第98条過去問 2
1送達は、特別の定めがある場合を除き、職権でする。
2送達に関する事務は、裁判所書記官が取り扱う。
この条文の過去問 2問
公示送達は、申立てにより、裁判長の許可の裁判を得て、裁判所書記官が行う。
解説
本肢は誤り。送達に関する事務は、裁判所書記官が取り扱う(民訴法98条2項)。公示送達についても同様であり、同法110条1項柱書は、同項各号に掲げる場合(当事者の住所等が知れない場合、106条による送達ができない場合、外国においてすべき送達につき同法108条の規定によることができない場合等)には、裁判所書記官が「申立てにより」公示送達をすることができる旨を定めるにとどまり、裁判長の許可の裁判を要件としていない。したがって、裁判長の許可の裁判を得てとする点が誤りである。
もっとも、書記官が自らの判断のみで常に行えるわけではなく、同条2項は、訴訟の遅滞を避けるため必要があると認めるときは、裁判所が申立てのない場合でも書記官に公示送達をすべきことを命ずることができるとし、同条3項は、同一の当事者に対する2回目以降の公示送達は職権でする(外国においてすべき送達の場合を除く)と定める。公示送達の方法は、裁判所の掲示場への掲示に加え、書類の内容等をインターネットを利用して閲覧できる状態に置く措置等によることとされ(111条)、効力は掲示等を始めた日から2週間を経過することによって生ずる(112条1項本文)。本肢は、送達事務の主体が書記官であるという基本構造に、他の手続で見られる裁判長の許可という要素を混入させた引っかけである。
訴えの提起による時効の中断の効力発生の時期は,被告に対する訴状の送達の時である。
解説
本肢は誤り。裁判上の請求は時効の完成猶予事由であるところ(民法147条1項1号)、その効力発生時期について民事訴訟法147条は、時効の完成猶予又は法律上の期間の遵守のために必要な裁判上の請求は、訴えを提起した時又は143条2項(訴えの変更の書面。146条4項・144条3項で準用される場合を含む)の書面を裁判所に提出した時に、その効力を生ずると定める。そして、訴えの提起は訴状を裁判所に提出してするものであるから(134条1項)、訴えの提起による完成猶予の効力は、訴状を裁判所に提出した時点で生ずる。
このように訴状提出時を基準とするのは、訴状の送達が裁判所書記官の職権によって行われる(98条1項、なお民訴規則上の手続も職権進行に服する)ことによる。仮に訴訟係属の発生時、すなわち被告に訴状が送達された時をもって完成猶予の効力発生時期とすると、時効期間の満了が迫った段階で適法に訴状を提出した原告であっても、被告の所在調査の難航など裁判所側の事情で送達が遅れれば時効が完成してしまい、原告に酷な結果となる。原告が自らなし得る行為をした時点で権利行使の意思が客観化された以上、その時点で効力を認めるのが相当である。
したがって、効力発生時期を「被告に対する訴状の送達の時」とする本肢は誤っている。なお、出題当時は平成29年民法改正前であり「時効の中断」と呼ばれていたが、効力発生時期が訴状提出時である点は改正の前後で変わらない。