1過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
2前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
1過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
2前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
過失により人を死亡させた者は、五十万円以下の罰金に処する。
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
誤り。違うのは「火災発生時に現場にいなかったホテル経営者には業務上過失致死傷罪が成立することはない」の部分である。防火管理体制を確立しておく義務を怠った経営者には、現場にいなくても同罪が成立し得る(最決平5.11.25)。
判例は、ホテル火災で多数の宿泊客が死傷した事案で、代表取締役としてホテルの経営、管理事務を統括する地位にあり、その実質的権限を有していた被告人は、多数人を収容する建物の火災の発生を防止し、火災による被害を軽減するための防火管理上の注意義務を負っていたとした。そのうえで、いったん火災が起これば宿泊客らに死傷の危険の及ぶおそれがあることを容易に予見できたのであるから、あらかじめ防火管理体制を確立しておくべき義務を負っており、これを怠らなければ死傷の結果を回避できたとして、業務上過失致死傷罪の成立を認めている(最決平5.11.25)。ここで問われる過失は、出火時の現場での行動ではなく、スプリンクラーなどの設備や消防計画・訓練といった体制を事前に整えておかなかったという管理上の義務違反である。この義務違反は火災より前の段階ですでに生じているから、火災発生時に現場にいなかったことは過失の成否を左右しない。

業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
誤り。違うのは「他人の生命身体の危険を防止することを義務内容とする業務は,これに含まれない」の部分である。判例は、211条前段の「業務」には人の生命・身体の危険を防止することを義務内容とする業務も含まれるとしている(最決昭60.10.21)。
業務上過失致死傷罪(211条前段)は、業務者には類型的に高度の注意義務が課されることを理由に、通常の過失致死傷より重く処罰する。判例は、同条の「業務」を、人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、他人の生命身体等に危害を加えるおそれのあるものと定義した(最判昭33.4.18)。もっとも、この定義は危害を加える側の業務に限る趣旨ではなく、判例は、211条前段の「業務」には人の生命・身体の危険を防止することを義務内容とする業務も含まれると明示している(最決昭60.10.21)。危険源を作り出す業務も、危険の発生を防止すべき立場にある業務も、他人の生命・身体の安全に密接に関わり高度の注意を要する点で変わりがなく、加重処罰の根拠が等しく当てはまるからである。この考え方により、工場の易燃物の管理や火災防止の責任者、建物の防火管理者のように危険の防止を任務とする者にも、業務上過失致死傷罪が成立し得る。本肢は、前半の定義は判例のとおりであるが、そこから危険防止を義務内容とする業務を除く点で判例と食い違っている。

同法二一一条前段にいう「業務」には、人の生命・身体の危険を防止することを義務内容とする業務も含まれる
誤り。違うのは「因果関係がない」の部分である。Vを即死させたのは2発目の発射行為であり、2発目と死亡との間に因果関係が認められて殺人罪が成立する(最決昭53.3.22)。
判例は、本肢と同じ事案で、1発目の発射行為について業務上過失傷害罪、2発目の発射行為について殺人罪の成立を認め、両罪を併合罪とした(最決昭53.3.22)。殺人罪の成立を認めている以上、2発目の発射行為と死亡との間に因果関係があることが前提になっている。本肢では、1発目の大腿部の銃創は放置すれば十数分で死亡する程度のものであり、胸部の銃創は単独では半日から1日で死亡する程度のものであるが、Vは2発目の銃弾が胸部に命中したことによって失血により即死している。先行する傷害によっていずれ死亡したであろう被害者であっても、後の行為がその死期を現実に早めたのであれば、現に生じた死亡という結果は後の行為のしわざであり、後の行為の危険が結果に現実化したといえる。行為者自身の行為が介在した場合も、介在した行為と結果との結びつきは第三者の行為が介在した場合と同じように判断される。したがって、甲の2発目の発射行為とVの死亡との間には因果関係があり、これを否定する本肢は誤りである。

人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
誤り。違うのは「手続への参加を申し出ることができない」の部分である。316条の33第1項2号は刑法211条の罪を対象事件に挙げており、業務上過失致傷の罪の被害者も参加を申し出ることができる。
316条の33第1項は、被害者参加の対象事件を列挙し、1号で故意の犯罪行為により人を死傷させた罪を挙げるほか、2号で刑法176条、177条、179条、211条、220条、224条から227条までの罪を挙げている。刑法211条は業務上過失致死傷等の罪であるから、業務上過失致傷の罪は2号の対象事件に当たり、その被害者は被告事件の手続への参加を申し出ることができる。申出は、あらかじめ検察官にし、検察官が意見を付して裁判所に通知し(同条2項)、裁判所は被告人又は弁護人の意見を聴き、犯罪の性質や被告人との関係などを考慮して相当と認めるときに参加を許す。被害者参加は、生命・身体・自由に対する重大な被害を受けた被害者に公判で一定の役割を認める制度であり、過失犯であっても、交通事故や業務上の事故で人が死傷した事件の被害者は重大な被害を受けていることに変わりがない。そこで過失による致死傷も対象に含めており、過失運転致死傷の罪も4号で対象とされている。業務上過失致傷の罪の被害者は参加を申し出ることができないとする肢は、2号に反する。

裁判所は、次に掲げる罪に係る被告事件の被害者等…から、被告事件の手続への参加の申出があるときは、…相当と認めるときは、決定で、当該被害者等…の被告事件の手続への参加を許すものとする。一 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪 二 刑法第百七十六条、第百七十七条、第百七十九条、第二百十一条、第二百二十条又は第二百二十四条から第二百二十七条までの罪
正しい。判例は、211条の業務を、人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、他人の生命・身体等に危害を加えるおそれのあるものとしている(最判昭33.4.18)。
業務上過失致死傷罪(211条前段)は、業務上必要な注意を怠って人を死傷させた者を、通常の過失致死傷罪より重く処罰する。業務として危険な行為を反復継続する者には、その行為に伴う危険を認識し回避する特に重い注意義務が課されるからである。最判昭33.4.18は、同条の業務とは、本来人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、かつその行為は他人の生命身体等に危害を加えるおそれのあるものであることを必要とするとした。反復継続して行う意思で行われれば、現に1回しか行っていなくても業務に当たる。また、他人に危害を加えるおそれのある行為であれば足り、自動車の運転のように危険を伴う行為のほか、危険を防止することを内容とする行為も含まれ、業務が適法であることや、それによって生計を立てていることは要らない。本肢は判例の定義をそのまま述べたものであり、正しい。

刑法二一一条にいわゆる業務とは、本来人が社会生活上の地位に基き反覆継続して行う行為であつて・・・、かつその行為は他人の生命身体等に危害を加える虞あるもの
正しい。重過失とは注意義務違反の程度が著しい場合をいい、わずかな注意を払えば結果を予見し、容易に回避できたのにこれを怠った場合がこれに当たる。
211条後段の重過失致死傷罪は、重大な過失により人を死傷させた者を業務上過失致死傷罪と同じ刑で処罰する。業務者でなくても、注意義務違反の程度が著しい場合には、業務者と同じ重い非難が向けられるからである。重大な過失とは、注意義務違反の程度が著しい場合、すなわち、わずかな注意を払うことにより結果の発生を容易に予見し回避し得たのに、これを怠って結果を発生させた場合をいい、裁判例も同様に判示している。重過失かどうかは注意義務違反の程度で決まるのであって、生じた結果が重大であることは要件ではなく、重大な結果が生じたというだけで重過失になるわけではない。また、結果発生の蓋然性が高いことも必ずしも要らない。本肢は、わずかな注意で結果を予見でき、回避できた場合を重過失とするものであり、注意義務違反の程度の著しさによる定義と一致して正しい。

業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
誤り。違うのは「乙には重過失致死罪の単独犯が成立する」の部分である。乙を単独犯として見ると、乙の銃弾が丙に命中したことが判明しない以上、乙の行為と丙の死亡との間の因果関係を認めることができず、重過失致死罪の単独犯は成立しない。
甲は、丙を殺害する意思で、乙に「あれはマネキン人形だ。一緒に射撃しよう。」とうそを言って乙に発射させるとともに、自らも発射している。甲は、事情を知らない乙を道具として利用した間接正犯として乙の発射についても責任を負い、自己の発射と合わせて、どちらの弾が命中したにせよ丙の死亡は甲の行為によるものといえるので、甲には殺人既遂罪が成立する。一方、乙は甲の言葉を鵜呑みにしてよく確認もせず丙をマネキン人形と誤信して発射しており、人を殺す故意はなく、重大な不注意で人に向けて発射した点に重過失がある。しかし、乙に単独犯として重過失致死罪が成立するためには、乙の行為と丙の死亡との間に因果関係が認められなければならない。丙に命中した銃弾が乙のけん銃から発射されたものと判明しない以上、乙の発射が丙の死亡を引き起こしたとはいえず、乙を単独犯として見れば死亡の結果を帰属させることはできない。したがって、乙に重過失致死罪の単独犯は成立せず、本肢は誤りである。乙に死亡の結果を負わせるとすれば、甲と乙の共同正犯として評価できるかという別の問題になる。

二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。