1裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができる。この場合においては、その当事者に宣誓をさせることができる。
2証人及び当事者本人の尋問を行うときは、まず証人の尋問をする。ただし、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、まず当事者本人の尋問をすることができる。
この条文の過去問 17問
正しい。207条1項は、裁判所は申立てにより又は職権で当事者本人を尋問することができると定めている。
207条1項は、裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができると定め、この場合には当事者に宣誓をさせることができるとする。証拠調べは当事者の申出によって始めるのが原則であるが(180条1項)、当事者本人は事件の経緯を最もよく知る人であり、その供述を聴くことは真実の発見に役立つ。一方で、当事者本人に自分に不利なことを語らせる場面もあり、当事者の申出を待っていては適切に審理できないことがある。そこで、当事者尋問は例外として職権でもできるとされた。調査の嘱託(186条)や鑑定の嘱託(218条)と並ぶ、職権による証拠調べの例である。もっとも、証人と当事者本人の両方を尋問するときは、まず証人を尋問するのが原則であり、適当と認めるときに当事者の意見を聴いて順序を変えることができる(207条2項)。肢は207条1項のとおりである。

裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができる。この場合においては、その当事者に宣誓をさせることができる。
| 事項 | 職権 | 条文の書き方 |
|---|---|---|
| 管轄に関する事項の証拠調べ | できる | 職権で証拠調べをすることができる(14条) |
| 義務承継人への訴訟引受け | できない | 当事者の申立てにより(50条1項) |
| 当事者本人の尋問 | できる | 申立てにより又は職権で(207条1項) |
| 仮執行の宣言 | できる | 申立てにより又は職権で(259条1項) |
| 判決の更正決定 | できる | 申立てにより又は職権で(257条1項) |
誤り。違うのは「職権で、証拠保全として、当事者尋問をすることはできない」の部分である。
237条は、裁判所は必要があると認めるときは、訴訟の係属中、職権で証拠保全の決定をすることができると定める。証拠保全は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情がある場合に、証拠調べに関する規定に従ってする証拠調べであり(234条)、証人尋問や検証だけでなく当事者尋問もその方法に含まれる。訴えの提起前は申立てによらなければならないが、訴訟の係属中は、受訴裁判所が事件の内容を把握しており、証拠の散逸を防ぐ必要を自ら判断できるから、職権による証拠保全が認められている。しかも当事者尋問はもともと申立てによるほか職権でもできる証拠調べである(207条1項)。したがって、訴訟の係属中、必要があれば職権で証拠保全として当事者尋問をすることができ、これを否定する肢は誤っている。

裁判所は、必要があると認めるときは、訴訟の係属中、職権で、証拠保全の決定をすることができる。
- 当事者照会(163条):訴訟の係属中、相手方に直接書面で照会する。答えなくても制裁はない
- 提訴前の照会(132条の2):書面による予告通知から4か月以内に、相手方に直接照会する。私生活上の秘密(社会生活に支障が生じるもの)・営業秘密も除外される
- 提訴前の証拠収集の処分(132条の4):裁判所が送付嘱託・調査嘱託・意見陳述の嘱託・執行官の現況調査をする。文書提出命令はできない
- 証拠保全(234条・237条):証拠の使用が困難になる事情があれば、訴えの前後を問わず証拠調べをする。訴訟係属中は職権でもできる
誤り。違うのは「まず当事者本人を尋問しなければならない」の部分である。証人と当事者本人を尋問するときは、まず証人を尋問するのが原則である(207条2項)。
207条2項は、証人及び当事者本人の尋問を行うときは、まず証人の尋問をすると定め、ただし書で、適当と認めるときは当事者の意見を聴いて、まず当事者本人の尋問をすることができるとする。当事者本人は事件の結果に直接の利害を持つから、その供述は自分に有利に傾きやすい。そこで、利害関係の薄い証人の証言を先に聴き、それを踏まえて当事者本人を尋問したほうが、本人の供述の信用性を吟味しやすい。また、先に当事者本人の供述を聴くと、後の証人の証言がそれに引きずられるおそれもある。もっとも、事案の全体像を先に本人から聴いたほうが審理しやすい場合もあるから、当事者の意見を聴いて順序を変えることも認めている。肢は原則と例外を逆にしており誤っている。

証人及び当事者本人の尋問を行うときは、まず証人の尋問をする。ただし、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、まず当事者本人の尋問をすることができる。
| 証人尋問 | 当事者尋問 | |
|---|---|---|
| 開始 | 申出による | 申立てにより又は職権で(207条1項) |
| 宣誓 | させなければならない(201条1項) | させることができる(207条1項) |
| 順序 | 先に行う | 原則として証人の後(207条2項) |
| 不出頭 | 過料・罰金・勾引(192条〜194条) | 相手方の主張を真実と認めることができる(208条) |
正しい。当事者本人に宣誓をさせるかどうかは裁判所の裁量であり、宣誓をさせずに尋問できる(207条1項)。
207条1項は、裁判所は申立てにより又は職権で当事者本人を尋問することができ、この場合においてはその当事者に宣誓をさせることができると定める。証人には特別の定めがある場合を除き宣誓をさせなければならない(201条1項)のと異なり、当事者本人に宣誓をさせるかどうかは裁判所の裁量に委ねられている。当事者本人は事件の結果に直接の利害を持つ立場にあり、宣誓をさせて虚偽の陳述に過料の制裁(209条1項)をかけるかどうかは、事案や本人の態度に応じて裁判所が判断すべきだからである。宣誓をさせない当事者尋問でも、その供述は証拠資料となり、裁判所が自由な心証で評価する。肢は条文どおりである。

裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができる。この場合においては、その当事者に宣誓をさせることができる。
| 証人尋問 | 当事者尋問 | |
|---|---|---|
| 開始 | 申出による | 申立てにより又は職権で(207条1項) |
| 宣誓 | させなければならない(201条1項) | させることができる(207条1項) |
| 順序 | 先に行う | 原則として証人の後(207条2項) |
| 不出頭 | 過料・罰金・勾引(192条〜194条) | 相手方の主張を真実と認めることができる(208条) |
正しい。186条1項は嘱託の主体を裁判所と定め、当事者の申立てを要件としていないから、調査の嘱託は職権ですることができる。
弁論主義のもとでは、事実認定の基礎となる証拠は当事者が申し出たものに限られ、証拠調べは当事者の申出を待って開始するのが原則である。しかし、法は真実の発見や手続の適正の要請から、いくつかの例外を設けている。186条1項は、裁判所は必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができると定め、嘱託の主体を裁判所としたうえで、当事者の申立てを要件としていない。したがって、調査の嘱託は裁判所が職権ですることができる。調査の嘱託は、団体が組織として保有する客観的な事項について簡易な報告を求めるものであり、その結果の信頼性が高く、当事者の一方に偏るおそれも小さいから、裁判所の判断で行うことを認めたのである。職権でできる証拠調べには、ほかに当事者尋問(207条1項)、訴訟係属中の証拠保全(237条)などがある。実務では当事者が申し出ることも多いが、それは職権の発動を促す意味を持つにとどまる。肢は正しい。

裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。/裁判所は、当事者に対し、前項の嘱託に係る調査の結果の提示をしなければならない。
- 嘱託先:官庁・公署、外国の官庁・公署、学校・商工会議所・取引所その他の団体(営利団体を含む)。個人は不可
- 始まり方:当事者の申出・職権・釈明処分(151条1項6号)のいずれでもできる
- 結果の扱い:裁判所は当事者に結果を提示しなければならず(186条2項)、口頭弁論で提示して意見陳述の機会を与えれば援用なしに証拠資料になる(最判昭45.3.26)
- 応じないとき:制裁の規定はない
正しい。186条1項は嘱託の主体を裁判所と定め、当事者の申立てを要件としていないから、調査の嘱託は職権ですることができる。
弁論主義のもとでは、事実認定の基礎となる証拠は当事者が申し出たものに限られ、証拠調べは当事者の申出を待って開始するのが原則である。しかし、法は真実の発見や手続の適正の要請から、いくつかの例外を設けている。186条1項は、裁判所は必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができると定め、嘱託の主体を裁判所としたうえで、当事者の申立てを要件としていない。したがって、調査の嘱託は裁判所が職権ですることができる。調査の嘱託は、団体が組織として保有する客観的な事項について簡易な報告を求めるものであり、その結果の信頼性が高く、当事者の一方に偏るおそれも小さいから、裁判所の判断で行うことを認めたのである。職権でできる証拠調べには、ほかに当事者尋問(207条1項)、訴訟係属中の証拠保全(237条)などがある。実務では当事者が申し出ることも多いが、それは職権の発動を促す意味を持つにとどまる。肢は正しい。

裁判所は、必要な調査を官庁若しくは公署、外国の官庁若しくは公署又は学校、商工会議所、取引所その他の団体に嘱託することができる。/裁判所は、当事者に対し、前項の嘱託に係る調査の結果の提示をしなければならない。
- 嘱託先:官庁・公署、外国の官庁・公署、学校・商工会議所・取引所その他の団体(営利団体を含む)。個人は不可
- 始まり方:当事者の申出・職権・釈明処分(151条1項6号)のいずれでもできる
- 結果の扱い:裁判所は当事者に結果を提示しなければならず(186条2項)、口頭弁論で提示して意見陳述の機会を与えれば援用なしに証拠資料になる(最判昭45.3.26)
- 応じないとき:制裁の規定はない
正しい。当事者本人を尋問する場合には、その当事者に宣誓をさせることができるとされ、宣誓させるかどうかは裁判所の裁量に委ねられている(207条1項後段)。
207条1項は、裁判所は申立てにより又は職権で当事者本人を尋問することができるとし、後段で、この場合にはその当事者に宣誓をさせることができると定める。証人については201条1項が、特別の定めがある場合を除き宣誓をさせなければならないとしているのと対照的である。当事者本人は訴訟の結果に直接の利害を持つため、宣誓をさせて虚偽の陳述に制裁を科しても、その供述の信用性が高まるとは限らない。他方で、事案によっては宣誓をさせて真実を述べるよう促す意味がある。そこで、宣誓をさせるかどうかを裁判所が事案に応じて判断できるようにしたのである。宣誓した当事者が虚偽の陳述をしたときは過料に処せられる(209条1項)が、偽証罪の対象とはならない。肢は207条1項後段のとおりである。

裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができる。この場合においては、その当事者に宣誓をさせることができる。
| 証人尋問 | 当事者尋問 | |
|---|---|---|
| 尋問される者 | 当事者・法定代理人以外の者。訴訟代理人・補助参加人も含む(190条) | 当事者本人と、当事者を代表する法定代理人(207条1項・211条) |
| 始まり方 | 当事者の申出 | 申立て又は職権(207条1項前段) |
| 宣誓 | させなければならない。16歳未満の者などは除く(201条1項・2項) | させることができる(207条1項後段) |
| 正当な理由のない不出頭 | 訴訟費用の負担・過料、罰金・拘留、勾引(192条〜194条) | 尋問事項に関する相手方の主張を真実と認めることができる(208条)。勾引はない |
| 尋問の順序 | 申出をした当事者、他の当事者、裁判長。裁判長は当事者の意見を聴いて変更できる(202条) | 202条を準用(210条) |
| 尋問に代わる書面 | 当事者に異議がなく相当と認めるとき(205条1項) | 準用なし(210条) |
正しい。207条1項前段は、裁判所は申立てにより又は職権で当事者本人を尋問することができると定めている。
207条1項前段は、裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができると定める。弁論主義の下では証拠の提出は当事者の責任であり、証人尋問は当事者の申出がなければ行えない。しかし当事者本人は、紛争の当事者として事件の経緯を最もよく知っている者であり、主張の趣旨がはっきりしないときや、他の証拠だけでは心証が得られないときに、裁判所が自ら本人から事情を聴いて真実に近づけるようにしておく必要がある。そこで、当事者尋問については職権で行うことを認めたのである。同項後段は、その当事者に宣誓をさせることができるとし、宣誓させるかどうかも裁判所の裁量に委ねている。したがって、裁判所は職権で当事者本人を尋問することができ、肢は正しい。

裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができる。この場合においては、その当事者に宣誓をさせることができる。
| 証人尋問 | 当事者尋問 | |
|---|---|---|
| 開始 | 当事者の申出(180条1項) | 申立て又は職権(207条1項) |
| 順序 | 原則として先に行う | 原則として後。当事者の意見を聴いて先にもできる(207条2項) |
| 書類に基づく陳述 | 裁判長の許可があればできる(203条) | 同じ(210条で203条を準用) |
| 尋問に代わる書面 | 当事者に異議がなく相当なときできる(205条) | 準用なし。簡易裁判所ではできる(278条1項) |
| 拒んだときの効果 | 過料・罰金・勾引など | 正当な理由がなければ相手方の主張を真実と認められる(208条) |
正しい。207条2項は、証人と当事者本人の尋問を行うときはまず証人を尋問するとしつつ、適当と認めるときは当事者の意見を聴いてまず当事者本人を尋問できると定めている。
207条2項本文は、証人及び当事者本人の尋問を行うときは、まず証人の尋問をすると定める。当事者本人は訴訟の結果に直接の利害を持つので、その陳述は自分に有利に傾きやすく、利害関係の薄い証人の証言を先に聴いて、それと照らし合わせて当事者本人の陳述を評価するほうが適切だと考えられたからである。しかし同項ただし書は、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、まず当事者本人の尋問をすることができると定める。事件の全体像は当事者本人が最もよく知っているので、先に本人から経緯を聴いたほうが、争点が明確になり、その後の証人尋問を効率よく行える場合があるからである。したがって、裁判所は、当事者から意見を聴いて、まず当事者本人の尋問をすることができる。肢は正しい。

証人及び当事者本人の尋問を行うときは、まず証人の尋問をする。ただし、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、まず当事者本人の尋問をすることができる。
| 証人尋問 | 当事者尋問 | |
|---|---|---|
| 開始 | 当事者の申出(180条1項) | 申立て又は職権(207条1項) |
| 順序 | 原則として先に行う | 原則として後。当事者の意見を聴いて先にもできる(207条2項) |
| 書類に基づく陳述 | 裁判長の許可があればできる(203条) | 同じ(210条で203条を準用) |
| 尋問に代わる書面 | 当事者に異議がなく相当なときできる(205条) | 準用なし。簡易裁判所ではできる(278条1項) |
| 拒んだときの効果 | 過料・罰金・勾引など | 正当な理由がなければ相手方の主張を真実と認められる(208条) |
正しい。法定代理人の尋問には当事者本人の尋問の規定が準用されるので(211条)、法定代理人は証人となることができないが、訴訟代理人にはそのような規定がなく、証人となることができる。
211条本文は、この法律中当事者本人の尋問に関する規定は、訴訟において当事者を代表する法定代理人について準用すると定める。法定代理人は、訴訟能力を欠く本人の身代わりとして訴訟を全面的に追行する者であり、訴訟の結果について本人と同じ立場に立つから、第三者として見聞きした事実を述べる証人ではなく、当事者本人と同じく当事者尋問の手続で尋問するのである。そのため、法定代理人には証人能力がないと解されている。これに対し、訴訟代理人は、当事者の委任を受けて訴訟を追行する者であり、法定代理人ほど当事者と一体の立場にはない。訴訟代理人については当事者尋問の規定を準用する定めもないから、証人能力を否定する理由はなく、自分が担当する訴訟でも証人となることができる。したがって、肢は正しい。

この法律中当事者本人の尋問に関する規定は、訴訟において当事者を代表する法定代理人について準用する。ただし、当事者本人を尋問することを妨げない。
| 法定代理人 | 訴訟代理人 | |
|---|---|---|
| 判決書(電子判決書)の記載 | 必要的記載事項(252条1項5号) | 必要的記載事項ではない |
| 事実の陳述の更正権 | 当事者の更正権なし | 当事者が直ちに取消し・更正できる(57条) |
| 数人いるときの送達 | 一人にすれば足りる(99条2項) | 各自代理するので一人にすれば足りる(56条1項) |
| 死亡・代理権の消滅 | 中断事由(124条1項3号) | 中断しない |
| 尋問 | 当事者尋問の手続(211条)。証人になれない | 証人になれる |
正しい。207条1項前段は、裁判所は申立てにより又は職権で当事者本人を尋問することができると定めている。
弁論主義の下では、証拠は当事者が申し出るのが原則であり、裁判所が職権で証拠調べをすることができるのは法律が特に認めた場合に限られる。207条1項前段は、裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができると定め、当事者尋問をその一つとしている。当事者本人は紛争の経緯を最もよく知る者であり、他の証拠だけでは心証が得られないときや、主張の趣旨がはっきりしないときに、裁判所が自ら本人から事情を聴けるようにしておく必要があるからである。証人尋問は当事者の申出がなければできないのと対照的である。同項後段は、その当事者に宣誓をさせることができるとし、宣誓させるかどうかも裁判所の裁量に委ねている。したがって、裁判所は職権で当事者本人を尋問することができ、肢は正しい。

裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができる。この場合においては、その当事者に宣誓をさせることができる。
正しい。法定代理人の尋問には当事者本人の尋問の規定が準用されるので(211条)、法定代理人は証人となることができないが、訴訟代理人にはそのような規定がなく、証人となることができる。
211条本文は、この法律中当事者本人の尋問に関する規定は、訴訟において当事者を代表する法定代理人について準用すると定める。法定代理人は、訴訟能力を欠く本人の身代わりとして訴訟を全面的に追行する者であり、訴訟の結果について本人と同じ立場に立つから、第三者として見聞きした事実を述べる証人ではなく、当事者本人と同じく当事者尋問の手続で尋問するのである。そのため、法定代理人には証人能力がないと解されている。これに対し、訴訟代理人は、当事者の委任を受けて訴訟を追行する者であり、法定代理人ほど当事者と一体の立場にはない。訴訟代理人については当事者尋問の規定を準用する定めもないから、証人能力を否定する理由はなく、自分が担当する訴訟でも証人となることができる。したがって、肢は正しい。

この法律中当事者本人の尋問に関する規定は、訴訟において当事者を代表する法定代理人について準用する。ただし、当事者本人を尋問することを妨げない。
| 法定代理人 | 訴訟代理人 | |
|---|---|---|
| 判決書(電子判決書)の記載 | 必要的記載事項(252条1項5号) | 必要的記載事項ではない |
| 事実の陳述の更正権 | 当事者の更正権なし | 当事者が直ちに取消し・更正できる(57条) |
| 数人いるときの送達 | 一人にすれば足りる(99条2項) | 各自代理するので一人にすれば足りる(56条1項) |
| 死亡・代理権の消滅 | 中断事由(124条1項3号) | 中断しない |
| 尋問 | 当事者尋問の手続(211条)。証人になれない | 証人になれる |
正しい。207条1項前段は、裁判所は申立てにより又は職権で当事者本人を尋問することができると定めている。
弁論主義の下では、証拠は当事者が申し出るのが原則であり、裁判所が職権で証拠調べをすることができるのは法律が特に認めた場合に限られる。207条1項前段は、裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができると定め、当事者尋問をその一つとしている。当事者本人は紛争の経緯を最もよく知る者であり、他の証拠だけでは心証が得られないときや、主張の趣旨がはっきりしないときに、裁判所が自ら本人から事情を聴けるようにしておく必要があるからである。証人尋問は当事者の申出がなければできないのと対照的である。同項後段は、その当事者に宣誓をさせることができるとし、宣誓させるかどうかも裁判所の裁量に委ねている。したがって、裁判所は職権で当事者本人を尋問することができ、肢は正しい。

裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができる。この場合においては、その当事者に宣誓をさせることができる。
正しい。証人として尋問すべき者を当事者本人として尋問した違法は証拠調べの方式の違法にとどまり、当事者が異議を述べなければ責問権の放棄により治る(最判昭30.6.24)。
最判昭30.6.24は、証人として尋問すべき者を当事者本人として尋問した事案で、その違法は結局証拠調べの方式に関する違法にほかならないから、尋問を受けた者がこれを拒まず、当事者が異議を述べなかった以上、責問権の放棄により治癒されたとした。証人尋問と当事者尋問は、宣誓の扱いや虚偽陳述の制裁などに違いがあるが、いずれも人の供述を証拠とする証拠調べであり、どちらの方式で尋問するかは、主に供述の信用性の担保の仕方にかかわる問題である。供述の内容は裁判官が自由心証で評価でき、方式の誤りが裁判制度の信頼を損なうほどのものではないから、当事者の利益保護のための任意規定の違反として、異議がなければ瑕疵は治る。なお、同判決は職権証拠調べが許される行政事件の事案である。肢は判例の趣旨に沿う。

当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。ただし、放棄することができないものについては、この限りでない。
| 治る(任意規定違反) | 治らない(強行規定違反) | |
|---|---|---|
| 性質 | 主に当事者の利益を守る規定 | 裁判制度の信頼や公益を守る規定 |
| 例 | 宣誓させずにした証人尋問(最判昭29.2.11)、証人を当事者本人として尋問(最判昭30.6.24)、訴えの変更の書面の提出・送達の欠缺(最判昭31.6.19)、送達や呼出しの方式違反 | 裁判官が代わったのに弁論を更新しない、公開停止の要件を欠く公開停止、専属管轄違反、裁判所の構成の違法 |
誤り。違うのは「勾引することができる」の部分である。勾引は証人についての制度であり(194条)、当事者尋問には準用されていない。不出頭の当事者には、尋問事項に関する相手方の主張を真実と認めることができるにとどまる(208条)。
194条1項は、裁判所は正当な理由なく出頭しない証人の勾引を命ずることができると定めるが、当事者本人の尋問に準用される規定を列挙した210条には、194条は含まれていない。証人は第三者であり、その証言を得るには身体を拘束してでも出頭させる必要があるが、当事者は自ら訴訟の結果に利害を持つ者であり、出頭しなければ自分に不利な扱いを受けるという形で協力を促せば足りる。そこで208条は、当事者本人が正当な理由なく出頭せず、又は宣誓若しくは陳述を拒んだときは、裁判所は尋問事項に関する相手方の主張を真実と認めることができると定め、勾引の代わりに訴訟上の不利益を用意したのである。肢は証人尋問の規律を当事者尋問に持ち込んでおり、誤りである。

当事者本人を尋問する場合において、その当事者が、正当な理由なく、出頭せず、又は宣誓若しくは陳述を拒んだときは、裁判所は、尋問事項に関する相手方の主張を真実と認めることができる。
| 証人尋問 | 当事者尋問 | |
|---|---|---|
| 開始 | 当事者の申出(職権ではできない) | 申立てにより又は職権で(207条1項)。相手方本人の尋問も申し立てられる |
| 宣誓 | 原則として必要(201条1項) | させるかどうかは裁判所の裁量(207条1項後段) |
| 不出頭 | 過料・罰金・勾引(192条〜194条) | 勾引はない。相手方の主張を真実と認めることができる(208条) |
| 宣誓・陳述の拒絶 | 過料など | 相手方の主張を真実と認めることができる(208条) |
| 順序 | 先に行うのが原則(207条2項) | 適当と認めるとき当事者の意見を聴いて先に行える |
| 法定代理人 | - | 当事者本人の尋問の規定による(211条) |
誤り。違うのは「まず当事者本人を先に尋問する」の部分である。証人と当事者本人の尋問を行うときは、まず証人を尋問し、適当と認めるときに当事者の意見を聴いて当事者本人を先に尋問できる(207条2項)。
207条2項は、証人及び当事者本人の尋問を行うときは、まず証人の尋問をし、ただし適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、まず当事者本人の尋問をすることができると定める。当事者本人は訴訟の結果に直接の利害を持つから、その供述は自分に有利な方向に傾きやすい。第三者である証人の供述を先に聴き、それを踏まえて当事者本人を尋問するほうが、当事者本人の供述の信用性を確かめやすく、事実の認定が適正になると考えられたのである。もっとも、事件によっては当事者本人から先に事情を聴いたほうが争点が明らかになり、証人尋問を効率よく進められることもあるので、当事者の意見を聴いたうえで順序を逆にすることも認めている。肢は原則と例外を逆にしており、誤りである。

裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができる。この場合においては、その当事者に宣誓をさせることができる。/証人及び当事者本人の尋問を行うときは、まず証人の尋問をする。ただし、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、まず当事者本人の尋問をすることができる。
| 証人尋問 | 当事者尋問 | |
|---|---|---|
| 開始 | 当事者の申出(職権ではできない) | 申立てにより又は職権で(207条1項)。相手方本人の尋問も申し立てられる |
| 宣誓 | 原則として必要(201条1項) | させるかどうかは裁判所の裁量(207条1項後段) |
| 不出頭 | 過料・罰金・勾引(192条〜194条) | 勾引はない。相手方の主張を真実と認めることができる(208条) |
| 宣誓・陳述の拒絶 | 過料など | 相手方の主張を真実と認めることができる(208条) |
| 順序 | 先に行うのが原則(207条2項) | 適当と認めるとき当事者の意見を聴いて先に行える |
| 法定代理人 | - | 当事者本人の尋問の規定による(211条) |
誤り。違うのは「相手方当事者本人の尋問を申し立てることはできない」の部分である。当事者本人の尋問は申立てにより又は職権ですることができ(207条1項)、当事者は相手方当事者本人の尋問も申し立てることができる。
207条1項前段は、裁判所は申立てにより又は職権で当事者本人を尋問することができると定め、申立てができる当事者を、尋問される本人の側に限定していない。当事者本人は、紛争の事実を直接経験していることが多く、相手方本人から事実を聴き出すことが、自分の主張を証明するために最も有効な場合も少なくない。相手方本人の尋問を申し立てられないとすると、相手方だけが知っている事実を証拠として引き出す手段がなくなり、事案の解明が妨げられる。そのため当事者は、自分自身の尋問だけでなく、相手方当事者本人の尋問も申し立てることができ、相手方が正当な理由なく出頭や陳述を拒めば、208条により尋問事項に関する主張を真実と認めてもらえる可能性もある。肢は誤りである。

裁判所は、申立てにより又は職権で、当事者本人を尋問することができる。この場合においては、その当事者に宣誓をさせることができる。/証人及び当事者本人の尋問を行うときは、まず証人の尋問をする。ただし、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、まず当事者本人の尋問をすることができる。
| 証人尋問 | 当事者尋問 | |
|---|---|---|
| 開始 | 当事者の申出(職権ではできない) | 申立てにより又は職権で(207条1項)。相手方本人の尋問も申し立てられる |
| 宣誓 | 原則として必要(201条1項) | させるかどうかは裁判所の裁量(207条1項後段) |
| 不出頭 | 過料・罰金・勾引(192条〜194条) | 勾引はない。相手方の主張を真実と認めることができる(208条) |
| 宣誓・陳述の拒絶 | 過料など | 相手方の主張を真実と認めることができる(208条) |
| 順序 | 先に行うのが原則(207条2項) | 適当と認めるとき当事者の意見を聴いて先に行える |
| 法定代理人 | - | 当事者本人の尋問の規定による(211条) |







