1鑑定に必要な学識経験を有する者は、鑑定をする義務を負う。
2第百九十六条又は第二百一条第四項の規定により証言又は宣誓を拒むことができる者と同一の地位にある者及び同条第二項に規定する者は、鑑定人となることができない。
この条文の過去問 3問
正しい。当事者が任意に選んだ専門家の意見書(私鑑定)は、法定の鑑定ではないが、書証として提出することができる。
民事訴訟法の鑑定は、裁判所が鑑定人を指定し(213条)、宣誓をさせたうえで、専門的な経験則やそれを当てはめた結果について意見を述べさせる証拠調べであり、忌避の制度(214条)など、中立性と信用性を確保する仕組みがある。これに対し、当事者が学識経験のある第三者を自分で選んで判断を依頼し、作らせた報告書は、こうした法定の手続を経ていないので鑑定ではない。しかし、民事訴訟法は証拠として使えるものを限定しておらず、その報告書は作成者の意見や判断が書かれた文書であるから、当事者はこれを書証として提出することができる(219条)。これは私鑑定と呼ばれ、その証明力は裁判所が自由な心証で評価する(247条)。作成者が当事者の依頼を受けていて中立性の保障がない点は、証明力を判断する際に考慮されるにとどまる。必要があれば作成者を証人として尋問したり、改めて鑑定をしたりすることもできる。肢は正しい。

書証の申出は、文書を提出し、又は文書の所持者にその提出を命ずることを申し立ててしなければならない。
| 手段 | 内容 | 証拠資料になるか |
|---|---|---|
| 調査の嘱託(186条) | 団体に保有資料に基づく客観的事項の報告を求める | なる |
| 専門委員(92条の2) | 専門的知見に基づく説明で裁判所の理解を助ける | ならない |
| 鑑定(212条以下) | 裁判所が指定した鑑定人が専門的知見に基づく意見を述べる | なる |
| 鑑定の嘱託(218条) | 官公署や相当の設備を有する法人に鑑定を頼む | なる |
| 私鑑定 | 当事者が依頼した専門家の意見書を書証として出す | 書証としてなる |
正しい。鑑定に必要な学識経験を有する者は鑑定をする義務を負うから、受訴裁判所から鑑定人に指定されれば鑑定をしなければならない(212条1項・213条)。
212条1項は、鑑定に必要な学識経験を有する者は鑑定をする義務を負うと規定し、213条は、鑑定人は受訴裁判所、受命裁判官又は受託裁判官が指定すると規定する。鑑定は、裁判官に欠けている専門的な知識や経験則を補うための証拠調べであり、適切な鑑定人が得られなければ裁判所は専門的な事項について正しい判断ができない。そこで、証人義務と同じく、日本の裁判権に服する者に対する公法上の義務として鑑定義務を定め、鑑定に必要な学識経験を有する者が鑑定人に指定されたときは鑑定をしなければならないとしたのである。正当な理由なく出頭しない鑑定人には過料などの制裁が準用されるが、証人の勾引(194条)は準用されていない(216条)。鑑定人は代わりのきく者だからである。また、証言拒絶事由がある者や宣誓をさせることができない者は鑑定人となることができない(212条2項)。肢は鑑定人となることができる者を前提としており、212条1項どおりである。

鑑定に必要な学識経験を有する者は、鑑定をする義務を負う。
正しい。鑑定に必要な学識経験を有する者は鑑定義務を負い、証言・宣誓を拒める者と同一の地位にある者などは鑑定人となれない(212条1項・2項)。
212条1項は、鑑定に必要な学識経験を有する者は鑑定をする義務を負うと定め、同条2項は、196条又は201条4項により証言又は宣誓を拒むことができる者と同一の地位にある者と、201条2項に規定する者(16歳未満の者や宣誓の趣旨を理解できない者)は鑑定人となることができないと定める。鑑定は裁判官の知識を補うために専門家の学識経験を借りるものであり、証人義務と同じく、裁判への協力義務として学識経験者一般に課されている。ただし、当事者と近い関係にあって公正な意見を期待しにくい者や、宣誓をさせられない者には鑑定を任せられないので、鑑定人の資格から除かれる。肢の「鑑定人となることができないものを除き」はこの2項を指しており、212条のとおりである。鑑定人は代わりの者を選べるので、勾引の規定(194条)は準用されず、不出頭には過料等で対応する(216条)。

鑑定に必要な学識経験を有する者は、鑑定をする義務を負う。/2 第百九十六条又は第二百一条第四項の規定により証言又は宣誓を拒むことができる者と同一の地位にある者及び同条第二項に規定する者は、鑑定人となることができない。











