高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
1 憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。
2 最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
3 最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
この条文の過去問 12問
正しい。405条1号は、憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤りがあることを上告理由として掲げている。
上告審は法律審であり、上告理由は405条に限定して列挙されている。同条1号は憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤りがあることを上告理由として掲げる。原判決自体が憲法の規定に違反する場合(憲法37条2項の証人審問権や38条1項の黙秘権の保障に反する訴訟手続を経て判決がされた場合など)のほか、原判決が憲法の条項の意味内容の理解を誤った場合もこれに含まれる。憲法問題が上告理由の筆頭に置かれているのは、最高裁判所が憲法81条により違憲審査の終審裁判所とされていることの訴訟法上の反映である。405条はこれと並んで、2号で最高裁判例と相反する判断をしたこと、3号で最高裁判例がない場合に大審院や上告裁判所たる高等裁判所の判例などと相反する判断をしたことを挙げる。単なる法令違反(訴訟法違反や実体法の解釈適用の誤り)は列挙事由に含まれず、それ自体では適法な上告理由にならないが、判決に影響を及ぼすべき法令違反があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反するときは411条1号で職権により破棄できる。肢は405条1号の内容そのもので正しい。

高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。一 憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。二 最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。三 最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
| 上告理由(405条)=申し立てられる | 職権破棄事由(411条)=最高裁が自ら | |
|---|---|---|
| 内容 | 1号 憲法違反・憲法解釈の誤り/2号 最高裁判例違反/3号 最高裁判例がない場合の大審院・上告審たる高裁・控訴審たる高裁の判例違反 | 1号 判決に影響を及ぼすべき法令違反/2号 甚だしく不当な量刑/3号 判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認/4号 再審事由/5号 判決後の刑の廃止・変更・大赦 |
| 要件 | 該当すれば適法な上告理由になる | 405条の事由がなくても、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるとき |
| 控訴審との違い | – | 量刑不当(381条)・事実誤認(382条)は控訴審では独立の控訴理由である |
| 事実の取調べ | 上告趣意書に包含された事項の調査に必要があるときは、請求により又は職権で事実の取調べができる(414条・393条1項) | 同左 |
誤り。違うのは「判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があることは適法な上告理由となる」の部分であり、これは405条の上告理由ではなく411条3号の職権破棄事由である。
肢の前半のとおり、単なる事実誤認は405条各号のいずれにも掲げられておらず、適法な上告理由にならない。しかし後半は誤っている。判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があることは、405条の上告理由ではなく、411条3号が定める職権破棄事由にすぎない。411条は、上告裁判所が405条各号の事由がない場合であっても、同条各号の事由があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときに判決で原判決を破棄できると定める。つまり411条は、適法な上告理由がないことを前提にしつつ、具体的な正義のために例外的に破棄を認める救済の規定であり、当事者が上告申立ての理由として主張できる法定の上告理由とは性質が違う。したがって重大な事実誤認を主張しても、それだけでは適法な上告理由にならず、職権発動を求める主張として扱われるにとどまる。控訴審では判決に影響を及ぼすべき事実の誤認が382条により独立の控訴理由になる点が、事実審である控訴審と法律審である上告審の違いである。

上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。一 判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。二 刑の量定が甚しく不当であること。三 判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があること。
| 上告理由(405条)=申し立てられる | 職権破棄事由(411条)=最高裁が自ら | |
|---|---|---|
| 内容 | 1号 憲法違反・憲法解釈の誤り/2号 最高裁判例違反/3号 最高裁判例がない場合の大審院・上告審たる高裁・控訴審たる高裁の判例違反 | 1号 判決に影響を及ぼすべき法令違反/2号 甚だしく不当な量刑/3号 判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認/4号 再審事由/5号 判決後の刑の廃止・変更・大赦 |
| 要件 | 該当すれば適法な上告理由になる | 405条の事由がなくても、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるとき |
| 控訴審との違い | – | 量刑不当(381条)・事実誤認(382条)は控訴審では独立の控訴理由である |
| 事実の取調べ | 上告趣意書に包含された事項の調査に必要があるときは、請求により又は職権で事実の取調べができる(414条・393条1項) | 同左 |
誤り。違うのは「刑の量定が甚しく不当で,原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められることは適法な上告理由となる」の部分であり、これは411条2号の職権破棄事由であって405条の上告理由ではない。
肢の前半のとおり、量刑不当は405条各号に掲げられておらず、適法な上告理由にならない。刑の量定は事実審の専権に属する事項であり、法律審である上告審が本来審査する事柄ではないからである。後半について、刑の量定が甚だしく不当であることは411条2号が定める職権破棄事由である。411条は、405条各号の上告理由がない場合であっても、同条各号の事由があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときに上告裁判所が判決で原判決を破棄できるとするもので、職権による例外的な救済の要件である。肢は、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められるという411条柱書の文言を付け加えることで適法な上告理由になるかのように述べるが、この要件を満たしても職権破棄の余地が生じるにとどまり、当事者が主張できる法定の上告理由が基礎づけられるわけではない。したがって量刑不当だけを主張する上告は適法な上告理由を欠くものとして扱われる。控訴審では刑の量定不当が381条により独立の控訴理由であり、量刑不当を正面から争えるのは控訴審までである。

上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。一 判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。二 刑の量定が甚しく不当であること。三 判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があること。
| 上告理由(405条)=申し立てられる | 職権破棄事由(411条)=最高裁が自ら | |
|---|---|---|
| 内容 | 1号 憲法違反・憲法解釈の誤り/2号 最高裁判例違反/3号 最高裁判例がない場合の大審院・上告審たる高裁・控訴審たる高裁の判例違反 | 1号 判決に影響を及ぼすべき法令違反/2号 甚だしく不当な量刑/3号 判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認/4号 再審事由/5号 判決後の刑の廃止・変更・大赦 |
| 要件 | 該当すれば適法な上告理由になる | 405条の事由がなくても、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるとき |
| 控訴審との違い | – | 量刑不当(381条)・事実誤認(382条)は控訴審では独立の控訴理由である |
| 事実の取調べ | 上告趣意書に包含された事項の調査に必要があるときは、請求により又は職権で事実の取調べができる(414条・393条1項) | 同左 |
誤り。違うのは「適法な上告理由となることはない」の部分であり、最高裁判所の判例がない場合には、大審院の判例と相反する判断をしたことも上告理由になる(405条3号)。
405条3号は、最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたことを上告理由として明示している。したがって、大審院の判例と相反する判断をしたことも、最高裁判所の判例がない場合には適法な上告理由になり得るのであり、なることはないとする肢は誤っている。405条は判例違反について2号と3号を段階的に定める。まず2号により最高裁判所の判例と相反する判断をしたことが上告理由になり、その論点について最高裁判所の判例がない場合に限って、3号により大審院の判例、上告裁判所としての高等裁判所の判例、現行刑訴法施行後の控訴裁判所としての高等裁判所の判例との相反が上告理由になる。最高裁判例がある場合には3号は働かない。大審院の判例が掲げられているのは、現行法施行前の大審院判例が最高裁判例と同じ先例の働きをしてきたからである。判例違反を上告理由にする趣旨は最高裁を頂点とする法令解釈の統一にあり、上告趣意で判例違反を主張するには相反する判例を具体的に示す必要がある。

高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。一 憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。二 最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。三 最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
| 上告理由(405条)=申し立てられる | 職権破棄事由(411条)=最高裁が自ら | |
|---|---|---|
| 内容 | 1号 憲法違反・憲法解釈の誤り/2号 最高裁判例違反/3号 最高裁判例がない場合の大審院・上告審たる高裁・控訴審たる高裁の判例違反 | 1号 判決に影響を及ぼすべき法令違反/2号 甚だしく不当な量刑/3号 判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認/4号 再審事由/5号 判決後の刑の廃止・変更・大赦 |
| 要件 | 該当すれば適法な上告理由になる | 405条の事由がなくても、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるとき |
| 控訴審との違い | – | 量刑不当(381条)・事実誤認(382条)は控訴審では独立の控訴理由である |
| 事実の取調べ | 上告趣意書に包含された事項の調査に必要があるときは、請求により又は職権で事実の取調べができる(414条・393条1項) | 同左 |
誤り。違うのは「判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があることも、適法な上告理由となる」の部分である。上告理由は憲法違反と判例違反に限られ(405条)、重大な事実誤認は上告裁判所が職権で破棄できる事由(411条3号)にとどまる。
405条は、高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤りがあること(1号)、最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと(2号)、最高裁判所の判例がない場合に大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又は控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと(3号)を理由として上告の申立てができると定める。最高裁判所の主な役割を、憲法に適合しているかの判断と法令解釈の統一に置いたので、上告理由をこの三つに絞ったのである。判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認は405条に挙げられておらず、411条3号に、上告理由がない場合でも原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときに上告裁判所が職権で破棄できる事由として挙げられているにすぎない。411条による破棄は上告裁判所の職権の発動であり、当事者に申立権があるわけではないから、上告趣意書で事実誤認を主張しても適法な上告理由にはならない。本肢は、405条の上告理由と411条の職権破棄事由を混同している。

高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。一 憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。二 最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。三 最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
| 上告理由(405条) | 職権破棄(411条) | |
|---|---|---|
| 事由 | 憲法の違反・憲法の解釈の誤り(1号)、最高裁判所の判例と相反する判断(2号)、最高裁判例がない場合の大審院・高裁判例と相反する判断(3号) | 判決に影響を及ぼすべき法令の違反、刑の量定が甚しく不当、判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認、再審事由、判決後の刑の廃止・変更・大赦 |
| 性質 | 当事者が申し立てられる | 上告理由がなくても、破棄しなければ著しく正義に反すると認めるとき上告裁判所が職権で破棄できる |
| 破棄 | 事由があれば破棄しなければならない(410条1項)。判例違反のみで判例を変更して原判決を維持するのが相当なら破棄しない(同条2項) | 裁量(できる) |
正しい。上告裁判所は、405条の事由がない場合でも、判決に影響を及ぼすべき法令の違反があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる(411条1号)。
411条は、上告裁判所は、405条各号に規定する事由がない場合であっても、同条各号の事由があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができると定め、1号に判決に影響を及ぼすべき法令の違反があることを挙げる。405条は上告理由を憲法違反と判例違反に絞っているので、それだけでは、法令の違反や重大な事実の誤認、甚しく不当な量刑がある事件でも救済できず、具体的な正義に反する結果を放置することになる。そこで411条は、上告理由には当たらない場合でも、破棄しなければ著しく正義に反すると認められる限りで、上告裁判所が職権で原判決を破棄できることにしたのである。もっとも、これは上告裁判所の裁量による職権の発動であり、当事者に破棄を求める権利があるわけではなく、著しく正義に反するという高い要件が課されている。411条により原判決を破棄したときは、原則として事件を原裁判所若しくは第一審裁判所に差し戻し又は移送し(413条本文)、直ちに判決できるときは自判する(同条ただし書)。

上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。一 判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。(以下略)
| 上告理由(405条) | 職権破棄(411条) | |
|---|---|---|
| 事由 | 憲法の違反・憲法の解釈の誤り(1号)、最高裁判所の判例と相反する判断(2号)、最高裁判例がない場合の大審院・高裁判例と相反する判断(3号) | 判決に影響を及ぼすべき法令の違反、刑の量定が甚しく不当、判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認、再審事由、判決後の刑の廃止・変更・大赦 |
| 性質 | 当事者が申し立てられる | 上告理由がなくても、破棄しなければ著しく正義に反すると認めるとき上告裁判所が職権で破棄できる |
| 破棄 | 事由があれば破棄しなければならない(410条1項)。判例違反のみで判例を変更して原判決を維持するのが相当なら破棄しない(同条2項) | 裁量(できる) |
正しい。405条2号又は3号の判例違反のみがある場合において、上告裁判所がその判例を変更して原判決を維持するのを相当とするときは、原判決を破棄しなくてよい(410条2項)。
410条1項は、上告裁判所は、405条各号に規定する事由があるときは、判決で原判決を破棄しなければならないと定める(判決に影響を及ぼさないことが明らかな場合を除く)。そのうえで同条2項は、405条2号又は3号に規定する事由のみがある場合において、上告裁判所がその判例を変更して原判決を維持するのを相当とするときは、1項の規定を適用しないとする。判例違反を上告理由にしたのは、全国の裁判所で法令の解釈が分かれないように統一するためであり、判例そのものに法律と同じ拘束力を認めたからではない。最高裁判所が先例の解釈を改めるべきだと判断したのであれば、新しい解釈の下では、先例と異なる判断をした原判決の方がむしろ正しいことになり、破棄する理由はない。本肢は、第二審判決が最高裁判所の判例と相反する判断をしたという405条2号の事由のみがある場面について、判例を変更して原判決を維持するのが相当であれば破棄しなくてよいとしており、410条2項のとおりである。最高裁判所が判例を変更するには大法廷で裁判しなければならない(裁判所法10条3号)。

第四百五条第二号又は第三号に規定する事由のみがある場合において、上告裁判所がその判例を変更して原判決を維持するのを相当とするときは、前項の規定は、これを適用しない。
| 上告理由(405条) | 職権破棄(411条) | |
|---|---|---|
| 事由 | 憲法の違反・憲法の解釈の誤り(1号)、最高裁判所の判例と相反する判断(2号)、最高裁判例がない場合の大審院・高裁判例と相反する判断(3号) | 判決に影響を及ぼすべき法令の違反、刑の量定が甚しく不当、判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認、再審事由、判決後の刑の廃止・変更・大赦 |
| 性質 | 当事者が申し立てられる | 上告理由がなくても、破棄しなければ著しく正義に反すると認めるとき上告裁判所が職権で破棄できる |
| 破棄 | 事由があれば破棄しなければならない(410条1項)。判例違反のみで判例を変更して原判決を維持するのが相当なら破棄しない(同条2項) | 裁量(できる) |
誤り。違うのは「判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があることも、適法な上告理由となる」の部分である。上告理由は憲法違反と判例違反に限られ(405条)、重大な事実誤認は上告裁判所が職権で破棄できる事由(411条3号)にとどまる。
405条は、高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤りがあること(1号)、最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと(2号)、最高裁判所の判例がない場合に大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又は控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと(3号)を理由として上告の申立てができると定める。最高裁判所の主な役割を、憲法に適合しているかの判断と法令解釈の統一に置いたので、上告理由をこの三つに絞ったのである。判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認は405条に挙げられておらず、411条3号に、上告理由がない場合でも原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときに上告裁判所が職権で破棄できる事由として挙げられているにすぎない。411条による破棄は上告裁判所の職権の発動であり、当事者に申立権があるわけではないから、上告趣意書で事実誤認を主張しても適法な上告理由にはならない。本肢は、405条の上告理由と411条の職権破棄事由を混同している。

高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。一 憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。二 最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。三 最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
| 上告理由(405条) | 職権破棄(411条) | |
|---|---|---|
| 事由 | 憲法の違反・憲法の解釈の誤り(1号)、最高裁判所の判例と相反する判断(2号)、最高裁判例がない場合の大審院・高裁判例と相反する判断(3号) | 判決に影響を及ぼすべき法令の違反、刑の量定が甚しく不当、判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認、再審事由、判決後の刑の廃止・変更・大赦 |
| 性質 | 当事者が申し立てられる | 上告理由がなくても、破棄しなければ著しく正義に反すると認めるとき上告裁判所が職権で破棄できる |
| 破棄 | 事由があれば破棄しなければならない(410条1項)。判例違反のみで判例を変更して原判決を維持するのが相当なら破棄しない(同条2項) | 裁量(できる) |
正しい。上告裁判所は、405条の事由がない場合でも、判決に影響を及ぼすべき法令の違反があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる(411条1号)。
411条は、上告裁判所は、405条各号に規定する事由がない場合であっても、同条各号の事由があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができると定め、1号に判決に影響を及ぼすべき法令の違反があることを挙げる。405条は上告理由を憲法違反と判例違反に絞っているので、それだけでは、法令の違反や重大な事実の誤認、甚しく不当な量刑がある事件でも救済できず、具体的な正義に反する結果を放置することになる。そこで411条は、上告理由には当たらない場合でも、破棄しなければ著しく正義に反すると認められる限りで、上告裁判所が職権で原判決を破棄できることにしたのである。もっとも、これは上告裁判所の裁量による職権の発動であり、当事者に破棄を求める権利があるわけではなく、著しく正義に反するという高い要件が課されている。411条により原判決を破棄したときは、原則として事件を原裁判所若しくは第一審裁判所に差し戻し又は移送し(413条本文)、直ちに判決できるときは自判する(同条ただし書)。

上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。一 判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。(以下略)
| 上告理由(405条) | 職権破棄(411条) | |
|---|---|---|
| 事由 | 憲法の違反・憲法の解釈の誤り(1号)、最高裁判所の判例と相反する判断(2号)、最高裁判例がない場合の大審院・高裁判例と相反する判断(3号) | 判決に影響を及ぼすべき法令の違反、刑の量定が甚しく不当、判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認、再審事由、判決後の刑の廃止・変更・大赦 |
| 性質 | 当事者が申し立てられる | 上告理由がなくても、破棄しなければ著しく正義に反すると認めるとき上告裁判所が職権で破棄できる |
| 破棄 | 事由があれば破棄しなければならない(410条1項)。判例違反のみで判例を変更して原判決を維持するのが相当なら破棄しない(同条2項) | 裁量(できる) |
正しい。405条2号又は3号の判例違反のみがある場合において、上告裁判所がその判例を変更して原判決を維持するのを相当とするときは、原判決を破棄しなくてよい(410条2項)。
410条1項は、上告裁判所は、405条各号に規定する事由があるときは、判決で原判決を破棄しなければならないと定める(判決に影響を及ぼさないことが明らかな場合を除く)。そのうえで同条2項は、405条2号又は3号に規定する事由のみがある場合において、上告裁判所がその判例を変更して原判決を維持するのを相当とするときは、1項の規定を適用しないとする。判例違反を上告理由にしたのは、全国の裁判所で法令の解釈が分かれないように統一するためであり、判例そのものに法律と同じ拘束力を認めたからではない。最高裁判所が先例の解釈を改めるべきだと判断したのであれば、新しい解釈の下では、先例と異なる判断をした原判決の方がむしろ正しいことになり、破棄する理由はない。本肢は、第二審判決が最高裁判所の判例と相反する判断をしたという405条2号の事由のみがある場面について、判例を変更して原判決を維持するのが相当であれば破棄しなくてよいとしており、410条2項のとおりである。最高裁判所が判例を変更するには大法廷で裁判しなければならない(裁判所法10条3号)。

第四百五条第二号又は第三号に規定する事由のみがある場合において、上告裁判所がその判例を変更して原判決を維持するのを相当とするときは、前項の規定は、これを適用しない。
| 上告理由(405条) | 職権破棄(411条) | |
|---|---|---|
| 事由 | 憲法の違反・憲法の解釈の誤り(1号)、最高裁判所の判例と相反する判断(2号)、最高裁判例がない場合の大審院・高裁判例と相反する判断(3号) | 判決に影響を及ぼすべき法令の違反、刑の量定が甚しく不当、判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認、再審事由、判決後の刑の廃止・変更・大赦 |
| 性質 | 当事者が申し立てられる | 上告理由がなくても、破棄しなければ著しく正義に反すると認めるとき上告裁判所が職権で破棄できる |
| 破棄 | 事由があれば破棄しなければならない(410条1項)。判例違反のみで判例を変更して原判決を維持するのが相当なら破棄しない(同条2項) | 裁量(できる) |
誤り。違うのは、上告理由が憲法違反・憲法解釈の誤り・最高裁判例違反に「限定される」とし、上告裁判所は「事実の取調べをすることができない」とする部分である。405条3号は高等裁判所の判例等との相反も上告理由とし、上告審でも事実の取調べはできる(414条・393条1項)。
405条は、高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、1号で憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤りがあること、2号で最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと、3号で最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたことを理由として上告の申立てをすることができると定める。したがって上告理由は本肢の挙げる3つに限られず、高等裁判所の判例違反も含まれる。また、上告審は法律審であるが、414条は控訴審の規定を上告審に準用しており、393条1項により必要があれば事実の取調べをすることができる。最高裁判所は、411条により事実誤認を理由に職権で原判決を破棄することもあり、その判断のために事実を調べる必要が生じるからである。本肢は前半も後半も誤っている。

高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
正しい。411条は、上告裁判所は、405条各号の事由がない場合でも、判決に影響を及ぼすべき法令の違反があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができると定めている(同条1号)。
405条は、当事者が上告の申立ての理由とすることができる事由を、憲法違反・憲法解釈の誤りと判例違反に限っている。最高裁判所の負担を減らし、憲法判断と法令解釈の統一という役割に集中させるためである。しかし、それ以外の誤りがあっても一切救済されないとすれば、具体的な事件で著しく不正義な結果が残ることになる。そこで411条は、上告裁判所は、405条各号に規定する事由がない場合であっても、判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること(1号)、刑の量定が甚だしく不当であること(2号)、判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があること(3号)などがあって、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができると定めた。これは当事者の上告理由ではなく、最高裁判所の職権による破棄である。本肢は411条1号のとおりであり、正しい。

上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。一 判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。…
