裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができる。
この条文の過去問 8問
正しい。234条は証拠保全の時期を訴え提起後に限っておらず、訴え提起前でも申立てにより証拠調べができる。
234条は、裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、証拠調べをすることができると定める。本来の証拠調べの時期まで待つと、証拠がなくなったり書き換えられたりして使えなくなるおそれがあるときに、前もって調べて結果を残しておく手続であり、条文は時期を訴え提起後に限っていない。訴え提起前の申立てを予定していることは管轄の規定からも明らかであり、235条2項は、訴えの提起前における証拠保全の申立ては、尋問を受けるべき者や文書を所持する者の居所又は検証物の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所にしなければならないとしている。医療事故で診療録の改ざんを防ぐための提訴前の検証のように、むしろ訴え提起前に使われるのが中心である。肢は234条のとおりである。

裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができる。
- あらかじめ証拠調べをしておかなければ使用が困難になる事情があれば、申立てによりできる。訴え提起前でも後でもよい(234条・235条)
- 訴訟の係属中は職権でも決定できる(237条)
- 相手方を指定できなくても申し立てられ、相手方となるべき者のために特別代理人を選任できる(236条)
- 証拠保全の決定には不服を申し立てられない。却下の決定には抗告できる(238条・328条1項)
- 期日には申立人と相手方を呼び出すが、急速を要するときは呼び出さずにできる(240条)
- 保全手続で尋問した証人は、当事者が申し出れば口頭弁論で尋問しなければならない(242条)
誤り。違うのは「証人の尋問をすることはできない」の部分である。
234条は、裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、「この章の規定に従い」、証拠調べをすることができると定める。証拠保全としての証拠調べは通常の証拠調べの規定に従って行われるので、書証や検証に限られず、証人尋問・当事者尋問・鑑定もできる。訴えの提起前の申立てについて、235条2項は、尋問を受けるべき者若しくは文書を所持する者の居所又は検証物の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所にしなければならないと定めており、「尋問を受けるべき者」を挙げていること自体、提訴前の証拠保全で証人を尋問することを前提にしている。証人が高齢であったり重い病気であったりして、期日を待っていては尋問できなくなるおそれがある場合こそ、証拠保全による証人尋問が必要になる典型である。肢は誤りである。

訴えの提起前における証拠保全の申立ては、尋問を受けるべき者、文書を所持する者若しくは電磁的記録を利用する権限を有する者の居所又は検証物の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所にしなければならない。
誤り。違うのは「期日前においてはすることはできない」の部分である。
180条1項は、証拠の申出は証明すべき事実を特定してしなければならないと定め、同条2項は、証拠の申出は期日前においてもすることができると定める。争点と証拠を整理したうえで証人尋問などをまとめて行う集中証拠調べ(182条)を実現するには、当事者が期日を待たずに証拠を申し出て、裁判所が前もって採否を決め、呼出しなどの準備を進められることが欠かせないからである。検証は、裁判官が自分の五官で物や場所の状態を直接確かめ、その結果を証拠資料とする証拠調べであり、その申出も180条の証拠の申出に当たる。期日前の申出を禁じる規定はないから、検証の申出も期日前にすることができる。なお、訴えの提起前であっても、証拠保全として検証をすることもできる(234条・235条2項)。肢は誤りである。

証拠の申出は、期日前においてもすることができる。
誤り。違うのは「職権で、証拠保全として、当事者尋問をすることはできない」の部分である。
237条は、裁判所は必要があると認めるときは、訴訟の係属中、職権で証拠保全の決定をすることができると定める。証拠保全は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情がある場合に、証拠調べに関する規定に従ってする証拠調べであり(234条)、証人尋問や検証だけでなく当事者尋問もその方法に含まれる。訴えの提起前は申立てによらなければならないが、訴訟の係属中は、受訴裁判所が事件の内容を把握しており、証拠の散逸を防ぐ必要を自ら判断できるから、職権による証拠保全が認められている。しかも当事者尋問はもともと申立てによるほか職権でもできる証拠調べである(207条1項)。したがって、訴訟の係属中、必要があれば職権で証拠保全として当事者尋問をすることができ、これを否定する肢は誤っている。

裁判所は、必要があると認めるときは、訴訟の係属中、職権で、証拠保全の決定をすることができる。
- 当事者照会(163条):訴訟の係属中、相手方に直接書面で照会する。答えなくても制裁はない
- 提訴前の照会(132条の2):書面による予告通知から4か月以内に、相手方に直接照会する。私生活上の秘密(社会生活に支障が生じるもの)・営業秘密も除外される
- 提訴前の証拠収集の処分(132条の4):裁判所が送付嘱託・調査嘱託・意見陳述の嘱託・執行官の現況調査をする。文書提出命令はできない
- 証拠保全(234条・237条):証拠の使用が困難になる事情があれば、訴えの前後を問わず証拠調べをする。訴訟係属中は職権でもできる
誤り。違うのは「証人尋問をすることはできない」の部分である。証拠保全は証拠調べの章の規定に従って行うから、証人尋問もできる(234条・242条)。
234条は、証拠保全の要件がある場合には、裁判所は「この章の規定に従い」証拠調べをすることができると定める。この章とは証拠に関する章であり、証拠保全としてできる証拠調べは、通常の証拠調べと同じく証人尋問、当事者尋問、鑑定、書証、検証のいずれでもよく、証拠方法の種類による制限はない。重い病気や高齢で近いうちに尋問ができなくなるおそれのある者を尋問しておく必要があるのは、まさに証拠保全の典型的な場面である。さらに242条は、証拠保全の手続において尋問をした証人について、当事者が口頭弁論における尋問の申出をしたときは、裁判所はその尋問をしなければならないと定めており、証拠保全として証人尋問がされることを前提としている。証拠保全の手続では相手方が立ち会えないこともあるから、口頭弁論での再尋問を保障したのである。肢は誤っている。

証拠保全の手続において尋問をした証人について、当事者が口頭弁論における尋問の申出をしたときは、裁判所は、その尋問をしなければならない。
- 要件:あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情(234条)
- 方法:証拠調べの章の規定に従うので、証人尋問・当事者尋問・鑑定・書証・検証のいずれもできる
- 申立先:訴え提起前は証拠の所在地等の地裁・簡裁、提起後は使用すべき審級の裁判所、最初の期日指定等から弁論終結までは受訴裁判所。急迫の事情があれば所在地等の裁判所(235条)
- 職権:訴訟の係属中に限りできる(237条)
- 不服申立て:保全の決定にはできない(238条)。却下決定には抗告できる(328条1項)
誤り。違うのは「証人の尋問をすることはできない」の部分である。234条は、証拠保全として「この章の規定に従い」証拠調べをすることができると定めており、証人尋問もその方法に含まれる。
234条は、裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができると定める。この章とは証拠に関する第2編第4章であり、証人尋問、当事者尋問、鑑定、書証、検証などの証拠調べの方法をすべて含む。証拠保全は、本来の証拠調べの時期まで待っていると証拠が使えなくなるおそれがある場合に、前もって証拠調べをしておく手続である。重い病気で余命が短い証人や、近く海外に移住する証人のように、人証こそ早く調べておかなければ失われてしまう典型であり、証人尋問を除く理由はない。したがって、証拠保全として証人の尋問をすることもでき、できないとする肢は誤りである。

裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができる。
誤り。違うのは「証人の尋問をすることはできない」の部分である。234条は、証拠保全として「この章の規定に従い」証拠調べをすることができると定めており、証人尋問もその方法に含まれる。
234条は、裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができると定める。この章とは証拠に関する第2編第4章であり、証人尋問、当事者尋問、鑑定、書証、検証などの証拠調べの方法をすべて含む。証拠保全は、本来の証拠調べの時期まで待っていると証拠が使えなくなるおそれがある場合に、前もって証拠調べをしておく手続である。重い病気で余命が短い証人や、近く海外に移住する証人のように、人証こそ早く調べておかなければ失われてしまう典型であり、証人尋問を除く理由はない。したがって、証拠保全として証人の尋問をすることもでき、できないとする肢は誤りである。

裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができる。
誤り。違うのは「訴え提起後は,証拠保全をすることができない」の部分である。証拠保全は訴えの提起後もすることができ(235条1項)、訴訟の係属中は職権で証拠保全の決定をすることもできる(237条)。
234条は、裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより証拠調べをすることができると定め、235条1項は、訴えの提起後における証拠保全の申立てはその証拠を使用すべき審級の裁判所にしなければならないと定める。さらに237条は、訴訟の係属中に職権で証拠保全の決定をすることも認める。訴えが提起されて訴訟手続での証拠調べが可能になっても、争点と証拠の整理が終わって証人尋問を行うまでには時間がかかり、その間に証人が重い病気で死亡するおそれがあったり、記録が改ざんされるおそれがあったりすることは少なくない。証拠保全はそうした場合に本来の時期を待たずに証拠を調べておく制度であるから、訴え提起の前後を問わず必要になる。肢は誤りである。

訴えの提起後における証拠保全の申立ては、その証拠を使用すべき審級の裁判所にしなければならない。ただし、最初の口頭弁論の期日が指定され、又は事件が弁論準備手続若しくは書面による準備手続に付された後口頭弁論の終結に至るまでの間は、受訴裁判所にしなければならない。
- 申出:証明すべき事実を特定してする。期日前にもできる(180条)
- 集中証拠調べ:証人と当事者本人の尋問は、できる限り争点と証拠の整理の後に集中して行う(182条)。書証などは整理の段階で調べる
- 欠席:当事者が期日に出頭しなくても証拠調べはできる(183条)
- 裁判所外:相当と認めるときは裁判所外でもでき、受命裁判官・受託裁判官にさせられる(185条1項)。証人尋問は195条の場合に限る
- 証拠保全:あらかじめ調べておかないと使用が困難になる事情があればできる。訴え提起の前後を問わない(234条・235条)













