確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について拘禁刑以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。
この条文の過去問 9問
正しい。共謀に基づく殺害であるから甲及び乙は2個の殺人罪の全部について共同正犯となり、2個の殺害は別個の行為によるものであるから併合罪となる。
60条は、「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と定める。共謀に基づいて互いに他人の行為を利用し合って犯罪を実現した以上、自ら手を下していない部分についても正犯としての責任を負う。甲及び乙は、A及びBの殺害を共謀し、その共謀に基づいて甲がAを、乙がBを殺害しているから、甲は乙によるBの殺害について、乙は甲によるAの殺害についても責任を負い、両名を共同正犯とする殺人罪が成立する。殺人罪は人の生命という被害者ごとに独立した法益を保護する罪であるから、罪数は被害者の数によって決まり、成立する殺人罪は2個である。次に、この2個の罪の関係を見ると、Aの殺害とBの殺害は、甲と乙がそれぞれ行った別個の行為であり、自然的観察のもとで社会的見解上1個の行為と評価することはできないから、観念的競合にはならない。手段と結果の関係にもないので牽連犯にもならず、2個の殺人罪は併合罪(45条前段)となる。

確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について拘禁刑以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。
正しい。共謀に基づく殺害であるから甲及び乙は2個の殺人罪の全部について共同正犯となり、2個の殺害は別個の行為によるものであるから併合罪となる。
60条は、「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と定める。共謀に基づいて互いに他人の行為を利用し合って犯罪を実現した以上、自ら手を下していない部分についても正犯としての責任を負う。甲及び乙は、A及びBの殺害を共謀し、その共謀に基づいて甲がAを、乙がBを殺害しているから、甲は乙によるBの殺害について、乙は甲によるAの殺害についても責任を負い、両名を共同正犯とする殺人罪が成立する。殺人罪は人の生命という被害者ごとに独立した法益を保護する罪であるから、罪数は被害者の数によって決まり、成立する殺人罪は2個である。次に、この2個の罪の関係を見ると、Aの殺害とBの殺害は、甲と乙がそれぞれ行った別個の行為であり、自然的観察のもとで社会的見解上1個の行為と評価することはできないから、観念的競合にはならない。手段と結果の関係にもないので牽連犯にもならず、2個の殺人罪は併合罪(45条前段)となる。

確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について拘禁刑以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。
誤り。違うのは「凶器準備集合罪と傷害罪が成立し,これらは牽連犯となる」の部分である。判例は、凶器準備集合の行為とその後の暴力行為とは併合罪の関係にあるとしている(最決昭43.7.16)。
凶器準備集合罪(208条の2)は、二人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合に、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者を処罰する罪であり、凶器を準備して集合した時点で既に成立する。その後に実際に傷害に及べば、別に傷害罪が成立する。判例は、凶器準備集合の所為とその後の暴力行為等処罰に関する法律違反の所為とは併合罪の関係にあるとしており(最決昭43.7.16)、集合後に傷害に及んだ本肢でも、凶器準備集合罪と傷害罪は併合罪になる。牽連犯(54条1項後段)は、犯罪の手段又は結果である行為が他の罪名に触れる場合であるが、行為者が手段にしたというだけでは足りず、住居侵入と窃盗のように罪質上通例として手段と結果の関係にある組合せに限られる。凶器準備集合罪は公共的な社会生活の平穏を守る抽象的危険犯であり、個人の身体を守る傷害罪とは保護法益も罪質も異なるので、通例として手段と結果の関係にあるとはいえない。したがって、両罪を牽連犯とする本肢は誤りである。

兇器準備集合の所為と暴力行為等処罰に関する法律違反の所為とは併合罪の関係にある
誤り。違うのは「社会的に見て一個の行為であると考えている」の部分である。監禁行為と恐喝行為が社会的に見て一個の行為なら観念的競合になるはずであり、併合罪とする見解はそう考えていない。
54条1項前段は、一個の行為が二個以上の罪名に触れるときを観念的競合とし、最も重い刑により処断すると定めている。判例は、この「一個の行為」とは、法的評価を離れ構成要件的観点を捨象した自然的観察の下で、行為者の動態が社会的見解上一個のものとの評価を受ける場合をいうとしている(最大判昭49.5.29)。したがって、監禁行為と恐喝行為とが社会的に見て一個の行為であると考えるのであれば、監禁罪と恐喝罪は観念的競合の関係になり、科刑上一罪として処断されることになる。本問の見解は、恐喝の目的で人を監禁し、その監禁中に脅迫して現金を喝取した場合に、監禁罪と恐喝罪が併合罪の関係になるとするものであり、両罪を別個の行為による別個の罪とみている。監禁は一定の場所から脱出できなくする継続的な行為であり、恐喝は畏怖させて交付させる行為であって、監禁中に恐喝が行われても両者は別の動態だという理解である。社会的に見て一個の行為と考えているとする本肢は、見解の理解として誤りである。

一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
| 考え方 | 帰結 |
|---|---|
| 監禁行為と恐喝行為は社会的に見て一個の行為である | 観念的競合(54条1項前段) |
| 監禁が恐喝の手段として用いられることが類型的に予定される | 牽連犯(54条1項後段) |
| 牽連性を行為者の主観で判断する | 恐喝の目的で監禁した以上、牽連犯 |
| 両罪は別個の行為で、類型的な手段・結果の関係にない | 併合罪(本問の見解・最判平17.4.14) |
正しい。判旨が秘密漏示罪の成立を認めた対象は、公開の法廷で取り調べられる可能性のある殺人事件の供述調書であり、後に公開され得る事項も「人の秘密」になり得るという理解を前提にしている。
134条1項の「人の秘密」とは、特定の者の秘密であって、一般に知られておらず、本人が他人に知られたくないと望み、知られないことに利益のある事実をいう。本件でAが犯したとされるのは殺人罪であり、犯行時16歳の少年Aについては、家庭裁判所の保護事件として係属していても、検察官送致を経て公開の法廷で刑事裁判が開かれる可能性があり、その場合には捜査機関に対する供述調書が法廷で取り調べられ、その内容が公開されることがあり得る。それにもかかわらず、裁判所は、甲が供述調書の謄本を新聞記者に閲覧させた行為について秘密漏示罪の成立を認めている。後に公開される可能性があるというだけで秘密性が失われるのであれば、本件の供述調書の内容は「人の秘密」に当たらず同罪は成立しないはずであるから、判旨は、裁判手続等で後に公開される可能性のある事項であっても、現にまだ知られていない以上は保護の対象になり得ると考えているといえる。本肢は判旨の理解として正しい。

医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、六月以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
正しい。事例Ⅰでは窃盗罪と傷害罪が成立して併合罪となり、最も重い傷害罪の長期15年に2分の1を加えた22年6月が処断刑の上限となるから、懲役22年を言い渡すことができる。
甲はおにぎりを窃取しており窃盗罪(235条)が成立する。その後、捕まるのを免れる目的で店員乙に暴行を加えているが、この暴行は反抗を抑圧するに至らない程度のものであるから、事後強盗罪(238条)は成立せず、強盗致傷罪(240条)も成立しない。暴行によって加療約1週間の傷害を負わせているので傷害罪(204条)が成立する。窃盗罪と傷害罪は、窃取と暴行という別個の行為によるものであり、手段と結果の関係にもないから、併合罪(45条前段)となる。併合罪のうち二個以上の罪について有期の自由刑に処するときは、47条により、最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とし、各罪の長期の合計を超えることはできない。最も重い傷害罪の長期は15年であり、これに2分の1を加えると22年6月になる。各罪の長期の合計は窃盗罪10年と傷害罪15年を足した25年であり、22年6月はこれを超えない。したがって処断刑の上限は22年6月であり、懲役22年を言い渡すことができる。出題当時の懲役は現行法では拘禁刑であるが、計算は同じである。本肢は正しい。

併合罪のうちの二個以上の罪について有期拘禁刑に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。
- ["事例Ⅰ", "窃盗罪+傷害罪の併合罪。15年×1.5=22年6月(合計25年を超えない)"]
- ["事例Ⅱ", "恐喝罪と傷害罪の観念的競合。重い傷害罪の長期15年"]
- ["事例Ⅲ", "住居侵入罪を要にした窃盗罪・強盗罪のかすがい現象。強盗罪の長期20年"]
正しい。窃盗を教唆した者がその盗品を買い受けた場合、窃盗教唆罪と盗品等有償譲受け罪が成立し、両者は罪質上通常手段と結果の関係にないので、判例は併合罪としている。
本犯を教唆したにとどまる者は自ら財物を領得したわけではないので、本犯の終了後に盗品に関与すれば、別に盗品等関与罪が成立する。甲は、乙を教唆して丙所有の骨董品を盗ませ、その後に乙から骨董品を買い受けているので、窃盗教唆罪と盗品等有償譲受け罪が成立する。問題は両罪の罪数関係である。牽連犯(54条1項後段)になるのは、二つの罪が罪質上通例として手段と結果の関係にある場合に限られ、行為者がたまたま一方を他方の手段にしたというだけでは足りない。判例は、窃盗教唆と盗品の買受けについて、両者の間に通常手段又は結果の関係はないとして併合罪とし(大判明42.3.16)、窃盗教唆と盗品の売却のあっせんについても、二罪が成立して併合罪になるとしている(最判昭24.7.30)。他人に窃盗をさせることと、その盗品を自分が買い取ることは、類型的に結びついた関係ではないからである。したがって、甲の窃盗教唆罪と盗品等有償譲受け罪は併合罪になり、本肢は正しい。

確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。
| 組合せ | 罪数 | 理由 |
|---|---|---|
| 窃盗教唆と盗品等有償譲受け・有償処分あっせん | 併合罪 | 罪質上通常手段と結果の関係にない |
| 1回の追突で複数の死傷 | 観念的競合 | 社会的見解上1個の行為 |
| 住居侵入と殺人・窃盗・強盗 | 牽連犯 | 侵入は罪質上通例その手段 |
| 殺人と死体遺棄 | 併合罪 | 死体遺棄は殺人に常に伴うものではない |
| カード・通帳の窃盗とこれを用いた詐欺 | 併合罪 | 新たな法益侵害 |
誤り。違うのは「両罪は併合罪となる」の部分である。1回の追突という社会的見解上1個の行為から乙の死亡と丙の傷害が生じているので、被害者ごとに成立する2罪は観念的競合(54条1項前段)になる。
最大判昭49.5.29は、54条1項前段の「1個の行為」とは、法的評価を離れ構成要件的観点を捨象した自然的観察のもとで、行為者の動態が社会的見解上1個のものとの評価を受ける場合をいうとした。過失致死傷の罪は人の生命・身体という一身専属的な法益を守る罪であるから、被害者の数だけ罪が成立するが、それらが1個の行為から生じたのであれば、罪名が複数に触れるだけであって行為は1個なので、観念的競合として最も重い刑で処断される。甲は、脇見運転をして信号待ちの乙の自動車に自車を追突させ、その衝撃で押し出された乙の車が丙の車に追突し、乙が死亡し丙が負傷した。乙の死亡も丙の傷害も、甲の1回の追突という同じ動態から生じており、甲の行為は社会的見解上1個のものと評価される。したがって、乙に対する過失致死の罪と丙に対する過失傷害の罪は観念的競合になり、併合罪とする本肢は誤りである。出題当時の罪名は自動車運転過失致死傷罪であり、現行法では自動車運転死傷行為処罰法の過失運転致死傷罪に当たるが、罪数の結論は変わらない。

一個の行為とは、法的評価をはなれ構成要件的観点を捨象した自然的観察のもとで、行為者の動態が社会的見解上一個のものとの評価をうける場合をいう。
| 組合せ | 罪数 | 理由 |
|---|---|---|
| 窃盗教唆と盗品等有償譲受け・有償処分あっせん | 併合罪 | 罪質上通常手段と結果の関係にない |
| 1回の追突で複数の死傷 | 観念的競合 | 社会的見解上1個の行為 |
| 住居侵入と殺人・窃盗・強盗 | 牽連犯 | 侵入は罪質上通例その手段 |
| 殺人と死体遺棄 | 併合罪 | 死体遺棄は殺人に常に伴うものではない |
| カード・通帳の窃盗とこれを用いた詐欺 | 併合罪 | 新たな法益侵害 |
誤り。違うのは「両罪は牽連犯となる」の部分である。判例は、窃取した通帳を用いて金員を詐取する行為は更に新たな法益を侵害する行為であるとして、窃盗罪と詐欺罪を併合罪としており(最判昭25.2.24)、窃取したクレジットカードで商品をだまし取ろうとした場合も同じく併合罪になる。
他人の財物を窃取した後にこれを利用する行為は、窃盗罪によって既に評価されている範囲にとどまる限り別罪にならないが、新たな法益を侵害する場合には別罪が成立する。最判昭25.2.24は、郵便貯金通帳を窃取し、これを用いて郵便局員から貯金の払戻し名目で金員を騙取した事案で、払戻しを受ける行為は更に新たな法益を侵害する行為であるとして、窃盗罪と詐欺罪が成立し、両罪は併合罪になるとした。通帳の窃盗の被害者と金員をだまし取られた郵便局は別であり、窃盗と詐欺が罪質上通例として手段と結果の関係にあるともいえないからである。甲は、乙からクレジットカードを窃取し、デパートで乙に成り済ましてカードを呈示して商品の購入を申し込んだが、盗難カードと見破られて商品を手に入れられなかった。カードの窃盗の被害者は乙であり、商品をだまし取ろうとした相手はデパートであって、カードの使用は新たな法益の侵害に向けられている。したがって、窃盗罪と詐欺未遂罪が成立し、両罪は牽連犯ではなく併合罪になるので、本肢は誤りである。

確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。
| 組合せ | 罪数 | 理由 |
|---|---|---|
| 窃盗教唆と盗品等有償譲受け・有償処分あっせん | 併合罪 | 罪質上通常手段と結果の関係にない |
| 1回の追突で複数の死傷 | 観念的競合 | 社会的見解上1個の行為 |
| 住居侵入と殺人・窃盗・強盗 | 牽連犯 | 侵入は罪質上通例その手段 |
| 殺人と死体遺棄 | 併合罪 | 死体遺棄は殺人に常に伴うものではない |
| カード・通帳の窃盗とこれを用いた詐欺 | 併合罪 | 新たな法益侵害 |




















