罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
この条文の過去問 19問
誤り。違うのは「Aが犯人蔵匿罪の「罪を犯した者」ではないと甲が誤信していたから、甲に同罪は成立しない」の部分である。「罪を犯した者」は犯罪の嫌疑によって捜査中の者を含み、その認識があれば故意に欠けるところはない。
103条の「罪を犯した者」について、判例は、真犯人に限られず、犯罪の嫌疑によって捜査中の者を含むとしている(最判昭24.8.9)。同罪は捜査や審判といった国の刑事司法作用を保護する罪であり、真犯人かどうかが確定していない捜査の段階でも、嫌疑を受けて捜査の対象となっている者をかくまえば、その作用は害されるからである。客体が真犯人に限られない以上、故意の内容としても、相手が真犯人であることの認識は要らず、相手が罰金以上の刑に当たる罪の嫌疑によって捜査の対象となっていることを認識していれば足りる。甲は、Aに恐喝事件の被疑者として逮捕状が発せられていることを知りながら、Aを自宅にかくまっている。甲がAは犯人ではないと信じていたとしても、Aが捜査の対象であるという、客体に当たる事実の認識に欠けるところはないから、故意は否定されない。したがって、甲には犯人蔵匿罪が成立する。この結論は、Aに後に有罪判決が確定したかどうかによって左右されるものでもない。

罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
誤り。違うのは「Aが犯人蔵匿罪の「罪を犯した者」ではないと甲が誤信していたから、甲に同罪は成立しない」の部分である。「罪を犯した者」は犯罪の嫌疑によって捜査中の者を含み、その認識があれば故意に欠けるところはない。
103条の「罪を犯した者」について、判例は、真犯人に限られず、犯罪の嫌疑によって捜査中の者を含むとしている(最判昭24.8.9)。同罪は捜査や審判といった国の刑事司法作用を保護する罪であり、真犯人かどうかが確定していない捜査の段階でも、嫌疑を受けて捜査の対象となっている者をかくまえば、その作用は害されるからである。客体が真犯人に限られない以上、故意の内容としても、相手が真犯人であることの認識は要らず、相手が罰金以上の刑に当たる罪の嫌疑によって捜査の対象となっていることを認識していれば足りる。甲は、Aに恐喝事件の被疑者として逮捕状が発せられていることを知りながら、Aを自宅にかくまっている。甲がAは犯人ではないと信じていたとしても、Aが捜査の対象であるという、客体に当たる事実の認識に欠けるところはないから、故意は否定されない。したがって、甲には犯人蔵匿罪が成立する。この結論は、Aに後に有罪判決が確定したかどうかによって左右されるものでもない。

罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
誤り。違うのは「丁が丙をかくまった行為について犯人蔵匿罪は成立しない」の部分である。103条の「罪を犯した者」は犯罪の嫌疑によって捜査中の者を含み、後に不起訴になっても犯人蔵匿罪の成立は左右されない(最判昭24.8.9)。
103条は、「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」を蔵匿し、又は隠避させた者を処罰する。判例は、同条は司法に関する国権の作用を妨害する者を処罰しようとする規定であるから、「罪を犯した者」は犯罪の嫌疑によって捜査中の者をも含むと解釈しなくては、立法の目的を達し得ないとしている(最判昭24.8.9)。真に罪を犯した者に限るとすると、かくまわれた者の有罪が確定するまで犯人蔵匿罪の成否が決まらず、捜査や審判を妨げる行為を防ぐことができないからである。この立場では、犯人蔵匿罪が成立するかどうかは、かくまった時点で決まる。その時点で捜査の対象となっている者をかくまえば、捜査は現に妨げられているから、その後に嫌疑不十分で不起訴になっても、成立した罪が消えることはない。丁は、丙が一連の犯行を行い、警察から捜査されていることを認識しながら、丙を自宅にかくまっている。したがって、丙が後に不起訴となっても、丁に犯人蔵匿罪が成立する。

刑法第103条は司法に関する国権の作用を防害する者を処罰しようとするのであるから、「罪ヲ犯シタル者」は犯罪の嫌疑によつて捜査中の者をも含むと解釈しなくては、立法の目的を達し得ない
誤り。違うのは「丁が丙をかくまった行為について犯人蔵匿罪は成立しない」の部分である。103条の「罪を犯した者」は犯罪の嫌疑によって捜査中の者を含み、後に不起訴になっても犯人蔵匿罪の成立は左右されない(最判昭24.8.9)。
103条は、「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」を蔵匿し、又は隠避させた者を処罰する。判例は、同条は司法に関する国権の作用を妨害する者を処罰しようとする規定であるから、「罪を犯した者」は犯罪の嫌疑によって捜査中の者をも含むと解釈しなくては、立法の目的を達し得ないとしている(最判昭24.8.9)。真に罪を犯した者に限るとすると、かくまわれた者の有罪が確定するまで犯人蔵匿罪の成否が決まらず、捜査や審判を妨げる行為を防ぐことができないからである。この立場では、犯人蔵匿罪が成立するかどうかは、かくまった時点で決まる。その時点で捜査の対象となっている者をかくまえば、捜査は現に妨げられているから、その後に嫌疑不十分で不起訴になっても、成立した罪が消えることはない。丁は、丙が一連の犯行を行い、警察から捜査されていることを認識しながら、丙を自宅にかくまっている。したがって、丙が後に不起訴となっても、丁に犯人蔵匿罪が成立する。

刑法第103条は司法に関する国権の作用を防害する者を処罰しようとするのであるから、「罪ヲ犯シタル者」は犯罪の嫌疑によつて捜査中の者をも含むと解釈しなくては、立法の目的を達し得ない
誤り。違うのは「犯人隠避罪は成立せず、証拠偽造罪が成立する」の部分である。「隠避」は蔵匿以外の方法で捜査機関による発見・逮捕を免れさせる一切の行為をいい、身代わり出頭はこれに当たる(最決平元.5.1)。
103条の「隠避させた」とは、蔵匿、すなわち場所を提供してかくまう行為以外の方法によって、捜査機関による犯人の発見・逮捕を免れさせる一切の行為をいう。犯人の身柄を直接隠す行為に限られず、資金を渡して逃がす行為や、犯人がだれであるかの認識を誤らせて捜査を妨げる行為も含まれる。真犯人でない者が自ら犯人であると捜査機関に申し立てる身代わり出頭は、捜査機関が真犯人にたどり着くことを妨げるものであり、古くから犯人隠避罪に当たるとされてきた。判例は、犯人がすでに逮捕勾留された後に他人を身代わり犯人として警察署に出頭させ、自己が犯人である旨の虚偽の陳述をさせた事案でも、現にされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為として隠避に当たるとしている(最決平元.5.1)。身柄確保を妨げる作用が間接的であることは、隠避に当たることを妨げない。丙は、甲の依頼に応じて乙の身代わり犯人として警察に出頭しているから、丙に犯人隠避罪が成立する。

罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
誤り。違うのは「犯人隠避罪は成立せず、証拠偽造罪が成立する」の部分である。「隠避」は蔵匿以外の方法で捜査機関による発見・逮捕を免れさせる一切の行為をいい、身代わり出頭はこれに当たる(最決平元.5.1)。
103条の「隠避させた」とは、蔵匿、すなわち場所を提供してかくまう行為以外の方法によって、捜査機関による犯人の発見・逮捕を免れさせる一切の行為をいう。犯人の身柄を直接隠す行為に限られず、資金を渡して逃がす行為や、犯人がだれであるかの認識を誤らせて捜査を妨げる行為も含まれる。真犯人でない者が自ら犯人であると捜査機関に申し立てる身代わり出頭は、捜査機関が真犯人にたどり着くことを妨げるものであり、古くから犯人隠避罪に当たるとされてきた。判例は、犯人がすでに逮捕勾留された後に他人を身代わり犯人として警察署に出頭させ、自己が犯人である旨の虚偽の陳述をさせた事案でも、現にされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為として隠避に当たるとしている(最決平元.5.1)。身柄確保を妨げる作用が間接的であることは、隠避に当たることを妨げない。丙は、甲の依頼に応じて乙の身代わり犯人として警察に出頭しているから、丙に犯人隠避罪が成立する。

罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
正しい。犯人との口裏合わせに基づき、参考人として、犯人の身柄の拘束を継続することに疑念を生じさせる内容のうその供述をする行為は、犯人を「隠避させた」に当たる(最決平29.3.27)。
103条の「隠避」とは、蔵匿以外の方法により官憲による発見・逮捕を免れさせる一切の行為をいう(大判昭5.9.18)。同条は、捜査、審判及び刑の執行など広い意味での刑事司法の作用を保護するものであるから、犯人がすでに逮捕・勾留されている場合でも、その身柄の拘束を免れさせるような性質の行為は隠避に当たる。判例は、犯人との間で口裏合わせをしたうえ、参考人として警察官の取調べを受けた際に、犯人が犯人として身柄の拘束を継続されることに疑念を生じさせる内容の虚偽の供述をした行為について、「隠避させた」に当たるとしている(最決平29.3.27)。甲が犯した建造物損壊罪は「罰金以上の刑に当たる罪」であり、丁は、甲との口裏合わせに従い、甲の身柄拘束中に、犯行の時間帯に甲がA組事務所にいた旨のうその供述をしている。この供述は、甲が犯人として身柄の拘束を継続されることに疑念を生じさせるものであるから、丁には犯人隠避罪が成立する。

罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
正しい。犯人との口裏合わせに基づき、参考人として、犯人の身柄の拘束を継続することに疑念を生じさせる内容のうその供述をする行為は、犯人を「隠避させた」に当たる(最決平29.3.27)。
103条の「隠避」とは、蔵匿以外の方法により官憲による発見・逮捕を免れさせる一切の行為をいう(大判昭5.9.18)。同条は、捜査、審判及び刑の執行など広い意味での刑事司法の作用を保護するものであるから、犯人がすでに逮捕・勾留されている場合でも、その身柄の拘束を免れさせるような性質の行為は隠避に当たる。判例は、犯人との間で口裏合わせをしたうえ、参考人として警察官の取調べを受けた際に、犯人が犯人として身柄の拘束を継続されることに疑念を生じさせる内容の虚偽の供述をした行為について、「隠避させた」に当たるとしている(最決平29.3.27)。甲が犯した建造物損壊罪は「罰金以上の刑に当たる罪」であり、丁は、甲との口裏合わせに従い、甲の身柄拘束中に、犯行の時間帯に甲がA組事務所にいた旨のうその供述をしている。この供述は、甲が犯人として身柄の拘束を継続されることに疑念を生じさせるものであるから、丁には犯人隠避罪が成立する。

罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
誤り。違うのは「教唆犯は成立し得ない」の部分である。犯人の妻乙の蔵匿は刑が免除され得るだけで犯人蔵匿罪の構成要件に該当し違法であるから、【見解】によれば甲に犯人蔵匿罪の教唆犯が成立し得る。
【見解】は、共犯が成立するためには正犯の行為が構成要件に該当し違法性を具備することを要するとするもので、正犯に責任があることや処罰条件が備わることまでは求めない制限従属性説である。犯人蔵匿罪(103条)は罰金以上の刑に当たる罪を犯した者を蔵匿した者に成立し、犯人の親族がその利益のために犯したときは刑を免除することができる(105条)。この105条は、親族が犯人をかばうのは期待可能性が低いという考慮から刑を免除できるとする規定であり、犯人蔵匿罪の成立そのものを否定するものではない。強盗犯人Aの妻乙がAを蔵匿すれば、乙の行為は犯人蔵匿罪の構成要件に該当し、違法性も備えており、乙について刑が免除され得るにすぎない。したがって、【見解】に従えば、正犯である乙の行為が構成要件に該当し違法である以上、これを唆した甲には犯人蔵匿罪の教唆犯が成立し得る。乙の刑の免除は乙の一身的な事情であり、甲には及ばない。本肢は、正犯の処罰条件や刑の免除まで共犯の成立に要求する誇張従属性説の帰結であり、【見解】からは導かれない。

人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
- ["最小従属性説", "正犯の行為が構成要件に該当すれば足りる。正犯の行為が正当防衛で適法になる場合でも共犯が成立し得る"]
- ["制限従属性説", "正犯の行為が構成要件に該当し、違法であることを要する。正犯に責任がなくても共犯は成立し得る"]
- ["極端従属性説", "正犯の行為が構成要件に該当し、違法で、責任もあることを要する。刑事未成年者を唆しても教唆犯は成立せず、間接正犯の成否を検討する"]
- ["誇張従属性説", "正犯について処罰条件や刑の加重減軽事由まで備わることを要する。正犯の刑が免除される場合は共犯も処罰されない"]
誤り。違うのは「教唆犯は成立し得ない」の部分である。犯人の妻乙の蔵匿は刑が免除され得るだけで犯人蔵匿罪の構成要件に該当し違法であるから、【見解】によれば甲に犯人蔵匿罪の教唆犯が成立し得る。
【見解】は、共犯が成立するためには正犯の行為が構成要件に該当し違法性を具備することを要するとするもので、正犯に責任があることや処罰条件が備わることまでは求めない制限従属性説である。犯人蔵匿罪(103条)は罰金以上の刑に当たる罪を犯した者を蔵匿した者に成立し、犯人の親族がその利益のために犯したときは刑を免除することができる(105条)。この105条は、親族が犯人をかばうのは期待可能性が低いという考慮から刑を免除できるとする規定であり、犯人蔵匿罪の成立そのものを否定するものではない。強盗犯人Aの妻乙がAを蔵匿すれば、乙の行為は犯人蔵匿罪の構成要件に該当し、違法性も備えており、乙について刑が免除され得るにすぎない。したがって、【見解】に従えば、正犯である乙の行為が構成要件に該当し違法である以上、これを唆した甲には犯人蔵匿罪の教唆犯が成立し得る。乙の刑の免除は乙の一身的な事情であり、甲には及ばない。本肢は、正犯の処罰条件や刑の免除まで共犯の成立に要求する誇張従属性説の帰結であり、【見解】からは導かれない。

人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
- ["最小従属性説", "正犯の行為が構成要件に該当すれば足りる。正犯の行為が正当防衛で適法になる場合でも共犯が成立し得る"]
- ["制限従属性説", "正犯の行為が構成要件に該当し、違法であることを要する。正犯に責任がなくても共犯は成立し得る"]
- ["極端従属性説", "正犯の行為が構成要件に該当し、違法で、責任もあることを要する。刑事未成年者を唆しても教唆犯は成立せず、間接正犯の成否を検討する"]
- ["誇張従属性説", "正犯について処罰条件や刑の加重減軽事由まで備わることを要する。正犯の刑が免除される場合は共犯も処罰されない"]
誤り。違うのは「既に逮捕・勾留されている者は含まれない」の部分である。判例は、犯人として逮捕・勾留されている者も103条の「罪を犯した者」に含まれるとしている(最決平元.5.1)。
判例は、103条は捜査、審判及び刑の執行など広義の刑事司法作用を妨害する行為を処罰しようとする趣旨の規定であるとしたうえで、同条にいう罪を犯した者には犯人として逮捕・勾留されている者も含まれ、そのような者に現になされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為も同条の隠避に当たるとした(最決平元.5.1)。これは、真犯人が逮捕・勾留された後に、第三者が身代わりとして捜査機関に出頭して自分が犯人であると申し立てた事案である。身柄が既に確保されていても、身代わり出頭などによって捜査機関の判断を誤らせれば、真犯人の身柄拘束が解かれたり、訴追が妨げられたりする危険が生じるのであり、刑事司法作用に対する侵害の危険は消えていない。隠避とは、蔵匿以外の方法で捜査機関による発見・身柄確保を免れさせる一切の行為をいい、拘束中の者を釈放させる方向に働く行為もこれに含まれる。したがって、既に逮捕・勾留されている者は客体に含まれないとする本肢は誤りである。

刑法103条…にいう『罪ヲ犯シタル者』には、犯人として逮捕勾留されている者も含まれ
誤り。違うのは「既に逮捕・勾留されている者は含まれない」の部分である。判例は、犯人として逮捕・勾留されている者も103条の「罪を犯した者」に含まれるとしている(最決平元.5.1)。
判例は、103条は捜査、審判及び刑の執行など広義の刑事司法作用を妨害する行為を処罰しようとする趣旨の規定であるとしたうえで、同条にいう罪を犯した者には犯人として逮捕・勾留されている者も含まれ、そのような者に現になされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為も同条の隠避に当たるとした(最決平元.5.1)。これは、真犯人が逮捕・勾留された後に、第三者が身代わりとして捜査機関に出頭して自分が犯人であると申し立てた事案である。身柄が既に確保されていても、身代わり出頭などによって捜査機関の判断を誤らせれば、真犯人の身柄拘束が解かれたり、訴追が妨げられたりする危険が生じるのであり、刑事司法作用に対する侵害の危険は消えていない。隠避とは、蔵匿以外の方法で捜査機関による発見・身柄確保を免れさせる一切の行為をいい、拘束中の者を釈放させる方向に働く行為もこれに含まれる。したがって、既に逮捕・勾留されている者は客体に含まれないとする本肢は誤りである。

刑法103条…にいう『罪ヲ犯シタル者』には、犯人として逮捕勾留されている者も含まれ
正しい。判例は、「罪を犯した者」には犯人として逮捕勾留されている者も含まれ、その者の現に受けている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為も「隠避」に当たるとしており、身代わり出頭をした甲には犯人隠避罪が成立する(最決平元.5.1)。
犯人隠避罪(103条)の「隠避」とは、蔵匿以外の方法で官憲による発見・逮捕を免れさせる一切の行為をいう。最決平元.5.1は、103条にいう「罪を犯した者」には犯人として逮捕勾留されている者も含まれ、そのような者をして現になされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為も同条にいう「隠避」に当たるとして、勾留中の犯人の身代わりとして警察官に自己が犯人である旨の虚偽の申告をした行為に犯人隠避罪の成立を認めた。本罪が守るのは刑事司法作用であり、すでに身柄が確保された犯人についても、身代わりの申告によって身柄の拘束が解かれたり捜査・訴追が誤った方向に導かれたりする危険が生じるからである。乙の殺人罪(199条)は罰金以上の刑に当たる罪である。甲は逮捕勾留中の乙に依頼されて身代わり犯人として警察署に出頭し、自己が犯人であるという嘘の申告をしており、これは乙の身柄の拘束を免れさせる性質の行為である。したがって、甲には犯人隠避罪が成立する。

同条にいう「罪ヲ犯シタル者」には、犯人として逮捕勾留されている者も含まれ、かかる者をして現になされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為も同条にいう「隠避」に当たる
誤り。違うのは「甲には犯人蔵匿罪は成立しない」の部分である。「罪を犯した者」には犯罪の嫌疑によって捜査中の者も含まれ、逮捕状の出ている乙をかくまった時点で犯人蔵匿罪は成立しており、後に乙が不起訴処分となっても成立は変わらない(最判昭24.8.9)。
最判昭24.8.9は、103条は司法に関する国権の作用を妨害する者を処罰しようとする規定であるから、「罪を犯した者」は犯罪の嫌疑によって捜査中の者をも含むとした。本罪が守るのは捜査・訴追・裁判という刑事司法作用であり、嫌疑を受けて捜査の対象になっている者をかくまえば、その者が真犯人かどうかにかかわらず捜査が妨げられるからである。そして、犯人蔵匿罪の成否はかくまった時点を基準に判断するので、その後に捜査の対象だった者が不起訴処分になったり無罪判決を受けたりしても、すでに成立した犯人蔵匿罪が遡って否定されることはない。乙には傷害罪(204条)で逮捕状が発付されており、傷害罪の法定刑は15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金であるから、乙は罰金以上の刑に当たる罪の嫌疑によって捜査中の者として「罪を犯した者」に当たる。甲はそれを知りながら乙をかくまっているので、その時点で犯人蔵匿罪が成立する。乙が後に嫌疑不十分で不起訴処分となったことは、甲の罪の成否を左右しない。

刑法第103条は司法に関する国権の作用を防害する者を処罰しようとするのであるから、「罪ヲ犯シタル者」は犯罪の嫌疑によつて捜査中の者をも含む
正しい。判例は、「罪を犯した者」には犯人として逮捕勾留されている者も含まれ、その者の現に受けている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為も「隠避」に当たるとしており、身代わり出頭をした甲には犯人隠避罪が成立する(最決平元.5.1)。
犯人隠避罪(103条)の「隠避」とは、蔵匿以外の方法で官憲による発見・逮捕を免れさせる一切の行為をいう。最決平元.5.1は、103条にいう「罪を犯した者」には犯人として逮捕勾留されている者も含まれ、そのような者をして現になされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為も同条にいう「隠避」に当たるとして、勾留中の犯人の身代わりとして警察官に自己が犯人である旨の虚偽の申告をした行為に犯人隠避罪の成立を認めた。本罪が守るのは刑事司法作用であり、すでに身柄が確保された犯人についても、身代わりの申告によって身柄の拘束が解かれたり捜査・訴追が誤った方向に導かれたりする危険が生じるからである。乙の殺人罪(199条)は罰金以上の刑に当たる罪である。甲は逮捕勾留中の乙に依頼されて身代わり犯人として警察署に出頭し、自己が犯人であるという嘘の申告をしており、これは乙の身柄の拘束を免れさせる性質の行為である。したがって、甲には犯人隠避罪が成立する。

同条にいう「罪ヲ犯シタル者」には、犯人として逮捕勾留されている者も含まれ、かかる者をして現になされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為も同条にいう「隠避」に当たる
誤り。違うのは「甲には犯人蔵匿罪は成立しない」の部分である。「罪を犯した者」には犯罪の嫌疑によって捜査中の者も含まれ、逮捕状の出ている乙をかくまった時点で犯人蔵匿罪は成立しており、後に乙が不起訴処分となっても成立は変わらない(最判昭24.8.9)。
最判昭24.8.9は、103条は司法に関する国権の作用を妨害する者を処罰しようとする規定であるから、「罪を犯した者」は犯罪の嫌疑によって捜査中の者をも含むとした。本罪が守るのは捜査・訴追・裁判という刑事司法作用であり、嫌疑を受けて捜査の対象になっている者をかくまえば、その者が真犯人かどうかにかかわらず捜査が妨げられるからである。そして、犯人蔵匿罪の成否はかくまった時点を基準に判断するので、その後に捜査の対象だった者が不起訴処分になったり無罪判決を受けたりしても、すでに成立した犯人蔵匿罪が遡って否定されることはない。乙には傷害罪(204条)で逮捕状が発付されており、傷害罪の法定刑は15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金であるから、乙は罰金以上の刑に当たる罪の嫌疑によって捜査中の者として「罪を犯した者」に当たる。甲はそれを知りながら乙をかくまっているので、その時点で犯人蔵匿罪が成立する。乙が後に嫌疑不十分で不起訴処分となったことは、甲の罪の成否を左右しない。

刑法第103条は司法に関する国権の作用を防害する者を処罰しようとするのであるから、「罪ヲ犯シタル者」は犯罪の嫌疑によつて捜査中の者をも含む
誤り。違うのは「強盗罪の従犯」が成立するとする点である。乙が現金をポケットにしまった時点で強盗罪は既遂に達しており、その後に犯行の発覚を防いだ行為は正犯の実行を容易にするものではないから、従犯にならない。
従犯(62条1項)は正犯の実行行為を幇助することによって成立するから、幇助行為は正犯の実行が終わる前にされる必要がある。正犯の犯罪が既遂に達して終了した後にこれに関与しても、もはや実行を容易にする余地はなく、継続犯を除いて幇助犯は成立しない。強盗罪は、暴行・脅迫によって反抗を抑圧した相手から財物を強取し、その占有を取得した時点で既遂に達する。乙は、丙から奪った現金を着衣のポケットにしまっており、この時点で丙の現金に対する占有は乙に移り、強盗罪は既遂に達している。甲が乙を草むらに押し戻して警察官をやり過ごした行為は、その後にされたものであり、乙の強取を容易にしたものではなく、既に完成した犯行の発覚を免れさせたにすぎない。したがって甲に強盗罪の従犯は成立しない。罪を犯した者である乙を官憲の発見・逮捕から免れさせた行為として、犯人隠避罪(103条)が成立し得るにとどまる。本肢は誤りである。

正犯を幇助した者は、従犯とする。
- ["幇助行為", "実行行為以外の行為で、正犯の実行を容易にすることです。道具や資金の提供のほか、励ましなどの方法でもかまいません"]
- ["正犯の実行", "正犯が実行に出たことです。正犯の実行が終わった後の手助けは幇助になりません"]
- ["因果性", "幇助行為が正犯の実行を物理的又は心理的に容易にしたことです"]
- ["刑", "正犯の刑を減軽します(63条)。必要的な減軽です"]
- ["従犯の教唆", "従犯を教唆した者には、従犯の刑を科します(62条2項)"]
- ["処罰の制限", "拘留又は科料のみに処すべき罪の従犯は、特別の規定がなければ罰しません(64条)"]
誤り。違うのは「乙が犯人ではないと誤信していたので,甲に犯人蔵匿罪は成立しない」の部分である。103条の「罪を犯した者」には犯罪の嫌疑で捜査の対象となっている者も含まれ、甲はその事実を認識してかくまっているから故意に欠けるところはない。
犯人蔵匿罪(103条)の客体である「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」について、判例は、真犯人に限らず、犯罪の嫌疑によって捜査中の者も含まれるとしている(最判昭24.8.9)。この罪の保護法益は、犯人の発見・逮捕という国の刑事司法作用であり、捜査の対象となっている者をかくまえば、その者が真犯人であるかどうかにかかわらず、捜査は妨げられるからである。そうすると、犯人蔵匿罪の故意としては、かくまう相手が犯罪の嫌疑を受けて捜査の対象となっている者であることを認識していれば足り、その者が真犯人であると認識している必要はない。甲は、乙が殺人事件の被疑者として逮捕状を発付されていることを知った上で隠れ家を提供しており、捜査の対象となっている者であることの認識はある。乙が犯人ではないと信じていたとしても、それは構成要件該当事実の認識を欠くものではなく、故意は阻却されない。後に乙が真犯人と判明して有罪判決が確定したことは、結論を左右する事情ではない。本肢は誤りである。

罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
誤り。違うのは「乙は既に拘束されているので,甲に犯人隠避教唆罪は成立しない」の部分である。判例は、逮捕勾留されている者も「罪を犯した者」に含まれ、現にされている身柄の拘束を免れさせる性質の行為も隠避に当たるとしている。
隠避とは、蔵匿以外の方法で官憲による発見・逮捕を免れさせる一切の行為をいう。既に逮捕勾留されている者については、もはや発見・逮捕を免れさせる余地がないようにも見えるが、判例は、103条の「罪を犯した者」には犯人として逮捕勾留されている者も含まれ、そのような者をして現にされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為も同条にいう隠避に当たるとし、犯人が逮捕勾留された後に他の者を教唆して身代わり犯人として警察署に出頭させ、自己が犯人である旨の虚偽の陳述をさせた行為について、犯人隠避教唆罪の成立を認めた(最決平元.5.1)。犯人蔵匿等罪が保護する刑事司法作用は、犯人の発見・逮捕の段階に限られず、身柄を拘束して訴追に至る過程全体を含むからである。甲は、勾留中の乙の起訴を免れさせるために丙を唆して身代わり出頭をさせており、丙の行為は乙の身柄の拘束を免れさせる性質の隠避行為に当たる。したがって甲には犯人隠避教唆罪が成立し、本肢は誤りである。

「罪ヲ犯シタル者」には、犯人として逮捕勾留されている者も含まれ、かかる者をして現になされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為も同条にいう「隠避」に当たると解すべきである













