1訴えを提起しようとする者が訴えの被告となるべき者に対し訴えの提起を予告する通知(以下この章において「予告通知」という。)を書面でした場合には、その予告通知をした者(以下この章において「予告通知者」という。)は、その予告通知を受けた者(以下この章において「被予告通知者」という。)に対し、その予告通知をした日から四月以内に限り、訴えの提起前に、訴えを提起した場合の主張又は立証を準備するために必要であることが明らかな事項について、相当の期間を定めて、書面により、又は被予告通知者の選択により書面若しくは電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって最高裁判所規則で定めるものをいう。以下同じ。)のいずれかにより回答するよう、書面により照会をすることができる。ただし、その照会が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。第百六十三条第一項各号のいずれかに該当する照会相手方又は第三者の私生活についての秘密に関する事項についての照会であって、これに回答することにより、その相手方又は第三者が社会生活を営むのに支障を生ずるおそれがあるもの相手方又は第三者の営業秘密に関する事項についての照会
1 第百六十三条第一項各号のいずれかに該当する照会
2 相手方又は第三者の私生活についての秘密に関する事項についての照会であって、これに回答することにより、その相手方又は第三者が社会生活を営むのに支障を生ずるおそれがあるもの
3 相手方又は第三者の営業秘密に関する事項についての照会
2前項第二号に規定する第三者の私生活についての秘密又は同項第三号に規定する第三者の営業秘密に関する事項についての照会については、相手方がこれに回答することをその第三者が承諾した場合には、これらの規定は、適用しない。
3予告通知の書面には、提起しようとする訴えに係る請求の要旨及び紛争の要点を記載しなければならない。
4予告通知をする者は、第一項の規定による書面による予告通知に代えて、当該予告通知を受ける者の承諾を得て、電磁的方法により予告通知をすることができる。この場合において、当該予告通知をする者は、同項の規定による書面による予告通知をしたものとみなす。
5予告通知者は、第一項の規定による書面による照会に代えて、被予告通知者の承諾を得て、電磁的方法により照会をすることができる。
6被予告通知者(第一項の規定により書面又は電磁的方法のいずれかにより回答するよう照会を受けたものを除く。)は、同項の規定による書面による回答に代えて、予告通知者の承諾を得て、電磁的方法により回答をすることができる。この場合において、被予告通知者は、同項の規定による書面による回答をしたものとみなす。
7第一項の照会は、既にした予告通知と重複する予告通知に基づいては、することができない。
この条文の過去問 3問
誤り。違うのは「証人の尋問をすることはできない」の部分である。
234条は、裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、「この章の規定に従い」、証拠調べをすることができると定める。証拠保全としての証拠調べは通常の証拠調べの規定に従って行われるので、書証や検証に限られず、証人尋問・当事者尋問・鑑定もできる。訴えの提起前の申立てについて、235条2項は、尋問を受けるべき者若しくは文書を所持する者の居所又は検証物の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所にしなければならないと定めており、「尋問を受けるべき者」を挙げていること自体、提訴前の証拠保全で証人を尋問することを前提にしている。証人が高齢であったり重い病気であったりして、期日を待っていては尋問できなくなるおそれがある場合こそ、証拠保全による証人尋問が必要になる典型である。肢は誤りである。

訴えの提起前における証拠保全の申立ては、尋問を受けるべき者、文書を所持する者若しくは電磁的記録を利用する権限を有する者の居所又は検証物の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所にしなければならない。
正しい。書面で提訴予告通知をした者は、予告通知を受けた者に対し、訴え提起前に、主張又は立証の準備に必要であることが明らかな事項について書面で照会できる(132条の2第1項)。
132条の2第1項は、訴えを提起しようとする者が被告となるべき者に訴えの提起を予告する通知を書面でした場合には、予告通知者は、被予告通知者に対し、予告通知をした日から4か月以内に限り、訴えの提起前に、訴えを提起した場合の主張又は立証を準備するために必要であることが明らかな事項について、相当の期間を定めて、書面により照会をすることができると定める。訴訟の係属中の当事者照会(163条)を訴え提起前に前倒しし、早い段階で争点に関する情報を集めて審理を充実させる制度である。訴えの前であるため、照会できるのは準備に必要であることが明らかな事項に限られ、私生活上の秘密や営業秘密に関する照会も除外されるなど、当事者照会より絞られている。回答の方法は、書面のほか被予告通知者の選択で電磁的方法も認められているが、書面で回答するよう照会できる点は変わらない。肢は条文どおりである。

訴えを提起しようとする者が訴えの被告となるべき者に対し訴えの提起を予告する通知(以下この章において「予告通知」という。)を書面でした場合には、その予告通知をした者(以下この章において「予告通知者」という。)は、その予告通知を受けた者(以下この章において「被予告通知者」という。)に対し、その予告通知をした日から四月以内に限り、訴えの提起前に、訴えを提起した場合の主張又は立証を準備するために必要であることが明らかな事項について、相当の期間を定めて、書面により、又は被予告通知者の選択により書面若しくは電磁的方法(略)のいずれかにより回答するよう、書面により照会をすることができる。
- 当事者照会(163条):訴訟の係属中、相手方に直接書面で照会する。答えなくても制裁はない
- 提訴前の照会(132条の2):書面による予告通知から4か月以内に、相手方に直接照会する。私生活上の秘密(社会生活に支障が生じるもの)・営業秘密も除外される
- 提訴前の証拠収集の処分(132条の4):裁判所が送付嘱託・調査嘱託・意見陳述の嘱託・執行官の現況調査をする。文書提出命令はできない
- 証拠保全(234条・237条):証拠の使用が困難になる事情があれば、訴えの前後を問わず証拠調べをする。訴訟係属中は職権でもできる
正しい。第三者の営業秘密に関する事項は訴えの提起前における照会から除かれるが、相手方の回答をその第三者が承諾すれば照会できる(132条の2第1項3号・2項)。
132条の2第1項は、予告通知をした者は、予告通知を受けた者に対し、その日から4月以内に限り、訴えを提起した場合の主張又は立証を準備するために必要であることが明らかな事項について書面で照会ができると定め、ただし書で除外される照会を挙げる。3号は相手方又は第三者の営業秘密に関する事項についての照会であり、同条2項は、第三者の私生活上の秘密や営業秘密に関する照会については、相手方の回答をその第三者が承諾した場合には除外の規定を適用しないとする。訴えの提起前の照会は、まだ訴訟が始まっておらず請求の当否も見えない段階で行われるため、訴訟係属中の当事者照会(163条)よりも除外の範囲を広げ、秘密の保護を厚くしている。一方、その秘密が守られるべき利益は秘密の主体である第三者のものだから、第三者自身が回答を承諾すれば保護する理由がなくなる。肢は132条の2第1項3号・2項のとおりである。

前項第二号に規定する第三者の私生活についての秘密又は同項第三号に規定する第三者の営業秘密に関する事項についての照会については、相手方がこれに回答することをその第三者が承諾した場合には、これらの規定は、適用しない。
| 当事者照会(163条) | 訴えの提起前における照会(132条の2) | |
|---|---|---|
| 時期 | 訴訟の係属中 | 予告通知をした日から4月以内 |
| 対象 | 主張又は立証を準備するために必要な事項 | 主張又は立証を準備するために必要であることが明らかな事項 |
| 除外される照会 | 163条1項1号〜6号(6号=証言拒絶事由と同様の事項) | 163条1項各号に加え、私生活上の秘密(支障のおそれがあるもの)と営業秘密(132条の2第1項2号・3号) |
| 第三者の秘密 | ― | 第三者が回答を承諾すれば2号・3号の除外は外れる(同条2項) |
| 回答しないとき | 直接の制裁はない | 直接の制裁はない |

