裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。
この条文の過去問 16問
誤り。違うのは「貸付けの事実が存在しないことを理由として、Xの請求を棄却することができる」の部分である。
貸付けの事実は、貸金返還請求権の発生を基礎付ける主要事実である。口頭弁論で相手方の主張する自分に不利な主要事実を認める陳述をすれば裁判上の自白が成立し、179条により、裁判所において当事者が自白した事実は証明することを要しない。弁論主義の下では、当事者間に争いのない主要事実はそのまま判決の基礎にしなければならず、裁判所は証拠調べの結果がこれと異なるとしても、自白された事実に反する認定をすることはできない。何を争点として審理するかは当事者が決めることであり、争いのない事実について裁判所が独自に真偽を判断するのは、当事者の意思に反するからである。したがって、Yが貸付けの事実を認めた以上、甲裁判所は証拠調べの結果にかかわらず貸付けの事実があるものとして判断しなければならず、貸付けがなかったことを理由に請求を棄却することはできない。肢は誤りである。

裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。
正しい。文書の成立の真正は補助事実であり、その自白は裁判所を拘束しないが(最判昭52.4.15)、争いのない事実として証拠によらずに真正な成立を認めることはできる。
最判昭52.4.15は、書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束しないとした。裁判上の自白が裁判所を拘束するのは、弁論主義の下で判決の基礎となる主要事実についてであり、文書の成立の真正は証拠の信用性に関わる補助事実にすぎない。補助事実の判断を自白で拘束すると、裁判所の自由心証による証拠評価をゆがめることになるからである。しかし、拘束力がないということは、裁判所が自白と異なる認定をしてもよいという意味にとどまる。当事者間に争いのない事実は証明を要しないから(179条)、裁判所は、自白された成立の真正をそのまま前提とし、証拠調べをしないで文書が真正に成立したと認めることができる。他の証拠から偽造の疑いが生じれば、自白に縛られずに成立を否定することもできる。肢は、拘束力の否定と証明不要の効果を正しく分けて述べている。

裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。
- 前提:印影が名義人の印章によって顕出されたこと(署名なら本人がしたこと)が認められること
- 一段目:本人の意思で押印されたと事実上推定される(最判昭39.5.12)。印章の盗用・冒用の立証で覆る
- 二段目:本人の押印・署名があれば228条4項により文書全体が真正に成立したと推定される。押印・署名後の改ざんの立証で覆る
- 署名・押印がなくても、証拠と弁論の全趣旨から自由心証で成立を認定できる
- 成立の真正の自白:証明は不要になるが、裁判所を拘束しない(最判昭52.4.15)
正しい。通常共同訴訟では一人の自白は他の共同訴訟人に影響しないから(39条)、保証人が自白しても、主債務者との関係では請求原因事実の証明が必要である。
179条は、裁判所において当事者が自白した事実は証明することを要しないと定めるが、39条は、共同訴訟人の一人の訴訟行為は他の共同訴訟人に影響を及ぼさないと定める。自白は訴訟行為であるから、通常共同訴訟では、自白をした共同訴訟人との関係でのみ効力を生じる。保証人が請求原因事実をすべて自白すれば、保証人との関係ではその事実を証明する必要がなくなるが、主債務者はなお請求原因事実を争っているから、主債務者との関係では原告がその事実を証明しなければならない。主債務者と保証人の訴訟は合一に確定する必要がなく、各自が独立して自分の訴訟を追行するのであるから、一方の自白によって他方が不利益を受けることはない。その結果、同じ事実について、保証人との関係では自白により認められ、主債務者との関係では証拠調べの結果認められないということも起こり得る。肢は正しい。

共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。
- 影響しないもの(39条):訴えの取下げ、請求の放棄・認諾、和解、自白、事実の主張、上訴、中断の事由
- 主張共通:認められない。一人の主張は他の共同訴訟人の主張にならない(最判昭43.9.12)
- 証拠共通:認められる。一人が出した証拠は他の共同訴訟人との関係でも認定資料になる(最判昭45.1.23)
- 補助したいとき:補助参加の申出が要り、当然の補助参加は認められない
誤り。違うのは「裁判所は,当該売買契約書が真正に成立しなかったものと判断することができない」の部分である。書証の成立の真正は補助事実であり、その自白は裁判所を拘束しない(最判昭52.4.15)。
最判昭52.4.15は、書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束しないとした。裁判上の自白が裁判所を拘束するのは、弁論主義の下で判決の基礎となる主要事実についてである。売買契約書の成立の真正は、契約書という証拠の信用性に関わる補助事実であり、売買契約の締結という主要事実を認定するための証拠評価の一部にすぎない。補助事実の判断まで自白で拘束すると、裁判所は他の証拠から契約書が偽造だと分かっても、それを前提に事実認定をしなければならなくなり、自由心証主義(247条)による証拠の評価がゆがめられる。そのため、被告が契約書の成立の真正を認めても、裁判所は筆跡鑑定などの他の証拠に基づいて、契約書が真正に成立しなかったと判断することができる。もっとも、争いがなければ証拠調べをせずに成立を認めることもできる。肢は判例に反する。

裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。
- 主要事実の自白:不要証効・裁判所拘束力・不可撤回効がすべて生じる
- 間接事実の自白:証明は不要になるが、裁判所も自白した当事者も拘束しない(最判昭41.9.22)
- 補助事実(書証の成立の真正)の自白:裁判所を拘束せず、撤回もできる(最判昭52.4.15)
- 権利自白(所有権など):争いがなければ前提として判決の基礎にできる(最判昭40.2.23)
- 一致:相手方の主張と一致することが必要で、先にした不利益陳述は相手方の援用で自白になる
誤り。違うのは「この事実につき裁判上の自白が成立する」の部分である。親子関係不存在確認の訴えは人事訴訟であり、自白の規定は適用されない(人事訴訟法19条1項)。
人事訴訟法19条1項は、人事訴訟の訴訟手続においては、民事訴訟法179条の規定のうち裁判所において当事者が自白した事実に関する部分などを適用しないと定め、同法20条は、裁判所は当事者が主張しない事実をしん酌し、職権で証拠調べをすることができるとする。親子関係不存在確認の訴えは人事訴訟に当たる(同法2条2号)。身分関係は当事者の間だけでなく誰に対しても通用するものであり、当事者の意思で自由に処分させるべきではないから、真実に合致した判断を確保するため、弁論主義を排して職権探知主義を採ったのである。そのため、被告が、子の懐胎が可能な時期に両親が別居していたという原告の主張を認めても、裁判所はその陳述に拘束されず、証拠によってその事実を認定しなければならない。財産関係の訴訟であれば自白が成立する場面でも、人事訴訟では成立しない。肢は誤っている。

裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。
- 場:口頭弁論又は弁論準備手続における弁論としての陳述。当事者尋問での供述や訴訟外の発言は当たらない
- 一致:相手方の主張する事実と一致すること。先に述べた不利益陳述は相手方の援用で一致する(先行自白)
- 不利益:相手方が証明責任を負う事実を認めること
- 対象:主要事実。間接事実・補助事実・法的評価の自白は裁判所を拘束しない
- 人事訴訟:自白の規定は適用されない(人事訴訟法19条1項)
正しい。貸金返還請求では弁済期の到来を主張しなければならないが、暦日の到来は顕著な事実であり証明を要しない(民事訴訟法179条)。
消費貸借に基づいて貸主が目的物の返還を請求する訴訟では、貸主は、返還の合意、目的物の交付、弁済期の合意に加えて、弁済期が到来したことを主張しなければならない。消費貸借は借主に一定期間目的物を利用させる契約であり、弁済期が来るまでは返還を請求できないからである。もっとも、民事訴訟法179条は、裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は証明することを要しないと定める。返還の時期が暦日で定められた確定期限であれば、その日が過ぎたかどうかは誰にとっても明らかな事実であり、裁判所に証拠を示して認定してもらう必要はない。したがって、原告は弁済期の到来を主張する必要はあるが、暦日の到来を証拠によって証明することは要しない。これに対し、不確定期限の場合には、その事実が発生したことを証明しなければならない。本肢は正しい。

裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。
誤り。違うのは「証拠によっても当該契約書の成立の真正を否定することができない」の部分である。書証の成立の真正は補助事実であり、最判昭52.4.15は、その自白は裁判所を拘束しないとした。
裁判上の自白(179条)が成立すると、その事実は証明を要せず、裁判所もこれに反する認定ができなくなる。もっとも、この拘束力が認められるのは、権利の発生・消滅などの法律効果を直接基礎づける主要事実についてであると解されている。文書の成立の真正、すなわち文書が作成者とされる者の意思に基づいて作成されたかどうかは、書証の証拠としての価値を左右する補助事実にすぎない。補助事実の自白に裁判所を拘束させると、証拠の評価を裁判官の自由な判断に委ねた自由心証主義(247条)を制約し、かえって主要事実の認定を歪めるおそれがある。最判昭52.4.15も、書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束するものではないとした。したがって、相手方が成立の真正を認めても、裁判所は証拠によってそれを否定することができる。肢は誤りである。

書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束するものではない
- 対象:拘束力のある裁判上の自白は主要事実について成立する。間接事実・補助事実(書証の成立の真正など)の自白は裁判所を拘束しない
- 擬制自白:争ったかどうかは口頭弁論終結時に弁論の全趣旨で判断する(159条1項)
- 撤回できる場合:相手方の同意、刑事上罰すべき他人の行為による自白(有罪判決は不要)、反真実かつ錯誤
- 撤回の時期:撤回も攻撃防御方法の提出として、時機に後れたものとして却下され得る(157条1項)
- 先行自白:相手方が援用する前なら自由に撤回できる
誤り。違うのは「証拠によっても当該契約書の成立の真正を否定することができない」の部分である。書証の成立の真正は補助事実であり、最判昭52.4.15は、その自白は裁判所を拘束しないとした。
裁判上の自白(179条)が成立すると、その事実は証明を要せず、裁判所もこれに反する認定ができなくなる。もっとも、この拘束力が認められるのは、権利の発生・消滅などの法律効果を直接基礎づける主要事実についてであると解されている。文書の成立の真正、すなわち文書が作成者とされる者の意思に基づいて作成されたかどうかは、書証の証拠としての価値を左右する補助事実にすぎない。補助事実の自白に裁判所を拘束させると、証拠の評価を裁判官の自由な判断に委ねた自由心証主義(247条)を制約し、かえって主要事実の認定を歪めるおそれがある。最判昭52.4.15も、書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束するものではないとした。したがって、相手方が成立の真正を認めても、裁判所は証拠によってそれを否定することができる。肢は誤りである。

書証の成立の真正についての自白は裁判所を拘束するものではない
- 対象:拘束力のある裁判上の自白は主要事実について成立する。間接事実・補助事実(書証の成立の真正など)の自白は裁判所を拘束しない
- 擬制自白:争ったかどうかは口頭弁論終結時に弁論の全趣旨で判断する(159条1項)
- 撤回できる場合:相手方の同意、刑事上罰すべき他人の行為による自白(有罪判決は不要)、反真実かつ錯誤
- 撤回の時期:撤回も攻撃防御方法の提出として、時機に後れたものとして却下され得る(157条1項)
- 先行自白:相手方が援用する前なら自由に撤回できる
正しい。下線部②のXA間の合意解除も占有権原の抗弁の主要事実ではなく間接事実であり、その自白は裁判所を拘束しないので、裁判所は証拠調べの結果に基づいてその事実が認められないと判断することができる。
裁判所が自白に拘束され、証拠によってもこれと異なる認定ができなくなるのは、主要事実について裁判上の自白が成立した場合である(最判昭41.9.22)。Yの占有権原の抗弁で、Yが主張立証すべき主要事実は、下線部③のXY間の賃貸借の合意とそれに基づく引渡しである。下線部②のXA間の賃貸借の合意解除は、Xが先にAに貸していた甲建物をYに貸すことになった経緯を示すもので、③の存在を推認させる間接事実にとどまる。間接事実の自白は裁判所を拘束しないから、Xが②を認めると陳述しても、裁判所は、証拠調べの結果などを総合して自由な心証で判断し(247条)、その事実が認められないと判断することができる。肢は正しい。

裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。
| 事実 | 位置づけ | 自白の効力 |
|---|---|---|
| ①XA間の賃貸借 | 占有権原の抗弁の間接事実(経緯) | 裁判所を拘束せず、撤回もできる |
| ②XA間の合意解除 | 間接事実(経緯) | 裁判所を拘束しない |
| ③XY間の賃貸借の合意と引渡し | 占有権原の抗弁の主要事実 | 証明不要・裁判所を拘束・原則として撤回できない(詐欺など刑事上罰すべき行為によるなら撤回できる) |
誤り。違うのは「裁判所は,その陳述に反する事実を認定することができない」の部分である。人事訴訟では裁判上の自白に関する規定が適用されず、裁判所は陳述に拘束されない(人事訴訟法19条1項)。
認知の訴えは人事訴訟であり(人事訴訟法2条2号)、人事訴訟法19条1項は、人事訴訟の訴訟手続では、民事訴訟法159条1項(擬制自白)と179条のうち裁判所において当事者が自白した事実に関する部分を適用しないと定める。そして同法20条は、裁判所は当事者が主張しない事実をしん酌し、職権で証拠調べをすることができるとする。身分関係は当事者の間だけでなく第三者との関係でも一律に確定されるべきものであり、確定判決の効力も第三者に及ぶ(同法24条1項)から、当事者が認めたことによって真実と異なる父子関係が確定されることは許されない。そこで、被告が父子関係の存在を認める陳述をしても、裁判所はそれに拘束されず、証拠調べの結果によって父子関係の不存在を認定することができる。請求の認諾も同法19条2項によりできない。

裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。
| 場面 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 先行自白を相手方が援用していない | 自白は成立せず、陳述した側は自由に撤回できる | 相手方の主張との一致がなく、相手方の信頼もない |
| 当事者尋問での供述 | 自白にならず、証拠資料として評価する | 弁論としての陳述ではない |
| 書証の成立の真正を認める陳述 | 裁判所を拘束せず、撤回も自由(最判昭52.4.15) | 補助事実であり、証拠の評価は自由心証に属する |
| 人事訴訟での陳述 | 自白の規定が適用されず、裁判所は反する事実を認定できる(人事訴訟法19条1項) | 身分関係は対世的に確定すべきで、当事者の処分に委ねられない |
| 援用のない相手方有利の陳述 | 自白は成立しないが、主張共通の原則で判決の基礎にできる(最判昭41.9.8) | 弁論主義は裁判所と当事者の役割分担であり、どちらが主張したかは問わない |
正しい。行政事件訴訟法に自白の規定はなく、同法7条により民事訴訟の例によるから、取消訴訟でも裁判上の自白には拘束力があると解されている。
行政事件訴訟法7条は、行政事件訴訟に関しこの法律に定めがない事項については民事訴訟の例によると定める。取消訴訟の審理について同法は、釈明処分の特則(23条の2)と職権証拠調べ(24条)を置いて弁論主義を一部修正しているが、当事者が主張しない事実を裁判所が取り上げる職権探知までは採用しておらず、事実の主張と収集は当事者の責任とする弁論主義を基本としている。弁論主義の下では、当事者が争わない事実は証拠調べを要せずそのまま判決の基礎になるから、裁判上の自白の拘束力を定める民事訴訟法179条が7条を通じて取消訴訟にも適用され、自白された事実に裁判所も当事者も拘束されると解するのが通説である。処分の適法性は公益に関わるという性格から、公益に直接関わる事実については自白の拘束力を制限する見解もあるが、原則として拘束力を認める点は一致している。本肢はこの原則を述べており正しい。

行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による。
| 項目 | 取消訴訟での扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 裁判上の自白の拘束力 | あり(民事訴訟の例による) | 行訴法7条、民訴法179条 |
| 釈明処分の特則 | 処分の理由を明らかにする資料の提出を行政庁に求められる | 行訴法23条の2 |
| 職権証拠調べ | できる。ただし結果について当事者の意見を聴く | 行訴法24条 |
| 職権探知(主張しない事実の斟酌) | 規定なし。採用されていない | ― |
| 第三者・行政庁の訴訟参加 | 職権でも参加させられる | 行訴法22条・23条 |
正しい。権利自白に拘束力を認める見解によれば、YがXの現所有を認めると自白が成立し、Xは所有権の取得原因であるAからの買受けを立証する必要がなくなる。
所有権に基づく土地明渡請求の請求原因は、原告が土地を現に所有していることと被告が占有していることである。所有権の帰属は法的な判断であり、本来の要証事実は所有権取得の原因となる具体的な事実であるから、Xは本来、Aからの買受けなどを主張立証しなければならない。しかし、所有権のような日常的な法概念は一般人にも内容が理解でき、相手方がこれを認めているのに取得の経緯をさかのぼって証明させるのは無駄が大きい。そこで、権利自白にも裁判上の自白(179条)と同じ拘束力を認める見解によれば、YがXの所有を認めた時点で現所有について自白が成立し、Xは取得原因であるAからの買受けを主張立証する必要がなくなる。実務も、所有権については権利自白が成立する限り具体的事実の主張立証を省略できるとして扱っている。肢はこの見解からの帰結を正しく述べている。

裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。
| 段階 | 主張する者 | 内容 |
|---|---|---|
| 請求原因 | 原告X | Xの現所有(権利自白がなければ取得原因の売買契約など)とYの現占有。登記の具備は不要 |
| 抗弁(所有権喪失) | 被告Y | XがBと売買契約を締結したこと。代金の支払は不要 |
| 抗弁(占有権原) | 被告Y | XY間の賃貸借契約の締結とそれに基づく引渡し |
| 再抗弁(解除) | 原告X | 賃料の支払時期の経過、催告、相当期間の経過、解除の意思表示。不払の事実は不要 |
| 再々抗弁 | 被告Y | 賃料を支払ったこと(弁済) |
正しい。人事訴訟では裁判上の自白の拘束力を定める179条の規定が適用されないから(人事訴訟法19条1項)、Yが不貞行為を認めても、裁判所は証拠調べの結果に基づいてその事実を認めない判断ができる。
人事訴訟法19条1項は、人事訴訟の訴訟手続においては、民事訴訟法179条の規定中裁判所において当事者が自白した事実に関する部分は適用しないと定め、同法20条は、裁判所は当事者が主張しない事実をしん酌し、職権で証拠調べをすることができると定める。通常の民事訴訟では、当事者が自白した事実は証明を要せず、裁判所もこれに拘束されるが、それは当事者が自由に処分できる財産上の紛争を前提とした弁論主義の帰結である。婚姻関係のような身分関係は、当事者だけでなく第三者や社会にも影響し、誰との関係でも同じに決まっている必要があるから、当事者の意思で事実を確定させることは許されない。夫婦が示し合わせて虚偽の離婚原因を認め合うことも防がなければならない。そのため裁判所は、Yの自白に拘束されず、証拠に基づいて不貞行為の有無を判断する。肢は正しい。

人事訴訟の訴訟手続においては、民事訴訟法…第百七十九条の規定中裁判所において当事者が自白した事実に関する部分は、適用しない。
- 自白:裁判上の自白の拘束力は働かない(人事訴訟法19条1項)。裁判所は職権で証拠を調べられる(同法20条)
- 訴訟能力:成年被後見人なども意思能力があれば自ら訴訟行為ができる(同法13条1項)
- 証明責任:職権探知主義の下でも真偽不明は生じ得るから、証明責任は働く
- 和解・放棄・認諾:人事訴訟では原則としてできないが、離婚・離縁の訴えでは和解・放棄ができる(同法19条2項・37条1項・44条)
- 判決:離婚の請求を認容する判決は形成判決、棄却する判決は確認判決
正しい。口頭弁論期日にされた相殺の意思表示は裁判所に顕著な事実であり、証明を要しない(民事訴訟法179条)。
相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってするものであり(506条1項)、相殺の抗弁を主張するBは、相殺の意思表示をしたことを主張・立証しなければならないのが原則である。しかし、民事訴訟法179条は、裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は証明することを要しないと定める。口頭弁論期日においてBが相殺の意思表示をした場合、その意思表示は裁判所の面前でされ、調書にも記録されるから、裁判所が職務上当然に知っている顕著な事実に当たる。わざわざ証拠によって証明させる必要はないのである。したがって、Bは口頭弁論期日において相殺の意思表示をしたことを立証する必要はなく、本肢は正しい。

相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合において、その意思表示には、条件又は期限を付することができない。
誤り。違うのは「不適法で効力を認められない」の部分である。一定の事実を争わない旨の自白契約は、弁論主義の下で当事者が自由に処分できる事項についての合意であるから有効である。
弁論主義の下では、当事者間に争いのない事実はそのまま判決の基礎とされ、裁判上の自白は証明を要しない(179条)。どの事実を争い、どの事実を認めるかは当事者に委ねられており、当事者は訴訟の中で自白をすることができるのだから、訴訟外で前もって一定の事実を認めて争わないと合意することも、その自由の範囲内にある。しかも、その合意の効果は自白と同じく当該事実が争いのないものとして扱われるというもので、当事者にとって不利益の内容が明確に予測でき、不意打ちになるおそれもない。そのため、自白契約は少なくとも主要事実については有効と解されている。証拠方法を提出しないという合意も同じ理由で有効である。これに対し、裁判所の心証形成そのものを縛る合意は無効となる。肢は誤りである。

裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。
| 合意 | 効力 | 理由 |
|---|---|---|
| 専属的管轄の合意 | 有効。ただし法定の専属管轄と違い応訴管轄は生じる | 当事者の便宜のための取決め(11条・12条) |
| 訴え取下げの合意 | 合意が証明されれば訴え却下(最判昭44.10.17) | 権利保護の利益を失う |
| 自白契約・証拠方法を提出しない合意 | 有効 | 弁論主義の範囲内で当事者が処分できる |
| 証拠評価契約(一定の証拠から特定の事実を認定させる合意) | 無効 | 自由心証主義(247条)を害する |
| 飛越上告の合意 | 有効。控訴は不適法 | 281条1項ただし書が明文で認める |
誤り。違うのは「当事者が立証しない限り,判決の基礎とすることができない」の部分である。裁判官が職務の遂行上知った事実は職務上顕著な事実として、証明を要しない(179条)。
179条は、裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は証明することを要しないと定める。顕著な事実には、世間一般に知れ渡っている公知の事実のほか、裁判官がその職務を行う中で知った職務上顕著な事実が含まれ、裁判官が自ら担当した他の事件の判決の内容などがこれに当たる。これらの事実は、裁判官が職務を通じて確実に認識しており、記録などで客観的に確かめることもできるから、改めて証拠調べをしなくても事実認定の客観性が保障されている。これに対し、裁判官が職務と関係なく私的に知った事実(私知)は顕著な事実に当たらず、証拠に基づかずに判決の基礎とすることはできない。他の事件を担当した結果知っている事実は職務上顕著な事実であり、証明がなくても判決の基礎にできる。肢は誤りである。

裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。
| 対象 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 法規(外国法を含む) | 証明の対象ではなく裁判所が調べて適用する。当事者に資料の提出を求めることはある | 法の探索と解釈は裁判所の職責 |
| 顕著な事実(公知の事実・職務上顕著な事実) | 証明を要しない(179条) | 認定の客観性が初めから保障されている |
| 当事者尋問での不利な供述 | 裁判上の自白にならず証拠資料として評価する | 弁論としての陳述ではない |
| 却下された証拠申出の文書 | 弁論の全趣旨として判決の基礎にできない | 適法に弁論に現れた資料ではない |



























