この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。
この条文の過去問 4問
誤り。違うのは「『事案の真相の解明』については明文に掲げなかった」の部分である。1条は事案の真相を明らかにすることを明文で目的に掲げている。
刑訴法1条は、この法律は刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とすると定める。公共の福祉の維持と基本的人権の保障を全うするという枠の中で、事案の真相の解明と刑罰法令の適正かつ迅速な適用実現を図ることが同条の掲げる目的であり、真実の発見は明文で目的に据えられている。日本国憲法31条以下の権利保障を受けて現行法が当事者主義的な構造を採ったことは、真相の解明という目的を捨てたことを意味しない。適正手続と人権保障の要請と真実発見の要請とをどう調和させるかが違法収集証拠排除法則などの解釈の指針になるのも、同条が両者を並べて掲げているからである。肢は、事案の真相の解明を明文に掲げなかったとする点で条文の文言に反している。

この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。
誤り。違うのは「有罪の言渡しをする余地はない」の部分である。共同暴行の事実は強盗の共同正犯の訴因に含まれており、被告人の防御に実質的な不利益がない限り、訴因変更の手続を経ずに縮小認定して有罪とすることができる(最決昭和53年2月16日)。
裁判所は訴因に記載された事実の範囲内でしか有罪の認定をすることができないが、認定しようとする事実が訴因の事実に含まれており、被告人の防御に実質的な不利益を生じない場合には、訴因変更の手続を経ずに認定することができる(縮小認定)。強盗の訴因は、その手段である暴行の事実を当然に含んでおり、本件の公訴事実には、共謀のうえ数人共同してVの顔面を多数回殴打した旨が具体的に記載されている。そのため、数人共同して暴行を加えたという暴力行為等処罰に関する法律1条の事実は強盗の訴因の中に現れており、丁は暴行の事実を認めて財物奪取の共謀だけを争っているから、不意打ちにもならない。最決昭和53年2月16日は、起訴状の罰条の記載は裁判所の法令適用を拘束するものではなく、被告人の防御に実質的な不利益が生じない限り、罰条変更の手続を経ずに起訴状に記載されていない罰条を適用できるとした。したがって、丁を同法1条違反の共同正犯として有罪とする余地がある。

裁判所は、訴因により公訴事実が十分に明確にされていて被告人の防禦に実質的な不利益が生じない限りは、罰条変更の手続を経ないで、起訴状に記載されていない罰条であつてもこれを適用することができる
| 被告人 | 心証 | 裁判 |
|---|---|---|
| 甲(18歳と判明) | 家庭裁判所の決定を経ずに起訴 | 公訴棄却の判決(338条4号)。移送ではない |
| 乙 | 強盗の共同正犯 | 有罪判決。罪となるべき事実・証拠の標目・法令の適用を示す(335条1項) |
| 丙 | 強盗の共同正犯 | 有罪判決を公判廷で宣告して告知(342条) |
| 丁 | 共同暴行の共同正犯にとどまる | 訴因変更なしに縮小認定して有罪にできる(最決昭53.2.16) |
| 戊 | 犯罪の証明がない | 判決で無罪(336条) |
誤り。違うのは「有罪の言渡しをする余地はない」の部分である。共同暴行の事実は強盗の共同正犯の訴因に含まれており、被告人の防御に実質的な不利益がない限り、訴因変更の手続を経ずに縮小認定して有罪とすることができる(最決昭和53年2月16日)。
裁判所は訴因に記載された事実の範囲内でしか有罪の認定をすることができないが、認定しようとする事実が訴因の事実に含まれており、被告人の防御に実質的な不利益を生じない場合には、訴因変更の手続を経ずに認定することができる(縮小認定)。強盗の訴因は、その手段である暴行の事実を当然に含んでおり、本件の公訴事実には、共謀のうえ数人共同してVの顔面を多数回殴打した旨が具体的に記載されている。そのため、数人共同して暴行を加えたという暴力行為等処罰に関する法律1条の事実は強盗の訴因の中に現れており、丁は暴行の事実を認めて財物奪取の共謀だけを争っているから、不意打ちにもならない。最決昭和53年2月16日は、起訴状の罰条の記載は裁判所の法令適用を拘束するものではなく、被告人の防御に実質的な不利益が生じない限り、罰条変更の手続を経ずに起訴状に記載されていない罰条を適用できるとした。したがって、丁を同法1条違反の共同正犯として有罪とする余地がある。

裁判所は、訴因により公訴事実が十分に明確にされていて被告人の防禦に実質的な不利益が生じない限りは、罰条変更の手続を経ないで、起訴状に記載されていない罰条であつてもこれを適用することができる
| 被告人 | 心証 | 裁判 |
|---|---|---|
| 甲(18歳と判明) | 家庭裁判所の決定を経ずに起訴 | 公訴棄却の判決(338条4号)。移送ではない |
| 乙 | 強盗の共同正犯 | 有罪判決。罪となるべき事実・証拠の標目・法令の適用を示す(335条1項) |
| 丙 | 強盗の共同正犯 | 有罪判決を公判廷で宣告して告知(342条) |
| 丁 | 共同暴行の共同正犯にとどまる | 訴因変更なしに縮小認定して有罪にできる(最決昭53.2.16) |
| 戊 | 犯罪の証明がない | 判決で無罪(336条) |
誤り。違うのは「これをすることができない」の部分である。再審の請求は、刑の執行が終わり、又はその執行を受けることがないようになったときでもすることができる(441条)。
441条は、再審の請求は、刑の執行が終わり、又はその執行を受けることがないようになったときでも、これをすることができると明文で定める。刑の執行を終えた後はもちろん、刑の時効の完成や恩赦、執行猶予期間の経過で刑の言渡しが効力を失った場合でも、再審の請求は妨げられない。再審は、現に受けている刑の執行から解放することだけを目的とする制度ではなく、誤った有罪判決そのものを取り消して名誉を回復することも目的とするからである。有罪判決を受けたという事実は、刑の執行が終わった後も社会的な評価の低下や資格の制限として残り、再審で無罪になれば無罪判決の公示や刑事補償も受けられる。本人が死亡した後でも、配偶者や直系の親族などが請求できる(439条1項4号)のも同じ考え方による。本肢は、刑の執行が終わった後の請求を否定している点で条文に反する。

再審の請求は、刑の執行が終り、又はその執行を受けることがないようになつたときでも、これをすることができる。
- 対象:有罪の言渡しをした確定判決に対して、言渡しを受けた者の利益のためにだけ(435条柱書)。不利益再審はない
- 請求権者:検察官、有罪の言渡しを受けた者、その法定代理人・保佐人、本人が死亡・心神喪失なら配偶者・直系の親族・兄弟姉妹(439条1項)
- 明らかな証拠(435条6号):確定判決の事実認定に合理的な疑いを抱かせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠。新旧全証拠を総合して判断(最決昭和50年5月20日)
- 時期:刑の執行が終わり、又は執行を受けることがなくなった後でも請求できる(441条)
- 効果:請求だけでは刑の執行は止まらない(442条)。理由があれば開始決定をしなければならず、そのとき決定で刑の執行を停止できる(448条)