によって除名することができる。
解説
本肢は誤り。持分会社の社員の除名は、他の社員の意思表示のみによって当然に効力を生ずるものではなく、訴えによらなければならない。すなわち、持分会社の社員について会社法859条各号所定の事由があるときは、当該持分会社は、対象社員以外の社員の過半数の決議に基づき、訴えをもって当該社員の除名を請求することができる(859条柱書)。同条3号は、除名事由の一つとして、業務を執行する社員が業務を執行するに当たって不正の行為をしたとき、又は業務を執行する権利がないのに持分会社の業務を執行したときを掲げている。したがって、業務執行に当たり不正の行為をした社員は除名事由に当たるが、その手続は、①他の社員の過半数の決議、②会社を原告とする訴えの提起、③除名を認容する判決の確定(形成の訴え)という経路をたどる。
除名を裁判所の判断にかからしめたのは、除名が社員たる地位を強制的に奪う重大な効果を持つため、その要件充足を裁判所に慎重に判断させ、多数派社員による恣意的な排除を防ぐ趣旨である。除名の判決が確定すると当該社員は退社し(607条1項8号)、持分の払戻し(611条)の問題となる。
本肢は、他の社員の全員の同意によって除名することができるとする点で、要求される決議要件(他の社員の過半数)を過重に述べるとともに、訴えによることを要する点を看過しており、誤りである。
合同会社の業務を執行するに当たって不正の行為をした社員は,他の社員の全員の同意によって除名することができる。
解説
本肢は誤り。持分会社の社員の除名は、他の社員の全員の同意という会社内部の意思決定のみでは効力を生じず、訴えによらなければならない。すなわち、持分会社は、社員が出資の義務を履行しないこと、業務を執行するに当たって不正の行為をしたこと、業務を執行する権利がないのに業務の執行に関与したことなどの事由があるときは、対象社員以外の社員の過半数の決議に基づき、訴えをもって当該社員の除名を請求することができる(会社法859条、特に3号)。除名は社員の地位を一方的に奪う重大な効果を伴うため、多数派社員による恣意的な排除を防ぐ趣旨で、裁判所の判断を経る形成訴訟の形式が採られているのである。したがって、本肢は「他の社員の全員の同意によって除名することができる」とする点で二重に誤る。要件としては全員の同意ではなく対象社員以外の社員の過半数の決議で足りる一方、それだけでは足りず訴えの提起と除名判決の確定が必要だからである。なお、除名の判決が確定すると当該社員は退社し(会社法607条1項8号)、持分の払戻しの問題を生ずる(会社法611条)。また業務執行権・代表権の消滅についても同様に訴えによる(会社法860条)。