1裁判所は、公訴の提起があつたときは、遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達しなければならない。
2公訴の提起があつた日から二箇月以内に起訴状の謄本が送達されないときは、公訴の提起は、さかのぼつてその効力を失う。
この条文の過去問 4問
誤り。違うのは「公訴提起の効力が遡って失われることから、公訴時効は停止しなかったことになる」の部分であり、謄本不送達で公訴が棄却される場合にも254条1項の適用があり、時効は公訴棄却決定の確定時から再び進行する(最決昭55.5.12)。
公訴の提起があった日から2か月以内に起訴状の謄本が被告人に送達されないときは、公訴の提起はさかのぼってその効力を失い(271条2項)、裁判所は決定で公訴を棄却しなければならない(339条1項1号)。そこで、公訴提起の効力が遡って失われる以上、公訴提起による時効停止(254条1項)の効果も初めから生じなかったことになるのかが問題になる。判例は、254条1項の規定は、起訴状の謄本が所定の期間内に送達されなかったため339条1項1号により決定で公訴が棄却される場合にも適用があり、公訴の提起により進行を停止していた公訴時効は、その公訴棄却決定が確定した時から再び進行を始めるとする(最決昭55.5.12)。254条1項が公訴棄却の裁判が確定した時から進行を始めると定めているのは、公訴提起の効力が失われる場合も当然に想定した規定だからである。したがって、公訴棄却決定の確定までの間、時効の進行は現に停止していたのであり、停止しなかったことになるとする肢は誤っている。

刑訴法二五四条一項の規定は、起訴状の謄本が同法二七一条二項所定の期間内に被告人に送達されなかつたため、同法三三九条一項一号の規定に従い決定で公訴が棄却される場合にも適用があり、公訴の提起により進行を停止していた公訴時効は、右公訴棄却決定の確定したときから再びその進行を始める。
- 起算点:犯罪行為が終わった時(253条1項)。結果犯は結果発生時。共犯は最終の行為が終わった時から全員について起算する(同条2項)
- 牽連犯:目的行為が手段行為の時効期間の満了前に実行されたときは、両者の時効は不可分的に、最も重い刑を標準に最終行為の時から起算する(最判昭47.5.30)
- 停止する:当該事件の公訴提起(254条1項。効力は公訴事実の同一性の範囲に及ぶ。最決昭56.7.14)/共犯の一人への公訴提起は他の共犯にも及ぶ(254条2項)/犯人が国外にいる間(一時的な渡航でも。最決平21.10.20)/犯人が逃げ隠れて謄本の送達等ができない間(255条1項)
- 再進行:管轄違い・公訴棄却の裁判が確定した時から(254条1項)。謄本不送達による公訴棄却でも、確定までの停止はあった(最決昭55.5.12)。共犯の場合は当該事件の裁判が確定した時から(254条2項後段)
誤り。違うのは「検察官が遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達しなければならない」の部分である。起訴状の謄本を送達するのは裁判所である(271条1項)。
271条1項は、裁判所は公訴の提起があったときは遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達しなければならないと定める。公訴の提起は検察官が起訴状を裁判所に提出してする(256条1項)が、その後に被告人へ起訴状の内容を知らせることは、被告人に防御の対象を明らかにして防御の準備の機会を保障するという裁判所の手続主宰の作用に属し、裁判所の職責とされている。この送達が公訴の提起があった日から2か月以内にされないときは、公訴の提起は遡ってその効力を失い(271条2項)、裁判所は決定で公訴を棄却しなければならない(339条1項1号)という重い効果が結び付いており、送達の懈怠は起訴の効力そのものを失わせる。したがって送達の主体を検察官とする本肢は条文に反する。なお令和5年改正で、性犯罪の被害者等の個人特定事項を秘匿する必要がある場合には起訴状の抄本等を送達する制度が設けられた(271条の2以下)が、この場合の送達の主体も裁判所であり、本肢の結論は変わらない。

裁判所は、公訴の提起があつたときは、遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達しなければならない。
- 事件が裁判所に係属し、同一事件を同一裁判所に重ねて起訴すると判決で公訴棄却になる(338条3号)。別の裁判所なら10条・11条で審判する裁判所が決まり、他方は決定で棄却する(339条1項5号)
- 裁判所が遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達する(271条1項)。2か月以内に送達されないと公訴の提起は遡って効力を失い、決定で公訴を棄却する(271条2項・339条1項1号)。再起訴に制限はない
- 公訴時効の進行が停止し、管轄違い・公訴棄却の裁判が確定した時から再び進行する(254条1項)。謄本不送達による棄却でも同じ(最決昭55.5.12)。共犯の一人への起訴による停止は他の共犯にも及ぶ(254条2項)
- 公訴の効力は検察官の指定した被告人以外の者には及ばない(249条)
正しい。起訴状の謄本が2か月以内に送達されず公訴が棄却された場合にも254条1項は適用され、公訴時効は公訴棄却の裁判が確定した時から再び進行する(最決昭55.5.12)。
254条1項は、時効は当該事件についてした公訴の提起によってその進行を停止し、管轄違い又は公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始めると定める。他方、起訴状の謄本が公訴の提起があった日から2か月以内に被告人に送達されないときは、公訴の提起は遡ってその効力を失い(271条2項)、裁判所は決定で公訴を棄却しなければならない(339条1項1号)。公訴の提起が遡って失効する以上、時効停止の効果もなかったことになるのではないかが問題になるが、判例は、254条1項の規定は起訴状の謄本が271条2項所定の期間内に被告人に送達されなかったため公訴が棄却される場合にも適用があるとし、公訴時効は公訴棄却の裁判が確定した時から再び進行するとした(最決昭55.5.12)。271条2項の遡及的な失効は、被告人の地位を不安定なまま放置しないための規律であって、現に公訴が係属していた期間の存在まで否定するものではなく、その間に検察官が訴追の意思を明示していたことに変わりはないので、時効停止の効果は維持されるという理解である。本肢は判例のとおりである。

時効は、当該事件についてした公訴の提起によつてその進行を停止し、管轄違又は公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始める。
- 事件が裁判所に係属し、同一事件を同一裁判所に重ねて起訴すると判決で公訴棄却になる(338条3号)。別の裁判所なら10条・11条で審判する裁判所が決まり、他方は決定で棄却する(339条1項5号)
- 裁判所が遅滞なく起訴状の謄本を被告人に送達する(271条1項)。2か月以内に送達されないと公訴の提起は遡って効力を失い、決定で公訴を棄却する(271条2項・339条1項1号)。再起訴に制限はない
- 公訴時効の進行が停止し、管轄違い・公訴棄却の裁判が確定した時から再び進行する(254条1項)。謄本不送達による棄却でも同じ(最決昭55.5.12)。共犯の一人への起訴による停止は他の共犯にも及ぶ(254条2項)
- 公訴の効力は検察官の指定した被告人以外の者には及ばない(249条)
正しい。起訴状の謄本の不送達で公訴の提起は遡って効力を失い(271条2項)、公訴棄却は形式裁判で一事不再理効も生じないから、検察官は同一事件について更に公訴を提起できる。
起訴状の謄本が公訴の提起があった日から2か月以内に被告人に送達されないときは、公訴の提起は遡ってその効力を失い(271条2項)、裁判所は決定で公訴を棄却しなければならない(339条1項1号)。公訴の提起が遡って失効するということは、法律上は初めから公訴の提起がなかったのと同じ状態に戻ることを意味するから、その後に検察官が同一事件について改めて公訴を提起しても、公訴の提起があった事件について更に公訴が提起された場合(338条3号)には当たらず、二重起訴の問題は生じない。また公訴棄却は訴訟条件の欠缺を理由とする形式裁判であって実体判断を含まないので、一事不再理効(憲法39条・337条1号)も生じず、再起訴を妨げない。340条のような再起訴の制限も、謄本不送達による公訴棄却には置かれていない。再起訴ができるのは公訴時効が完成していない間に限られるが、時効は公訴棄却の裁判が確定した時から再び進行するにとどまる(254条1項、最決昭55.5.12)ので、通常は再起訴の余地が残る。

公訴の提起があつた日から二箇月以内に起訴状の謄本が送達されないときは、公訴の提起は、さかのぼつてその効力を失う。
| 先の裁判 | 再起訴 |
|---|---|
| 告訴を欠く起訴の公訴棄却判決の後に告訴を得た | 制限なくできる |
| 起訴状謄本の不送達による公訴棄却の決定(271条2項・339条1項1号) | 制限なくできる |
| 公訴の取消しによる公訴棄却の決定(339条1項3号) | 新たに重要な証拠を発見した場合に限る(340条) |
| 有罪・無罪の実体判決の確定 | 再起訴しても免訴(337条1号) |
| 告訴を取り消した後の親告罪 | 告訴をやり直せず再起訴できない(237条2項) |













































































