第163条の2過去問 3
1人の財産上の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するものを不正に作った者は、十年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録を不正に作った者も、同様とする。
2不正に作られた前項の電磁的記録を、同項の目的で、人の財産上の事務処理の用に供した者も、同項と同様とする。
3不正に作られた第一項の電磁的記録をその構成部分とするカードを、同項の目的で、譲り渡し、貸し渡し、又は輸入した者も、同項と同様とする。
この条文の過去問 3問
甲は、窃取したA名義のクレジットカードの番号等を冒用し、インターネット上の決済手段として使用できる電子マネーを不正入手しようと考え、Aの氏名、同番号等の情報をインターネットを介してクレジットカード決済代行業者のコンピュータに送信し、Aが上記電子マネー10万円分を購入した旨の電磁的記録を作出し、これによってインターネット上で同電子マネーを利用することを可能とした。この場合、甲には、支払用カード電磁的記録不正作出罪が成立する。
解説
本肢は誤り。支払用カード電磁的記録不正作出罪(刑法163条の2第1項)の客体は、人の財産上の事務処理の用に供する電磁的記録であって「クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカード」を構成するもの等に限定されている。すなわち、カードという有体物に化体された電磁的記録であることが構成要件上要求されている。本肢で甲が作出したのは、クレジットカード決済代行業者のコンピュータ内に記録された、Aが電子マネー10万円分を購入した旨の電磁的記録であって、カードを構成する電磁的記録ではない。インターネット上の決済手段としての電子マネーは同罪の客体に当たらないから、同罪は成立しない。本肢で成立し得るのは、人の事務処理を誤らせる目的で権利義務に関する私電磁的記録を不正に作出した点で私電磁的記録不正作出罪(161条の2第1項)であり、さらに、コンピュータに虚偽の情報を与えて財産権の得喪・変更に係る不実の電磁的記録を作り、電子マネーという財産上不法の利益を得た点で電子計算機使用詐欺罪(246条の2)が成立する(他人名義のクレジットカード番号を冒用して電子マネーを取得した事案について最決平成18年2月14日参照)。なお、カード自体の窃取については別途窃盗罪(235条)が成立する。よって本肢は誤りである。
甲は,信販会社の財産上の事務処理を誤らせる目的で,権限がないのに,同会社の会員名義のクレジットカードの電磁的記録を白地のカード板の磁気部分に印磁して,クレジットカードを構成する電磁的記録を作成したが,その外観は一般人が真正な支払用カードと誤認する程度のものではなかった。支払用カード電磁的記録不正作出罪が成立するためには,一般人が真正な支払用カードと誤認する程度の外観を備える必要はないから,甲には同罪が成立する。
解説
解説は準備中です。
甲は,信販会社の財産上の事務処理を誤らせる目的で,権限がないのに,同会社の会員名義のクレジットカードの電磁的記録を白地のカード板の磁気部分に印磁して,クレジットカードを構成する電磁的記録を作成したが,その外観は一般人が真正な支払用カードと誤認する程度のものではなかった。支払用カード電磁的記録不正作出罪が成立するためには,一般人が真正な支払用カードと誤認する程度の外観を備える必要はないから,甲には同罪が成立する。
解説
解説は準備中です。