第217条過去問 9
老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄した者は、一年以下の拘禁刑に処する。
この条文の過去問 9問
遺棄罪(刑法第217条)の成立には、「老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者」の生命・身体に対する具体的な危険の発生を必要とする。
解説
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この【見解】によれば、保護責任を有しない者が置き去り行為をした場合、刑法第217条で処罰することが可能である。
解説
本肢は誤り。本【見解】は、遺棄罪(刑法217条)の「遺棄」を、要扶助者を現在の場所から他の場所へ移す行為(移置)に限定している。これに対し置き去りは、要扶助者自身は動かさず、行為者の側が立ち去ることによって場所的離隔を生じさせる行為であり、その実質は不作為的性格を帯びる。したがって、本【見解】によれば置き去りは217条の「遺棄」の構成要件該当行為には当たらず、保護責任を有しない者が置き去り行為をしても同条では処罰できない。この帰結は、置き去りのような不作為的態様を処罰するには作為との同価値性を基礎付ける作為義務(本【見解】では218条の「保護する責任」と一致する)が必要であり、それを有しない者には構成要件該当性が認められない、という理解に基づく。なお本【見解】の下では、置き去りを処罰しうるのは保護責任者遺棄等罪(218条、3月以上5年以下の拘禁刑)に限られ、単純遺棄罪(217条、1年以下の拘禁刑)の適用範囲は移置に限られて狭くなる。移置型の事例として、交通事故の被害者を自車に乗せて別の場所へ運び放置した行為を保護責任者遺棄と認めた最判昭和34年7月24日がある。以上より、本肢は本【見解】から導かれない記述であり、誤っている。
この【見解】に対しては、隣り合った条文で用いられている同一の文言の解釈が異なることとなり、妥当でないとの批判が可能である。
解説
本肢は正しい。本【見解】は、217条の「遺棄」を移置に限定する一方、218条の「遺棄」には置き去りをも含めるというように、同一の法律の隣接する条文で用いられている同一の文言を異なる意味に解している。法文の解釈にあたっては、同一法典内の同一文言は原則として同一の意味に解すべきであり(体系的・統一的解釈の要請)、これを条文ごとに使い分けることは文理解釈の枠を超え、処罰範囲の予測可能性を害するおそれがある。ここから、本【見解】に対しては、解釈技術として妥当でないとの批判が可能である。この批判を回避するため、217条・218条の「遺棄」をいずれも移置と置き去りの双方を含むと解し、両条の区別を保護責任の有無のみに求める見解や、逆にいずれも移置に限り置き去りは218条の「不保護」で捉える見解が主張されている。もっとも、本【見解】の側からは、217条は保護責任を要件としない基本類型であって不作為的態様まで含めるのは処罰範囲が広すぎる、との反論が考えられる。いずれにせよ本肢のような批判自体は成り立つから、本肢は正しい。
遺棄罪(刑法第217条)の成立には,生命に対する危険の発生が必要である。
解説
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保護責任者遺棄等罪(刑法第218条)にいう「老年者,幼年者,身体障害者又は病者」は,例示列挙であり,同罪の客体はそれらの者に限られず,扶助を必要とする者であれば足りる。
解説
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甲は,第三者が起こした交通事故により瀕死の重傷を負い路上に倒れていた乙を,既に死亡していると思って山中に遺棄した。この場合,甲に死体遺棄罪は成立しない。
解説
本肢は正しい。甲は死体を遺棄する意思で行為に及んだが、客体は生存者であったから、認識した事実(死体遺棄罪、190条)と発生した事実(遺棄罪、217条)とが異なる構成要件にまたがる抽象的事実の錯誤の事例である。この場合、38条2項の趣旨から、両罪の構成要件が実質的に重なり合う限度で、軽い罪の故意犯の成立が認められるにとどまる(覚醒剤と麻薬の取違いにつき構成要件の実質的重なり合いを認めた最決昭和61年6月9日等参照)。まず、客観的に発生したのは生存者の遺棄であって死体の遺棄ではないから、死体遺棄罪の客観的構成要件を欠き、同罪の既遂は成立しない。そして、死体遺棄罪の保護法益は死者に対する敬虔感情ないし国民の宗教的感情であるのに対し、遺棄罪の保護法益は要扶助者の生命・身体の安全であり、両者は本質的に異なる。行為態様が「遺棄」という点で共通するとしても、保護法益および客体を異にする以上、構成要件の実質的な重なり合いは認められない。したがって、死体遺棄罪の成立を認めることはできない。なお、客観的に実現された遺棄罪についても、甲には客体が要扶助者であるとの認識がないから故意を欠き、同罪も成立しない(甲は第三者が起こした事故の被害者に対し保護責任を負う立場にもない)。以上より、甲に死体遺棄罪は成立しないとする本肢は正しい。
Ⅰの見解に立った場合,甲が愛人である乙を唆して,乙が介護していた乙の老母の生存に必要な保護をやめさせた事例では,甲には保護責任者遺棄罪の教唆犯が成立し,科刑は単純遺棄罪の刑となる。
解説
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甲が上記重傷を負ったAを放置して立ち去った行為には,単純遺棄罪が成立する。
解説
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甲が上記重傷を負ったAを放置して立ち去った行為には,単純遺棄罪が成立する。
解説
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