1裁判所は、訴訟が裁判をするのに熟したときは、終局判決をする。
2裁判所は、訴訟の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局判決をすることができる。
3前項の規定は、口頭弁論の併合を命じた数個の訴訟中その一が裁判をするのに熟した場合及び本訴又は反訴が裁判をするのに熟した場合について準用する。
この条文の過去問 5問
誤り。違うのは「裁判所は、直ちに原告の請求を認容する判決をすることができる」の部分である。
被告が答弁書も出さず期日に欠席すれば、原告が主張した事実を自白したものとみなされる(159条3項・1項)。しかし擬制自白が成り立つのは、原告が主張した事実の範囲に限られる。訴状に請求を特定するのに必要な事実しか書かれておらず、請求を理由付ける事実、つまり権利の発生を基礎付ける事実が主張されていなければ、その部分について自白が擬制される余地はない。しかも相手方が在廷していない口頭弁論では、送達された準備書面などに記載した事実でなければ主張できないので(161条3項)、原告が期日に口頭で請求を理由付ける事実を補うこともできない。そうすると、請求を認容するのに必要な事実がそろわず、訴訟が裁判をするのに熟したとはいえない(243条1項)。裁判所は原告に主張を補うよう促すべきであり、直ちに請求認容判決をすることはできない。肢は誤りである。

相手方が在廷していない口頭弁論においては、次の各号のいずれかに該当する準備書面に記載した事実でなければ、主張することができない。/一 相手方に送達された準備書面
正しい。答弁書等を出さずに欠席した転借人には擬制自白が成立し(159条3項・1項)、本訴は通常共同訴訟であるから、弁論を分離して転借人に対する請求を認容できる。
159条3項本文は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合に同条1項を準用し、相手方の主張した事実を争うことを明らかにしないものとして自白したものとみなす。転借人は訴状の送達を受けながら答弁書その他の準備書面を提出せずに最初の期日に欠席しているから、陳述したものとみなされる書面もなく、賃貸人の主張する所有権と転借人の占有などの事実について擬制自白が成立する。公示送達による呼出しではないから、同項ただし書の例外にも当たらない。そして、賃借人に対する請求と転借人に対する請求は、同じ建物の明渡しを求める通常共同訴訟であり、合一確定が要求されないから、裁判所は152条1項により弁論を分離し、裁判をするのに熟した転借人に対する請求について終局判決をすることができる(243条1項)。賃借人との間で無断転貸の有無などが争われていても、転借人についての判決を待たせる必要はない。肢は正しい。

第一項の規定は、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用する。ただし、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、この限りでない。
- 影響しないもの(39条):訴えの取下げ、請求の放棄・認諾、和解、自白、事実の主張、上訴、中断の事由
- 弁論の分離:併合が強制されていないので、裁判所の裁量で分離して一部の共同訴訟人について判決できる(152条1項)
- 例外として及ぶもの:証拠調べの結果(共同訴訟人間の証拠共通)
- 補助したいとき:補助参加の申出が要り、当然の補助参加は認められない
誤り。違うのは「口頭弁論を経たときであっても,口頭弁論を終結する必要はない」の部分である。口頭弁論を経た以上は、訴え却下の判決でも口頭弁論を終結したうえで判決をする(243条1項)。
140条は、訴えが不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は口頭弁論を経ないで判決で訴えを却下することができると定める。これは、判決は口頭弁論に基づいてするという必要的口頭弁論の原則の例外として、口頭弁論を開かずに訴訟判決をすることを認めた規定にすぎない。いったん口頭弁論を開いたときは、判決はその口頭弁論に現れた資料に基づいてしなければならず、243条1項により、訴訟が裁判をするのに熟したときに口頭弁論を終結して終局判決をすることになる。口頭弁論の終結は、判決の基礎となる資料の範囲を区切り、判断の基準時を定める意味を持ち、電子判決書にも口頭弁論の終結の日を記録しなければならない(252条1項4号)。訴訟要件の存否も口頭弁論に現れた資料で判断されるから、この点は本案判決でも訴え却下の訴訟判決でも変わらない。肢は140条の例外を口頭弁論を経た場合にまで広げている。

裁判所は、訴訟が裁判をするのに熟したときは、終局判決をする。
- 終結:訴訟が裁判をするのに熟したときに終結して終局判決をする(243条1項)。口頭弁論を経た以上、訴え却下判決でも終結を要する
- 再開:裁判所が命ずる(153条)。裁判官が代わっていなければ弁論の更新は要らない
- 更新:裁判官が代わったときに、当事者が従前の口頭弁論の結果を陳述する(249条2項)
- 和解:終結後も試みることができ(89条1項)、口頭弁論終結時の裁判官が関与する必要はない
- 終結後に提出された書証:判決の資料にならず、控訴審で第一審の口頭弁論の結果を陳述しても控訴審の資料にならない
- 反訴:事実審の口頭弁論の終結まで(146条1項)。控訴審では相手方の同意が要り(300条1項)、上告審では提起できない(最判昭43.11.1)
誤り。違うのは「残りの請求についての判決を待たなければ,控訴を提起することができない」の部分である。一部判決も終局判決であるから、それに対して独立に控訴できる(243条2項・281条1項)。
裁判所は、訴訟の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局判決をすることができる(243条2項)。併合された二つの請求のうち一つについてされた判決は、その請求についての審級を終わらせる一部判決であり、残りの請求とは別個の終局判決である。控訴は地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができる(281条1項)から、一部判決に対しては、残りの請求について判決がされるのを待たずに独立して控訴することができ、控訴期間も一部判決の送達から進行する。これに対し、中間判決は終局判決の準備にすぎないので独立して控訴することはできず、終局判決とともに争うことになる。肢は一部判決を中間判決と同じように扱っている。

裁判所は、訴訟の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局判決をすることができる。
誤り。違うのは「独立して上訴することはできない」の部分である。甲建物の明渡請求について弁論を分離してされた判決は終局判決であり、独立して上訴することができる。
243条1項は、裁判所は訴訟が裁判をするのに熟したときは終局判決をすると定め、同条2項は、訴訟の一部が裁判をするのに熟したときはその一部について終局判決をすることができると定める。甲建物と乙建物の明渡しを併合して求める訴訟で、甲建物の請求について弁論を分離すれば(152条1項)、甲建物の請求は別個の手続となり、そこでされる判決はその手続の審級を終わらせる終局判決である。分離しないまま甲建物の請求だけについて判決する一部判決も、その部分について審級を終わらせる終局判決であることに変わりはない。控訴は終局判決に対してすることができるから(281条1項)、甲建物の明渡請求を棄却した判決に対して、原告は乙建物の請求の審理の進み具合にかかわらず独立して上訴できる。独立して上訴できないのは、終局判決ではない中間判決である(283条)。肢は誤りである。

裁判所は、訴訟の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局判決をすることができる。
- 調書判決:被告が原告の主張事実を争わず何らの防御方法も出さない場合などに請求を認容するときは、電子判決書(出題当時は判決書の原本)に基づかずに言い渡せる(254条1項)
- 欠席と終局判決:審理の現状と訴訟追行の状況から相当なら終局判決ができる。一方だけの欠席なら出頭した相手方の申出が要る(244条)
- 中間確認の訴え:確認の請求として終局判決がされ、その部分にも控訴できる(145条)
- 一部判決・弁論の分離後の判決:終局判決であり独立して上訴できる(243条2項)
- 仮執行による弁済:上級審は仮執行で弁済を受けた事実を考慮せずに請求の当否を判断する

































































