1控訴は、地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができる。ただし、終局判決後、当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたときは、この限りでない。
2第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。
この条文の過去問 6問
正しい。飛越上告では、職権調査事項を除き、事実の確定が法律に違反したことを理由に原判決を破棄できない(321条2項・322条)。
第一審の終局判決の言渡し後に、当事者双方が上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたときは(281条1項ただし書)、控訴審を経ずに第一審判決に対して直ちに上告できる(311条2項)。事実審の二回目を省いて、法律問題だけを上告審に判断してもらう制度である。上告審は法律審であり、原判決で適法に確定した事実に拘束される(321条1項)。そのうえ飛越上告では、当事者は控訴審で事実を争う機会を自ら手放しているから、事実の確定の過程の誤りを上告審で改めて争わせるのは相当でない。そこで321条2項は、311条2項の上告があった場合には、上告裁判所は原判決における事実の確定が法律に違反したことを理由として破棄することができないと定める。ただし322条は、320条・321条は裁判所が職権で調査すべき事項には適用しないとするので、訴訟要件の存否などについてはこの制限が及ばない。肢はこの二つの条文の帰結どおりである。

第三百十一条第二項の規定による上告があった場合には、上告裁判所は、原判決における事実の確定が法律に違反したことを理由として、その判決を破棄することができない。
誤り。違うのは「第一審の終局判決の言渡し前に」「この合意は有効である」の部分である。
281条1項ただし書は、終局判決後、当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたときは、控訴をすることができないと定める。この合意をすると、控訴審を飛ばして第一審判決に対して直ちに上告できる(311条2項)。事実審をもう一度受ける機会を自ら放棄し、法律問題だけを上告審に判断してもらう重大な合意であるから、第一審判決の内容を見たうえで、争点が法律問題に絞られていることを確かめてからでなければ、当事者は適切に判断できない。そのため、条文は合意の時期を終局判決後に限っており、判決の言渡し前にした上告権留保の不控訴の合意は、この効力を生じない。なお、上告権を留保せずに双方が控訴をしないと合意することは、判決前であっても有効と解されている。肢は判決前の上告権留保の合意を有効とする点で誤っている。

控訴は、地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができる。ただし、終局判決後、当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたときは、この限りでない。
正しい。飛越上告の合意には11条2項・3項が準用され、書面又はその内容を記録した電磁的記録によらなければ効力を生じない(281条2項)。
281条1項ただし書は、終局判決後、当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたときは控訴をすることができないと定める。控訴審を省いて直ちに上告審の判断を受ける飛越上告の合意である。同条2項は、この合意に11条2項・3項を準用しており、管轄の合意と同じく書面でしなければ効力を生じず、合意の内容を記録した電磁的記録によってされたときは書面によってされたものとみなされる。事実審である控訴審を受ける機会を放棄するという重大な結果を伴う合意であるから、当事者の意思を明確にし、後の紛争を防ぐために方式を定めたのである。また、判決の内容を知ったうえで双方がそろって合意することが求められるのも、一方に不意の不利益を負わせないためである。肢は、終局判決後の双方の合意で上告権を留保するものについて書面等を要するとしており、条文どおりである。

控訴は、地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができる。ただし、終局判決後、当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたときは、この限りでない。/第十一条第二項及び第三項の規定は、前項の合意について準用する。
| 合意 | 扱い |
|---|---|
| 管轄の合意 | 一定の法律関係に基づく訴えに関し、書面又は電磁的記録で(11条2項・3項) |
| 飛越上告の合意 | 終局判決後・双方・上告権の留保・書面又は電磁的記録(281条) |
| 上告権を留保しない双方の不控訴の合意 | 有効(判決前でもよい) |
| 一方だけの不控訴の合意 | 無効(大判昭9.2.26) |
| 証拠制限契約 | 有効。ただし証拠調べ後の結果を排除する合意は無効 |
| 訴え取下げの合意 | 有効。主張立証されれば訴えを却下(最判昭44.10.17) |
正しい。終局判決後に当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたときは、控訴はできなくなり、その合意は有効である(281条1項ただし書)。
281条1項は、控訴は地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができるとしつつ、ただし書で、終局判決後、当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたときはこの限りでないと定める。これは飛越上告の合意と呼ばれ、事実関係には争いがなく法律問題だけを争う場合に、控訴審を省いて直接上告審の判断を受けることを認めるものである。合意が終局判決の後に限られるのは、判決の内容を見たうえで上訴の方法を選ばせるためであり、当事者双方の合意が要るのは、相手方の控訴の機会も失わせるからである。合意は書面でしなければ効力を生じない(同条2項による11条2項・3項の準用)。上告権を留保しない不控訴の合意であれば、第一審判決はそのまま確定することになる。肢は281条1項ただし書のとおりである。

控訴は、地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができる。ただし、終局判決後、当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたときは、この限りでない。
- 管轄の合意:第一審に限り、一定の法律関係に基づく訴えについて書面でする。電磁的記録でした合意は書面によるものとみなされる(11条)
- 専属的な管轄の合意:被告が管轄違いを言わずに本案の弁論をすれば、他の裁判所にも応訴管轄が生じる(12条。13条1項が除くのは法令の専属管轄だけ)
- 不控訴の合意:終局判決後に当事者双方が上告権を留保してすれば、控訴はできず直接上告できる(281条1項ただし書)。書面が要る(同条2項)
- 訴えの取下げの合意:訴訟は当然には終了せず、原告は権利保護の利益を喪失したとして訴えを却下する(最判昭44.10.17)
- 不起訴の合意:特定の紛争についての合意は有効で、被告が主張すれば訴えは却下される。紛争を特定しない一切の不起訴の合意は公序良俗に反し無効である
誤り。違うのは「残りの請求についての判決を待たなければ,控訴を提起することができない」の部分である。一部判決も終局判決であるから、それに対して独立に控訴できる(243条2項・281条1項)。
裁判所は、訴訟の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局判決をすることができる(243条2項)。併合された二つの請求のうち一つについてされた判決は、その請求についての審級を終わらせる一部判決であり、残りの請求とは別個の終局判決である。控訴は地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができる(281条1項)から、一部判決に対しては、残りの請求について判決がされるのを待たずに独立して控訴することができ、控訴期間も一部判決の送達から進行する。これに対し、中間判決は終局判決の準備にすぎないので独立して控訴することはできず、終局判決とともに争うことになる。肢は一部判決を中間判決と同じように扱っている。

裁判所は、訴訟の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局判決をすることができる。
正しい。終局判決後に当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意(飛越上告の合意)をしたときは、控訴をすることができない(281条1項ただし書)。
281条1項は、控訴は地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができるとし、ただし書で、終局判決後、当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたときはこの限りでないと定める。これを飛越上告の合意という。事実関係には争いがなく法律問題だけが争点となっている事件では、控訴審での事実審理を省いて直接上告審の判断を受けるほうが当事者双方の利益にかなうことがある。そこで、双方が上告の権利を残したうえで控訴をしないと合意すれば、控訴権が消滅することを法律が明文で認めたのである。合意に反して控訴が提起されても、その控訴は不適法として却下される。合意は終局判決後にしなければならない。肢は正しい。

控訴は、地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができる。ただし、終局判決後、当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたときは、この限りでない。
| 合意 | 効力 | 理由 |
|---|---|---|
| 専属的管轄の合意 | 有効。ただし法定の専属管轄と違い応訴管轄は生じる | 当事者の便宜のための取決め(11条・12条) |
| 訴え取下げの合意 | 合意が証明されれば訴え却下(最判昭44.10.17) | 権利保護の利益を失う |
| 自白契約・証拠方法を提出しない合意 | 有効 | 弁論主義の範囲内で当事者が処分できる |
| 証拠評価契約(一定の証拠から特定の事実を認定させる合意) | 無効 | 自由心証主義(247条)を害する |
| 飛越上告の合意 | 有効。控訴は不適法 | 281条1項ただし書が明文で認める |













































