虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
この条文の過去問 16問
誤り。違うのは「行政上の許可を受けていない営業行為や行政取締法規に違反する営業行為は、同罪で保護されることはない」の部分である。業務は刑法上保護に値するものであれば足り、適法であることまでは要しない。
業務妨害罪(233条、234条)は、事実上平穏に行われている人の社会的活動の自由を保護する罪である。そのため、同罪の「業務」は、偽計や威力による妨害から刑法上保護するに値するものであれば足り、公務執行妨害罪における職務の適法性のように、厳格に適法であることまでは求められていない。行政上の許可を受けていない営業や行政取締法規に違反する営業は、行政上の制裁や取締りの対象にはなるが、そのことから直ちに、第三者が実力や偽計で妨害してよいことにはならないからである。判例も、路上生活者の段ボール小屋を撤去する都の工事を妨害した事案で、工事の適法性そのものではなく、業務妨害罪としての要保護性を失わせるような法的瑕疵があったかどうかを基準とし、そのような瑕疵は認められないとして業務に当たるとした(最決平14.9.30)。問われるのは保護に値するかどうかであり、許可を欠く営業を一律に保護の外に置く本肢は誤りである。

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
誤り。違うのは「行政上の許可を受けていない営業行為や行政取締法規に違反する営業行為は、同罪で保護されることはない」の部分である。業務は刑法上保護に値するものであれば足り、適法であることまでは要しない。
業務妨害罪(233条、234条)は、事実上平穏に行われている人の社会的活動の自由を保護する罪である。そのため、同罪の「業務」は、偽計や威力による妨害から刑法上保護するに値するものであれば足り、公務執行妨害罪における職務の適法性のように、厳格に適法であることまでは求められていない。行政上の許可を受けていない営業や行政取締法規に違反する営業は、行政上の制裁や取締りの対象にはなるが、そのことから直ちに、第三者が実力や偽計で妨害してよいことにはならないからである。判例も、路上生活者の段ボール小屋を撤去する都の工事を妨害した事案で、工事の適法性そのものではなく、業務妨害罪としての要保護性を失わせるような法的瑕疵があったかどうかを基準とし、そのような瑕疵は認められないとして業務に当たるとした(最決平14.9.30)。問われるのは保護に値するかどうかであり、許可を欠く営業を一律に保護の外に置く本肢は誤りである。

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
誤り。違うのは「課金装置の作動を不能にする行為は、これに該当しない」の部分である。判例は、度数計器の作動を不能にする機器を電話回線に取り付けた行為に偽計業務妨害罪の成立を認めている(最決昭59.4.27)。
233条の「偽計」とは、人を欺罔し、あるいは人の錯誤又は不知を利用することをいう。肢の前半の定義は正しい。偽計は、特定の人に向けてうそを述べて錯誤に陥らせる場合に限られず、相手方が気付かないことを利用して業務を妨げる手段を広く含む。判例は、電話料金の支払を免れるため、通話の度数を計る度数計器の作動を不能にする機器を電話回線に取り付けた行為について、偽計業務妨害罪の成立を認めた(最決昭59.4.27)。この行為は、人に対してうそを述べるものではなく、機械の作動を妨げるものであるが、電話会社が気付かないうちに課金の業務を正常に行えなくするものであり、相手方の不知を利用する手段だからである。威力が相手に分かる形で意思を制圧する手段であるのに対し、偽計は相手に気付かれない形で行われる手段であるという対比からも、この行為は偽計に当たる。したがって、該当しないとする肢の後半は誤りである。

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
- ["威力に当たるとされた例", "卒業式の会場で怒号して喧騒状態に陥れる。机の引き出しに猫の死骸を入れて発見させる。弁護士のかばんを奪い取って隠匿する。講演会の会場に放火すると書き込んで主催者に閲覧させる"]
- ["偽計に当たるとされた例", "うその注文の電話で商品を作らせ配達させる。度数計器の作動を不能にする機器を電話回線に取り付ける。一般の利用客を装って現金自動預払機を占拠する"]
正しい。233条の「信用」は、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼に限定されず、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含む(最判平15.3.11)。
かつては、233条の「信用」は、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼に限られると解されていた。これに対し、判例は、刑法233条が定める信用毀損罪は、経済的な側面における人の社会的な評価を保護するものであり、同条にいう「信用」は、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼に限定されるべきものではなく、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含むとした(最判平15.3.11)。商品を販売する者にとって、その商品の品質が信頼されていることは、代金を支払う能力が信頼されていることと同じく、経済活動を続けるうえで欠かせない評価であり、これが虚偽の風説によって害されれば、取引の相手方を失うという経済的な不利益が生じるからである。したがって、販売されている商品に異物が混入していたといううその事実を広めて、商品の品質に対する社会的な信頼を害した場合には、信用毀損罪が成立する。

刑法233条が定める信用毀損罪は、経済的な側面における人の社会的な評価を保護するものであり、同条にいう「信用」は、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼に限定されるべきものではなく、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含む
| 信用毀損罪 | 名誉毀損罪 | |
|---|---|---|
| 守られる評価 | 経済的な側面における人の社会的な評価 | 人の社会的評価の全体 |
| 手段 | 虚偽の風説の流布又は偽計 | 公然と事実を摘示すること |
| 真実の事実を広めた場合 | 成立しない | 成立し、230条の2の要件を満たせば罰せられない |
| 告訴 | 親告罪ではない | 親告罪である(232条1項) |
誤り。違うのは「課金装置の作動を不能にする行為は、これに該当しない」の部分である。判例は、度数計器の作動を不能にする機器を電話回線に取り付けた行為に偽計業務妨害罪の成立を認めている(最決昭59.4.27)。
233条の「偽計」とは、人を欺罔し、あるいは人の錯誤又は不知を利用することをいう。肢の前半の定義は正しい。偽計は、特定の人に向けてうそを述べて錯誤に陥らせる場合に限られず、相手方が気付かないことを利用して業務を妨げる手段を広く含む。判例は、電話料金の支払を免れるため、通話の度数を計る度数計器の作動を不能にする機器を電話回線に取り付けた行為について、偽計業務妨害罪の成立を認めた(最決昭59.4.27)。この行為は、人に対してうそを述べるものではなく、機械の作動を妨げるものであるが、電話会社が気付かないうちに課金の業務を正常に行えなくするものであり、相手方の不知を利用する手段だからである。威力が相手に分かる形で意思を制圧する手段であるのに対し、偽計は相手に気付かれない形で行われる手段であるという対比からも、この行為は偽計に当たる。したがって、該当しないとする肢の後半は誤りである。

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
- ["威力に当たるとされた例", "卒業式の会場で怒号して喧騒状態に陥れる。机の引き出しに猫の死骸を入れて発見させる。弁護士のかばんを奪い取って隠匿する。講演会の会場に放火すると書き込んで主催者に閲覧させる"]
- ["偽計に当たるとされた例", "うその注文の電話で商品を作らせ配達させる。度数計器の作動を不能にする機器を電話回線に取り付ける。一般の利用客を装って現金自動預払機を占拠する"]
正しい。233条の「信用」は、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼に限定されず、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含む(最判平15.3.11)。
かつては、233条の「信用」は、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼に限られると解されていた。これに対し、判例は、刑法233条が定める信用毀損罪は、経済的な側面における人の社会的な評価を保護するものであり、同条にいう「信用」は、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼に限定されるべきものではなく、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含むとした(最判平15.3.11)。商品を販売する者にとって、その商品の品質が信頼されていることは、代金を支払う能力が信頼されていることと同じく、経済活動を続けるうえで欠かせない評価であり、これが虚偽の風説によって害されれば、取引の相手方を失うという経済的な不利益が生じるからである。したがって、販売されている商品に異物が混入していたといううその事実を広めて、商品の品質に対する社会的な信頼を害した場合には、信用毀損罪が成立する。

刑法233条が定める信用毀損罪は、経済的な側面における人の社会的な評価を保護するものであり、同条にいう「信用」は、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼に限定されるべきものではなく、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含む
| 信用毀損罪 | 名誉毀損罪 | |
|---|---|---|
| 守られる評価 | 経済的な側面における人の社会的な評価 | 人の社会的評価の全体 |
| 手段 | 虚偽の風説の流布又は偽計 | 公然と事実を摘示すること |
| 真実の事実を広めた場合 | 成立しない | 成立し、230条の2の要件を満たせば罰せられない |
| 告訴 | 親告罪ではない | 親告罪である(232条1項) |
正しい。公務をすべて業務に含める【見解】には、国家的法益に対する罪である公務執行妨害罪と個人的法益に対する罪である業務妨害罪とを安易に混同するという批判が成り立つ。
【見解】は、業務妨害罪の保護法益を人の社会的活動の自由と捉えた上で、公務も人の社会的活動にほかならないから、公務の性質いかんにかかわらず業務妨害罪によって保護されるとするものであり、公務はすべて「業務」(233条・234条)に含まれるとする立場である。しかし、刑法は公務の執行を妨害する行為について公務執行妨害罪(95条1項)を国家的法益に対する罪として別に定めており、業務妨害罪は個人の経済的・社会的活動を守る個人的法益に対する罪として位置づけられている。公務員の職務の執行は、国家の作用として法律上の権限に基づいて行われるものであって、個人が自由に行う社会的活動とは性格が異なる。それにもかかわらず、公務も公務員個人の社会的活動であるという理由で業務妨害罪の保護を公務に及ぼせば、保護法益の性質が異なる二つの罪の区別を曖昧にすることになる。したがって、この【見解】に対しては、国家的法益に対する罪と個人的法益に対する罪とを安易に混同するものであるという批判が可能であり、本肢は正しい。

威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
- ["公務はすべて業務に含まれるとする見解", "威力や偽計による公務の妨害に業務妨害罪が成立する。国家的法益に対する罪と個人的法益に対する罪を混同するという批判がある"]
- ["公務は業務に含まれないとする見解", "威力や偽計による公務の妨害はどちらの罪にも当たらず、公務の保護が業務より軽くなるという批判がある"]
- ["強制力を行使する権力的公務を除いて業務に含まれるとする見解(判例)", "強制力を行使しない公務には業務妨害罪も公務執行妨害罪も成立し得る。二重に保護されるという批判がある"]
正しい。「流布」は虚偽の風説を不特定又は多数の人に伝播させることをいい、特定少数の者に告げた場合でも、その者から順次不特定多数に伝播する可能性を認識していれば流布に当たる。
信用毀損罪(233条前段)は、虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて人の信用を毀損する罪である。「流布」とは、虚偽の風説を不特定又は多数の人が認識できる状態に置くことをいう。行為者が自ら直接に不特定又は多数の人に告げる場合が典型であるが、それに限られない。裁判例は、233条の流布とは不特定又は多数人に虚偽の事実を伝播させることをいうとした上で、特定少数人に対して虚偽の事実を告知した場合であっても、その者から順次その事実が不特定多数人に伝播される可能性があり、そのことを認識している限り、告知した相手の人数を問わず流布に当たるとしている(大阪高判平14.6.13)。信用毀損罪が守るのは経済的な側面における人の社会的評価であり、虚偽の風説が社会に広まることでその評価が害されるのであるから、最初に告げた相手が少数でも、そこから広まることを認識して告げれば、不特定多数に広めたのと変わりがない。名誉毀損罪の公然性について伝播性の理論がとられているのと同じ考え方である。本肢は正しい。

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
誤り。違うのは「被害者による告訴がなければ公訴を提起することができない」の部分である。信用毀損罪を親告罪とする規定は無く、告訴がなくても公訴を提起できる。
親告罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない罪であり、刑法は個別の条文で定めている。名誉毀損罪・侮辱罪は、公訴の提起によって公判でかえって被害者の名誉が害されるおそれがあることなどから232条1項で親告罪とされているが、信用毀損罪・業務妨害罪(233条・234条)については親告罪とする規定が無い。信用毀損罪が守るのは経済的な側面における人の社会的評価であり、名誉毀損罪と似た面はあるが、刑法は両罪の扱いを分けており、本肢が挙げる理由は名誉毀損罪について当てはまるものであって、信用毀損罪を親告罪にする根拠にはならない。したがって、信用毀損罪は被害者の告訴がなくても公訴を提起することができる。本肢は、信用毀損罪を親告罪とする点で誤っている。

この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
| 信用毀損罪 | 名誉毀損罪 | |
|---|---|---|
| 守られる評価 | 経済的な側面における人の社会的な評価 | 人の社会的評価の全体 |
| 手段 | 虚偽の風説の流布又は偽計 | 公然と事実を摘示すること |
| 真実の事実を広めた場合 | 成立しない | 成立し、230条の2の要件を満たせば罰せられない |
| 告訴 | 親告罪ではない | 親告罪(232条1項) |
正しい。「流布」は虚偽の風説を不特定又は多数の人に伝播させることをいい、特定少数の者に告げた場合でも、その者から順次不特定多数に伝播する可能性を認識していれば流布に当たる。
信用毀損罪(233条前段)は、虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて人の信用を毀損する罪である。「流布」とは、虚偽の風説を不特定又は多数の人が認識できる状態に置くことをいう。行為者が自ら直接に不特定又は多数の人に告げる場合が典型であるが、それに限られない。裁判例は、233条の流布とは不特定又は多数人に虚偽の事実を伝播させることをいうとした上で、特定少数人に対して虚偽の事実を告知した場合であっても、その者から順次その事実が不特定多数人に伝播される可能性があり、そのことを認識している限り、告知した相手の人数を問わず流布に当たるとしている(大阪高判平14.6.13)。信用毀損罪が守るのは経済的な側面における人の社会的評価であり、虚偽の風説が社会に広まることでその評価が害されるのであるから、最初に告げた相手が少数でも、そこから広まることを認識して告げれば、不特定多数に広めたのと変わりがない。名誉毀損罪の公然性について伝播性の理論がとられているのと同じ考え方である。本肢は正しい。

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
誤り。違うのは「被害者による告訴がなければ公訴を提起することができない」の部分である。信用毀損罪を親告罪とする規定は無く、告訴がなくても公訴を提起できる。
親告罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない罪であり、刑法は個別の条文で定めている。名誉毀損罪・侮辱罪は、公訴の提起によって公判でかえって被害者の名誉が害されるおそれがあることなどから232条1項で親告罪とされているが、信用毀損罪・業務妨害罪(233条・234条)については親告罪とする規定が無い。信用毀損罪が守るのは経済的な側面における人の社会的評価であり、名誉毀損罪と似た面はあるが、刑法は両罪の扱いを分けており、本肢が挙げる理由は名誉毀損罪について当てはまるものであって、信用毀損罪を親告罪にする根拠にはならない。したがって、信用毀損罪は被害者の告訴がなくても公訴を提起することができる。本肢は、信用毀損罪を親告罪とする点で誤っている。

この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
| 信用毀損罪 | 名誉毀損罪 | |
|---|---|---|
| 守られる評価 | 経済的な側面における人の社会的な評価 | 人の社会的評価の全体 |
| 手段 | 虚偽の風説の流布又は偽計 | 公然と事実を摘示すること |
| 真実の事実を広めた場合 | 成立しない | 成立し、230条の2の要件を満たせば罰せられない |
| 告訴 | 親告罪ではない | 親告罪(232条1項) |
誤り。違うのは「経済的側面とは関係のない社会的な信頼を害した場合も,同罪が成立する」の部分である。判例は、信用を経済的な側面における人の社会的な評価とし、商品の品質に対する信頼は含むが、経済的側面と関係のない信頼は含まない(最判平15.3.11)。
信用毀損罪(233条前段)の信用は、かつては人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼をいうとされていた。判例は、コンビニエンスストアで買った紙パック入りのジュースに異物が混入していたという虚偽の申告をした事案で、信用毀損罪は経済的な側面における人の社会的な評価を保護するものであり、同条にいう信用は人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼に限定されるべきものではなく、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含むとして、信用毀損罪の成立を認めた(最判平15.3.11)。信用の範囲は支払能力・支払意思に限られないが、判例が広げたのはあくまで経済的な側面における社会的評価の内部であり、商品の品質に対する信頼が含まれるのも、それが経済的な側面の評価だからである。経済的な側面と関係のない人格や品行に対する評価は、名誉毀損罪の保護する名誉の問題であって、信用毀損罪の信用には含まれない。本肢は、支払能力・支払意思に限定されないとした点では判例と一致するが、経済的側面と関係のない信頼を害した場合にも同罪が成立するとした点で誤りである。

信用毀損罪は、経済的な側面における人の社会的な評価を保護するものであり、同条にいう「信用」は、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼に限定されるべきものではなく、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含む
正しい。判例は、業務妨害罪の「業務」を職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業と解しており、営利を目的とするかどうかは問わない。
業務妨害罪(233条後段・234条)の「業務」について、判例は、職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う事務又は事業をいうとしている(大判大10.10.24)。業務妨害罪が保護するのは、人が社会生活上の地位に基づいて反復・継続して行う活動の自由であり、その活動が営利を目的とするかどうか、経済的なものか文化的なものかは、保護の必要に関係が無い。したがって、宗教団体の活動や学校の授業、各種の団体の運営のように営利を目的としない事務・事業も業務に含まれる。要求されるのは、社会生活上の地位に基づくものであることと、継続して行われるものであることである。これに対し、一回限りの私的な行為や、娯楽として行う活動は、社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務・事業とはいえず、業務に当たらない。本肢は判例の定義を正しく述べ、営利目的が不要であることも正しく述べており、正しい。

威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
誤り。違うのは「甲には信用毀損罪は成立しない」の部分である。判例は、233条の「信用」には販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含まれるとしており、商品に異物が混入していたという嘘の書き込みは信用毀損罪に当たる(最判平15.3.11)。
信用毀損罪(233条)の「信用」は、かつては人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼をいうと解されていた。しかし最判平15.3.11は、信用毀損罪は経済的な側面における人の社会的な評価を保護するものであり、同条にいう「信用」は人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼に限定されるべきものではなく、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含むとして、コンビニエンスストアで買った飲料に異物が混入していたという虚偽の申告について信用毀損罪の成立を認めた。商品の品質に対する信頼は、支払能力への信頼と同じく店の経済的な評価を支えるものであり、これを害することは経済的な側面における社会的評価の毀損にほかならないからである。甲は、誰でも閲覧できる掲示板にスーパーマーケットVで買ったオレンジジュースに異物が混入していたという嘘の書き込みをしており、虚偽の風説を流布してVの販売する商品の品質に対する社会的な信頼を害している。したがって、甲には信用毀損罪が成立し、成立しないとする本肢は誤りである。

信用毀損罪は、経済的な側面における人の社会的な評価を保護するものであり、同条にいう「信用」は、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼に限定されるべきものではなく、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含む
誤り。「信用毀損罪」は成立しない。信用毀損罪の「信用」は人の経済的な側面における社会的評価をいい、乙が法務局の職員に賄賂を渡したという虚偽の事実は、乙の支払能力や商品の品質に対する信頼を害するものではない。
信用毀損罪(233条前段)は、虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて人の信用を毀損した場合に成立する。判例は、ここでいう信用とは経済的な側面における人の社会的な評価をいい、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼に限らず、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含まれるとした(最判平15.3.11)。信用は経済的な評価に限られるから、人の品性や道徳性に関する評価が害されても、それが経済的な信頼に結び付かない限り、信用毀損罪ではなく名誉毀損罪が問題になるにとどまる。甲が掲げた看板の「乙は、法務局の職員に賄賂を渡して虚偽の公図を作成させた」という記載は、乙が贈賄という不正行為をしたという虚偽の事実であり、乙の人格や遵法性に対する社会的評価を低下させるものである。しかし、食品製造を業とする乙の支払能力や支払意思、製造する食品の品質に対する信頼とは無関係であり、乙の経済的な側面における評価を害するものではない。したがって甲に信用毀損罪は成立せず、名誉毀損罪が別に問題になる。本肢は誤りである。

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
誤り。違うのは「娯楽のために行う自動車の運転も本罪の業務に含まれる」の部分である。業務妨害罪の業務は社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業であり、娯楽として行う自動車の運転は社会生活上の地位に基づく活動ではないから業務に当たらない。
業務妨害罪の業務とは、職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業をいう。経済的に収入を得る目的のものであることは要せず、文化的・精神的な活動であってもよいから、本肢の前半はそのとおりである。しかし、業務妨害罪は、人が社会的な地位に基づいて平穏に行っている社会的活動の自由を保護する罪であるから、個人が娯楽や趣味として行う活動や日常の家庭生活は、社会生活上の地位に基づく事務又は事業とはいえず、業務に含まれない。運転免許を取得した者が娯楽のために行う自動車の運転は、まさに個人の娯楽としての活動であって、業務妨害罪の業務には当たらない。これに対し、業務上過失致死傷罪の業務は、他人の生命身体に危害を加えるおそれのある行為であれば娯楽のための自動車の運転も含むと解されており、同じ業務という語でも罪によって範囲が異なる。本肢は、収入の目的を要しないことから娯楽の運転まで業務に含めている点が誤りである。

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
- ["意義", "職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業。営利や収入の目的は不要で、文化的・精神的な活動でもよい"]
- ["娯楽・趣味", "社会生活上の地位に基づく活動ではないので業務に当たらない。業務上過失致死傷罪の「業務」とは範囲が異なる"]
- ["公務", "強制力を行使する権力的公務は業務に当たらない。議会の審議・届出の受理などそれ以外の公務は業務に当たる"]










