1行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の拘禁刑に処する。
2偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
この条文の過去問 9問
誤り。違うのは「偽造通貨行使罪及び詐欺罪が成立し、これらは牽連犯となる」の部分である。判例は、偽造通貨を行使して財物の交付を受けた場合、詐欺罪は偽造通貨行使罪に吸収され、別に成立しないとしている。
行使の目的で1万円札を偽造した点には通貨偽造罪(148条1項)が、これを代金として事情を知らないAに手渡した点には偽造通貨行使罪(同条2項)が成立し、両罪は手段と結果の関係にあるので牽連犯になる。問題は、偽造の1万円札を真正なものと誤信させて商品の交付を受けた点について、さらに詐欺罪(246条1項)が成立するかである。判例は、偽造通貨を行使して財物の交付を受けた場合、詐欺罪は偽造通貨行使罪に吸収され、別に罪を構成しないとしている。偽造通貨の行使は、これを真正な通貨と誤信させて相手方に受け取らせ、財物や利益を得ることを当然に伴うからである。また、別に詐欺罪の成立を認めると、収得後にそれと知って行使した者について、額面価格の3倍以下の罰金又は科料という特に軽い刑を定めた152条の趣旨が失われることになる。したがって、甲に成立するのは通貨偽造罪と偽造通貨行使罪であり、詐欺罪を加えた3罪の牽連犯になるのではない。

行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の拘禁刑に処する。
2 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
誤り。違うのは「偽造通貨行使罪及び詐欺罪が成立し、これらは牽連犯となる」の部分である。判例は、偽造通貨を行使して財物の交付を受けた場合、詐欺罪は偽造通貨行使罪に吸収され、別に成立しないとしている。
行使の目的で1万円札を偽造した点には通貨偽造罪(148条1項)が、これを代金として事情を知らないAに手渡した点には偽造通貨行使罪(同条2項)が成立し、両罪は手段と結果の関係にあるので牽連犯になる。問題は、偽造の1万円札を真正なものと誤信させて商品の交付を受けた点について、さらに詐欺罪(246条1項)が成立するかである。判例は、偽造通貨を行使して財物の交付を受けた場合、詐欺罪は偽造通貨行使罪に吸収され、別に罪を構成しないとしている。偽造通貨の行使は、これを真正な通貨と誤信させて相手方に受け取らせ、財物や利益を得ることを当然に伴うからである。また、別に詐欺罪の成立を認めると、収得後にそれと知って行使した者について、額面価格の3倍以下の罰金又は科料という特に軽い刑を定めた152条の趣旨が失われることになる。したがって、甲に成立するのは通貨偽造罪と偽造通貨行使罪であり、詐欺罪を加えた3罪の牽連犯になるのではない。

行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の拘禁刑に処する。
2 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
誤り。違うのは「偽造通貨行使罪は詐欺罪に吸収される」の部分である。判例は、偽造通貨の行使による詐欺は偽造通貨行使罪に当然に包含され、別に詐欺罪を構成しないとしており、吸収の向きが逆である(大判明43.6.30)。
偽造通貨行使罪(148条2項)は、偽造した通貨を真正な通貨として流通に置く行為を処罰する。偽造通貨を真正なものとして相手に渡し、物やサービスを受け取る行為は、相手を欺いて財物を交付させる詐欺罪(246条1項)の構成要件にも当たるように見える。しかし判例は、偽造通貨の行使による詐欺の行為は偽造通貨行使罪に当然に包含され、別に犯罪を構成しないとしている(大判明43.6.30)。偽造通貨を行使すれば、相手をだまして財物を得ることを通常伴うのであり、その法益侵害は偽造通貨行使罪の重い法定刑(無期又は3年以上の拘禁刑)の中で評価し尽くされている。したがって、吸収されるのは詐欺罪のほうであり、成立するのは偽造通貨行使罪だけである。本肢の甲は、偽造した1万円札100枚を覚せい剤の代金として乙に渡し、乙に偽札と気付かせずに覚せい剤を受け取っているが、甲に成立するのは偽造通貨行使罪であり、詐欺罪は別に成立しない。偽造通貨行使罪が詐欺罪に吸収されるとする本肢は、吸収の向きを逆にしており誤りである。

偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
- 特別関係:一般法と特別法の関係。特別法だけが適用される(業務上横領罪と横領罪、保護責任者遺棄罪と遺棄罪)
- 補充関係:基本法と補充法の関係。基本法だけが適用される(傷害罪と暴行罪、殺人罪と殺人未遂罪)
- 択一関係:両立しない構成要件が重なって見える関係。一方だけが適用される(横領罪と背任罪)
- 吸収関係:重い罪に通常伴う軽い罪が、重い罪に吸収される関係(殺人罪と殺人予備罪、偽造通貨行使罪と詐欺罪)
誤り。違うのは「偽造通貨行使罪は詐欺罪に吸収される」の部分である。判例は、偽造通貨の行使による詐欺は偽造通貨行使罪に当然に包含され、別に詐欺罪を構成しないとしており、吸収の向きが逆である(大判明43.6.30)。
偽造通貨行使罪(148条2項)は、偽造した通貨を真正な通貨として流通に置く行為を処罰する。偽造通貨を真正なものとして相手に渡し、物やサービスを受け取る行為は、相手を欺いて財物を交付させる詐欺罪(246条1項)の構成要件にも当たるように見える。しかし判例は、偽造通貨の行使による詐欺の行為は偽造通貨行使罪に当然に包含され、別に犯罪を構成しないとしている(大判明43.6.30)。偽造通貨を行使すれば、相手をだまして財物を得ることを通常伴うのであり、その法益侵害は偽造通貨行使罪の重い法定刑(無期又は3年以上の拘禁刑)の中で評価し尽くされている。したがって、吸収されるのは詐欺罪のほうであり、成立するのは偽造通貨行使罪だけである。本肢の甲は、偽造した1万円札100枚を覚せい剤の代金として乙に渡し、乙に偽札と気付かせずに覚せい剤を受け取っているが、甲に成立するのは偽造通貨行使罪であり、詐欺罪は別に成立しない。偽造通貨行使罪が詐欺罪に吸収されるとする本肢は、吸収の向きを逆にしており誤りである。

偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
- 特別関係:一般法と特別法の関係。特別法だけが適用される(業務上横領罪と横領罪、保護責任者遺棄罪と遺棄罪)
- 補充関係:基本法と補充法の関係。基本法だけが適用される(傷害罪と暴行罪、殺人罪と殺人未遂罪)
- 択一関係:両立しない構成要件が重なって見える関係。一方だけが適用される(横領罪と背任罪)
- 吸収関係:重い罪に通常伴う軽い罪が、重い罪に吸収される関係(殺人罪と殺人予備罪、偽造通貨行使罪と詐欺罪)
誤り。違うのは「詐欺罪と偽造通貨行使罪が成立し,これらは観念的競合となる」の部分である。判例は、偽造通貨の行使による詐欺は偽造通貨行使罪に吸収され、詐欺罪は別に成立しないとしている。
偽造通貨を真正な通貨として相手に渡し、商品の交付を受ける行為は、偽造通貨行使罪(148条2項)に当たるとともに、相手を欺いて財物を交付させる詐欺罪(246条1項)の構成要件にも当たるように見える。しかし判例は、偽造紙幣を行使する詐欺行為によって財物を領得した場合、その詐欺行為は偽造通貨行使罪に吸収されるとしている。偽造通貨の行使は、相手をだまして財物を得ることを通常伴うのであり、その法益侵害は無期又は3年以上の拘禁刑という偽造通貨行使罪の重い法定刑の中で評価し尽くされている。重い罪に通常伴う軽い罪が重い罪に吸収される吸収関係であり、一個の行為が二個の罪名に触れる観念的競合(54条1項前段)ではない。観念的競合は二個の罪がいずれも成立したうえで科刑上一罪として扱う場合であるのに対し、吸収関係では成立する罪が一個に絞られる。本肢の甲には偽造通貨行使罪だけが成立し、詐欺罪は成立しないので、両罪が成立して観念的競合になるとする本肢は誤りである。

偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
| 事案 | 判例 | 結論 |
|---|---|---|
| 偽造通貨を行使して商品をだまし取った | 判例 | 詐欺罪は偽造通貨行使罪に吸収 |
| 監禁するために逮捕し、引き続き監禁した | 最大判昭28.6.17 | 包括して220条の一罪 |
| 凶器を準備して集合した後、傷害に及んだ | 最決昭43.7.16 | 凶器準備集合罪と傷害罪は併合罪 |
| 恐喝の手段として監禁した | 最判平17.4.14 | 監禁罪と恐喝罪は併合罪(牽連犯でない) |
| 窃取した預金通帳で預金を払い戻した | 最判昭25.2.24 | 窃盗罪と詐欺罪が成立し併合罪 |
誤り。違うのは「偽造通貨行使罪が成立する」の部分である。中央に穴が開き模様もない金属片は、一般人が真正な貨幣と誤信する外観を持たず偽造通貨に当たらないから、これを投入しても偽造通貨行使罪は成立しない。
通貨の偽造とは、通貨の発行権のない者が、一般人をして真正な通貨と誤信させるような外観のものを新たに作り出すことをいう。通貨偽造の罪が守るのは、だれもが本物だと信じて受け取るという通貨に対する公共の信用であるから、普通の人が一見して真貨でないと分かる程度のものを作っても、この信用を害する危険がなく、偽造には当たらない。偽造通貨行使罪(148条2項)は、こうして偽造された通貨を真正な通貨として流通に置く行為を処罰するものであり、自動販売機に偽貨を投入する行為も行使に当たり得るが、投入された物が偽造通貨でなければ同罪は成立しない。本肢の金属片は、大きさや重さは五百円硬貨と同じでも、中央に穴が開けられ模様もない円形の金属片であり、人が見れば一見して硬貨でないと分かるものであるから、偽造の貨幣に当たらない。したがって、甲がこれを自動販売機に投入しても偽造通貨行使罪は成立しない。なお、仮に偽造通貨に当たるとしても、甲は収得した後に偽造と知ったのであるから、成立し得るのは軽い収得後知情行使罪(152条)であって偽造通貨行使罪ではない。本肢は誤りである。

行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の拘禁刑に処する。
誤り。違うのは「偽造通貨行使罪が成立する」の部分である。中央に穴が開き模様もない金属片は、一般人が真正な貨幣と誤信する外観を持たず偽造通貨に当たらないから、これを投入しても偽造通貨行使罪は成立しない。
通貨の偽造とは、通貨の発行権のない者が、一般人をして真正な通貨と誤信させるような外観のものを新たに作り出すことをいう。通貨偽造の罪が守るのは、だれもが本物だと信じて受け取るという通貨に対する公共の信用であるから、普通の人が一見して真貨でないと分かる程度のものを作っても、この信用を害する危険がなく、偽造には当たらない。偽造通貨行使罪(148条2項)は、こうして偽造された通貨を真正な通貨として流通に置く行為を処罰するものであり、自動販売機に偽貨を投入する行為も行使に当たり得るが、投入された物が偽造通貨でなければ同罪は成立しない。本肢の金属片は、大きさや重さは五百円硬貨と同じでも、中央に穴が開けられ模様もない円形の金属片であり、人が見れば一見して硬貨でないと分かるものであるから、偽造の貨幣に当たらない。したがって、甲がこれを自動販売機に投入しても偽造通貨行使罪は成立しない。なお、仮に偽造通貨に当たるとしても、甲は収得した後に偽造と知ったのであるから、成立し得るのは軽い収得後知情行使罪(152条)であって偽造通貨行使罪ではない。本肢は誤りである。

行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の拘禁刑に処する。
誤り。違うのは「偽造通貨行使罪及び詐欺罪が成立し,両罪は牽連犯となる」の部分である。偽造通貨を真貨と偽って相手に渡し財産を得ても、詐欺罪は偽造通貨行使罪に吸収され、別に成立しない。
偽造通貨を情を知らない相手に真正の通貨として渡す行為は、偽造通貨行使罪(148条2項)の典型である。この行使は、相手に真貨と誤信させて対価を得ることを当然に予定しており、偽造通貨を使って財物や財産上の利益を得るという詐欺に当たる事実は、行使罪の中に通常含まれている。判例は、偽造通貨を行使して財物を騙取した場合、詐欺罪は偽造通貨行使罪に吸収され、別罪を構成しないとしている(大判昭7.6.6)。偽造通貨を収得した後に偽造と知って行使した者を額面価格の三倍以下の罰金又は科料にとどめる152条が置かれていることからも、行使に伴う欺く行為を別途詐欺罪として重く処罰しない趣旨が読み取れる。甲は、偽造通貨であることを秘して丙に宿泊代金として支払い、丙が真貨と誤信して宿泊させているが、成立するのは偽造通貨行使罪のみであり、詐欺罪は成立しないから、両罪が牽連犯になることもない。本肢は誤りである。

貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の三倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、二千円以下にすることはできない。
- ["特別関係", "一般法と特別法の関係。特別法だけが適用される(業務上横領罪と横領罪、保護責任者遺棄罪と遺棄罪)"]
- ["補充関係", "基本法と補充法の関係。基本法だけが適用される(傷害罪と暴行罪、殺人罪と殺人未遂罪)"]
- ["択一関係", "両立しない構成要件が重なって見える関係。一方だけが適用される(横領罪と背任罪)"]
- ["吸収関係", "重い罪に通常伴う軽い罪が、重い罪に吸収される関係(殺人罪と殺人予備罪、偽造通貨行使罪と詐欺罪)"]
誤り。違うのは「偽造通貨行使罪は成立しない」の部分である。偽造通貨を機械に投入して真正の通貨として流通に置く行為は行使に当たり、偽造通貨行使罪が成立する。
偽造通貨行使罪(148条2項)の行使とは、偽造又は変造の通貨を真正な通貨として流通に置くことをいう。通貨偽造の罪の保護法益は通貨に対する公共の信用であり、偽造通貨が真貨として世の中に出回ること自体がこの信用を害するから、行使は人に渡す場合に限られず、相手が人であるか機械であるかを問わない。自動販売機や料金機に偽造通貨を投入すれば、その通貨は機械の管理者の手に渡り、真貨として流通に置かれたことになる。甲は、ホテルのマッサージチェアに偽造通貨を投入して機械を作動させており、その偽造通貨はホテルが真貨として回収する流れに置かれているから、流通に置いたといえる。一方、偽造通貨を人に見せるだけの行為や、偽造と知っている者に渡す行為は、真貨として流通に置くものではないので行使に当たらない。本肢の投入行為は後者ではなく、偽造通貨行使罪が成立する。本肢は誤りである。

偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。





