1拘禁刑に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期拘禁刑に処するときは、再犯とする。
2死刑に処せられた者がその執行の免除を得た日又は減刑により拘禁刑に減軽されてその執行を終わった日若しくはその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期拘禁刑に処するときも、前項と同様とする。
この条文の過去問 3問
誤り。違うのは「その場合でも懲役20年までしか上げることができない」の部分である。再犯の刑はその罪について定めた刑の長期の2倍以下であり、有期刑を加重する場合の上限は30年である(14条2項)。
拘禁刑に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯し、その者を有期拘禁刑に処するときは再犯となり(56条1項)、再犯の刑は、その罪について定めた拘禁刑の長期の2倍以下とされる(57条)。本肢の前半はこの再犯加重のとおりである。問題は加重の上限である。有期拘禁刑は原則として1月以上20年以下であるが(12条1項)、14条2項は、有期拘禁刑を加重する場合においては30年にまで上げることができると定めており、再犯加重や併合罪の加重によって長期が20年を超えるときは、30年を上限として処断刑が形成される。したがって、再犯加重の場合に20年までしか上げることができないとする本肢の後半は、14条2項に反する。たとえば長期15年の罪の再犯であれば、長期の2倍は30年であり、そのまま30年が処断刑の長期になる。本肢は懲役の語で問うているが、現行法では懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されており、再犯加重と30年の上限の結論は変わらない。

有期拘禁刑を加重する場合においては三十年にまで上げることができ、これを減軽する場合においては一月未満に下げることができる。
- ["1 再犯加重", "長期を2倍以下にする(57条)。上限は30年である(14条2項)"]
- ["2 法律上の減軽", "長期と短期を2分の1にする(68条3号)"]
- ["3 併合罪の加重", "最も重い罪の長期の1.5倍を長期とする(47条)"]
- ["4 酌量減軽", "長期と短期を2分の1にする(71条・68条)"]
誤り。違うのは「懲役7年6月の判決を言い渡すことができる」の部分である。執行猶予の期間を取り消されずに経過したことで前の刑の言渡しは効力を失っており、甲は再犯に当たらないから、A罪の法定刑の上限である5年を超える刑は言い渡せない。
再犯加重(56条1項・57条)は、拘禁刑に処せられた者がその執行を終わった日又は執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯し、有期拘禁刑に処する場合に、その罪について定めた刑の長期を二倍まで引き上げるものである。甲は懲役2年・4年間執行猶予の判決を受けたが、執行猶予を取り消されることなく4年の猶予期間を経過しており、27条により、その時点で刑の言渡しは効力を失っている。判例は、この効力の喪失を、刑の言渡しに基づく法的効果が将来に向かって消滅することを意味するとしている(最決昭45.9.29)。したがって、判決の確定から5年後にA罪を犯した時点では、甲は「拘禁刑に処せられた者」に当たらず、そもそも刑の執行を受けていないから「執行を終わった日」も存在せず、再犯加重の要件を満たさない。A罪の法定刑は5年以下の懲役であり、再犯加重がない以上、処断刑の上限は5年であるから、懲役7年6月の判決を言い渡すことはできない。本肢の懲役は現行法では拘禁刑であるが、結論は同じである。本肢は誤りである。

刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。
誤り。違うのは「その罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする」の部分である。本肢の前段は再犯(56条1項)の要件として正しいが、再犯の刑は57条により、その罪について定めた拘禁刑の長期の2倍以下とされる。
56条1項は、拘禁刑に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期拘禁刑に処するときは再犯とすると定める。本肢の前段は、懲役を拘禁刑と読み替えれば、この再犯の要件をそのまま述べており正しい。問題は加重の内容である。57条は、再犯の刑はその罪について定めた拘禁刑の長期の2倍以下とすると定めており、長期に2分の1を加えるのではなく、長期を2倍にする。刑の執行を受けたのに5年以内に再び罪を犯した者は、刑罰による改善の効果が乏しく非難が重いので、併合罪の加重より大きく上限を引き上げるものである。もっとも、加重後の長期は14条2項により30年を超えることができない。長期に2分の1を加える処理は、併合罪について47条が定めるものであり、再犯加重とは異なる。したがって、本肢は誤りである。再犯加重は72条の順序で最初に行われ、その後に法律上の減軽、併合罪の加重、酌量減軽の順で処断刑が形成される。

再犯の刑は、その罪について定めた拘禁刑の長期の二倍以下とする。
| 場面 | 処理 | 条文 |
|---|---|---|
| 再度の執行猶予 | 2年以下の拘禁刑で情状に特に酌量すべきものがあるとき。再度の猶予に伴う保護観察中の再犯は不可 | 25条2項 |
| 猶予期間内の罪で罰金 | 裁量的取消し(取り消すことができる) | 26条の2第1号 |
| 猶予期間内の罪で拘禁刑の実刑 | 必要的取消し(取り消さなければならない) | 26条1号 |
| 牽連犯・観念的競合 | 最も重い刑により処断(加重なし) | 54条1項 |
| 併合罪(有期拘禁刑) | 最も重い罪の長期の1.5倍を長期(合計・30年を超えない) | 47条 |
| 再犯 | その罪の拘禁刑の長期の2倍以下 | 57条 |
| 心神耗弱 | 必ず減軽 | 39条2項 |