第234条過去問 7
裁判所は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、この章の規定に従い、証拠調べをすることができる。
この条文の過去問 7問
裁判所は、訴え提起前であっても、証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、申立てにより、証拠調べをすることができる。
解説
本肢は正しい。証拠保全とは、本来の証拠調べの時期まで待っていたのでは、その証拠方法が滅失・変質するなどして取調べが不能または困難になるおそれがある場合に、あらかじめ証拠調べを行ってその結果を保全しておく手続である。民訴法234条は、裁判所は「あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるとき」は、申立てにより証拠調べをすることができると規定するのみで、その時期を訴え提起後に限定していない。むしろ、訴え提起前の申立てがあり得ることは管轄規定から明らかであり、235条2項は、訴えの提起前における証拠保全の申立てについて、尋問を受けるべき者もしくは文書を所持する者の居所または検証物の所在地を管轄する地方裁判所または簡易裁判所が管轄する旨を定めている(訴訟係属中は235条1項により受訴裁判所等が管轄する)。実務上も、医療過誤事件におけるカルテ等の改ざんを防ぐための提訴前の文書検証や、事故現場の状況が変化してしまう前の検証など、訴え提起前の利用こそが証拠保全の中心的な場面である。したがって、訴え提起前であっても申立てにより証拠保全としての証拠調べをすることができるとする本肢は正しい。
訴えの提起前における証拠保全の手続においては、証人の尋問をすることはできない。
解説
本肢は誤り。証拠保全とは、本来の証拠調べの時期を待っていたのでは証拠方法の取調べが不能または困難となるおそれがある場合に、あらかじめ証拠調べを行ってその結果を保全しておく手続であり、「あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるとき」に、申立てにより行うことができる(234条)。訴え提起後だけでなく、訴え提起前にも申し立てることができ、その場合の管轄は「尋問を受けるべき者若しくは文書を所持する者の居所又は検証物の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所」とされている(235条2項)。この管轄規定が「尋問を受けるべき者」の居所を基準の一つとして掲げていること自体、訴え提起前の証拠保全として人証の取調べがされることを前提としたものである。
そして、証拠保全としての証拠調べは、234条が「この章の規定に従い」と定めるとおり、通常の証拠調べに関する規定に従って実施される。したがって、証拠方法は書証や検証に限られず、証人尋問・当事者尋問・鑑定も含まれる。むしろ、証人が高齢・重篤な疾病にあるなど、口頭弁論期日を待っていては尋問が不可能になるおそれがある場合こそ、証拠保全としての証人尋問が典型的に必要となる場面である。よって、訴え提起前の証拠保全において証人の尋問をすることができないとする本肢は、234条・235条2項の趣旨に反し誤っている。
検証の申出は、期日前においてはすることはできない。
解説
本肢は誤り。証拠の申出は、証明すべき事実を特定してしなければならない(180条1項)が、その時期については、180条2項が「証拠の申出は、期日前においてもすることができる」と明文で定めている。争点及び証拠の整理を経て集中証拠調べ(182条)を実現するには、当事者が期日を待たずに証拠の申出をし、裁判所が事前に採否を判断して呼出しや準備を進められることが不可欠だからである。
検証は、裁判官がその五官の作用によって物・場所・人の身体等の性状を直接に認識し、その結果を証拠資料とする証拠調べであるが(232条参照)、これも証拠調べの一類型であって、その申出が180条2項の「証拠の申出」に当たることに変わりはない。検証の申出をするときは、検証の目的を表示しなければならない(規則150条)ほか、検証物の所持者に提示を求める場合には文書提出命令の規定が準用される(232条1項)。いずれにせよ、期日前の申出を禁ずる規定は存在しない。よって、検証の申出は期日前にすることができないとする本肢は誤りである。
なお、参考教材の中には、本肢を訴え提起前の証拠保全(234条、235条2項)の可否の問題として説明するものがあるが、本肢が問うているのは口頭弁論期日前の証拠申出の可否であり、根拠条文は180条2項と解すべきである。
裁判所は、訴訟の係属中、必要があると認めるときでも、職権で、証拠保全として、当事者尋問をすることはできない。
解説
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証拠保全として,文書の取調べをすることはできるが,証人尋問をすることはできない。
解説
本肢は誤り。234条は、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときは、裁判所は「この章の規定に従い」証拠調べをすることができるとしており、ここでいう「この章」とは第2編第4章(証拠)である。したがって、証拠保全において実施し得る証拠調べは、通常の証拠調べと同様、証人尋問・当事者尋問・鑑定・書証・検証のいずれでもよく、証拠方法の種類による制限は存在しない。実務上も、医療過誤訴訟におけるカルテの検証・書証、建築紛争における現場の検証などのほか、高齢・重病等により近い将来尋問が不可能となるおそれのある者について証人尋問を行う例がある。さらに242条は「証拠保全の手続において尋問をした証人について、当事者が口頭弁論における尋問の申出をしたときは、裁判所は、その尋問をしなければならない」と規定しており、証拠保全として証人尋問がされ得ることを明文で前提としている。同条は、証拠保全手続における尋問が相手方の立会いの機会を欠くこともあり得ることから、直接主義・当事者の反対尋問権を保障する趣旨で再尋問を義務づけたものである。本肢は証人尋問ができないとする点で誤っている。
裁判所は,証拠保全として,文書の証拠調べ及び検証をすることはできるが,証人の尋問をすることはできない。
解説
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裁判所は,証拠保全として,文書の証拠調べ及び検証をすることはできるが,証人の尋問をすることはできない。
解説
解説は準備中です。