1当事者は、訴訟について、裁判所において口頭弁論をしなければならない。ただし、決定で完結すべき事件については、裁判所が、口頭弁論をすべきか否かを定める。
2前項ただし書の規定により口頭弁論をしない場合には、裁判所は、当事者を審尋することができる。
3前二項の規定は、特別の定めがある場合には、適用しない。
この条文の過去問 3問
正しい。判例は、口頭弁論に関与していない裁判官が署名押印していることを理由に破棄差戻しをするときは、必ずしも口頭弁論を経ることを要しないとした(最判平19.1.16)。
判決は、その基本となる口頭弁論に関与した裁判官がしなければならず(249条1項)、関与していない裁判官が判決をしたことは、法律に従って判決裁判所を構成しなかったものとして絶対的上告理由になる(312条2項1号)。判決は口頭弁論を経てするのが原則であり(87条1項本文)、上告審でその例外を定めるのは上告に理由がないときの319条だけで、破棄する場合の規定はない。しかし判例は、民訴法319条及び140条(313条・297条により上告審に準用)の規定の趣旨に照らせば、上告裁判所は、判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決をした裁判官として署名押印していることを理由として原判決を破棄し、事件を原審に差し戻す旨の判決をする場合には、必ずしも口頭弁論を経ることを要しないとした(最判平19.1.16)。瑕疵は判決自体から明らかで、当事者に弁論させても意味がなく、事件は差戻審で改めて審理されるからである。肢は判例どおりである。

民訴法319条及び140条(同法313条及び297条により上告審に準用)の規定の趣旨に照らせば、上告裁判所は、判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決をした裁判官として署名押印していることを理由として原判決を破棄し、事件を原審に差し戻す旨の判決をする場合には、必ずしも口頭弁論を経ることを要しない
誤り。違うのは「口頭弁論又は相手方が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これをすることができない」の部分である。
証拠保全の申立てについての裁判は決定でされる。87条1項ただし書は、決定で完結すべき事件については裁判所が口頭弁論をすべきか否かを定めるとし、同条2項は、口頭弁論をしない場合には当事者を審尋することができると定めるにとどまる。証拠保全の決定について、相手方が立ち会うことができる審尋の期日を経ることを求める規定はない。証拠保全は証拠の滅失や改変を防ぐための手続であり、迅速さが求められるうえ、相手方に前もって知らせると、かえって文書の廃棄や改ざんを招くおそれがあるからである。証拠調べの期日についても、申立人と相手方を呼び出すのが原則であるが、急速を要する場合は呼び出さなくてよい(240条)。相手方の手続保障は、保全した証拠の証明力を本案で争うことや、証人の再尋問の保障(242条)によって事後的に図られる。肢は誤っている。

当事者は、訴訟について、裁判所において口頭弁論をしなければならない。ただし、決定で完結すべき事件については、裁判所が、口頭弁論をすべきか否かを定める。
- 要件:あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情(234条)
- 方法:証拠調べの章の規定に従うので、証人尋問・当事者尋問・鑑定・書証・検証のいずれもできる
- 申立先:訴え提起前は証拠の所在地等の地裁・簡裁、提起後は使用すべき審級の裁判所、最初の期日指定等から弁論終結までは受訴裁判所。急迫の事情があれば所在地等の裁判所(235条)
- 職権:訴訟の係属中に限りできる(237条)
- 不服申立て:保全の決定にはできない(238条)。却下決定には抗告できる(328条1項)
誤り。違うのは「決定は口頭弁論を経ないでしなければならない」の部分である。決定で完結すべき事件では、口頭弁論をするかどうかを裁判所が定める。
87条1項本文は、当事者は訴訟について裁判所において口頭弁論をしなければならないと定め、判決手続では必要的口頭弁論を原則とする。もっとも、訴えが不適法でその不備を補正することができないときの却下判決(140条)のように、口頭弁論を経ないでできる判決もある。他方、同項ただし書は、決定で完結すべき事件については、裁判所が口頭弁論をすべきか否かを定めるとし、任意的口頭弁論を採っている。決定は迅速な処理が求められる事項についての裁判なので、口頭弁論を経るかどうかを事案に応じて裁判所に選ばせ、口頭弁論をしない場合には当事者を審尋することができるとしたのである(同条2項)。したがって、決定をするのに口頭弁論を開くことは禁じられておらず、裁判所が必要と認めれば口頭弁論を経て決定をすることもできる。肢は、決定について口頭弁論を経てはならないとしている点で、任意的口頭弁論の規定と食い違う。

当事者は、訴訟について、裁判所において口頭弁論をしなければならない。ただし、決定で完結すべき事件については、裁判所が、口頭弁論をすべきか否かを定める。/前項ただし書の規定により口頭弁論をしない場合には、裁判所は、当事者を審尋することができる。
| 判決 | 決定 | 命令 | |
|---|---|---|---|
| 主体 | 裁判所 | 裁判所 | 裁判長・受命裁判官・受託裁判官 |
| 口頭弁論 | 必要的(87条1項本文) | 任意的(87条1項ただし書) | 任意的 |
| 効力の発生 | 言渡し(250条) | 相当と認める方法の告知(119条) | 相当と認める方法の告知(119条) |
| 不服申立て | 控訴・上告 | 抗告 | 抗告 |



























