第172条過去問 2
人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、三月以上十年以下の拘禁刑に処する。
この条文の過去問 2問
甲は、刑務所に服役したいと考えている乙と口裏を合わせ、乙の同意を得て、司法警察員に対し、乙に現金を窃取された旨の虚偽の被害届を提出した。この場合、乙の同意がある以上、甲に虚偽告訴罪は成立しない。
解説
本肢は誤り。虚偽告訴罪(172条)は、人に刑事または懲戒の処分を受けさせる目的で虚偽の申告をする行為を処罰するものである。その保護法益については、第一次的には国家の審判作用(捜査・裁判等の適正な運用)であり、副次的に不当に訴追・処分される個人の利益も含まれると解されている。判例も、本罪が申告を受けた官憲の職務を誤らせる危険を伴う点を重視し、被告訴者本人の承諾があっても本罪の成立は妨げられないとしている(大判大元.12.20)。個人的法益と異なり、国家的法益は個人が自由に処分し得るものではないから、被告訴者の同意は構成要件該当性を否定する事由にも違法性阻却事由にもならないのである。本肢では、甲は乙と口裏を合わせたうえ、乙が現金を窃取したという客観的真実に反する事実を司法警察員に申告しているから、乙の同意があっても甲には虚偽告訴罪が成立する。同意を理由に不成立とする本肢は誤りである(なお、自己に対する虚偽告訴を働きかけた乙についても共犯の成否が問題となる)。
虚偽告訴罪は,告訴の内容が客観的真実に合致していた場合でも,申告者が虚偽であると認識していれば,成立する。
解説
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