第162条過去問 4
1行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、三月以上十年以下の拘禁刑に処する。
2行使の目的で、有価証券に虚偽の記入をした者も、前項と同様とする。
この条文の過去問 4問
甲は、宝くじの当せん金を得るため、外れた宝くじに印字された番号を当せん番号に改ざんした。この場合、甲に有印私文書変造罪が成立する。
解説
本肢は誤り。宝くじ(富くじ)は、当せんした場合に当せん金の支払を請求できる財産上の権利が券面に表示され、その権利の行使に証券の占有を必要とするものであるから、刑法162条1項にいう「有価証券」に当たる。したがって、宝くじの記載を権限なく改ざんする行為は、私文書偽造・変造罪(159条)ではなく、有価証券偽造・変造罪の成否として構成要件該当性を検討すべき場面である。
そのうえで、既に有効に成立している有価証券の非本質的部分に権限なく変更を加えたにとどまり、証券としての同一性が失われない場合は「変造」、これに対し、権利を表章しない紙片等に加工して新たに有価証券としての外観を作出した場合は「偽造」と評価される。判例は、当せんした宝くじの番号をより高額の当せん番号に書き換えた事案について、既存の有価証券に対する加工として有価証券変造罪の成立を認めている(最決昭和33年1月16日)。他方、本肢のようにそもそも当せん金請求権を表章しない外れくじの番号を当せん番号に改ざんした場合は、権利が存在するかのような証券を新たに作り出したものと評価され、有価証券偽造罪の成立を認めた裁判例がある(福岡高判昭和26年8月9日)。
いずれの構成を採るにせよ、成立するのは有価証券に関する罪であって、有印私文書変造罪ではない。よって本肢は誤りである。
甲は、行使の目的で、他人が振り出した額面100万円の小切手の金額欄に「0」を加え、額面1000万円の小切手に改ざんした。この場合、甲に有価証券偽造罪が成立する。
解説
本肢は誤り。小切手は、財産上の権利が証券に表示され、その権利の行使につき証券の占有を必要とするものであるから、刑法162条1項の「有価証券」に当たる。したがって、他人が振り出した小切手の金額欄を改ざんする行為については、同項の偽造罪と変造罪のいずれに当たるかが問題となる。
両者は、既存の有価証券としての同一性が保たれているか否かによって区別される。すなわち、真正に成立した他人名義の有価証券に対し、権限なくその内容に変更を加えたにとどまり、証券としての同一性が失われない場合は「変造」であり、他人名義を冒用して新たに有価証券を作出した場合や、証券としての効力を有しないものに加工して有効な証券の外観を作り出した場合が「偽造」である。判例も、有効に成立している他人名義の有価証券の金額の記載を権限なく変更した事案について、変造に当たるとしている(最判昭和36年9月26日)。金額という記載事項が変更されても、当該証券が表章する権利の基本的性質や証券の同一性そのものは失われないというのがその理由である。
本肢では、他人が有効に振り出した額面100万円の小切手に「0」を加えて額面を1000万円としたにすぎず、小切手としての同一性は維持されているから、成立するのは有価証券変造罪であって有価証券偽造罪ではない。よって本肢は誤りである。
甲は,当選金を得る目的で,外れた宝くじの番号を当選番号に改ざんした。甲には有印私文書変造罪が成立する。
解説
解説は準備中です。
甲は,当選金を得る目的で,外れた宝くじの番号を当選番号に改ざんした。甲には有印私文書変造罪が成立する。
解説
解説は準備中です。