1この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
2日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。
この条文の過去問 9問
正しい。凶器準備集合罪は社会の平穏も保護する罪であり、目的とした加害行為に進んでも暴行罪に吸収されず、両罪は併合罪となる。
凶器準備集合罪(208条の2第1項)は、二人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合に、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者を処罰する。この罪は、個人の生命、身体又は財産だけでなく、公共的な社会生活の平穏をも保護法益とするものであり、凶器を準備して集合した時点で成立する。その後に目的とした加害行為に進んだ場合、凶器準備集合罪は暴行罪や傷害罪に吸収されず、両罪は併合罪になる(最決昭48.2.8)。凶器準備集合罪が守る社会の平穏と、暴行罪が守る個人の身体とは別の法益であり、一方の処罰によって他方が評価し尽くされることはない。また、牽連犯になるには二つの罪が罪質上通例として手段と結果の関係にあることが必要であるが、凶器を準備して集合することが暴行の手段として通常用いられる関係にあるとはいえない。甲が日本刀数本を準備してA方前に集合し、その直後にAの顔面を殴打した場合、凶器準備集合罪と暴行罪が成立し、両罪は併合罪となる。

二人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、二年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
正しい。凶器準備集合罪は社会の平穏も保護する罪であり、目的とした加害行為に進んでも暴行罪に吸収されず、両罪は併合罪となる。
凶器準備集合罪(208条の2第1項)は、二人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合に、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者を処罰する。この罪は、個人の生命、身体又は財産だけでなく、公共的な社会生活の平穏をも保護法益とするものであり、凶器を準備して集合した時点で成立する。その後に目的とした加害行為に進んだ場合、凶器準備集合罪は暴行罪や傷害罪に吸収されず、両罪は併合罪になる(最決昭48.2.8)。凶器準備集合罪が守る社会の平穏と、暴行罪が守る個人の身体とは別の法益であり、一方の処罰によって他方が評価し尽くされることはない。また、牽連犯になるには二つの罪が罪質上通例として手段と結果の関係にあることが必要であるが、凶器を準備して集合することが暴行の手段として通常用いられる関係にあるとはいえない。甲が日本刀数本を準備してA方前に集合し、その直後にAの顔面を殴打した場合、凶器準備集合罪と暴行罪が成立し、両罪は併合罪となる。

二人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、二年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
誤り。違うのは「刑法(殺人未遂罪)が適用される」の部分である。判例は、毒物を送付した場合、相手方が受領して飲食し得る状態に置かれた時に殺人罪の実行の着手を認めており(大判大7.11.16)、毒入酒がV2方に届いていない以上、V2に対する殺人未遂罪は成立しない。
毒入りの飲食物を発送する離隔犯では、行為者のすべきことは発送の時に終わるが、相手方の生命に危険が差し迫るのは到達して飲食できる状態になってからである。大判大7.11.16は、殺害の目的で毒物を混入した砂糖を郵送した事案で、相手方がこれを受領し、飲食することができる状態に置かれた時に殺人罪の実行の着手があるとした。未遂犯が処罰されるのは結果発生の現実的な危険が生じたからであり、毒物が相手方の手元に届いて初めてその危険が生じるとみるものである。甲はV2宛てに毒入酒を発送したが、発送手続の際に誤ってV5の住所地を記載したため、毒入酒はV2方には届いていない。V2が飲食し得る状態に置かれたことがない以上、V2に対する殺人罪の実行の着手はなく、殺人未遂罪は成立しない。成立しない罪について刑法の適用を論じる余地はないので、甲のV2に対する行為に殺人未遂罪が適用されることはない。したがって、本肢は誤りである。発送の段階は殺人の予備にとどまる。

犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
| 被害者 | 犯罪地・結果 | 刑法の適用 |
|---|---|---|
| V1(日本国民・B国で死亡) | 国外犯 | 3条の2第2号で殺人罪が適用される |
| V2(毒入酒が届かない) | 到達なし=着手なし | 殺人未遂罪は成立せず、適用の問題にならない |
| V3(到達時に中身が無い) | 飲食し得る状態なし=着手なし | 殺人未遂罪は成立せず、適用の問題にならない |
| V4(B国民・B国で死亡) | 国外犯 | 日本国民に対する罪でなく、3条の2は適用されない |
| V5(日本国内で到達・保管) | 国内で着手の危険=国内犯 | 1条1項で殺人未遂罪が適用される(方法の錯誤は法定的符合説) |
誤り。違うのは「刑法(殺人罪)が適用される」の部分である。3条の2が日本国民以外の者の国外犯に刑法を適用するのは日本国民に対して罪を犯した場合に限られ、B国民V4がB国内で死亡した結果について、A国民の甲に刑法は適用されない。
日本国外で犯された罪に刑法が適用されるのは、2条から4条の2までに掲げられた場合に限られる。2条はすべての者の国外犯として通貨偽造などの重大犯罪を掲げるが殺人罪を含まず、3条は日本国民の国外犯の規定であり、4条は日本の公務員の国外犯の規定である。日本国民以外の者が国外で殺人罪を犯した場合に刑法を適用するのは3条の2だけであり、同条はその要件を日本国民に対して罪を犯したときに限っている。国外で外国人が外国人を殺害した事件にまで日本の刑法を及ぼす根拠はないからである。V4はB国民であり、A国民である甲がB国で発送した毒入酒をB国内で飲んで死亡している。行為も結果も日本国外で生じており国内犯ではなく、甲は日本国民でなく、被害者V4も日本国民でないので、3条の2にも当たらない。したがって、甲のV4に対する行為について刑法の殺人罪は適用されず、本肢は誤りである。同じ毒入酒で死亡したV1については、日本国民であるために3条の2第2号で殺人罪が適用されるのと対比される。

この法律は、日本国外において日本国民に対して次に掲げる罪を犯した日本国民以外の者に適用する。 二 第百九十九条(殺人)の罪及びその未遂罪
| 被害者 | 犯罪地・結果 | 刑法の適用 |
|---|---|---|
| V1(日本国民・B国で死亡) | 国外犯 | 3条の2第2号で殺人罪が適用される |
| V2(毒入酒が届かない) | 到達なし=着手なし | 殺人未遂罪は成立せず、適用の問題にならない |
| V3(到達時に中身が無い) | 飲食し得る状態なし=着手なし | 殺人未遂罪は成立せず、適用の問題にならない |
| V4(B国民・B国で死亡) | 国外犯 | 日本国民に対する罪でなく、3条の2は適用されない |
| V5(日本国内で到達・保管) | 国内で着手の危険=国内犯 | 1条1項で殺人未遂罪が適用される(方法の錯誤は法定的符合説) |
正しい。学生Aの見解は緊急避難を違法性阻却事由と解する見解であり、制限従属性説の下では共犯の成立に正犯行為の構成要件該当性と違法性が必要であるから、正犯の行為が緊急避難として適法になれば、これを幇助した者は不可罰になる。
学生Aは、緊急避難に当たる行為に対して正当防衛は成立し得ないが緊急避難は成立し得るという結論をとっており、これは避難行為を適法と見る違法性阻却事由説からの帰結である。適法な行為は「急迫不正の侵害」に当たらないから正当防衛では対抗できず、「現在の危難」には当たるので緊急避難でなら対抗できるからである。これに対し学生Bは、避難行為を違法だが責任がないにすぎないと見る責任阻却事由説から、正当防衛が成立し得るとしている。制限従属性説は、共犯が成立するためには正犯の行為が構成要件に該当し違法であることを要し、正犯の責任までは要しないとする見解である。これを前提に学生Aの違法性阻却事由説をとると、正犯が緊急避難に当たる行為をした場合、正犯の行為は違法でないから、共犯成立の前提を欠き、幇助した者は不可罰になる。責任阻却事由説なら正犯の行為は違法なので幇助犯が成立し得る点と対照をなす。本肢は正しい。

人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
| 論点 | 違法性阻却事由説(学生A) | 責任阻却事由説(学生B) |
|---|---|---|
| 緊急避難に当たる行為への正当防衛 | 避難行為は適法で「不正の侵害」でないから不可。緊急避難でなら対抗できる | 避難行為は違法だから可 |
| 正犯が緊急避難のとき幇助者(制限従属性説) | 正犯の行為が違法でないので不可罰 | 正犯の行為は違法なので幇助犯が成立し得る |
| 根拠・整合性 | 優越的利益の保護で説明でき、法益の権衡の要件と他人のための緊急避難が根拠になる | 他人のための緊急避難と法益の権衡を説明しにくいとの批判がある |
| 民事責任 | 刑法上の違法性阻却と民法上の損害賠償責任は別問題 | 同左 |
誤り。違うのは「優越的利益の保護に求める考え方と矛盾する」の部分である。学生Aの違法性阻却事由説は、害される法益と同等以上の法益を保全する行為は社会全体の利益を減らさないから違法でないとするもので、優越的利益の保護という考え方とむしろ結びついている。
学生Aの見解は、緊急避難に当たる行為に対して正当防衛が成立し得ないとする点から、避難行為を適法と見る違法性阻却事由説である。この説は、法益が衝突する状況で、害される法益と同等以上の法益を保全する行為は、社会全体として見れば利益を減少させるものではないから違法ではないと考える。これは、違法性の実質を法益の侵害に求め、より大きな利益を守るために小さな利益を犠牲にする行為は違法性を阻却されるという、優越的利益の保護の考え方そのものである。37条1項が、生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限って不処罰とする法益の権衡を要件にしていることも、守った利益が害した利益を下回らないことを求める点で、この考え方と整合する。したがって、違法性阻却事由説は優越的利益の保護に求める考え方と矛盾するどころか、それを根拠にする見解であり、矛盾するとする本肢は誤りである。優越的利益の保護で説明しにくいのは、避難行為を違法と見る責任阻却事由説の方である。

自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
| 論点 | 違法性阻却事由説(学生A) | 責任阻却事由説(学生B) |
|---|---|---|
| 緊急避難に当たる行為への正当防衛 | 避難行為は適法で「不正の侵害」でないから不可。緊急避難でなら対抗できる | 避難行為は違法だから可 |
| 正犯が緊急避難のとき幇助者(制限従属性説) | 正犯の行為が違法でないので不可罰 | 正犯の行為は違法なので幇助犯が成立し得る |
| 根拠・整合性 | 優越的利益の保護で説明でき、法益の権衡の要件と他人のための緊急避難が根拠になる | 他人のための緊急避難と法益の権衡を説明しにくいとの批判がある |
| 民事責任 | 刑法上の違法性阻却と民法上の損害賠償責任は別問題 | 同左 |
誤り。違うのは「民法上も損害賠償責任を問われることはない」の部分である。学生Aの見解が緊急避難を刑法上の違法性阻却事由と解しても、民法上の損害賠償責任は刑法とは別の要件で判断されるものであり、刑法上適法であることから直ちに民事責任が否定されるわけではない。
学生Aの見解は、緊急避難を違法性阻却事由と解し、避難行為を刑法上適法な行為と見る。しかし、この見解が述べているのは、37条1項の要件を充たす行為が刑罰を科すべき違法な行為ではないということであって、その行為によって損害を受けた第三者との間で、民法上の損害賠償責任がどう処理されるかは別の問題である。刑法は、どのような行為に刑罰を科すかを定める法であり、民法は、生じた損害を誰が負担するのが公平かを定める法であって、両者の違法性の判断は目的も要件も同じではない。緊急避難によって損害を受けた第三者は、危難の発生について何の落ち度もない者であるから、刑法上は避難者を処罰しないとしても、民法上はその損害を避難者や危難の原因を作った者に負担させるのが公平だという考え方は十分に成り立つ。したがって、違法性阻却事由説をとっても、刑法上の緊急避難に当たる行為について民法上の損害賠償責任を問われることがないとはいえない。本肢は誤りである。

自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
| 論点 | 違法性阻却事由説(学生A) | 責任阻却事由説(学生B) |
|---|---|---|
| 緊急避難に当たる行為への正当防衛 | 避難行為は適法で「不正の侵害」でないから不可。緊急避難でなら対抗できる | 避難行為は違法だから可 |
| 正犯が緊急避難のとき幇助者(制限従属性説) | 正犯の行為が違法でないので不可罰 | 正犯の行為は違法なので幇助犯が成立し得る |
| 根拠・整合性 | 優越的利益の保護で説明でき、法益の権衡の要件と他人のための緊急避難が根拠になる | 他人のための緊急避難と法益の権衡を説明しにくいとの批判がある |
| 民事責任 | 刑法上の違法性阻却と民法上の損害賠償責任は別問題 | 同左 |
誤り。違うのは「この見解の根拠となり得ない」の部分である。37条1項が生じた害が避けようとした害の程度を超えないことを要件とするのは、守った利益が害した利益を下回らない行為だけを不処罰とする趣旨であり、優越的利益の保護を理由に避難行為を適法と見る学生Aの違法性阻却事由説の根拠になる。
学生Aの見解は、避難行為を適法と見る違法性阻却事由説である。37条1項は、避難行為によって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限って罰しないと定めており、この法益の権衡の要件は、守った利益が害した利益を下回らないことを求めるものである。害される法益と同等以上の法益を保全する行為は社会全体の利益を減少させないから違法でない、という違法性阻却事由説の説明は、まさにこの要件と対応している。条文が法益の比較を要件にしているのは、緊急避難の不処罰が優越的利益の保護という違法性阻却の実質的理由に基づくことを示すものと読めるからである。これに対し、切迫した心理状態のために適法な行為を期待できないことを不処罰の理由とする責任阻却事由説からは、なぜ害の大小によって処罰の有無が変わるのかを説明しにくい。したがって、法益の権衡が要件とされていることは違法性阻却事由説の根拠になり得るのであって、根拠となり得ないとする本肢は誤りである。

自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
| 論点 | 違法性阻却事由説(学生A) | 責任阻却事由説(学生B) |
|---|---|---|
| 緊急避難に当たる行為への正当防衛 | 避難行為は適法で「不正の侵害」でないから不可。緊急避難でなら対抗できる | 避難行為は違法だから可 |
| 正犯が緊急避難のとき幇助者(制限従属性説) | 正犯の行為が違法でないので不可罰 | 正犯の行為は違法なので幇助犯が成立し得る |
| 根拠・整合性 | 優越的利益の保護で説明でき、法益の権衡の要件と他人のための緊急避難が根拠になる | 他人のための緊急避難と法益の権衡を説明しにくいとの批判がある |
| 民事責任 | 刑法上の違法性阻却と民法上の損害賠償責任は別問題 | 同左 |
誤り。違うのは、この批判が「学生Bが採る見解から」学生Aの見解に向けられるとする部分である。他人のための緊急避難を説明できないという批判は、切迫した心理状態による期待可能性の欠如を根拠とする学生Bの責任阻却事由説に向けられるものであり、学生Aの違法性阻却事由説は他人のための緊急避難を無理なく説明できる。
37条1項は「自己又は他人の」法益に対する現在の危難を避けるための行為を緊急避難としており、無関係な他人を助けるための避難行為も認めている。学生Aの違法性阻却事由説は、害される法益と同等以上の法益を保全する行為は社会全体の利益を減少させないから適法だと説明するので、守る法益が自分のものか他人のものかを問わず、他人のための緊急避難も同じ理由で説明できる。これに対し、学生Bの責任阻却事由説は、避難行為は違法であるが、切迫した心理状態のために適法な行為を期待することができないから責任が阻却されると説明する。しかし、無関係な他人を助ける場面では、行為者自身が切迫した心理状態に置かれているとはいいにくく、適法な行為を期待できないという説明が成り立ちにくい。そのため、他人のための緊急避難が認められていることを説明できないという批判は、責任阻却事由説に向けられるものである。本肢はこの批判の向きを逆にしており、誤りである。

自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
| 論点 | 違法性阻却事由説(学生A) | 責任阻却事由説(学生B) |
|---|---|---|
| 緊急避難に当たる行為への正当防衛 | 避難行為は適法で「不正の侵害」でないから不可。緊急避難でなら対抗できる | 避難行為は違法だから可 |
| 正犯が緊急避難のとき幇助者(制限従属性説) | 正犯の行為が違法でないので不可罰 | 正犯の行為は違法なので幇助犯が成立し得る |
| 根拠・整合性 | 優越的利益の保護で説明でき、法益の権衡の要件と他人のための緊急避難が根拠になる | 他人のための緊急避難と法益の権衡を説明しにくいとの批判がある |
| 民事責任 | 刑法上の違法性阻却と民法上の損害賠償責任は別問題 | 同左 |








