第199条過去問 22
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
この条文の過去問 22問
甲は、4歳の実子Aから甲に殺害されることの承諾を得て、殺意をもってAを包丁で刺殺した。この場合、Aが殺害されることを承諾しているから、甲に殺人罪が成立することはない。
解説
本肢は誤り。202条後段の承諾殺人罪は、殺害されることについての被害者の有効な承諾があることを構成要件要素とする。そして、この承諾が有効といえるためには、被殺者が死の意味を理解する精神能力を備え、自由な意思に基づいて自己の生命の処分を受容していることが必要である。判例も、被殺者が幼児であって死の意義を弁識する能力を欠く場合には、その承諾は同意殺人罪にいう承諾に当たらず、通常の殺人罪が成立するとしている(大判昭和9年8月27日)。本肢のAは4歳の幼児であり、事理弁識能力、とりわけ死の意味を理解する能力を欠くから、その承諾は法的に無効である。したがって202条の適用はない。また、生命は被害者の処分に委ねられた法益ではなく、わが国の刑法は真意に基づく嘱託・承諾がある場合ですら202条により処罰しているのであるから、被害者の承諾による違法性阻却も問題とならない。以上より、殺意をもってAを包丁で刺殺した甲には殺人罪(199条)が成立し、「殺人罪が成立することはない」とする本肢は誤りである。
暴力団員甲及び乙は、対立する暴力団員A及びBを襲撃して殺害することを共謀し、路上を連れ立って歩いていたA及びBを待ち構えた上で、甲がAを、乙がBを、それぞれ殺害した。この場合、甲及び乙を共同正犯とする2個の殺人罪が成立し、これらは併合罪となる。
解説
本肢は正しい。共同正犯(60条)は「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と定めるところ、その趣旨は、共謀に基づき相互に他人の行為を利用・補充し合って犯罪を実現した以上、自ら分担しなかった部分についても正犯としての責任を負うという一部実行全部責任の原則にある。本肢では、甲乙がA・Bの殺害を共謀した上、共謀に基づいて甲がAを、乙がBをそれぞれ殺害しているから、甲は乙のB殺害についても、乙は甲のA殺害についても責任を負い、両名につき殺人罪(199条)の共同正犯が二個成立する。次に罪数についてみると、殺人罪は人の生命という一身専属的な個人的法益を保護する犯罪であるから、その罪数は被害者の数に従って決せられる。そして、Aに対する殺害行為とBに対する殺害行為は、甲と乙による別個の実行行為であって、自然的観察の下で社会的見解上一個の行為とは評価できないから、観念的競合(54条1項前段)ではなく併合罪(45条前段)となる。よって本肢は正しい。これに対し、例えば一個の爆発行為で二人を殺害したような場合は、行為が一個であるから観念的競合となり、両者は区別を要する。
強制性交の目的で、殺意をもって、強度の暴行を加えた上で相手方と性交し、同暴行により、同人を死亡させた場合には、強制性交等致死罪のみが成立する。
解説
本肢は誤り。判例は、姦淫の目的で殺意をもって強度の暴行を加え、被害者を姦淫した上、その暴行により死亡させた事案について、強姦致死罪(当時の刑法181条。現行の不同意性交等致死罪)のみが成立するのではなく、殺人罪(199条)と強姦致死罪とが成立し、両罪は一個の行為が二個の罪名に触れる場合として観念的競合(54条1項前段)になるとしている(最判昭和31年10月25日)。実質的な理由は次の点にある。すなわち、181条の致死罪は基本犯たる性交等の罪から死の結果が生じた場合の結果的加重犯であり、条文の「よって人を死亡させた」という文言からも、死亡結果について故意(殺意)がある場合まで当然に予定した規定とはいえない。加えて、同条2項の法定刑は無期又は6年以上の拘禁刑であって死刑を含まないため、殺意ある殺害についてこれのみを適用すると、死刑又は無期若しくは5年以上の拘禁刑を定める殺人罪(199条)よりも法定刑の上限が軽くなり、著しい不均衡が生ずる。法定刑に死刑を含む強盗殺人罪(240条後段)につき判例が殺意ある場合を含むと解するのと異なり、性犯罪の致死罪では殺人罪を別個に成立させる必要があるのである。したがって、致死罪のみが成立するとする本肢は誤りであり、現行法の下でも不同意性交等致死罪と殺人罪が成立して観念的競合となる。
不作為による殺人罪が成立するためには、行為者と生命の危機に瀕した者との間に親族関係や契約関係が必要であるから、行為者が、そのような関係にない重篤な患者に対する医師の治療を打ち切らせて同患者を一人暮らしの自宅に引き取った上、その生命を維持するために必要な医療措置を受けさせずに同患者を死亡させたとしても、殺人罪は成立し得ない。
解説
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暴力団員甲及び乙は、対立する暴力団員A及びBを襲撃して殺害することを共謀し、路上を連れ立って歩いていたA及びBを待ち構えた上で、甲がAを、乙がBを、それぞれ殺害した。この場合、甲及び乙を共同正犯とする2個の殺人罪が成立し、これらは併合罪となる。
解説
本肢は正しい。共同正犯(60条)は「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と定めるところ、その趣旨は、共謀に基づき相互に他人の行為を利用・補充し合って犯罪を実現した以上、自ら分担しなかった部分についても正犯としての責任を負うという一部実行全部責任の原則にある。本肢では、甲乙がA・Bの殺害を共謀した上、共謀に基づいて甲がAを、乙がBをそれぞれ殺害しているから、甲は乙のB殺害についても、乙は甲のA殺害についても責任を負い、両名につき殺人罪(199条)の共同正犯が二個成立する。次に罪数についてみると、殺人罪は人の生命という一身専属的な個人的法益を保護する犯罪であるから、その罪数は被害者の数に従って決せられる。そして、Aに対する殺害行為とBに対する殺害行為は、甲と乙による別個の実行行為であって、自然的観察の下で社会的見解上一個の行為とは評価できないから、観念的競合(54条1項前段)ではなく併合罪(45条前段)となる。よって本肢は正しい。これに対し、例えば一個の爆発行為で二人を殺害したような場合は、行為が一個であるから観念的競合となり、両者は区別を要する。
間接正犯の実行の着手については,被利用者の行為を基準として実行の着手を判断すべきところ,本件では,それと同様の考え方が妥当する。
解説
本肢は誤り。本件は、行為者の行為と結果発生との間に時間的・場所的な隔たりがある離隔犯において、いつ殺人罪の実行の着手(43条本文)を認めるかが問われる場面である。本肢は、他人を道具として利用する間接正犯の着手時期につき、利用者が被利用者に働きかけた時点を基準とする利用者標準説ではなく、被利用者が結果発生へ向けた行為を開始した時点を基準とする被利用者標準説を前提とし、それと同様の発想を本件に及ぼすものである。被利用者標準説は、正犯性の根拠を利用者の意思支配に求めつつも、法益侵害の現実的危険はあくまで道具たる被利用者の挙動によって初めて生じると考える立場である。この考え方によれば、本件で道具に相当する宅配業者が乙宅へ配達する行為に出て初めて実行の着手が認められることになる。ところが本件ワインは、申込み当日に事務所での保管中に瓶が破損して廃棄され、乙宅に配達されていない。そうすると、甲には殺人罪(199条)の実行の着手が認められず、殺人未遂罪(203条・199条)は成立しないという結論に至る。したがって、本肢は甲に殺人未遂罪の成立を認めるための論拠としては適切でない。なお、判例(大判大正7年11月16日)は毒物を郵送した事案について、それが相手方のもとに到達した時点で着手を認めており、未遂の成立時期を後にずらす本肢の発想と親和的である。
甲は,狩猟仲間のVを熊と誤認して猟銃弾を1発発射し,Vの大腿部に命中させて大量出血を伴う重傷を負わせた直後,自らの誤射に気付き,苦悶するVを殺害して逃走しようと決意し,更に至近距離からVを目掛けて猟銃弾を1発発射し,Vの胸部に命中させてVを失血により即死させた。Vの大腿部の銃創は放置すると十数分で死亡する程度のものである一方,胸部の銃創はそれ単独で放置すると半日から1日で死亡する程度のものであった。この場合,甲の2発目の発射行為とVの死亡との間には,因果関係がない。
解説
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甲は,乙が居住する乙所有の家屋を燃やそうと考え,同家屋に放火し全焼させたところ,同家屋内で就寝中の乙が焼死した。甲が乙を殺そうと考えて同家屋に放火した場合でも,甲には,法定刑に死刑を含む現住建造物等放火罪のみが成立する。
解説
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相手の頭部を殴打する暴行を加えた時点で行為者に責任能力が存在したとしても,その暴行により相手が死亡した時点で行為者に責任能力が存在しなければ,死亡の結果について行為者に刑事責任を問うことはできない。
解説
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不真正不作為犯は,殺人罪や放火罪については成立するが,財産犯については成立しない。
解説
本肢は誤り。不真正不作為犯は、作為義務(保障人的地位)、作為可能性・容易性、そして作為による構成要件実現との同価値性が認められる限り、罪名を問わず成立しうる。生命・身体に対する罪や公共危険罪に限られる理由はなく、財産犯についても成立する。
前段は正しい。殺人罪については最決平成17年7月4日(シャクティ治療事件)が、必要な医療措置を受けさせずに被害者を死亡させた行為に不作為による殺人罪(199条)を認め、放火罪については最判昭和33年9月9日が、自己の過失により生じた火につき必要かつ容易な消火措置をとらなかった不作為に現住建造物等放火罪(108条)を認めている。
しかし後段が誤りである。判例は財産犯についても不作為による実現を認めている。最決平成15年3月12日は、自己の預金口座に誤った振込みがあったことを知った者が、その事情を秘して銀行の窓口で払戻しを請求した事案において、銀行にとって誤振込みの有無は組戻し等の措置をとるために重要な事柄であるから、受取人には信義則上これを告知すべき義務があるとし、これを告げないまま払戻しを受けた行為に詐欺罪(246条1項。現行法の法定刑は10年以下の拘禁刑)の成立を認めた。古くは大判大正7年7月17日も、準禁治産者(現行法の被保佐人に相当)であることを秘して財物の交付を受けた事案につき、欺罔手段は必ずしも積極的行為に限られず、告知義務ある者が故意に黙秘することも欺罔にあたるとしている。
したがって、財産犯について成立しないとする本肢は誤りである。
甲は,Vには自殺がどのようなものかを理解する能力がなく,しかもVが甲の命ずることには何でも服従するのを利用してVを死亡させようと考え,Vに対して,首を吊る方法を教えた上,これを実行するよう命じた。Vは,甲から命じられたとおりに,教えられた方法で自ら首を吊って窒息死した。
解説
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甲は,真冬の深夜,河川堤防でVに激しい暴行を加えたところ,Vは走って逃げ出した。甲は,逃げるVを堤防際まで追い詰めれば,逃げ場を失ったVが堤防から下の川に飛び込んで溺死するかもしれないがそれでも構わないと考え,Vを堤防際まで追い詰めた。逃げ場を失ったVは,甲からの暴行を免れるため,堤防から約3メートル下の川に飛び込んで溺死した。
解説
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尊属殺という特別の罪を設け,刑罰を加重すること自体は直ちに違憲とはならないが,加重 の程度が極端であって,立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し,これを正当化し得べ き根拠を見出し得ないときは,その差別は著しく不合理なものとして違憲となる。
解説
本肢は正しい。最高裁は、尊属殺人を普通殺人より重く処罰していた刑法200条(当時)の憲法14条1項適合性について判断した(最大判昭和48年4月4日)。同判決は、尊属に対する尊重報恩は社会生活上の基本的道義であり、このような自然的情愛ないし普遍的倫理の維持尊重は刑法上の保護に値するとして、尊属の殺害を通常の殺人より重く処罰する規定を設けること、すなわち尊属殺という特別の罪を設けて刑を加重すること自体は、ただちに合理的な根拠を欠く差別的取扱いにあたるとはいえないとした。もっとも同判決は、加重の程度が極端であって、立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し、これを正当化しうべき根拠を見出しえないときは、その差別は著しく不合理なものとして違憲となるとの判断枠組みを示し、刑法200条が法定刑を死刑または無期懲役刑のみに限っている点につき、刑法199条の普通殺と対比して著しく不均衡であり、法律上の減軽を最大限に行っても刑の執行猶予を付し得ない場合が生ずることなどから、立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失するとして、同条を違憲と判断した。本肢の記述はこの判示の趣旨に合致する。よって本肢は正しい。
尊属殺という特別の罪を設け,刑罰を加重すること自体は直ちに違憲とはならないが,加重の程度が極端であって,立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し,これを正当化し得べき根拠を見出し得ないときは,その差別は著しく不合理なものとして違憲となる。
解説
本肢は正しい。平成7年改正により削除される前の刑法200条は、自己または配偶者の直系尊属を殺害した者を死刑または無期懲役のみで処断する旨を定めており、普通殺人罪(同法199条。当時の法定刑は死刑または無期若しくは3年以上の懲役)に比して著しく重い扱いを定めていた。最大判昭和48年4月4日(尊属殺重罰規定違憲判決)は、憲法14条1項の平等は事柄の性質に即応した合理的根拠に基づく区別まで禁ずるものではないという前提に立ち、立法目的の当否と目的達成手段の相当性とを分けて検討した。
まず立法目的については、尊属に対する尊重報恩が社会生活上の基本的道義であり、こうした自然的情愛および普遍的倫理の維持は刑法上の保護に値するとして、尊属の殺害を通常の殺人よりも高度の社会的道義的非難に値するものとみて特別の罪を設け、法定刑を加重すること自体は、あながち不合理とはいえず、直ちに憲法14条1項に違反するものではないとした。
もっとも同判決は、続けて手段の相当性を審査し、「加重の程度が極端であつて、前示のごとき立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し、これを正当化しうべき根拠を見出しえないときは、その差別は著しく不合理なものといわなければならない」と述べた。そして、法定刑を死刑と無期懲役の二種に限る刑法200条の下では、法律上の減軽事由がある場合ですら刑の執行猶予を付すことができず(無期懲役を減軽しても7年以上の懲役にとどまり、さらに酌量減軽を加えても執行猶予の要件を満たさない)、同情すべき事情のある事案について科刑上の調整を不可能にするから、立法目的達成のために必要な限度を遥かに超えるとして、同条は普通殺に関する刑法199条の法定刑に比べ著しく不合理な差別的取扱いをするものであり、憲法14条1項に違反して無効であると結論づけた(同判決は被告人を刑法199条により処断し、酌量減軽のうえ執行猶予を付している)。
本肢は、加重それ自体は合憲であるが加重の程度が極端であれば違憲となるという同判決の二段階の判断枠組みを正確に述べたものであり、正しい。なお、尊属殺という特別の罪を設けること自体が個人の尊厳と人格価値の平等に反し立法目的の段階で違憲であるとしたのは、同判決の少数意見の立場であり、法廷意見と混同しないよう注意を要する。
Aは,BがVを殺害しようとして拳銃で狙っているのを見て,Bの発射した弾丸がVに命中しなかった場合には自らVを射殺してBの目的を達成させようと考え,Bの知らない間に拳銃を持って付近に待機していたが,Bの発射した弾丸がVに当たってVが死亡した。この場合,Aには殺人既遂罪の幇助犯が成立する。
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甲は,登校中の子供に毒入りジュースを飲ませてこれを殺害する目的で,前日の夜に,夜間は人通りのない通学路に致死量を超える毒を混入させたペットボトル入りのジュースを置いた。
甲には殺人罪の実行の着手が認められる。
解説
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この見解は,監禁罪と恐喝罪の罪数関係を,判例における監禁罪と殺人罪の罪数関係と同様に考えている。
解説
解説は準備中です。
Aが甲に対してその特別の能力に基づく治療を行うことを真摯に求めていたという事情があれば,甲にはその治療を行うことについてのみ作為義務が認められるから,この判旨の立場からも殺人罪の成立は否定される。
解説
解説は準備中です。
甲は,通常の判断能力がないVの殺害を計画し,Vに対し,首をつっても仮死状態になるだけであり,必ず生き返るとだまして,Vに首をつらせて窒息死させた。甲には自殺関与罪が成立する。
解説
解説は準備中です。
甲と乙は,自分たちのことを日頃ばかにするVを懲らしめてやろうと思い,Vに傷害を負わせる旨共謀した。そして,甲と乙は,それぞれ,Vに対し,日頃の恨みを言いながら,その身体を殴り付けた。Vは,これに応答して甲らを罵った。すると,乙は,Vの発言に腹を立て,殺意をもって,隠し持っていたナイフでVを刺し殺した。乙に殺人罪が成立する場合,甲には,Vに対する殺意がなくても殺人罪の共同正犯が成立する。
解説
解説は準備中です。
甲は,強姦するため,殺意をもってV女に強度の暴行を加え,同女の反抗を抑圧した上で同女を姦淫し,同暴行により,同女を死亡させた。甲には強姦致死罪のみが成立する。
解説
解説は準備中です。
V1に対する行為について刑法(殺人罪)が適用される。
解説
解説は準備中です。