国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならない。
この条文の過去問 3問
正しい。裁判所では日本語を用いる(裁判所法74条)という原則は司法手続全般に及ぶので、通訳を介して取り調べた日本語に通じない被疑者の供述録取書を日本語で作成することは違法ではない。
裁判所法74条は裁判所では日本語を用いると定めるが、これは法廷の使用言語だけでなく、我が国の司法手続一般で日本語を用いるべきことを定めた規定と解されている。捜査機関が作る供述録取書も後に刑事手続で用いられる書面である以上、日本語で作るのが原則であり、日本語に通じない被疑者の供述を通訳人を介して聴き、日本語に訳した形で調書に録取することは違法ではない。実務でも、外国人被疑者の取調べでは通訳人を介して供述を聴き、日本語の供述録取書を作る扱いが一般的である。もっとも録取の正確性の担保は必要であり、198条4項の読み聞け又は閲覧は通訳人を介して被疑者が理解できる言語で行い、被疑者の署名押印に加えて通訳人にも署名押印を求めるのが通例である。被疑者が内容を理解しないまま署名押印したような場合には調書の任意性・信用性が問題になり証拠能力が否定されることもあるが、それは録取手続の適否の問題であって、日本語で調書を作ること自体が違法になるわけではない。公判では、国語に通じない者に陳述をさせる場合は通訳人に通訳をさせなければならない(175条)。

裁判所では、日本語を用いる。/国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならない。
誤り。違うのは「同被告人の理解する外国語で公判手続を進めても違法ではない」の部分である。裁判所では日本語を用いるので(裁判所法74条)、当事者に異議がなく裁判所が許可しても外国語で公判手続を進めることはできない。
裁判所法74条は、裁判所では日本語を用いると定める。公判手続の言語を日本語に固定しているのは、裁判が国の機関による公の手続であり、公開の法廷で傍聴人を含む誰もが手続の内容を確かめられるようにし、記録を一つの言語で残して上訴審の審査にも耐えるようにする必要があるからである。そのうえで刑事訴訟法は、日本語に通じない者に陳述をさせる場合には通訳人に通訳をさせなければならないとし(175条)、言葉の壁は通訳によって埋める仕組みをとっている。この規律は当事者の合意で動かせるものではなく、検察官と弁護人に異議がなく裁判所が許可したとしても、被告人の理解する外国語で公判手続を進めてよいとする規定はない。肢は当事者の同意と裁判所の許可で手続の言語を変えられるとしている点で裁判所法74条に反する。被告人の防御は、日本語の手続に通訳人を付けることで確保される。

国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならない。
- 陳述をさせるとき:通訳人に通訳をさせなければならない(175条)。判決の宣告にも通訳人を付す(最判昭和30年2月15日)
- 手続の言語:裁判所では日本語を用いる(裁判所法74条)。当事者に異議がなく裁判所が許可しても外国語では進められない
- 供述録取書:通訳を介して聴き取った供述を日本語で録取してよい
- 逮捕状の呈示:外国人でも必要(201条1項)。翻訳文の添付や通訳の同道で被疑事実を理解させる
- 保釈:在留資格がないことは権利保釈の除外事由(89条各号)に当たらず、保釈を許しても違法でない
誤り。違うのは「判決の言渡しに限っては,通訳を付さずにしても違法ではない」の部分である。判例は、公判廷の取調べで通訳人を必要とした被告人には、判決の宣告の際にも通訳人を付さなければならないとする(最判昭和30年2月15日)。
175条は、国語に通じない者に陳述をさせる場合には通訳人に通訳をさせなければならないと定める。文言は陳述をさせる場面を挙げているが、最判昭和30年2月15日は、同条は被告人に供述を求めたり証人を尋問したりする場面に適用されるだけでなく、裁判の趣旨を了解させるためにも通訳人を用いなければならない趣旨を含むとし、公判廷における取調べに際して通訳人を必要とした被告人に対しては、判決の宣告に際しても通訳人を付して、どのような判決があったのかを了解させなければならないとした。判決の宣告は、被告人がどのような判断を受けたのかを知り、上訴するかどうかを決める出発点であり、言渡しの内容が分からなければ14日の上訴期間の中で上訴の権利を行使することもできないからである。判決の言渡しに限って通訳を省いてよいとする肢は、この判例に反する。

国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならない。
- 陳述をさせるとき:通訳人に通訳をさせなければならない(175条)。判決の宣告にも通訳人を付す(最判昭和30年2月15日)
- 手続の言語:裁判所では日本語を用いる(裁判所法74条)。当事者に異議がなく裁判所が許可しても外国語では進められない
- 供述録取書:通訳を介して聴き取った供述を日本語で録取してよい
- 逮捕状の呈示:外国人でも必要(201条1項)。翻訳文の添付や通訳の同道で被疑事実を理解させる
- 保釈:在留資格がないことは権利保釈の除外事由(89条各号)に当たらず、保釈を許しても違法でない
