1盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の拘禁刑に処する。
2前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の拘禁刑及び五十万円以下の罰金に処する。
この条文の過去問 21問
誤り。違うのは「甲に盗品等保管罪が成立する」の部分である。保管は委託を受けて本犯のために預かることをいい、自分の物として購入した絵画を持ち続けても保管に当たらない。
256条2項の保管とは、委託を受けて本犯のために盗品等の占有を得て管理することをいう(最判昭34.7.3)。盗品等関与罪は、被害者が盗品を取り戻す権利である追求権の行使を困難にし、本犯の処分を助ける行為を処罰するもので、保管が処罰されるのは、本犯に代わって盗品を預かることが本犯を助けるからである。本肢の甲は、乙から絵画を購入しており、絵画を自分の物として持っている。後に盗品であると知ってそのまま持ち続けても、乙から委託を受けて乙のために預かっているわけではないから、保管に当たらない。また、購入した時点では盗品であることを知らなかったので、有償譲受け罪も成立しない。これに対し、本犯から預かった物について、後に盗品と知りながら本犯のために保管を続けた場合は、盗品等保管罪が成立する(最決昭50.6.12)。

刑法二五六条二項にいう「寄蔵」とは、委託を受けて本犯のために賍品を保管することをいう
正しい。本犯の行為は構成要件に該当する違法なものであれば足り、本犯について公訴時効が完成していても、盗品等有償譲受け罪は成立する(大判明42.4.15)。
256条の客体は「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」であり、本犯の行為が財産罪の構成要件に該当する違法な行為であれば足りる。本犯者に責任があることや、本犯者が現実に処罰されることは必要でない。盗品等関与罪が処罰するのは、被害者の追求権の行使を困難にする行為であり、被害者が物を取り戻す権利を持っているかどうかは、本犯者を処罰できるかどうかと関係がないからである。公訴時効の完成は、本犯者を訴追できなくする手続上の事由にとどまり、窃取された物が盗品であることを失わせない。判例も、本犯について公訴時効が完成していても盗品等関与罪は成立するとしている(大判明42.4.15)。本肢の甲は、乙が窃取した宝石であると知りつつ有償で譲り受けているから、盗品等有償譲受け罪が成立する。本犯者が刑事未成年者である場合(大判明44.12.18)や、親族間の犯罪に関する特例で刑を免除される場合も同じである。

盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の拘禁刑に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の拘禁刑及び五十万円以下の罰金に処する。
| 本犯の事情 | 盗品等関与罪の客体になるか |
|---|---|
| 本犯者が刑事未成年者である | なる(大判明44.12.18) |
| 本犯者が親族間の犯罪に関する特例で刑を免除される | なる。犯罪の成立は否定されていない |
| 本犯の公訴時効が完成している | なる(大判明42.4.15) |
| 賄賂として収受された現金 | ならない。財産罪で領得された物ではない |
| 盗んだ資料のコピー | ならない。直接領得された物ではない |
正しい。盗品等有償譲受け罪の故意は、盗品であることを確定的に知っていることを要せず、盗品かもしれないと思いながらあえて買い受ける未必の故意があれば足りる(最判昭23.3.16)。
盗品等有償譲受け罪(256条2項)が成立するには、譲り受ける物が財産に対する罪に当たる行為によって領得された物であることの認識が必要である。もっとも、その物がどのような犯行によって得られたものかを具体的に知っている必要はなく、認識の程度も確定的である必要はない。判例は、この罪の故意が成立するためには、必ずしも買い受ける物が盗品であることを確定的に知っていることを必要とせず、盗品であるかもしれないと思いながら、しかもあえてこれを買い受ける意思、すなわち未必の故意があれば足りるとしている(最判昭23.3.16)。故意は、犯罪事実を認識し、その実現を認容している場合に認められ、結果が発生するかもしれないと認識しつつそれでも構わないと認容していれば、確定的に認識している場合と同じく、規範に直面しながらあえて行為に出たといえるからである。甲は、バッグが盗品かもしれないがそれでも構わないと思って購入しているから、未必の故意があり、甲に盗品等有償譲受け罪が成立する。

その故意が成立する為めには必ずしも買受くべき物が賍物であることを確定的に知つて居ることを必要としない或は賍物であるかも知れないと思いながらしかも敢てこれを買受ける意思(いわゆる未必の故意)があれば足りるものと解すべきである
誤り。違うのは「丙には盗品等運搬罪ではなく窃盗罪の共同正犯が成立する」の部分である。丙が計画を知って関与したのはカードの奪取が既遂に達して終了した後であり、丙に成立するのは盗品等運搬罪である。
共同正犯(60条)が成立するには、共謀と、それに基づく実行が必要であり、犯罪が終了した後に初めて関与した者は、その犯罪の共同正犯にも幇助犯にもならない。終了した犯罪の実現に、後から因果的に寄与することはできないからである。丙が甲から本件計画の内容を初めて説明され、運搬を承諾したのは午前9時30分頃であり、乙がAからカードを奪って持ち去り、甲に入手を伝えた午前9時20分頃より後である。この時点でカードの奪取はすでに既遂に達し、終了している。甲が当初から丙に運搬させる計画であったとしても、それは甲の側の予定にすぎず、奪取の前に丙との間で意思の連絡があったわけではない。運搬が計画の中で重要な役割であることも、丙が奪取に関与していないという事実を変えるものではない。丙は、財産に対する罪に当たる行為によって領得されたカードを、そのことを知って運搬しているから、丙には盗品等運搬罪(256条2項)が成立する。

前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の拘禁刑及び五十万円以下の罰金に処する。
誤り。違うのは「丙には盗品等運搬罪ではなく窃盗罪の共同正犯が成立する」の部分である。丙が計画を知って関与したのはカードの奪取が既遂に達して終了した後であり、丙に成立するのは盗品等運搬罪である。
共同正犯(60条)が成立するには、共謀と、それに基づく実行が必要であり、犯罪が終了した後に初めて関与した者は、その犯罪の共同正犯にも幇助犯にもならない。終了した犯罪の実現に、後から因果的に寄与することはできないからである。丙が甲から本件計画の内容を初めて説明され、運搬を承諾したのは午前9時30分頃であり、乙がAからカードを奪って持ち去り、甲に入手を伝えた午前9時20分頃より後である。この時点でカードの奪取はすでに既遂に達し、終了している。甲が当初から丙に運搬させる計画であったとしても、それは甲の側の予定にすぎず、奪取の前に丙との間で意思の連絡があったわけではない。運搬が計画の中で重要な役割であることも、丙が奪取に関与していないという事実を変えるものではない。丙は、財産に対する罪に当たる行為によって領得されたカードを、そのことを知って運搬しているから、丙には盗品等運搬罪(256条2項)が成立する。

前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の拘禁刑及び五十万円以下の罰金に処する。
誤り。違うのは「「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」に当たる」の部分である。収賄罪は財産に対する罪ではなく、賄賂として収受された現金は盗品等関与罪の客体にならない。
256条の客体は、「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」であり、窃盗、強盗、詐欺、恐喝、横領といった財産罪の実行によって取得された物に限られる。判例は、盗品等関与罪の保護法益を、本犯の被害者がその物について有する追求権と解しており(大判大12.4.14)、客体の範囲もこの法益から画される。賄賂の収受は収賄罪(197条)に当たる行為であるが、同罪は公務員の職務の公正とこれに対する社会一般の信頼を保護法益とする罪であって、財産に対する罪ではない。しかも、賄賂を供与した者は自らの意思で現金を交付しており、その返還を請求し得る被害者を考えることもできないから、追求権の侵害という盗品等関与罪の実質も欠ける。したがって、賄賂として収受された現金は同罪の客体に当たらない。賭博によって得た金銭についても同じである。客体が「贓物」と表現されていた旧規定の下では、財産罪以外の罪で得た物も含める見解があったが、現行の文言はこれを明確に否定している。

盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の拘禁刑に処する。
- 本犯者が刑事未成年:盗品性あり。盗品等関与罪が成立する
- 本犯者が親族相盗例で刑を免除される:盗品性あり。犯罪の成立は否定されていない
- 本犯の公訴時効が完成している:盗品性あり。盗品等関与罪が成立する
- 賄賂として収受された現金:財産罪で領得された物ではない。客体にならない
- 盗んだ資料のコピー:直接領得された物ではない。客体にならない
正しい。盗品等関与罪の客体は財産罪によって直接領得された物に限られ、窃取した資料から新たに作成したコピーはこれに当たらない。
256条1項は、客体を「領得された物」と定めており、盗品等関与罪の客体は、本犯である財産罪によって直接に取得された物そのものに限られる。盗品を売却して得た代金や、盗品を材料にして新たに作り出された別の物は、原則として客体に当たらない。本肢では、窃取された秘密資料そのものは窃盗罪によって直接領得された物であるから客体となるが、犯人が自宅で作成したコピーは、犯人が自ら用意した用紙などを使って作り出した、資料とは別個の物であり、窃盗という行為によって領得された物ではない。また、盗品等関与罪の保護法益は本犯の被害者の追求権であるところ、コピーの所有権は被害会社に帰属せず、会社がその返還を請求し得る立場にもないから、追求権の侵害という同罪の実質も認められない。したがって、このコピーは「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」に当たらず、これを譲り受けるなどしても盗品等関与罪は成立しない。もっとも、盗んだ小切手を換金した金銭のように、同一性が実質的に保たれていると評価できる場合には、客体性が肯定される余地がある。

盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の拘禁刑に処する。
- 本犯者が刑事未成年:盗品性あり。盗品等関与罪が成立する
- 本犯者が親族相盗例で刑を免除される:盗品性あり。犯罪の成立は否定されていない
- 本犯の公訴時効が完成している:盗品性あり。盗品等関与罪が成立する
- 賄賂として収受された現金:財産罪で領得された物ではない。客体にならない
- 盗んだ資料のコピー:直接領得された物ではない。客体にならない
正しい。判例は、本犯者と本犯者以外の者が盗品を分担して運搬した場合、本犯者以外の者には運搬した盗品の全部について運搬罪が成立するとしている(最判昭30.7.12)。
乙は、ドレスと指輪が盗品であることを甲から聞いて知ったうえで、これを丙宅まで運んでいるので、盗品等運搬罪(256条2項)の主体になる。他方、本犯者である甲が自ら盗んだ物を運搬しても、その行為は窃盗罪の中で評価し尽くされており、別に盗品等運搬罪は成立しない。そこで、乙が自分の車で現実に運んだのはドレス10着だけであるのに、甲が運んだ指輪とドレス10着についてまで乙に運搬罪が成立するかが問題になる。甲と乙は、盗品を丙宅へ運ぶという意思を通じたうえで運ぶ数量を分担したにすぎず、乙は共謀に基づいて盗品全体の運搬に加わったと評価できる。判例も、本犯者と本犯者以外の者が共同して盗品を分担して運搬した事案で、本犯者以外の者にはその盗品の全部について運搬罪が成立するとしている(最判昭30.7.12)。共同正犯では共謀に基づく実行の全部について各自が責任を負うのであり、甲が本犯者として運搬罪で処罰されないことは、乙の罪責に影響しない。したがって、乙にはドレス20着全てと指輪について盗品等運搬罪が成立し、本肢は正しい。

前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の拘禁刑及び五十万円以下の罰金に処する。
正しい。判例は、被害者を処分の相手方とする場合でも、盗品等の正常な回復を困難にし窃盗等を助長するおそれがあるとして、有償の処分のあっせんに当たるとしている(最決平14.7.1)。
丙は、指輪が甲のAに対する窃盗によって得られた物であることを知りながら、これを預かってAへの売却を取り持ち、代金50万円で売却させている。処分の相手方が窃盗の被害者A自身であるため、被害者に売り渡せば物は被害者の手元に戻るので追求権の侵害はなく、盗品等有償処分あっせん罪は成立しないのではないかが問題になる。判例は、盗品等の有償の処分のあっせんをする行為は、窃盗等の被害者を処分の相手方とする場合であっても、被害者による盗品等の正常な回復を困難にするばかりでなく、窃盗等の犯罪を助長し誘発するおそれのある行為であるから、256条2項にいう有償の処分のあっせんに当たるとした(最決平14.7.1)。本来は無償で取り戻せるはずの自分の所有物を、対価を払って買い戻させるのは正常な回復とはいえず、追求権は害されているし、盗品を換金する道を開く点で本犯を助長する性質も否定できないからである。本事例のAは、母親の形見である指輪を50万円で買い戻させられており、正常な回復が妨げられている。したがって丙には盗品等有償処分あっせん罪が成立し、本肢は正しい。

盗品等の有償の処分のあっせんをする行為は,窃盗等の被害者を処分の相手方とする場合であっても,被害者による盗品等の正常な回復を困難にするばかりでなく,窃盗等の犯罪を助長し誘発するおそれのある行為であるから,刑法256条2項にいう盗品等の『有償の処分のあっせん』に当たる
- 無償譲受け(1項):対価なしに交付を受けて取得する。3年以下の拘禁刑
- 運搬(2項):委託を受けて盗品等の所在を移す。共同して運搬すれば盗品の全体について成立する
- 保管(2項):委託を受けて本犯のために預かって管理する
- 有償譲受け(2項):対価を払って交付を受け取得する
- 有償の処分のあっせん(2項):売買などの有償の処分を仲介する。あっせん行為をしただけで成立し、被害者に買い取らせる場合も成立する
正しい。判例は、本犯者と本犯者以外の者が盗品を分担して運搬した場合、本犯者以外の者には運搬した盗品の全部について運搬罪が成立するとしている(最判昭30.7.12)。
乙は、ドレスと指輪が盗品であることを甲から聞いて知ったうえで、これを丙宅まで運んでいるので、盗品等運搬罪(256条2項)の主体になる。他方、本犯者である甲が自ら盗んだ物を運搬しても、その行為は窃盗罪の中で評価し尽くされており、別に盗品等運搬罪は成立しない。そこで、乙が自分の車で現実に運んだのはドレス10着だけであるのに、甲が運んだ指輪とドレス10着についてまで乙に運搬罪が成立するかが問題になる。甲と乙は、盗品を丙宅へ運ぶという意思を通じたうえで運ぶ数量を分担したにすぎず、乙は共謀に基づいて盗品全体の運搬に加わったと評価できる。判例も、本犯者と本犯者以外の者が共同して盗品を分担して運搬した事案で、本犯者以外の者にはその盗品の全部について運搬罪が成立するとしている(最判昭30.7.12)。共同正犯では共謀に基づく実行の全部について各自が責任を負うのであり、甲が本犯者として運搬罪で処罰されないことは、乙の罪責に影響しない。したがって、乙にはドレス20着全てと指輪について盗品等運搬罪が成立し、本肢は正しい。

前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の拘禁刑及び五十万円以下の罰金に処する。
正しい。判例は、被害者を処分の相手方とする場合でも、盗品等の正常な回復を困難にし窃盗等を助長するおそれがあるとして、有償の処分のあっせんに当たるとしている(最決平14.7.1)。
丙は、指輪が甲のAに対する窃盗によって得られた物であることを知りながら、これを預かってAへの売却を取り持ち、代金50万円で売却させている。処分の相手方が窃盗の被害者A自身であるため、被害者に売り渡せば物は被害者の手元に戻るので追求権の侵害はなく、盗品等有償処分あっせん罪は成立しないのではないかが問題になる。判例は、盗品等の有償の処分のあっせんをする行為は、窃盗等の被害者を処分の相手方とする場合であっても、被害者による盗品等の正常な回復を困難にするばかりでなく、窃盗等の犯罪を助長し誘発するおそれのある行為であるから、256条2項にいう有償の処分のあっせんに当たるとした(最決平14.7.1)。本来は無償で取り戻せるはずの自分の所有物を、対価を払って買い戻させるのは正常な回復とはいえず、追求権は害されているし、盗品を換金する道を開く点で本犯を助長する性質も否定できないからである。本事例のAは、母親の形見である指輪を50万円で買い戻させられており、正常な回復が妨げられている。したがって丙には盗品等有償処分あっせん罪が成立し、本肢は正しい。

盗品等の有償の処分のあっせんをする行為は,窃盗等の被害者を処分の相手方とする場合であっても,被害者による盗品等の正常な回復を困難にするばかりでなく,窃盗等の犯罪を助長し誘発するおそれのある行為であるから,刑法256条2項にいう盗品等の『有償の処分のあっせん』に当たる
- 無償譲受け(1項):対価なしに交付を受けて取得する。3年以下の拘禁刑
- 運搬(2項):委託を受けて盗品等の所在を移す。共同して運搬すれば盗品の全体について成立する
- 保管(2項):委託を受けて本犯のために預かって管理する
- 有償譲受け(2項):対価を払って交付を受け取得する
- 有償の処分のあっせん(2項):売買などの有償の処分を仲介する。あっせん行為をしただけで成立し、被害者に買い取らせる場合も成立する
正しい。本件不動産は詐欺罪という財産に対する罪によって領得された物に当たり、そのことを知りながら有償で譲り受けた乙には盗品等有償譲受け罪(256条2項)が成立する。
盗品等関与罪の客体は、「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」である(256条1項)。本件不動産は、甲がAを欺いて交付させた物であり、詐欺罪(246条1項)という財産に対する罪によって直接領得された物に当たる。条文は不動産を除外しておらず、詐欺によって領得された不動産そのものを譲り受ける行為は、被害者の追求権の行使を困難にするものとして同罪の処罰対象になる。乙は、甲との売買交渉の過程で、甲がAをだまして相当安い価格で本件不動産を入手したことを知っており、本件不動産が財産に対する罪によって領得された物であることの認識、すなわち故意がある。そのうえで乙は、甲から3000万円という代金を提示されてこれを支払う売買契約を締結し、所有権移転登記を受けているので、「有償で譲り受け」たといえる。したがって、乙には盗品等有償譲受け罪(256条2項)が成立する。甲の詐欺罪の既遂後の関与であることは、幇助犯の成立を妨げても、同罪の成立を妨げない。

前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の拘禁刑及び五十万円以下の罰金に処する。
- 財産に対する罪(窃盗・強盗・詐欺・恐喝・横領など)によって直接領得された物に限る。不動産も含む
- 賄賂として収受した現金や賭博で得た金銭:財産に対する罪で領得された物ではなく、客体にならない
- 盗んだ資料のコピー:直接領得された物ではなく、客体にならない
- 2項詐欺で得た財産上の利益:物ではなく、客体にならない
- 本犯者が刑事未成年・親族相盗例で刑を免除される・公訴時効が完成している:盗品性は失われない
正しい。本件不動産は詐欺罪という財産に対する罪によって領得された物に当たり、そのことを知りながら有償で譲り受けた乙には盗品等有償譲受け罪(256条2項)が成立する。
盗品等関与罪の客体は、「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」である(256条1項)。本件不動産は、甲がAを欺いて交付させた物であり、詐欺罪(246条1項)という財産に対する罪によって直接領得された物に当たる。条文は不動産を除外しておらず、詐欺によって領得された不動産そのものを譲り受ける行為は、被害者の追求権の行使を困難にするものとして同罪の処罰対象になる。乙は、甲との売買交渉の過程で、甲がAをだまして相当安い価格で本件不動産を入手したことを知っており、本件不動産が財産に対する罪によって領得された物であることの認識、すなわち故意がある。そのうえで乙は、甲から3000万円という代金を提示されてこれを支払う売買契約を締結し、所有権移転登記を受けているので、「有償で譲り受け」たといえる。したがって、乙には盗品等有償譲受け罪(256条2項)が成立する。甲の詐欺罪の既遂後の関与であることは、幇助犯の成立を妨げても、同罪の成立を妨げない。

前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の拘禁刑及び五十万円以下の罰金に処する。
- 財産に対する罪(窃盗・強盗・詐欺・恐喝・横領など)によって直接領得された物に限る。不動産も含む
- 賄賂として収受した現金や賭博で得た金銭:財産に対する罪で領得された物ではなく、客体にならない
- 盗んだ資料のコピー:直接領得された物ではなく、客体にならない
- 2項詐欺で得た財産上の利益:物ではなく、客体にならない
- 本犯者が刑事未成年・親族相盗例で刑を免除される・公訴時効が完成している:盗品性は失われない
誤り。違うのは「盗品等無償譲受け罪が成立する」の部分である。甲は恐喝罪の共同正犯として本犯を犯した者であり、本犯の正犯・共同正犯には盗品等関与罪は成立しない。
盗品等無償譲受け罪(256条1項)は、盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受ける罪であり、本犯によって生じた被害者の追求権の侵害を本犯以外の者が維持・助長する点を処罰するものである。したがって、本犯を自ら犯した者がその領得した物を処分したり分配したりしても、その行為は本犯の罪で評価し尽くされており、盗品等関与罪は成立しない。本犯の共同正犯も、本犯を共同して実行した者として同じ扱いになる。甲は乙と共謀してVから30万円を喝取した恐喝罪の共同正犯であり、乙から受け取った15万円は、甲自身が共同して犯した恐喝罪によって領得された物の分け前である。これを受け取ることは本犯である恐喝罪の中で評価されるのであって、甲に盗品等無償譲受け罪は成立しない。これに対し、本犯の教唆犯・幇助犯や、本犯が終わった後に初めて関与した者が盗品を譲り受けた場合には、本犯の罪で評価されていないので盗品等関与罪が成立する。

盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の拘禁刑に処する。
- 本犯の正犯・共同正犯:盗品等関与罪は成立しない。本犯の罪で評価し尽くされている
- 本犯の教唆犯・幇助犯:盗品等関与罪が成立する。本犯の教唆・幇助の罪とは併合罪
- 本犯の終了後に初めて関与した者:本犯の共同正犯にはならない。盗品等関与罪が成立する
- 窃盗教唆と有償譲受け・保管・有償処分あっせん:いずれも併合罪。牽連犯ではない
誤り。違うのは「盗品等無償譲受け罪が成立する」の部分である。甲は恐喝罪の共同正犯として本犯を犯した者であり、本犯の正犯・共同正犯には盗品等関与罪は成立しない。
盗品等無償譲受け罪(256条1項)は、盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受ける罪であり、本犯によって生じた被害者の追求権の侵害を本犯以外の者が維持・助長する点を処罰するものである。したがって、本犯を自ら犯した者がその領得した物を処分したり分配したりしても、その行為は本犯の罪で評価し尽くされており、盗品等関与罪は成立しない。本犯の共同正犯も、本犯を共同して実行した者として同じ扱いになる。甲は乙と共謀してVから30万円を喝取した恐喝罪の共同正犯であり、乙から受け取った15万円は、甲自身が共同して犯した恐喝罪によって領得された物の分け前である。これを受け取ることは本犯である恐喝罪の中で評価されるのであって、甲に盗品等無償譲受け罪は成立しない。これに対し、本犯の教唆犯・幇助犯や、本犯が終わった後に初めて関与した者が盗品を譲り受けた場合には、本犯の罪で評価されていないので盗品等関与罪が成立する。

盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の拘禁刑に処する。
- 本犯の正犯・共同正犯:盗品等関与罪は成立しない。本犯の罪で評価し尽くされている
- 本犯の教唆犯・幇助犯:盗品等関与罪が成立する。本犯の教唆・幇助の罪とは併合罪
- 本犯の終了後に初めて関与した者:本犯の共同正犯にはならない。盗品等関与罪が成立する
- 窃盗教唆と有償譲受け・保管・有償処分あっせん:いずれも併合罪。牽連犯ではない
正しい。判例は、盗品等の有償の処分のあっせんは、窃盗等の被害者を処分の相手方とする場合であっても256条2項の「有償の処分のあっせん」に当たるとしている(最決平14.7.1)。
256条2項の有償の処分のあっせんとは、盗品等の売買などの有償の処分を仲介する行為をいう。処分の相手方が本来の持ち主である被害者であれば、盗品が被害者の手に戻る方向の行為であるから罪にならないようにも見える。しかし最決平14.7.1は、盗品等の有償の処分のあっせんをする行為は、窃盗等の被害者を処分の相手方とする場合であっても、被害者による盗品等の正常な回復を困難にするばかりでなく、窃盗等の犯罪を助長し誘発するおそれのある行為であるから、256条2項にいう盗品等の有償の処分のあっせんに当たるとした。被害者は本来対価なしに取り戻せるのに金を払わなければ返してもらえない状態に置かれるのであり、盗んだ物を被害者に買い戻させて利益を得る道が開かれていれば窃盗を誘発するからである。甲は、窃取された約束手形をA社に買い取らせる交渉を乙に依頼され、被害者であるA社と買取りの条件を交渉して売却に至らせている。相手方が被害者であっても有償処分のあっせんに当たり、甲には盗品等有償処分あっせん罪が成立する。したがって、本肢は正しい。

盗品等の有償の処分のあっせんをする行為は、窃盗等の被害者を処分の相手方とする場合であっても、被害者による盗品等の正常な回復を困難にするばかりでなく、窃盗等の犯罪を助長し誘発するおそれのある行為であるから、刑法256条2項にいう盗品等の「有償の処分のあっせん」に当たる
正しい。窃盗を教唆した者がその盗品を買い受けた場合、窃盗教唆罪と盗品等有償譲受け罪が成立し、両者は罪質上通常手段と結果の関係にないので、判例は併合罪としている。
本犯を教唆したにとどまる者は自ら財物を領得したわけではないので、本犯の終了後に盗品に関与すれば、別に盗品等関与罪が成立する。甲は、乙を教唆して丙所有の骨董品を盗ませ、その後に乙から骨董品を買い受けているので、窃盗教唆罪と盗品等有償譲受け罪が成立する。問題は両罪の罪数関係である。牽連犯(54条1項後段)になるのは、二つの罪が罪質上通例として手段と結果の関係にある場合に限られ、行為者がたまたま一方を他方の手段にしたというだけでは足りない。判例は、窃盗教唆と盗品の買受けについて、両者の間に通常手段又は結果の関係はないとして併合罪とし(大判明42.3.16)、窃盗教唆と盗品の売却のあっせんについても、二罪が成立して併合罪になるとしている(最判昭24.7.30)。他人に窃盗をさせることと、その盗品を自分が買い取ることは、類型的に結びついた関係ではないからである。したがって、甲の窃盗教唆罪と盗品等有償譲受け罪は併合罪になり、本肢は正しい。

確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。
| 組合せ | 罪数 | 理由 |
|---|---|---|
| 窃盗教唆と盗品等有償譲受け・有償処分あっせん | 併合罪 | 罪質上通常手段と結果の関係にない |
| 1回の追突で複数の死傷 | 観念的競合 | 社会的見解上1個の行為 |
| 住居侵入と殺人・窃盗・強盗 | 牽連犯 | 侵入は罪質上通例その手段 |
| 殺人と死体遺棄 | 併合罪 | 死体遺棄は殺人に常に伴うものではない |
| カード・通帳の窃盗とこれを用いた詐欺 | 併合罪 | 新たな法益侵害 |
誤り。違うのは「甲には盗品等有償譲受け罪が成立する」の部分である。乙がAを欺いて抵当権の設定登記を抹消させた行為は財産上の利益を得る2項詐欺であり、乙の不動産そのものは「財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」ではないから、これを譲り受けても盗品等有償譲受け罪は成立しない。
盗品等関与罪の客体は「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」である(256条)。判例は、この罪の保護法益を被害者の追求権と捉え、客体を被害者が法律上追求することのできる物に限っているから、客体は財産罪によって直接領得された物そのものでなければならず、財産上の利益は客体にならない。本肢で乙がしたのは、Aを欺いて自分の不動産に設定されていた抵当権の設定登記を抹消させることであり、これは抵当権の負担を免れるという財産上の利益を得た2項詐欺である。不動産はもともと乙の所有物であって、乙が詐欺によって領得した物ではなく、Aが追求権を持つ対象でもない。したがって、甲が事情を知りながらこの不動産を譲り受けても、盗品等有償譲受け罪は成立しない。これに対し、不動産そのものが詐取された場合には、その不動産は領得された物として客体になる。

盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の拘禁刑に処する。
- ["本犯者が刑事未成年・親族相盗例で刑免除・公訴時効完成", "盗品性あり。本犯は構成要件に該当する違法な行為であれば足りる"]
- ["賄賂として収受した現金", "財産罪で領得された物ではない。客体にならない"]
- ["2項詐欺で抵当権の登記を抹消させた不動産", "不動産そのものは領得されていない。客体にならない(詐取された不動産そのものは客体になる)"]
- ["盗んだ資料のコピー", "直接領得された物ではない。客体にならない"]
- ["所有者が他人の占有を奪って持ち出した自己の物", "242条により窃盗の客体になり、盗品性あり"]
正しい。保管とは委託を受けて本犯のために盗品等を預かって管理することをいい、自分の物として購入した絵画を後で盗品と知って飾り続けても、本犯のために保管しているわけではないから盗品等保管罪は成立しない。
256条2項の保管とは、委託を受けて本犯のために盗品等の占有を得て管理することをいう。判例は、盗品と知らずに保管を始めた後に盗品であることを知り、なお本犯のためにその保管を継続した場合に盗品等保管罪の成立を認めるが(最決昭50.6.12)、それは知った後も本犯のために預かり続ける行為が被害者の追求権の行使を困難にし、本犯を助けるからである。本肢の甲は、絵画を購入して自分の物として応接間に飾っているのであって、本犯から委託を受けて本犯のために預かっているのではない。購入後に盗品と知ってそのまま飾り続けても、本犯のための保管という関係はどこにも生じないから、盗品等保管罪は成立しない。また、盗品等関与罪は故意犯であり、譲受けの時点で盗品であることの認識が必要であるところ、甲は購入時に盗品と知らなかったのであるから、盗品等有償譲受け罪も成立しない。委託を受けて預かった物を後で盗品と知って預かり続けた場合とは、この点で区別される。

前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の拘禁刑及び五十万円以下の罰金に処する。
- ["無償譲受け(1項)", "対価なしに交付を受けて取得する。3年以下の拘禁刑"]
- ["運搬(2項)", "委託を受けて盗品等の所在を移す"]
- ["保管(2項)", "委託を受けて本犯のために預かって管理する。自分の物として持ち続けるのは保管でない"]
- ["有償譲受け(2項)", "対価を払って交付を受け取得する。契約だけでは足りず引渡しが要る"]
- ["有償の処分のあっせん(2項)", "売買などの有償の処分を仲介する。あっせん自体が無償でも成立し、無償の処分の仲介はあっせん料をもらっても成立しない"]
正しい。有償処分あっせん罪が成立するのは盗品等の有償の処分を仲介した場合であり、乙がAに時計を無償で譲る処分を仲介した甲は、自分があっせん料をもらっていても同罪に当たらない。
256条2項の有償の処分のあっせんとは、盗品等について売買や質入れなどの有償の法律上の処分を媒介することをいう。条文が有償性を求めているのは盗品等の処分の方であって、あっせん行為そのものではない。したがって、盗品等の売買を仲介すれば、あっせんの報酬を受け取っていなくても同罪が成立し(最判昭25.8.9)、反対に、仲介した処分が無償であれば、仲介の対価としてあっせん料を受け取っていても同罪は成立しない。本肢の甲は、乙が盗んだ時計を誰かに無償で譲りたいという相談を受けて、時計を欲しがっていたAを乙に紹介したにすぎず、仲介したのは贈与という無償の処分である。甲が乙からあっせん料をもらったことは、あっせん行為の有償性にすぎないから、盗品等有償処分あっせん罪の成否を左右しない。なお、無償で譲り受けたAには、事情を知っていれば盗品等無償譲受け罪が成立し得る。

前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の拘禁刑及び五十万円以下の罰金に処する。
- ["無償譲受け(1項)", "対価なしに交付を受けて取得する。3年以下の拘禁刑"]
- ["運搬(2項)", "委託を受けて盗品等の所在を移す"]
- ["保管(2項)", "委託を受けて本犯のために預かって管理する。自分の物として持ち続けるのは保管でない"]
- ["有償譲受け(2項)", "対価を払って交付を受け取得する。契約だけでは足りず引渡しが要る"]
- ["有償の処分のあっせん(2項)", "売買などの有償の処分を仲介する。あっせん自体が無償でも成立し、無償の処分の仲介はあっせん料をもらっても成立しない"]
誤り。違うのは「公訴時効が成立していれば,甲には盗品等有償譲受け罪は成立しない」の部分である。本犯の行為は財産罪の構成要件に該当する違法な行為であれば足り、本犯者が処罰され得るかは関係がないから、本犯の公訴時効が完成していても盗品性は失われない。
256条は客体を「財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」と定めており、本犯の行為が財産罪の構成要件に該当する違法な行為であれば足りる。本犯者に責任があることや、現実に処罰されることは必要でない。この罪の保護法益は被害者の追求権であり、本犯者を処罰できるかどうかは被害者が物を取り戻せるかどうかと関係がないからである。判例も、本犯について公訴時効が完成していた場合に盗品等関与罪の成立を認めている(大判明42.4.15)。公訴時効は訴追の可否を定める手続上の制度であって、窃盗が構成要件に該当する違法な行為であったことや、被害者がつぼを追求できることを変えるものではない。また、有償譲受けの相手は本犯者に限られず、丙から乙に売却されたつぼを転売によって取得した甲も、盗品であることを知りながら購入した以上、盗品等有償譲受け罪が成立する。公訴時効の完成を理由に同罪の成立を否定する本肢は誤りである。

盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の拘禁刑に処する。
- ["本犯者が刑事未成年・親族相盗例で刑免除・公訴時効完成", "盗品性あり。本犯は構成要件に該当する違法な行為であれば足りる"]
- ["賄賂として収受した現金", "財産罪で領得された物ではない。客体にならない"]
- ["2項詐欺で抵当権の登記を抹消させた不動産", "不動産そのものは領得されていない。客体にならない(詐取された不動産そのものは客体になる)"]
- ["盗んだ資料のコピー", "直接領得された物ではない。客体にならない"]
- ["所有者が他人の占有を奪って持ち出した自己の物", "242条により窃盗の客体になり、盗品性あり"]

