1訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることができる。ただし、勝訴の見込みがないとはいえないときに限る。
2訴訟上の救助の決定は、審級ごとにする。
この条文の過去問 3問
誤り。違うのは「裁判所又は相手方の求めがなくとも」の部分である。
民事訴訟規則82条1項は、文書を準備書面に引用した当事者は、裁判所又は相手方の求めがあるときは、その写しを提出しなければならないと定める。写しを提出する義務は、裁判所か相手方から求めがあることを条件としており、求めがなくても当然に提出しなければならないとする規定はない。準備書面で文書に触れたからといって、その文書をただちに証拠として調べるわけではなく、中身を確かめる必要があるかどうかは裁判所や相手方の判断に任せれば足りるので、一律に提出を義務づけず、求めがあったときに限ったのである。なお、その文書を証拠として使う場合には、これとは別に書証の申出として文書を提出し(219条)、その写しを相手方に直送することになる(規則137条1項)。肢は規則82条1項の「求めがあるときは」という要件を落としている点で誤っている。

文書を準備書面に引用した当事者は、裁判所又は相手方の求めがあるときは、その写しを提出しなければならない。
- 口頭弁論は書面で準備しなければならない(161条1項)。簡易裁判所では要しない(276条1項)
- 準備書面は裁判所に提出するとともに、相手方に直送する(規則79条1項・83条)
- 相手方の主張する事実を否認するときは理由を書く(規則79条3項)
- 準備書面に引用した文書の写しは、裁判所又は相手方の求めがあるときに提出する(規則82条1項)
- 準備書面は期日で陳述されて初めて訴訟資料になる(最初の期日の欠席なら158条の陳述擬制)
- 相手方が在廷していない口頭弁論では、送達された準備書面などに記載した事実でなければ主張できない(161条3項)
誤り。違うのは「申立て又は職権ですることができる」の部分である。訴訟上の救助の決定は、申立てによってのみすることができる(82条1項)。
82条1項は、訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることができると定め、ただし書で勝訴の見込みがないとはいえないときに限るとしている。訴訟上の救助は、資力の乏しい者にも裁判を受ける機会を実質的に保障するため、裁判費用などの支払を猶予する制度である(83条1項)。もっとも、救助を受けるかどうかは、自らの資力の状況を明らかにして支払の猶予を求める当事者の意思に委ねるべき事柄であり、裁判所が当事者の資力を職権で調べて救助を与えることは予定されていない。そのため条文は「申立てにより」と定め、職権による救助を認めていない。また、救助の決定は審級ごとにする(82条2項)。肢は、職権でもできるとしている点で条文に反する。

訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることができる。ただし、勝訴の見込みがないとはいえないときに限る。
- 負担の裁判:事件を完結する裁判で、職権で訴訟費用の全部について負担の裁判をする(67条1項)
- 敗訴者負担:訴訟費用は敗訴の当事者が負担する(61条)
- 不必要な行為:勝訴者にも、権利の伸張又は防御に必要でない行為で生じた費用を負担させられる(62条)
- 和解:費用の負担について特別の定めがなければ各自が負担する(68条)
- 訴訟費用の範囲:民事訴訟費用等に関する法律が定める費用に限られ、任意に選任した弁護士の報酬は含まれない
- 訴訟上の救助:資力のない者に、申立てにより決定で与える。勝訴の見込みがないとはいえないときに限る(82条1項)
誤り。違うのは「弁護士費用を支払う資力がないことを考慮することはできない」の部分である。訴訟上の救助の資力要件にいう「訴訟の準備及び追行に必要な費用」には弁護士費用も含まれる(82条1項)。
82条1項は、訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は申立てにより訴訟上の救助の決定をすることができ、ただし勝訴の見込みがないとはいえないときに限ると定める。救助の決定によって猶予されるのは手数料や送達費用などの裁判費用であるが、資力の有無を判断する基準は「訴訟の準備及び追行に必要な費用」であり、裁判費用だけでなく、訴訟の準備に必要な費用や訴訟を追行するための弁護士費用も含まれると解されている。資力の乏しい者にも訴訟を利用できるようにするという制度の目的からすれば、実際に訴訟をするのに必要な費用全体を払えるかどうかで判断すべきだからである。不法行為の損害賠償では弁護士費用の一部を損害として請求できる場合があるが、それは勝訴して初めて回収できるものにすぎず、訴訟を準備し追行する時点で負担が生じることに変わりはない。肢はこの点を取り違えている。

訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることができる。ただし、勝訴の見込みがないとはいえないときに限る。

