公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、二年以下の拘禁刑に処する。
この条文の過去問 2問
誤り。違うのは「特別の職務権限であることまで要しない」の部分である。判例は、「職権」は公務員の一般的職務権限のすべてではなく、相手方に法律上、事実上の負担ないし不利益を生ぜしめるに足りる特別の職務権限をいうとしている(最決平元.3.14)。
判例は、193条の公務員職権濫用罪における「職権」とは、公務員の一般的職務権限のすべてをいうのではなく、そのうち、職権行使の相手方に対し法律上、事実上の負担ないし不利益を生ぜしめるに足りる特別の職務権限をいうとしている(最決平元.3.14)。同罪は、公務員が職権を背景にして人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害することを処罰する罪であるから、濫用の対象となる「職権」も、相手方に負担や不利益を生じさせる力を持つ権限でなければならない。そのような力を持たない権限は、濫用しても人に義務のないことを行わせることができないからである。この要件は、法律上の強制力を伴うことまでは要しないが、相手方に事実上の負担や不利益を生じさせるに足りることは要するという意味であり、強制力の要否と特別の職務権限の要否とは別の問題である。本肢は、特別の職務権限であることを不要とする点で判例の定義と食い違っている。

刑法一九三条の公務員職権濫用罪における「職権」とは、公務員の一般的職務権限のすべてをいうのではなく、そのうち、職権行使の相手方に対し法律上、事実上の負担ないし不利益を生ぜしめるに足りる特別の職務権限
- ["公務員職権濫用罪(193条)", "公務員が、職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した。2年以下の拘禁刑"]
- ["特別公務員職権濫用罪(194条)", "裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、職権を濫用して、人を逮捕し、又は監禁した。6月以上10年以下の拘禁刑"]
- ["特別公務員暴行陵虐罪(195条)", "1項は194条と同じ主体が、職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をした。2項は法令により拘禁された者を看守し又は護送する者が、その拘禁された者に対して同じ行為をした。7年以下の拘禁刑"]
- ["特別公務員職権濫用等致死傷罪(196条)", "194条・195条の罪を犯し、よって人を死傷させた。傷害の罪と比較して、重い刑により処断する"]
正しい。「権利」は法律に明記された権利に限らず、法令上保護される利益であれば足りる。
公務員職権濫用罪(193条)は、職権の濫用によって人に義務のないことを行わせた場合のほか、人の「権利の行使を妨害した」場合に成立する。ここにいう「権利」は、法律に明記された権利に限られず、法令上保護される利益であれば足りると解されている。同罪は、公務員が職権を濫用して国民の自由や利益を害することを処罰するものであり、害される利益が条文に権利として明記されているかどうかで保護の有無を分ける理由は無い。たとえば、面会や通信の自由、営業上の利益のように、個別の法律に権利として書かれていなくても法令上保護されている利益を、公務員が職権を濫用して妨げれば、同罪の「権利の行使を妨害した」に当たる。下級審の裁判例も同じ理解に立っている。他方、法令上まったく保護されない単なる期待や事実上の便益は「権利」に当たらない。したがって、「権利」が法律に明記されたものであることまでは要せず、本肢は正しい。

公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、二年以下の拘禁刑に処する。






























