第130条過去問 21
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
この条文の過去問 21問
住居侵入等罪(刑法第130条)の客体は、人の住居若しくは邸宅又は人の看守する建造物若しくは艦船である。
解説
本肢は誤り。刑法130条前段は「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し」と規定しており、「人の看守する」という限定は邸宅・建造物・艦船のいずれにもかかるが、「人の住居」にはかからない。すなわち、住居については現に人の起臥寝食の用に供されている場所であれば足り、看守されていることは不要である一方、邸宅(居住用建造物であって現に住居として使用されていないもの。空き家、閉鎖中の別荘等)、建造物、艦船については、人の事実上の管理・支配が及んでいること(看守)が客体性の要件となる。本肢は「人の住居若しくは邸宅」を一括りにして邸宅から看守の要件を外し、他方で建造物・艦船にのみ看守を要求している点で、条文の係り受けを取り違えており、客体の範囲を誤っている。客体は構成要件該当性の出発点であり、看守者のいない廃屋等は本罪の客体とならないという帰結にも関わる重要な区別である。なお、本罪の法定刑は現行法上3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金である。
ビラの配布のために集合住宅の共用部分及び敷地内に管理権者の承諾なく立ち入って、その管理権やそこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害したとしても、ビラの内容が政治的意見を記載したものであれば、表現の自由の行使として尊重されるべきであるから、当該立入り行為を刑法第130条前段の罪に問うことは憲法第21条第1項に違反し、許されない。
解説
本肢は誤り。憲法21条1項が保障する表現の自由は、民主政の過程を支える優越的地位を有する重要な権利であるが、無制約ではなく、他者の権利・利益を侵害する態様での行使まで保障するものではない。ビラの配布自体は思想を他人に伝達する手段であり、判例(最判平成20年4月11日。立川反戦ビラ事件)も、政治的意見等を記載したビラの配布はそれ自体としては表現の自由の行使に当たることを正面から認めている。もっとも、同判例が問題としたのは手段方法である。被告人らが立ち入ったのは、職員及びその家族が私的生活を営む集合住宅の共用部分及びその敷地であって、管理者がそのような場所として管理し、一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではなかった。判例は、「たとえ表現の自由の行使のためとはいっても、このような場所に管理権者の意思に反して立ち入ることは、管理権者の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない」とし、当該立入り行為を刑法130条前段の罪に問うことは憲法21条1項に違反しないと判示した。分譲マンションの共用部分に管理組合の意思に反して立ち入った事案である最判平成21年11月30日(葛飾政党ビラ配布事件)も、同様の枠組みで同じ結論を採っている。ここでの規制は、ビラの内容という表現内容に着目したものではなく、住居等への無断立入りという行為態様を捉えたものであり、保護法益たる管理権及び私生活の平穏の重要性に照らして合理的な制約といえる。したがって、ビラの内容が政治的意見を記載したものであるか否かによって結論が左右されるものではなく、政治的表現であることを理由に無断立入りが正当化されることもない。よって、当該立入り行為の処罰が憲法21条1項に違反し許されないとする本肢は誤りである。
ビラの配布のために集合住宅の共用部分及び敷地内に管理権者の承諾なく立ち入って、その管理権やそこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害したとしても、ビラの内容が政治的意見を記載したものであれば、表現の自由の行使として尊重されるべきであるから、当該立入り行為を刑法第130条前段の罪に問うことは憲法第21条第1項に違反し、許されない。
解説
本肢は誤り。憲法21条1項が保障する表現の自由は、民主政の過程を支える優越的地位を有する重要な権利であるが、無制約ではなく、他者の権利・利益を侵害する態様での行使まで保障するものではない。ビラの配布自体は思想を他人に伝達する手段であり、判例(最判平成20年4月11日。立川反戦ビラ事件)も、政治的意見等を記載したビラの配布はそれ自体としては表現の自由の行使に当たることを正面から認めている。もっとも、同判例が問題としたのは手段方法である。被告人らが立ち入ったのは、職員及びその家族が私的生活を営む集合住宅の共用部分及びその敷地であって、管理者がそのような場所として管理し、一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではなかった。判例は、「たとえ表現の自由の行使のためとはいっても、このような場所に管理権者の意思に反して立ち入ることは、管理権者の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない」とし、当該立入り行為を刑法130条前段の罪に問うことは憲法21条1項に違反しないと判示した。分譲マンションの共用部分に管理組合の意思に反して立ち入った事案である最判平成21年11月30日(葛飾政党ビラ配布事件)も、同様の枠組みで同じ結論を採っている。ここでの規制は、ビラの内容という表現内容に着目したものではなく、住居等への無断立入りという行為態様を捉えたものであり、保護法益たる管理権及び私生活の平穏の重要性に照らして合理的な制約といえる。したがって、ビラの内容が政治的意見を記載したものであるか否かによって結論が左右されるものではなく、政治的表現であることを理由に無断立入りが正当化されることもない。よって、当該立入り行為の処罰が憲法21条1項に違反し許されないとする本肢は誤りである。
甲は、現金自動預払機を利用する客のキャッシュカードの暗証番号を盗撮する機器を設置する目的で、行員が常駐しない銀行出張所内に立ち入った。この場合、甲による立入りの外観が一般の利用客のそれと異なることがなければ、甲に建造物侵入罪は成立しない。
解説
本肢は誤り。建造物侵入罪(130条前段)にいう「侵入」とは、判例上、管理権者の意思に反する立入りをいう。銀行の店舗のように一般人の立入りが包括的に許諾されている場所であっても、その許諾は通常の利用目的による立入りに向けられたものであるから、犯罪目的での立入りは許諾の範囲外となり、管理権者の意思に反する立入りとして「侵入」に当たる。判例は、現金自動預払機利用客のキャッシュカードの暗証番号等を盗撮する目的で、現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に立ち入った事案について、「そのような立入りが同所の管理権者である銀行支店長の意思に反するものであることは明らかであるから、その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客のそれと特に異なるものでなくても、建造物侵入罪が成立する」とした(最決平19.7.2)。本肢はこの判例の事案そのものであり、行員が常駐しない出張所であっても管理権が銀行側にあることに変わりはないから、立入りの外観が一般の利用客と異ならなくても甲には建造物侵入罪が成立する。
甲は,警察署の敷地内に駐車中の捜査用車両のナンバーを把握しようと考え,外部から同敷地内への交通を制限するために設置され,内部をのぞき見ることができない構造になっている高さ2.5メートル,幅0.2メートルの同警察署の塀をよじ登り,その上に立った。この場合,甲には,建造物侵入未遂罪が成立するにとどまる。
解説
本肢は誤り。刑法130条前段の「建造物」は建物本体に限られず、その利用のために供される工作物や囲繞地もこれに含まれる。最決平成21年7月13日は、警察署の庁舎建物とその敷地を他から明確に画するとともに外部からの干渉を排除する作用を果たしている塀について、まさに庁舎建物の利用のために供されている工作物であり、「建造物」の一部を構成するものとして建造物侵入罪の客体に当たるとした。そのうえで、外部から見ることのできない敷地に駐車された捜査用車両を確認する目的で塀の上部に上がった行為につき、建造物侵入罪の成立を認めた原判断を正当とした。
この立場によれば、塀そのものが「建造物」の一部である以上、管理権者の意思に反してその上部に上がった時点で客体への「侵入」があり、構成要件該当行為は完了して既遂に達する。塀から敷地内に降り立つことは既遂の要件ではないから、甲が塀の上に立っただけで敷地へ降りる意思がなかったとしても、未遂にとどまるということはない。本肢の甲には建造物侵入罪(130条前段)の既遂が成立し、法定刑は3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金である。したがって、建造物侵入未遂罪が成立するにとどまるとする本肢は誤りである。
甲は,窃盗の目的で,乙が所有し,その扉や窓に施錠して管理していた空き家に立ち入った。
この場合,甲には,邸宅侵入罪が成立する。
解説
本肢は正しい。刑法130条前段は客体として「人の住居」のほか「人の看守する邸宅」を掲げる。「邸宅」とは、居住用に作られた建造物であって現に住居として使用されていないものをいい、空き家や閉鎖中の別荘がその典型である。もっとも住居と異なり、邸宅の場合は「人の看守する」ことが客体の要件として加重されている。ここにいう「看守」とは、人が事実上これを管理・支配していることをいい、常時人が見張っている必要はなく、施錠や巡回等による管理で足りる。
本肢の空き家は、居住用の家屋であって現に人が起臥寝食に用いていないから「邸宅」に当たり、所有者乙が扉や窓に施錠して管理していた以上、乙が事実上支配しているといえるから「人の看守する」ものに当たる。
また「侵入」とは、判例・通説(新住居権説)によれば住居権者・管理権者の意思に反する立入りをいう。窃盗という財産犯の目的での立入りを管理者が承諾するはずはなく、甲の立入りは乙の意思に反するものとして「侵入」に当たる。したがって、甲には人の看守する邸宅侵入罪(130条前段)が成立し、本肢は正しい。なお、その後に窃取行為に及べば窃盗罪との牽連犯(54条1項後段)となる。
甲は,乙会社が所有するビルに窃盗に入る目的で,同ビルに接しており,同社が設置した門扉及び金網フェンスによって,同ビルの利用のために供されるものであることが明示され,部外者の出入りが制限されている敷地部分に立ち入ったが,同ビルに立ち入る前に警備員に取り押さえられた。この場合,甲には,建造物侵入未遂罪が成立するにとどまる。
解説
本肢は誤り。判例は、130条前段の「人の看守する建造物」は建物自体のみを指すのではなく、その囲繞地をも含むと解している(最大判昭和25年9月27日)。そして最判昭和51年3月4日は、囲繞地として建造物侵入罪の客体となるためには、その土地が建物に接してその周辺に存在し、かつ管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することによって、建物の附属地として建物利用のために供されるものであることが明示されていれば足りるとした。囲繞地が保護されるのは、建物の利用に対する事実上の平穏が敷地部分を含めて害されるからである。
本肢の敷地部分は、乙会社所有のビルに接して存在し、同社が設置した門扉及び金網フェンスによって同ビルの利用のために供されるものであることが明示され、部外者の出入りが制限されている。上記の要件をすべて満たすから、この敷地部分は囲繞地として「建造物」の一部を構成する。
そうすると、甲が窃盗の目的でこの敷地部分に立ち入った時点で、管理権者の意思に反する客体への「侵入」があり、建造物侵入罪は既遂に達する。ビル本体に立ち入る前に警備員に取り押さえられたとしても、既遂の成立に影響はない。したがって、建造物侵入未遂罪が成立するにとどまるとする本肢は誤りである。
自己の政治的意見を記載したビラを配布することは表現の自由の行使ということができるが,居住者が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分や敷地内に管理権者の承諾なく立ち入り,集合郵便受けや各室玄関ドアの郵便受けに当該ビラを投かんする行為は,管理権者の管理権を侵害するのみならず,そこで生活する者の私生活の平穏を侵害するものであるから,このような立入り行為をもって邸宅侵入の罪に問うことは許される。
解説
本肢は正しい。自己の政治的意見を記載したビラを他者に配布する行為は、思想・意見を伝達する手段であり、憲法21条1項が保障する表現の自由の行使に当たる。判例(最判平成20年4月11日。いわゆる立川反戦ビラ事件)も、表現の自由が民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければならないことを正面から認めている。もっとも、同項の保障も絶対無制限ではなく、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限に服し、たとえ思想を外部に発表するための手段であっても、その手段が他人の財産権・管理権を不当に害するようなものは許されない。同判例は、集合住宅である宿舎の共用部分および敷地に管理権者の承諾なく立ち入り、集合郵便受けや各室玄関ドアの郵便受けにビラを投かんした行為について、ここで問われているのはビラの内容そのものを処罰することの可否ではなく、表現の手段としてされた立入り行為を処罰することの可否であると整理した。そのうえで、当該場所は「一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない」ことを重視し、たとえ表現の自由の行使のためであっても管理権者の意思に反してそのような場所に立ち入ることは、管理権者の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む居住者の私生活の平穏を害するものであるとして、刑法130条前段の邸宅侵入罪の成立を認めることは憲法21条1項に違反しないとした。すなわち、表現内容に着目した規制ではなく、私的領域への物理的立入りを規律する一般的刑罰法規を適用するにとどまる限り、当該制限は必要かつ合理的なものと評価される。よって本肢は正しい。
甲は,捜査車両をのぞき見て同車両のナンバーを把握するため,警察署の建物及び敷地への外部からの立入りを制限するとともに内部をのぞき見ることができない構造として作用し,建物の利用のために供されている高さ約2.5メートルのコンクリート塀を正当な理由なくよじ登り,その上部に立って同警察署の敷地内の捜査車両を見て立ち去った。この場合,甲には建造物侵入罪は成立し得ない。
解説
本肢は誤り。建造物侵入罪(刑法130条前段)の客体である「建造物」には、建物そのものだけでなく、その付属地であって門塀等の囲障により建物の付属地であることが明示されている、いわゆる囲繞地も含まれると解されている(最大判昭25.9.27)。さらに、判例は本肢とほぼ同一の事案において、警察署庁舎建物とその敷地を他から明確に画するとともに、外部からの干渉を排除する作用を果たし、まさに庁舎建物の利用のために供されている工作物である塀は、「刑法130条にいう『建造物』の一部を構成するもの」として建造物侵入罪の客体に当たるとし、その上部に上がる行為につき同罪の成立を認めた(最決平21.7.13)。塀は囲繞地を画する外郭にとどまらず、建造物それ自体の一部と評価されるという点に、この決定の意義がある。本肢の塀は、高さ約2.5メートルのコンクリート製で、外部からの立入りを制限し内部の観望を遮る構造として作用し、建物の利用のために供されているというのであるから、まさに「建造物」の一部に当たる。甲は捜査車両のナンバーを把握するという、管理権者の意思に明らかに反する目的で正当な理由なくこれによじ登り、その上部に立っているから、管理権者の意思に反する立入りとして「侵入」に当たる。したがって、甲には建造物侵入罪が成立し得るのであって、本肢は誤りである。
甲は,捜査車両をのぞき見て同車両のナンバーを把握するため,警察署の建物及び敷地への外部からの立入りを制限するとともに内部をのぞき見ることができない構造として作用し,建物の利用のために供されている高さ約2.5メートルのコンクリート塀を正当な理由なくよじ登り,その上部に立って同警察署の敷地内の捜査車両を見て立ち去った。この場合,甲には建造物侵入罪は成立し得ない。
解説
本肢は誤り。建造物侵入罪(刑法130条前段)の客体である「建造物」には、建物そのものだけでなく、その付属地であって門塀等の囲障により建物の付属地であることが明示されている、いわゆる囲繞地も含まれると解されている(最大判昭25.9.27)。さらに、判例は本肢とほぼ同一の事案において、警察署庁舎建物とその敷地を他から明確に画するとともに、外部からの干渉を排除する作用を果たし、まさに庁舎建物の利用のために供されている工作物である塀は、「刑法130条にいう『建造物』の一部を構成するもの」として建造物侵入罪の客体に当たるとし、その上部に上がる行為につき同罪の成立を認めた(最決平21.7.13)。塀は囲繞地を画する外郭にとどまらず、建造物それ自体の一部と評価されるという点に、この決定の意義がある。本肢の塀は、高さ約2.5メートルのコンクリート製で、外部からの立入りを制限し内部の観望を遮る構造として作用し、建物の利用のために供されているというのであるから、まさに「建造物」の一部に当たる。甲は捜査車両のナンバーを把握するという、管理権者の意思に明らかに反する目的で正当な理由なくこれによじ登り、その上部に立っているから、管理権者の意思に反する立入りとして「侵入」に当たる。したがって、甲には建造物侵入罪が成立し得るのであって、本肢は誤りである。
甲が乙にAが一人で居住する家屋に侵入するよう唆したところ,乙がAの承諾を得て平穏にその家屋に立ち入った場合,甲には住居侵入罪の教唆犯は成立し得ない。
解説
解説は準備中です。
前記判決の後の判決(最高裁判所平成21年11月30日第二小法廷判決,刑集63巻9号1765頁)では,政党のビラを配布するために民間の分譲マンションの各住戸の廊下等共用部分に立ち入った行為につき,表現の自由の重要性に鑑み,当該マンションの管理者が商業的な宣伝・広告のビラのみならず政党のビラを配布することまで禁止するのは合理性を欠くとして,かかる行為を刑法第130条の罪に問うことは憲法第21条第1項に反する旨判示された。
解説
本肢は誤り。本肢が挙げるのはいわゆる葛飾マンションビラ配布事件(最判平成21年11月30日刑集63巻9号1765頁)であるが、その結論は本肢の記述と正反対である。同判決は、政党の政治的意見等を記載したビラを配布する目的で分譲マンションの共用部分である廊下・階段等に管理組合の承諾なく立ち入った行為につき、刑法130条前段の罪の成立を認め、これを処罰することは憲法21条1項に違反しないとした。その理由づけは立川反戦ビラ事件判決(最判平成20年4月11日刑集62巻5号1217頁)の枠組みを踏襲するものであり、まず「表現の自由は、民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければならず」、政党の政治的意見等を記載したビラの配布は表現の自由の行使に当たることを認めつつ、本件で問われているのは表現そのものの処罰の憲法適合性ではなく、表現の手段としての無断立入りを処罰することの憲法適合性であるとする。その上で、立入り先は住人が私的生活を営む住宅の共用部分であって所有者らで構成される管理組合がそのような場所として管理しており「一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない」ことから、管理組合の意思に反する立入りは管理権および住人の私生活の平穏を侵害するとした。したがって同判決は、配布するビラが商業的な宣伝・広告か政党の政治的意見かによって処罰の可否を分けたものではなく、いずれであれ管理権者の意思に反する立入りである点を捉えて可罰性を肯定したのである。ビラの種類による区別を要求し、憲法21条1項違反とする本肢は誤りである。
甲が乙に対し,留守宅であるA方に侵入して金品を窃取するように教唆したところ,乙は,その旨決意したが,B方をA方と誤認してB方に侵入し,その場にいたBから金品を強取した。
甲にはB方への住居侵入罪及びBに対する窃盗罪の教唆犯が成立する。
解説
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建造物への立入りが平穏な態様で行われた場合には,管理権者があらかじめ立入り拒否の意思を積極的に明示していない限り,建造物侵入罪が成立することはない。
解説
本肢は誤り。判例は、130条前段の「侵入」を管理権者の意思に反する立入りと解しており(意思侵害説)、立入りの態様が平穏か否かは「侵入」該当性を決する独立の基準ではない。すなわち最高裁は、「刑法130条前段にいう『侵入シ』とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいうと解すべきであるから、管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であつても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、他に犯罪の成立を阻却すべき事情が認められない以上、同条の罪の成立を免れない」としている(最判昭和58年4月8日刑集37巻3号215頁)。管理権者の意思は明示に限られず、建造物の性質や立入りの目的等の諸事情から推認される黙示の不同意で足りるのである。したがって、立入りが平穏な態様で行われ、かつ立入り拒否の意思が積極的に明示されていない場合であっても、管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは建造物侵入罪(130条前段)が成立する余地があり、「成立することはない」と言い切る本肢は判例の立場と相容れない。
平穏を害する態様での住居への立入りであっても,住居権者の同意に基づくものである場合には,住居侵入罪の構成要件には該当するが,違法性が阻却される。
解説
本肢は誤り。130条前段の罪の保護法益をめぐっては、住居の事実上の平穏と解する見解(平穏説)と、誰の立入りを許すかを決める住居権者の意思と解する見解(住居権説)とが対立するが、判例は後者に立ち、「侵入」とは住居権者・管理権者の意思に反する立入りをいうとする(最判昭和58年4月8日刑集37巻3号215頁)。この立場からは、住居権者の同意に基づく立入りは、そもそも「意思に反する」立入りではないから「侵入」に当たらず、構成要件該当性が否定される。すなわち住居侵入罪における住居権者の同意は、違法性阻却事由としての被害者の同意ではなく、構成要件該当性を阻却する事情(同意があれば構成要件的評価の対象となる行為が存在しない類型)として位置づけられる。本肢は、立入りの態様が平穏を害するものであることを理由に構成要件該当性を肯定した上で違法性阻却を認めるが、判例の理解によれば同意の存在は構成要件段階で処理されるべきものであるから、「構成要件には該当するが,違法性が阻却される」とする点で誤っている。
建造物への立入りが平穏な態様で行われた場合には,管理権者があらかじめ立入り拒否の意思を積極的に明示していない限り,建造物侵入罪が成立することはない。
解説
本肢は誤り。判例は、130条前段の「侵入」を管理権者の意思に反する立入りと解しており(意思侵害説)、立入りの態様が平穏か否かは「侵入」該当性を決する独立の基準ではない。すなわち最高裁は、「刑法130条前段にいう『侵入シ』とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいうと解すべきであるから、管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であつても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、他に犯罪の成立を阻却すべき事情が認められない以上、同条の罪の成立を免れない」としている(最判昭和58年4月8日刑集37巻3号215頁)。管理権者の意思は明示に限られず、建造物の性質や立入りの目的等の諸事情から推認される黙示の不同意で足りるのである。したがって、立入りが平穏な態様で行われ、かつ立入り拒否の意思が積極的に明示されていない場合であっても、管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは建造物侵入罪(130条前段)が成立する余地があり、「成立することはない」と言い切る本肢は判例の立場と相容れない。
平穏を害する態様での住居への立入りであっても,住居権者の同意に基づくものである場合には,住居侵入罪の構成要件には該当するが,違法性が阻却される。
解説
本肢は誤り。130条前段の罪の保護法益をめぐっては、住居の事実上の平穏と解する見解(平穏説)と、誰の立入りを許すかを決める住居権者の意思と解する見解(住居権説)とが対立するが、判例は後者に立ち、「侵入」とは住居権者・管理権者の意思に反する立入りをいうとする(最判昭和58年4月8日刑集37巻3号215頁)。この立場からは、住居権者の同意に基づく立入りは、そもそも「意思に反する」立入りではないから「侵入」に当たらず、構成要件該当性が否定される。すなわち住居侵入罪における住居権者の同意は、違法性阻却事由としての被害者の同意ではなく、構成要件該当性を阻却する事情(同意があれば構成要件的評価の対象となる行為が存在しない類型)として位置づけられる。本肢は、立入りの態様が平穏を害するものであることを理由に構成要件該当性を肯定した上で違法性阻却を認めるが、判例の理解によれば同意の存在は構成要件段階で処理されるべきものであるから、「構成要件には該当するが,違法性が阻却される」とする点で誤っている。
本罪の客体は,人の住居若しくは邸宅,又は人の看守する建造物若しくは艦船である。
解説
解説は準備中です。
集合住宅の1階出入口から各居室の玄関までの共用部分は,刑法第130条の規定する「住居」に当たる。
解説
解説は準備中です。
建造物に付属し,その利用に供される囲にょう地は,刑法第130条の規定する「建造物」に当たる。
解説
解説は準備中です。
甲は,交通違反の取締りに当たる捜査車両の車種やナンバーをのぞき見るため,外部からの立入りが制限され,内部をのぞき見ることができない構造になっている警察署の高さ約3メートル,幅30センチメートルのコンクリート塀の上に登り,その上部に立って中庭を見たが,塀から降りて中庭に立ち入る意思はなかった。甲には建造物侵入罪が成立する。
解説
本肢は正しい。最決平成21年7月13日は、警察署の庁舎建物とその敷地を他から明確に区画し、外部からの干渉を排除する作用を果たしているコンクリート塀について、まさに庁舎建物の利用のために供されている工作物であって刑法130条にいう「建造物」の一部を構成するとして、建造物侵入罪の客体に当たるとした。そして、外部から見ることのできない敷地に駐車された捜査車両を確認する目的で塀の上部へ上がった行為について、建造物侵入罪の成立を認めた原判断を是認している。
ここでのポイントは、塀を囲繞地への立入りの「境界」として位置づけるのではなく、塀それ自体を建造物の一部と評価した点にある。したがって、塀の上部に上がった時点で既に建造物の一部への「侵入」があり、同罪は既遂に達する。塀から降りて中庭に立ち入る意思がなかったことは、既遂の成否を左右しない。
本肢の甲は、外部からの立入りが制限され内部をのぞき見ることのできない構造の警察署の塀(高さ約3メートル、幅30センチメートル)の上に登り、その上部に立って中庭を見たというのであるから、右判例の事案と同旨であり、建造物侵入罪が成立する。