簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。
この条文の過去問 6問
誤り。違うのは「犯罪の証明の程度は、証拠の優越で足りる」の部分である。略式手続で簡略化されるのは審理の方式であって、有罪認定に必要な心証の程度ではなく、合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証が要る。
略式手続とは、簡易裁判所が検察官の請求により、公判を開かずに書面審理だけで100万円以下の罰金又は科料を科す手続である(461条)。被疑者に異議がないことの確認を要し(461条の2・462条)、略式命令を受けた者と検察官は告知を受けた日から14日以内に正式裁判を請求できる(465条1項)。このように略式手続は審理の方式を簡略化した手続であるが、簡略化されているのは手続の形式であって、有罪認定に必要な心証の程度ではない。刑訴法には略式手続で犯罪の証明の程度を緩める規定はなく、略式命令も有罪の裁判として前科になる刑罰を科すものである以上、通常の公判手続と同じく合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証を要する。略式命令をすることが相当でない場合には通常の規定に従って審判しなければならないとされる(463条)のも、この心証が得られないときは有罪としてはならないことを前提にする。証拠の優越は民事訴訟の証明度の考え方であり、刑事の有罪認定には妥当しない。肢は誤りである。

簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。
- 略式命令を出せるのは簡易裁判所だけで、科せる刑は100万円以下の罰金又は科料である。執行猶予・没収・付随の処分はできる(461条)
- 検察官は被疑者に手続を説明し、通常の審判を受けられる旨を告げて異議がないかを確かめ、異議がないことは書面で明らかにさせる(461条の2)
- 請求は公訴の提起と同時に書面でし、書類・証拠物を同時に差し出す。起訴状一本主義(256条6項)には反しない
- 書面審理でも有罪の認定には合理的な疑いを超える証明が要り、証拠の優越では足りない
- 正式裁判の請求は告知から14日以内に、略式命令をした裁判所へ書面でする(465条)。判決があれば略式命令は失効する(469条1項)
正しい。略式手続は公判を開かない書面審理の手続であり、起訴状一本主義は公判審理を担当する裁判官の予断排除のための原則であるから、略式命令の請求と同時に書類・証拠物を差し出しても256条6項に反しない。
略式手続(461条以下)は、簡易裁判所が公判を開かず書面審理だけで100万円以下の罰金又は科料を科す簡易迅速な手続であり、検察官は被疑者に異議がない旨の書面を添えて、公訴提起と同時に略式命令を請求する(461条の2・462条)。公判廷の証拠調べが行われない以上、裁判官は差し出された資料によって訴訟条件の具備、犯罪事実の存否、量刑を判断するほかない。そこで刑訴規則289条1項は、検察官は略式命令の請求と同時に、略式命令をするために必要があると思料する書類及び証拠物を裁判所に差し出さなければならないと定める。256条6項の起訴状一本主義は、公判審理を担当する裁判官が公判廷の審理を通じてだけ心証を形成すべきことを担保する原則であるから、そもそも公判を開かない書面審理の略式手続には妥当しない。したがって、請求と同時に書類と証拠物を差し出しても同項に反せず、肢は正しい。略式命令が相当でない場合には通常の規定に従って審判しなければならず(463条1項)、差し出された書類・証拠物は検察官に返還される。公判審理に移る場面では予断排除の要請が働くからである。

検察官は、略式命令の請求と同時に、略式命令をするために必要があると思料する書類及び証拠物を裁判所に差し出さなければならない。
| 違反になる | 違反にならない |
|---|---|
| 詐欺の起訴状への詐欺の前科の記載(執行猶予中でも同じ) | 構成要件になっている前科(常習累犯窃盗)や犯行の手段になっている前科(前科を誇示した恐喝)の記載 |
| 予断を生じさせる書類の添付・内容の引用 | 趣旨の判明に必要な脅迫文書の全文に近い記載 |
| 逮捕状・勾留状の裁判官への差出し(規則167条)/略式請求と同時の書類・証拠物の差出し(規則289条)/証拠開示の裁定のための証拠提示(316条の27) | |
| 違反の効果: 治癒できず、判決で公訴棄却(338条4号) |
誤り。違うのは「地方裁判所は」の部分である。略式命令をすることができるのは簡易裁判所だけである(461条)。
461条は、簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、100万円以下の罰金又は科料を科することができると定める。略式命令の主体は簡易裁判所に限られており、地方裁判所には略式命令をする権限がない。略式手続は、比較的軽微で事実に争いのない事件を、公判を開かずに迅速に処理するための手続であり、罰金や科料に当たる軽い事件を第一審として扱う簡易裁判所の役割に合わせて設けられている。地方裁判所の管轄に属する事件であっても、簡易裁判所の管轄にも属する事件であれば、検察官は簡易裁判所に起訴して略式命令を請求することができる。肢は、科せる刑の範囲や公判前という時期は461条と同じであるが、主体を地方裁判所としている点で誤っている。略式命令で科せるのは罰金又は科料に限られ、拘禁刑は科せないが、刑の執行猶予や没収はできる。

簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。
- 略式命令を出す裁判所:簡易裁判所だけ(461条)。地方裁判所は出せない
- 科せる刑:100万円以下の罰金又は科料。拘禁刑は科せない。執行猶予・没収・付随の処分はできる(461条)
- 請求の前提:被疑者に手続を説明し、通常の規定に従い審判を受けられる旨を告げて、異議がないかを確かめる(461条の2第1項)。異議がないことは被疑者が書面で明らかにする(同条2項)
- 請求の方式:公訴の提起と同時に書面で(462条1項)
- 告知の効果:勾留状は効力を失う(345条)
- 正式裁判の請求:略式命令を受けた者又は検察官が、告知を受けた日から14日以内に(465条1項)
正しい。略式命令は罰金又は科料の裁判であるから、その告知があったときは勾留状は効力を失う(345条)。
345条は、無罪、免訴、刑の免除、刑の全部の執行猶予、公訴棄却(338条4号による場合を除く。)、罰金又は科料の裁判の告知があったときは、勾留状はその効力を失うと定める。略式命令は、461条により100万円以下の罰金又は科料を科す裁判であるから、345条の罰金又は科料の裁判に当たり、その告知によって勾留状は効力を失う。罰金や科料は身体を拘束する刑ではなく、判決が確定しても被告人が刑事施設に収容されるわけではないから、確定を待たずに勾留を続ける理由がない。勾留中の被疑者について公訴の提起と同時に略式命令が請求され、簡易裁判所が略式命令を告知すれば、その時点で勾留状が失効し、被告人は釈放される。正式裁判の請求があり得る期間中であっても、失効の効果は変わらない。345条は判決に限らず裁判の告知と定めているので、命令の形式をとる略式命令にも当てはまる。肢は正しい。

無罪、免訴、刑の免除、刑の全部の執行猶予、公訴棄却(第三百三十八条第四号による場合を除く。)、罰金又は科料の裁判の告知があつたときは、勾留状は、その効力を失う。
- 略式命令を出す裁判所:簡易裁判所だけ(461条)。地方裁判所は出せない
- 科せる刑:100万円以下の罰金又は科料。拘禁刑は科せない。執行猶予・没収・付随の処分はできる(461条)
- 請求の前提:被疑者に手続を説明し、通常の規定に従い審判を受けられる旨を告げて、異議がないかを確かめる(461条の2第1項)。異議がないことは被疑者が書面で明らかにする(同条2項)
- 請求の方式:公訴の提起と同時に書面で(462条1項)
- 告知の効果:勾留状は効力を失う(345条)
- 正式裁判の請求:略式命令を受けた者又は検察官が、告知を受けた日から14日以内に(465条1項)
誤り。違うのは「1年以下の懲役若しくは禁錮」を科することができるとする部分である。461条により略式命令で科すことができるのは100万円以下の罰金又は科料に限られ、懲役・禁錮(現行の拘禁刑)を科することはできない。
461条は、簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、100万円以下の罰金又は科料を科することができると定める。略式手続は、公判を開かずに書面審理だけで刑を言い渡す簡易な手続であり、被告人の公開の法廷で裁判を受ける権利を事実上省略するものであるから、科すことができる刑を財産刑の一定額以下に限っている。身体の自由を奪う懲役や禁錮(現行の拘禁刑)は、たとえ短期のものであっても、公判を開いて審理したうえでなければ科すことはできない。簡易裁判所自体は一定の罪について3年以下の拘禁刑を科すことができる(裁判所法33条2項)が、それは公判手続による場合である。略式命令をすることが相当でないと認めるときは、通常の規定に従って審判をしなければならない(463条1項)。本肢は誤っている。

簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。
- 裁判所と刑:簡易裁判所が、公判前に略式命令で100万円以下の罰金又は科料を科す。執行猶予・没収・付随処分もできる。拘禁刑は科せない(461条)
- 被疑者の同意:検察官はあらかじめ略式手続を説明し、通常の審判を受けられる旨を告げ、異議がないかを確かめる。被疑者は異議がない旨を書面で明らかにする(461条の2)
- 請求の方式:公訴の提起と同時に書面で(462条1項)。起訴状一本主義は及ばず、書類・証拠物を同時に差し出す
- 正式裁判の請求:告知を受けた日から14日以内に、略式命令をした裁判所に書面で(465条)
誤り。違うのは「その刑の執行を猶予することはできない」の部分である。461条後段は、略式命令で罰金又は科料を科する場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができると定めている。
461条前段は、簡易裁判所は略式命令で100万円以下の罰金又は科料を科することができると定め、同条後段は、この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができるとする。略式手続は公判を開かない簡易な手続であるが、科される刑の内容について通常の手続より被告人に不利な扱いをする理由はなく、事案に応じて執行猶予を付すことも認められている。罰金の執行猶予は刑法25条1項により50万円以下の罰金について可能であり、略式命令でもこの範囲で執行を猶予することができる。また、犯罪に供した物などの没収や、罰金を完納できない場合の労役場留置の言渡しといった付随の処分もすることができる。略式命令でも、公判手続で言い渡す場合と同じ範囲の付随の処分ができるのである。本肢は誤っている。

簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。
- 裁判所と刑:簡易裁判所が、公判前に略式命令で100万円以下の罰金又は科料を科す。執行猶予・没収・付随処分もできる。拘禁刑は科せない(461条)
- 被疑者の同意:検察官はあらかじめ略式手続を説明し、通常の審判を受けられる旨を告げ、異議がないかを確かめる。被疑者は異議がない旨を書面で明らかにする(461条の2)
- 請求の方式:公訴の提起と同時に書面で(462条1項)。起訴状一本主義は及ばず、書類・証拠物を同時に差し出す
- 正式裁判の請求:告知を受けた日から14日以内に、略式命令をした裁判所に書面で(465条)

