第60条過去問 14
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
この条文の過去問 14問
暴力団員甲及び乙は、対立する暴力団員A及びBを襲撃して殺害することを共謀し、路上を連れ立って歩いていたA及びBを待ち構えた上で、甲がAを、乙がBを、それぞれ殺害した。この場合、甲及び乙を共同正犯とする2個の殺人罪が成立し、これらは併合罪となる。
解説
本肢は正しい。共同正犯(60条)は「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と定めるところ、その趣旨は、共謀に基づき相互に他人の行為を利用・補充し合って犯罪を実現した以上、自ら分担しなかった部分についても正犯としての責任を負うという一部実行全部責任の原則にある。本肢では、甲乙がA・Bの殺害を共謀した上、共謀に基づいて甲がAを、乙がBをそれぞれ殺害しているから、甲は乙のB殺害についても、乙は甲のA殺害についても責任を負い、両名につき殺人罪(199条)の共同正犯が二個成立する。次に罪数についてみると、殺人罪は人の生命という一身専属的な個人的法益を保護する犯罪であるから、その罪数は被害者の数に従って決せられる。そして、Aに対する殺害行為とBに対する殺害行為は、甲と乙による別個の実行行為であって、自然的観察の下で社会的見解上一個の行為とは評価できないから、観念的競合(54条1項前段)ではなく併合罪(45条前段)となる。よって本肢は正しい。これに対し、例えば一個の爆発行為で二人を殺害したような場合は、行為が一個であるから観念的競合となり、両者は区別を要する。
暴力団員甲及び乙は、対立する暴力団員A及びBを襲撃して殺害することを共謀し、路上を連れ立って歩いていたA及びBを待ち構えた上で、甲がAを、乙がBを、それぞれ殺害した。この場合、甲及び乙を共同正犯とする2個の殺人罪が成立し、これらは併合罪となる。
解説
本肢は正しい。共同正犯(60条)は「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と定めるところ、その趣旨は、共謀に基づき相互に他人の行為を利用・補充し合って犯罪を実現した以上、自ら分担しなかった部分についても正犯としての責任を負うという一部実行全部責任の原則にある。本肢では、甲乙がA・Bの殺害を共謀した上、共謀に基づいて甲がAを、乙がBをそれぞれ殺害しているから、甲は乙のB殺害についても、乙は甲のA殺害についても責任を負い、両名につき殺人罪(199条)の共同正犯が二個成立する。次に罪数についてみると、殺人罪は人の生命という一身専属的な個人的法益を保護する犯罪であるから、その罪数は被害者の数に従って決せられる。そして、Aに対する殺害行為とBに対する殺害行為は、甲と乙による別個の実行行為であって、自然的観察の下で社会的見解上一個の行為とは評価できないから、観念的競合(54条1項前段)ではなく併合罪(45条前段)となる。よって本肢は正しい。これに対し、例えば一個の爆発行為で二人を殺害したような場合は、行為が一個であるから観念的競合となり、両者は区別を要する。
刑法第60条における「実行」とは、基本的構成要件の実現に向けた行為に限定され、予備行為はこれに含まれないから、予備罪の共同正犯は成立しない。
解説
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共同正犯に関する刑法第60条は,意思の連絡を要件としているので,過失犯には適用されない。
解説
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【判旨】は,被告人に詐欺未遂罪の共同正犯が成立するには,前記荷物の受領行為自体に未遂犯として処罰すべき法益侵害の危険性が必要であり,その危険性の有無は,一般人が認識可能であった事情及び被告人が特に認識した事情に基づいて判断すべきという立場に立った上で,一般人は,Aが「だまされたふり作戦」に協力している事実を認識することが可能であったとの評価を前提としている。
解説
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共同正犯に関する刑法第60条は,意思の連絡を要件としているので,過失犯には適用されない。
解説
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甲及び乙には,強度の弱いB鋼材で補強工事を行うことの意思連絡はあるが,不注意の共同はあり得ないから,甲及び乙に業務上過失致死罪の共同正犯が成立する余地はない。
解説
本肢は誤り。過失犯についても共同正犯(刑法60条)の成立余地は認められている。最決平成28年7月12日(明石花火大会歩道橋事故)は、業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立するためには「共同の業務上の注意義務に共同して違反したこと」が必要である旨を判示し、その法的構成を、不注意という主観面の共同ではなく、客観的な注意義務違反行為の共同に求めることを明らかにした。古くは最判昭和28年1月23日も、メタノールを含有する飲料を販売した共同経営者双方について業務上過失致死傷罪の共同正犯を認めている。したがって、「不注意の共同はあり得ない」という理由づけによって共同正犯の成立余地を一律に否定する本肢は、判例の立場と整合しない。本事例では、甲・乙は同等の立場で同一の橋脚補強工事に従事し、A鋼材を用いて補強すべきという共同の業務上の注意義務を負っていたところ、両名で相談した上、崩落の予見可能性があるのにこれを予見せず、共同して強度不足のB鋼材による工事を実行している。共同の注意義務に共同して違反したと評価でき、業務上過失致死罪(刑法211条前段、5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)の共同正犯が成立する余地がある。よって本肢は誤りである。
甲は,真冬の深夜,河川堤防でVに激しい暴行を加えたところ,Vは走って逃げ出した。甲は,逃げるVを堤防際まで追い詰めれば,逃げ場を失ったVが堤防から下の川に飛び込んで溺死するかもしれないがそれでも構わないと考え,Vを堤防際まで追い詰めた。逃げ場を失ったVは,甲からの暴行を免れるため,堤防から約3メートル下の川に飛び込んで溺死した。
解説
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Aは,BがVを殴打しようとしているときに,Bに気付かれずにVの足を押さえ付けたため,Bは,Vの顔面を殴打して顔面打撲の傷害を負わせることができた。この場合,Aには傷害罪の共同正犯が成立する。
解説
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甲と乙は,自分たちのことを日頃ばかにするVを懲らしめてやろうと思い,Vに傷害を負わせる旨共謀した。そして,甲と乙は,それぞれ,Vに対し,日頃の恨みを言いながら,その身体を殴り付けた。Vは,これに応答して甲らを罵った。すると,乙は,Vの発言に腹を立て,殺意をもって,隠し持っていたナイフでVを刺し殺した。乙に殺人罪が成立する場合,甲には,Vに対する殺意がなくても殺人罪の共同正犯が成立する。
解説
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甲は,V宅に石を投げ付け窓ガラスを割り始めた。これをたまたま見た乙は,自分も窓ガラスを割りたいと思い,甲に気が付かれないよう,V宅に石を投げ付け,甲が割った窓ガラスとは別の窓ガラスを割った。甲と乙には器物損壊罪の共同正犯は成立しない。
解説
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共同正犯について「構成要件に該当する違法な行為を共謀することによって成立する」と考える見解に立つと,この事例における甲の罪責について,この判旨と結論において一致することはない。
解説
本肢は誤り。まず判旨によれば、甲の第1行為には正当防衛(刑法36条1項)が成立して違法性が阻却され、第2行為については乙との新たな共謀が認められないため共同正犯(60条)が成立せず、甲は自ら第2行為に加担してもいないから、結局甲は不可罰となる。他方、共同正犯を「構成要件に該当する違法な行為を共謀することによって成立する」と解する見解(共謀の対象を違法な行為に限定し、違法は連帯的に判断する立場)に立つと、第1行為は正当防衛として適法であるから、そもそも違法な行為の共謀が存在せず、第1行為について共同正犯は成立しない。そして、第2行為については甲が新たな共謀を交わしていない以上、やはり共同正犯は成立せず、甲は第2行為についても罪責を負わない。すなわちこの見解に立っても、甲は不可罰という結論に至り得る。両者は、離脱を問題とするか新たな共謀を問題とするかという理由づけの構成こそ異なり得るものの、本事例における甲の罪責という結論においては一致し得るのであって、「一致することはない」と断ずることはできない。よって本肢は誤りである。
有印私文書偽造・同行使罪
解説
本肢は正しい。文書偽造罪の本質は、文書から認識される名義人と現実にその意思内容を表示した作成者との人格の同一性を偽る点にある(最判昭和59年2月17日は、密入国者が通称名で再入国許可申請書を作成した事案について、名義人と作成者の人格の同一性が食い違るとして私文書偽造罪の成立を認めた)。名義人が実在しない架空人であっても、その文書が一般人からみて実在の人物が作成したものと受け取られる形式・外観を備えている限り、偽造にあたる。本問の口座開設申込書は預金契約という権利義務に関する私文書であり、そこから認識される作成名義人はBの住所に居住するAなる人物であるのに対し、現実に記載して意思内容を表示したのは甲であるから、両者の人格の同一性に食い違いが生じている。しかも甲はAの姓を刻した印鑑を押しているので、他人の印章を使用したものとして「有印」の要件も満たす。甲は乙と共謀し、銀行に提出して口座を開設するという行使の目的で作成しているから、有印私文書偽造罪の共同正犯(60条、159条1項)が成立する。さらに、これを真正に成立した文書であるかのように装って窓口係丙に提出した行為は偽造私文書行使罪(161条1項)にあたり、その共同正犯も成立する。よって本肢の罪名は成立する。
詐欺罪
解説
本肢は正しい。詐欺罪(246条1項)は、財物交付の判断の基礎となる重要な事項を偽る欺罔行為があり、相手方がこれにより錯誤に陥って財物を交付することで成立する。最高裁平成14年10月21日決定は、他人になりすまして銀行に口座開設を申し込み、通帳の交付を受けた事案につき、預金通帳は預金債権そのものとは別に、それ自体として経済的価値を有する財物であるとして1項詐欺罪の成立を認めている。本問において甲は、貼り替え加工された免許証と虚偽の記載をした申込書を示してA本人であるかのように装っており、窓口係丙は記載内容が虚偽であると知っていれば口座を開設しなかったというのであるから、甲の行為は交付の判断の基礎となる重要事項を偽るものとして欺罔行為にあたる。丙はこれにより甲がAであると誤信し、その錯誤に基づいて即日窓口で預金通帳を交付し、キャッシュカードについてもBの住所宛てに郵送しているから、いずれについても錯誤に基づく処分行為と占有移転が認められる。通帳もキャッシュカードも財物性を有する。甲は乙との共謀に基づいて実行しているから、詐欺罪の共同正犯(60条、246条1項)が成立する。よって本肢の罪名は成立する。