第247条過去問 2
次に掲げる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、第二百三十八条第一項の募集に係る新株予約権の発行をやめることを請求することができる。
1 当該新株予約権の発行が法令又は定款に違反する場合
2 当該新株予約権の発行が著しく不公正な方法により行われる場合
この条文の過去問 2問
募集新株予約権の発行が著しく不公正な方法により行われる場合において,株主が不利益を受けるおそれがあるときは,株主は,株式会社に対し,当該新株予約権の発行をやめることを請求することができる。
解説
本肢は正しい。会社法247条は、募集新株予約権の発行が法令もしくは定款に違反する場合(1号)または著しく不公正な方法により行われる場合(2号)において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は会社に対し当該新株予約権の発行をやめることを請求することができると定める。募集株式の発行等の差止請求(210条)に対応する規定であり、事前の救済手段として位置づけられる。したがって、著しく不公正な方法による発行を差止事由とする本肢は正しい。「著しく不公正な方法」による発行とは、不当な目的を達成する手段として発行がされる場合をいい、資金調達等の事業目的よりも、既存の支配株主の支配権維持や特定株主の持株比率低下を主要な目的とする発行がこれに当たると解されている(いわゆる主要目的ルール)。新株予約権については、買収防衛策として大量に発行される例があり、東京高決平成17年3月23日(ニッポン放送事件)は、経営支配権をめぐる争いがある状況で現経営陣の支配権維持を主要な目的として新株予約権が発行された場合には、原則として著しく不公正な方法による発行に当たるとしつつ、株主全体の利益保護の観点から例外的に許容される場合がありうる旨を判示している。なお、差止めの仮処分に違反して発行がされた場合には、新株予約権発行無効の訴え(828条1項4号)における無効原因となると解されている。
募集新株予約権の発行が法令に違反する場合において,既存の新株予約権者が不利益を受けるおそれがあるときは,その新株予約権者は,会社に対し,新株予約権の発行をやめることを請求することができる。
解説
本肢は誤り。247条は、募集新株予約権の発行が法令若しくは定款に違反する場合(1号)、又は著しく不公正な方法により行われる場合(2号)において、「株主が不利益を受けるおそれがあるとき」に、株主が会社に対して当該発行の差止めを請求することができると定める。募集株式の発行等における210条に対応する規定であり、差止請求権者はあくまで株主に限定されている。
これは、差止請求権が、新株予約権の発行によって持株比率の低下や株式価値の希釈化という不利益を受ける社員たる株主の利益を、事前に救済するために認められた制度だからである。新株予約権者は、新株予約権を行使して株式の交付を受けるまでは株主ではなく、会社に対して社員としての地位を有しない。新株予約権の発行によって既発行の新株予約権の経済的価値が影響を受けることはあり得るとしても、その者は247条の要件を満たす主体たり得ない。もっとも、新株予約権を行使して株主となれば、その後は株主として差止めを請求することができる。
なお、発行がされた後の事後的救済としては、新株予約権発行無効の訴え(828条1項4号)や不存在確認の訴え(829条3号)があるが、これらの提訴権者にも新株予約権者は含まれていない(828条2項4号参照)。
したがって、既存の新株予約権者が差止請求をすることができるとする本肢は誤りである。