法令により拘禁された者が逃走したときは、三年以下の拘禁刑に処する。
この条文の過去問 9問
正しい。現行の97条は「法令により拘禁された者」を主体としており、現行犯逮捕されて警察署に連行された甲が取調室から逃げて敷地外に出れば単純逃走罪が成立する。
現行の97条は、法令により拘禁された者が逃走したときは3年以下の拘禁刑に処すると定める。「法令により拘禁された者」には、受刑者や勾留されている者のほか、逮捕状による逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕によって身柄を拘束されている者も含まれる。甲は覚せい剤取締法違反の現行犯人として逮捕され、A警察署に連行されて取調室で弁解録取の手続を受けていたので、法令により拘禁された者に当たる。逃走罪は看守者の実力的支配を脱したときに既遂になり、甲は取調室から逃げ出して警察署の敷地外に出ているので、単純逃走罪の既遂が成立する。出題当時の97条は主体を「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者」に限っており、逮捕は裁判の執行による拘禁ではないので、逮捕されただけの甲は主体に当たらず、本肢は出題当時は誤りの記述であった。令和5年の改正で主体が法令により拘禁された者に広げられ、現行法では本肢は正しい。公式の正解は出題当時の法を前提に3と4であるが、現行法では3・4・5の3個が正しい記述になる。

法令により拘禁された者が逃走したときは、三年以下の拘禁刑に処する。
- 逃走(97条):法令により拘禁された者が逃走する。3年以下の拘禁刑
- 加重逃走(98条):97条の者が、拘禁場・拘束のための器具の損壊、暴行・脅迫、2人以上の通謀のいずれかによって逃走する。3月以上5年以下の拘禁刑
- 被拘禁者奪取(99条):法令により拘禁された者を奪取する。3月以上5年以下の拘禁刑
- 逃走援助(100条):逃走させる目的で、器具を提供するなど逃走を容易にすべき行為をする(3年以下の拘禁刑)。同じ目的で暴行・脅迫をする(3月以上5年以下の拘禁刑)
- 看守者等による逃走援助(101条):看守し又は護送する者が、拘禁された者を逃走させる。1年以上10年以下の拘禁刑
- 未遂(102条):この章の罪の未遂は、すべて罰する
正しい。現行の97条は「法令により拘禁された者」を主体としており、現行犯逮捕されて警察署に連行された甲が取調室から逃げて敷地外に出れば単純逃走罪が成立する。
現行の97条は、法令により拘禁された者が逃走したときは3年以下の拘禁刑に処すると定める。「法令により拘禁された者」には、受刑者や勾留されている者のほか、逮捕状による逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕によって身柄を拘束されている者も含まれる。甲は覚せい剤取締法違反の現行犯人として逮捕され、A警察署に連行されて取調室で弁解録取の手続を受けていたので、法令により拘禁された者に当たる。逃走罪は看守者の実力的支配を脱したときに既遂になり、甲は取調室から逃げ出して警察署の敷地外に出ているので、単純逃走罪の既遂が成立する。出題当時の97条は主体を「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者」に限っており、逮捕は裁判の執行による拘禁ではないので、逮捕されただけの甲は主体に当たらず、本肢は出題当時は誤りの記述であった。令和5年の改正で主体が法令により拘禁された者に広げられ、現行法では本肢は正しい。公式の正解は出題当時の法を前提に3と4であるが、現行法では3・4・5の3個が正しい記述になる。

法令により拘禁された者が逃走したときは、三年以下の拘禁刑に処する。
- 逃走(97条):法令により拘禁された者が逃走する。3年以下の拘禁刑
- 加重逃走(98条):97条の者が、拘禁場・拘束のための器具の損壊、暴行・脅迫、2人以上の通謀のいずれかによって逃走する。3月以上5年以下の拘禁刑
- 被拘禁者奪取(99条):法令により拘禁された者を奪取する。3月以上5年以下の拘禁刑
- 逃走援助(100条):逃走させる目的で、器具を提供するなど逃走を容易にすべき行為をする(3年以下の拘禁刑)。同じ目的で暴行・脅迫をする(3月以上5年以下の拘禁刑)
- 看守者等による逃走援助(101条):看守し又は護送する者が、拘禁された者を逃走させる。1年以上10年以下の拘禁刑
- 未遂(102条):この章の罪の未遂は、すべて罰する
誤り。違うのは「加重逃走罪の既遂罪が成立する」の部分である。通謀による加重逃走罪は、通謀した二人以上の者が逃走に着手することが必要であり、乙が房から出なかった以上、甲には単純逃走罪が成立するにとどまる。
98条の加重逃走罪のうち、二人以上通謀して逃走する類型は、複数の被拘禁者が意思を通じて共同で逃走することによって拘禁作用に対する侵害が強まることを理由に刑を加重するものである。この類型は、二人以上の者が共同して行うことを構成要件自体が予定している必要的共犯であり、刑法総則の共犯規定を適用する余地はなく、通謀した二人以上の被拘禁者が同一の機会に逃走行為を開始したときに実行の着手が認められる。通謀があっただけで、現実に逃走行為に出た者が一人であれば、二人以上が通謀して逃走したとはいえない。本肢の甲と乙は逃走する旨の相談をしていたが、房の扉が施錠されていないことに気付いて房から出て刑務所から逃走したのは甲だけであり、乙は思いとどまって房の外に出ていない。乙は逃走に着手しておらず、二人以上が逃走行為を開始したとはいえないので、甲に加重逃走罪は成立しない。甲は確定判決によって刑務所に収容されている法令により拘禁された者であり、刑務所から逃走して看守者の実力的支配を脱しているので、単純逃走罪(97条)の既遂が成立するにとどまる。本肢は誤りである。

前条に規定する者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
正しい。拘禁場の損壊による加重逃走罪では、逃走の手段として損壊を始めた時点で実行の着手が認められるから、脱出可能な穴を開ける前に発見された甲には加重逃走未遂罪が成立する。
加重逃走罪(98条)は、法令により拘禁された者が、拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は2人以上通謀して逃走した場合に成立し、その未遂は罰せられる(102条)。判例は、加重逃走罪のうち拘禁場又は械具の損壊によるものについては、逃走の手段としての損壊が開始されたときには、逃走行為自体に着手した事実がなくとも加重逃走罪の実行の着手があるとしている(最判昭54.12.25)。98条では損壊が逃走と並ぶ構成要件の一部であり、損壊が始まれば国の拘禁作用を害する現実的な危険が生じるから、逃走そのものの着手を待たずに実行の着手を認めるのである。本肢の甲は、拘置所に勾留中の者として法令により拘禁された者に当たり、逃走するために収容されていた房の壁を削り取って穴を開けているから、拘禁場の損壊を始めた時点で加重逃走罪の実行の着手がある。穴が脱出可能な大きさになる前に発見され、逃走行為に及ばなかったのであるから、既遂には至っておらず、甲には加重逃走未遂罪が成立する。したがって、本肢は正しい。

加重逃走罪のうち拘禁場又は械具の損壊によるものについては、逃走の手段としての損壊が開始されたときには、逃走行為自体に着手した事実がなくとも、右加重逃走罪の実行の着手があるものと解する
正しい。損壊を手段とする加重逃走罪は、逃走の手段としての損壊を始めた時点で実行の着手が認められ、脱出可能な穴が開く前に発見されても加重逃走未遂罪が成立する。
加重逃走罪(98条)は、拘禁場若しくは拘束のための器具の損壊、暴行若しくは脅迫、二人以上の通謀のいずれかを手段として逃走した場合に成立し、102条で未遂を罰する。損壊を手段とする場合の着手時期について、判例は、逃走の手段としての損壊が開始されたときは、逃走行為自体に着手した事実がなくても実行の着手があるとし、換気孔の周辺の壁を削り取ったが脱出可能な穴を開けるに至らなかった事案に加重逃走未遂罪の成立を認めた(最判昭54.12.25)。損壊は逃走と並ぶ構成要件要素であって、逃走の手段としての損壊が始まれば、拘禁から離脱する現実的な危険が生じているからである。勾留中の甲は、改正の前後を通じて逃走罪の主体に当たり、逃走するために房の壁を削り取って穴を開け始めているから、この時点で加重逃走罪の実行に着手している。穴が脱出可能な大きさになる前に発見されて逃走行為に及ばなかった以上、加重逃走未遂罪が成立し、本肢は正しい。

前条に規定する者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
誤り。違うのは「逃走罪(刑法第97条)が成立する余地はない」の部分である。護送中の受刑者も看守者の実力支配の下にある以上「法令により拘禁された者」であり、護送車両から逃走すれば逃走罪が成立する。
逃走罪(97条)の主体は「法令により拘禁された者」であり、確定判決によって刑務所に収容されている受刑者がこれに当たることに疑いはない。ここでいう拘禁とは、法令に基づいて身体の自由を拘束されている状態をいい、刑事施設の建物の中にいることを意味するものではない。刑務所間の護送は、刑の執行の一環として刑務官の監視の下で行われるものであり、護送車両の中にいる受刑者は、拘束の程度が施設内より緩やかであっても、看守者の実力支配内にあって引き続き拘禁されている。護送中であることを理由に拘禁が解かれたとみれば、移送のたびに逃走が処罰できない空白が生じることになり、国の拘禁作用を保護する逃走罪の趣旨に反する。甲は、受刑者としてA刑務所からB刑務所へ護送される途中に護送車両から逃走しており、法令により拘禁された者が看守者の実力支配を脱したものとして、逃走罪が成立する。したがって、成立する余地はないとする本肢は誤りである。

法令により拘禁された者が逃走したときは、三年以下の拘禁刑に処する。
- ["逃走(97条)", "法令により拘禁された者が逃走する。3年以下の拘禁刑"]
- ["加重逃走(98条)", "97条の者が、拘禁場・拘束のための器具の損壊、暴行・脅迫、2人以上の通謀のいずれかによって逃走する。3月以上5年以下の拘禁刑"]
- ["被拘禁者奪取(99条)", "法令により拘禁された者を奪取する。3月以上5年以下の拘禁刑"]
- ["逃走援助(100条)", "逃走させる目的で、器具を提供するなど逃走を容易にすべき行為をする(3年以下の拘禁刑)。同じ目的で暴行・脅迫をする(3月以上5年以下の拘禁刑)"]
- ["看守者等による逃走援助(101条)", "看守・護送する者が被拘禁者を逃走させる。1年以上10年以下の拘禁刑"]
誤り。違うのは「逃走罪が成立する余地はない」の部分である。勾留状によって拘置所に勾留されている未決の被疑者・被告人も「法令により拘禁された者」に当たり、逃走すれば逃走罪が成立する。
逃走罪(97条)の主体は「法令により拘禁された者」である。勾留は、裁判官の発する勾留状に基づいて被疑者・被告人の身体を拘束する処分であり、勾留状によって拘置所に収容されている者は、法令により拘禁された者そのものである。出題当時の97条は主体を「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者」としており、勾留は裁判である勾留状の執行による拘禁であるから、未決の者として当時からこの罪の主体に含まれていた。令和5年の改正で主体は「法令により拘禁された者」に改められ、裁判の執行によらずに逮捕されただけの者も含まれるようになったが、勾留中の者が主体に当たることは改正の前後を通じて変わらない。甲は、勾留状によって拘置所に勾留されている者であり、職員のすきを見て拘置所から逃走した以上、看守者の実力支配を脱したものとして逃走罪が成立する。したがって、成立する余地はないとする本肢は誤りである。

法令により拘禁された者が逃走したときは、三年以下の拘禁刑に処する。
誤り。違うのは「逃走罪の既遂罪が成立する余地はない」の部分である。逃走罪は看守者の実力支配を脱した時点で既遂となり、追跡を振り切って民家の庭に隠れた段階でこれに至ったとみる余地があるから、後に発見されても既遂が否定されるとは限らない。
逃走罪(97条)の逃走とは、被拘禁者が拘禁状態から離脱することをいい、拘禁から離脱する行為を始めた時点で実行の着手が認められ、看守者の実力支配を完全に脱した時点で既遂に達する。既遂に達した後に再び発見され拘束されても、いったん成立した既遂が未遂に戻ることはない。看守者の実力支配を脱したかどうかは、看守者が被拘禁者を現に追跡しているか、その所在を把握して直ちに拘束できる状態にあるかなどから判断される。甲は、刑務所の敷地外に脱出しただけでなく、刑務官の追跡を振り切って民家の庭に隠れており、この時点で刑務官は甲の所在を見失い、直ちに拘束できる状態になかったのであるから、看守者の実力支配を脱したと評価する余地がある。その後しばらくして付近の捜索を続けていた刑務官に発見されたという事情は、新たな捜索によって再び身柄を確保したにすぎず、既遂の成立を妨げない。したがって、既遂罪が成立する余地はないと言い切る本肢は誤りである。

法令により拘禁された者が逃走したときは、三年以下の拘禁刑に処する。
正しい。錠を損壊せずに開けた行為は拘禁場の損壊に当たらず、被拘禁者でない乙との意思の連絡は「二人以上通謀して」に当たらないから、甲にも乙にも加重逃走罪は成立しない。
加重逃走罪(98条)は、法令により拘禁された者が、拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して逃走した場合に成立する。損壊とは物理的に毀損することをいうから、開錠用具を使って錠を壊さずに開けた行為は、拘禁場の損壊に当たらない。また、二人以上の通謀とは、二人以上の被拘禁者が共同して逃走するために意思を通じることをいい、通謀の相手方も「前条に規定する者」である必要がある。乙は刑務所に面会に来た友人であって拘禁された者ではないから、甲が乙と意思を通じて開錠用具を差し入れさせても、二人以上通謀して逃走したことにはならない。したがって甲には加重逃走罪は成立せず、単純逃走罪(97条)が成立するにとどまる。乙は被拘禁者でないので加重逃走罪の主体にならず、甲の加重逃走罪が成立しない以上その共犯にもならないが、甲を逃走させる目的で開錠用具を提供した行為には逃走援助罪(100条1項)が成立する。甲乙いずれにも加重逃走罪が成立する余地はないとする本肢は正しい。

前条に規定する者が拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、逃走したときは、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。




