1陸路、水路又は橋を損壊し、又は閉塞して往来の妨害を生じさせた者は、二年以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金に処する。
2前項の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
この条文の過去問 2問
正しい。219条は結果的加重犯であり、遺棄又は不保護の時点で傷害の故意があれば、同罪ではなく傷害罪が成立する。
219条は、217条・218条の罪を犯し、「よって」人を死傷させた者を、傷害の罪と比較して重い刑により処断すると定めている。「よって」という文言は、遺棄又は不保護という基本の罪から死傷の結果が生じたことを求めるものであり、219条は、死傷の結果についての故意を要しない結果的加重犯である。重い結果について故意がある場合は、その故意犯によって評価されるべきであり、結果的加重犯の対象ではない。したがって、遺棄又は不保護の時点で傷害の故意があれば、保護責任者遺棄等致傷罪ではなく傷害罪(204条)が成立し、殺意があれば殺人罪が成立する。判例も、同じ文言を持つ往来妨害致死傷罪(124条2項)について、往来の危険を生じさせる意思があれば足り、死傷の結果についての予見は要しないとしている(最判昭36.1.10)。本肢は、219条の罪の性質を正しく述べたものである。

前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
- 単純遺棄罪(217条):主体に限定なし。遺棄。一年以下の拘禁刑
- 保護責任者遺棄等罪(218条):保護する責任のある者。遺棄又は不保護。三月以上五年以下の拘禁刑
- 遺棄等致死傷罪(219条):217条・218条の罪を犯し、よって人を死傷させた。傷害の罪と比較して、重い刑により処断する
誤り。違うのは「両罪は牽連犯となる」の部分である。車道にロープを張った一個の行為が往来妨害罪と傷害罪の二つの罪名に触れるのであり、両罪は手段と結果の関係ではなく観念的競合になる。
124条2項の往来妨害致死傷罪は、往来妨害罪の結果的加重犯であり、死傷の結果について予見がなくても成立する。これに対し、甲に乙が負傷することについて故意がある本肢では、死傷の結果は傷害罪(204条)として故意犯で評価されるので、往来妨害罪(124条1項)と傷害罪が成立する。問題はその罪数関係である。牽連犯(54条1項後段)は、犯罪の手段又は結果である行為が他の罪名に触れる場合、すなわち二個の行為が罪質上通例として手段と結果の関係にある場合をいう。本肢で甲がしたのは、夜間に車道上にロープを張って車道を閉塞するという一個の行為であり、この同じ行為が、陸路の往来を妨害する点で往来妨害罪に、通り掛かった乙を転倒させて負傷させる点で傷害罪に触れている。往来を妨害する行為と乙を負傷させる行為が別々にあるわけではないので、手段と結果の関係を論じる前提を欠く。一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合であるから、両罪は54条1項前段の観念的競合として最も重い刑により処断される。したがって、牽連犯とする本肢は誤りである。

一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
