1簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。
2少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。
3前項の申述をするには、当該訴えを提起する簡易裁判所においてその年に少額訴訟による審理及び裁判を求めた回数を届け出なければならない。
この条文の過去問 3問
誤り。違うのは「少額訴訟によらなければならない」の部分である。少額訴訟は、原告が訴え提起の際に求めることができる手続にすぎない(368条1項・2項)。
368条1項本文は、簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができると定め、同条2項は、その申述は訴えの提起の際にしなければならないとする。少額訴訟は、原則として1回の期日で審理を終え(370条1項)、証拠調べを即時に取り調べることができるものに限る(371条)など、審理を大幅に簡略にして少額の紛争を迅速かつ安価に解決するための手続である。その反面、控訴ができず異議にとどまる(377条)など当事者の手続保障を一部切り詰めることになるから、利用を強制せず、原告の選択に委ねたのである。被告にも、最初の口頭弁論期日で弁論するまでは通常の手続への移行を求める機会が与えられている(373条1項)。したがって、訴額が60万円以下であっても通常訴訟を提起することができる。肢は、少額訴訟の利用を強制している点で誤っている。

簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。/少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。
| 手形訴訟 | 少額訴訟 | 支払督促 | |
|---|---|---|---|
| 対象 | 手形による金銭の支払と附帯する法定利率の損害賠償(350条1項) | 簡裁の訴額60万円以下の金銭の支払(368条1項) | 金銭その他の代替物・有価証券の一定数量の給付(382条) |
| 利用 | 原告の選択。訴状に申述を記載(350条2項) | 原告の選択。訴え提起の際に申述(368条2項) | 債権者の申立て。裁判所書記官が発する |
| 通常の手続への移行 | 原告が口頭弁論終結まで被告の承諾なしに申述(353条1項) | 被告が最初の口頭弁論期日で弁論するまで申述(373条1項) | 督促異議で訴え提起とみなす(395条) |
| 判決等への不服 | 控訴できず異議(356条・357条) | 控訴できず異議(377条・378条) | 督促異議(386条2項) |
誤り。違うのは「制限はない」の部分である。同一の簡易裁判所で同一の年に少額訴訟を求めることができる回数は、最高裁判所規則で定める回数(10回)に限られる(368条1項ただし書)。
368条1項は、簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて少額訴訟による審理及び裁判を求めることができると定め、ただし書で、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができないとする。民事訴訟規則223条はその回数を10回と定めている。少額訴訟は、一般の市民が少額の金銭債権を本人で簡易迅速に回収できるようにするための手続であり、貸金業者などが同じ簡易裁判所で繰り返し利用すると、限られた裁判所の手続が特定の事業者の債権回収に占められ、制度の目的が損なわれる。そこで利用回数に上限を設け、申述の際にはその年の利用回数を届け出させ(368条3項)、上限を超えた申述や届出命令に応じないときは、裁判所が通常の手続で審理する旨の決定をしなければならない(373条3項1号・2号)。

簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。
- 対象:簡易裁判所で、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払請求(368条1項本文)
- 回数制限:同一の簡易裁判所で同一の年に最高裁判所規則で定める回数(10回)まで(368条1項ただし書、民訴規則223条)。申述の際に利用回数を届け出る(同条3項)
- 反訴の禁止(369条)
- 一期日審理の原則(370条1項)。証拠調べは即時に取り調べることができる証拠に限る(371条)
- 通常の手続への移行:被告の申述でできるが、最初にすべき口頭弁論の期日で弁論をし、又はその期日が終了した後はできない(373条1項)
- 不服申立て:控訴はできず(377条)、同じ簡易裁判所への異議による(378条1項)。異議後の判決にも控訴はできない(380条1項)
正しい。少額訴訟で請求を認容するときは、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があれば、分割払の定めとあわせて訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する定めをすることができる(375条1項)。
少額訴訟は、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払請求について利用できる(368条1項)から、50万円の請求はその対象となる。375条1項は、裁判所は請求を認容する判決をする場合において、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から3年を超えない範囲内で、支払の時期の定めや分割払の定めをし、これと併せて、その定めによる期限の利益を失うことなく支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定めをすることができると定める。少額の請求では、一括払を命じても被告が払えず強制執行も実効を欠くことが多いので、任意の履行を促すために、原告の申立てにかかわらず支払方法を柔軟に定められるようにしたのである。50万円を5回に分けて毎月10万円ずつとすれば3年以内に収まる。肢は条文のとおりである。

裁判所は、請求を認容する判決をする場合において、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から三年を超えない範囲内において、認容する請求に係る金銭の支払について、その時期の定め若しくは分割払の定めをし、又はこれと併せて、その時期の定めに従い支払をしたとき、若しくはその分割払の定めによる期限の利益を次項の規定による定めにより失うことなく支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定めをすることができる。














