法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。死刑を減軽するときは、無期又は十年以上の拘禁刑とする。無期拘禁刑を減軽するときは、七年以上の有期拘禁刑とする。有期拘禁刑を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の二分の一を減ずる。拘留を減軽するときは、その長期の二分の一を減ずる。科料を減軽するときは、その多額の二分の一を減ずる。
1 死刑を減軽するときは、無期又は十年以上の拘禁刑とする。
2 無期拘禁刑を減軽するときは、七年以上の有期拘禁刑とする。
3 有期拘禁刑を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。
4 罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の二分の一を減ずる。
5 拘留を減軽するときは、その長期の二分の一を減ずる。
6 科料を減軽するときは、その多額の二分の一を減ずる。
この条文の過去問 3問
正しい。強盗致傷罪の有期刑の下限は6年であるが、酌量減軽をすれば短期は3年になり、前科のない甲が3年以下の刑の言渡しを受けるときは25条1項1号により執行を猶予でき、初度の猶予では保護観察を付さなくてよい。
強盗致傷罪(240条前段)の法定刑は無期又は6年以上の拘禁刑であり、そのままでは3年の刑を言い渡すことはできない。しかし、犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは酌量減軽をすることができ(66条)、有期の拘禁刑を減軽するときはその長期及び短期の2分の1を減ずるので(68条3号)、有期刑を選択して酌量減軽をすれば、処断刑の短期は3年になる。そのうえで、25条1項は、前に拘禁刑以上の刑に処せられたことがない者が3年以下の拘禁刑の言渡しを受けたときは、情状により、1年以上5年以下の期間その刑の全部の執行を猶予することができると定めている。前科のない甲が懲役3年、現行法では拘禁刑3年の言渡しを受ける場合はこれに当たり、猶予の期間を5年とすることもできる。初度の猶予では、猶予の期間中保護観察に付することができるにとどまり(25条の2第1項前段)、必ず付さなければならないわけではないので、保護観察なしとすることも可能である。したがって、酌量減軽をする事由があれば、裁判所は本肢の判決を宣告することができる。再度の猶予の場合に保護観察が必ず付くのとは異なる。

次に掲げる者が三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
| 初度の猶予(25条1項) | 再度の猶予(25条2項) | |
|---|---|---|
| 言い渡す刑 | 3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 | 2年以下の拘禁刑 |
| 情状 | 情状により | 情状に特に酌量すべきものがあるとき |
| 保護観察 | 付することができる | 必ず付する |
| できない場合 | 前刑の執行終了等から5年以内に拘禁刑以上の刑に処せられた者 | 再度の猶予の保護観察中に更に罪を犯した者 |
誤り。違うのは「1月以上5年以下」の部分である。従犯の刑は正犯の刑を減軽し(63条)、有期の自由刑の減軽は長期と短期の両方を2分の1にするから(68条3号)、1月以上10年以下の窃盗罪の刑は15日以上5年以下になる。
正犯を幇助した者は従犯であり、従犯の刑は正犯の刑を必ず減軽する(62条1項・63条)。窃盗罪の自由刑は10年以下で、短期は12条1項により1月である。法律上の減軽として有期の自由刑を減軽するときは、その長期及び短期の2分の1を減ずるのであって(68条3号)、長期だけを半分にするのではない。長期10年は5年になり、短期1月は15日になる。有期の自由刑を減軽する場合には1月未満に下げることができると定められているから(14条2項後段)、短期が1月を下回ることも差し支えない。したがって、窃盗の従犯の処断刑は15日以上5年以下であり、短期を1月のままとする本肢は誤りである。本肢は長期の2分の1だけを計算しており、短期も2分の1にする点を落としている。出題当時の懲役刑は現行法では拘禁刑であるが、計算は同じである。

有期拘禁刑を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。
| 場面 | 計算 | 処断刑 |
|---|---|---|
| 殺人(有期)+傷害の併合罪 | 重い殺人の長期20年×1.5=30年。各罪の長期の合計35年を超えない。短期は重い殺人の5年 | 5年以上30年以下 |
| 窃盗の従犯(法律上の減軽) | 1月以上10年以下の長期・短期を2分の1。短期は1月未満に下げられる | 15日以上5年以下 |
| 強盗致傷の有期刑を酌量減軽 | 6年以上20年以下の長期・短期を2分の1 | 3年以上10年以下 |
正しい。強盗致傷罪の有期刑は6年以上20年以下であり、酌量減軽も68条の例によって長期と短期を2分の1にするから、処断刑は3年以上10年以下になる。
強盗致傷罪の法定刑は無期又は6年以上の自由刑であり(240条前段)、有期刑を選択すれば、長期は12条1項により20年であるから、6年以上20年以下となる。犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは酌量減軽をすることができ(66条)、その方法は法律上の減軽と同じく68条の例による(71条)。有期の自由刑を減軽するときは長期及び短期の2分の1を減ずるから(68条3号)、長期20年は10年に、短期6年は3年になる。したがって処断刑は3年以上10年以下となり、本肢は正しい。短期が3年まで下がることで、3年以下の刑を言い渡して刑の全部の執行を猶予する余地が生じる点に、酌量減軽の実際の意味がある。出題当時の懲役刑は現行法では拘禁刑に一本化されているが、計算は変わらない。

有期拘禁刑を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。
| 場面 | 計算 | 処断刑 |
|---|---|---|
| 殺人(有期)+傷害の併合罪 | 重い殺人の長期20年×1.5=30年。各罪の長期の合計35年を超えない。短期は重い殺人の5年 | 5年以上30年以下 |
| 窃盗の従犯(法律上の減軽) | 1月以上10年以下の長期・短期を2分の1。短期は1月未満に下げられる | 15日以上5年以下 |
| 強盗致傷の有期刑を酌量減軽 | 6年以上20年以下の長期・短期を2分の1 | 3年以上10年以下 |