1裁判所は、必要があるときは、証拠物又は没収すべき物と思料するものを差し押えることができる。ただし、特別の定めのある場合は、この限りでない。
2差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、当該電子計算機で作成若しくは変更をした電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)又は当該電子計算機で変更若しくは消去をすることができることとされている電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録媒体に複写した上、当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえることができる。
3裁判所は、差し押えるべき物を指定し、所有者、所持者又は保管者にその物の提出を命ずることができる。
この条文の過去問 2問
誤り。違うのは「必ず弁護人を立ち会わせなければならない」の部分である。弁護人の立会権を定める113条は裁判所の捜索差押えの規定であり、捜査機関の捜索差押えには準用されていない(222条1項)。
113条1項は、検察官、被告人又は弁護人は差押状又は捜索状の執行に立ち会うことができると定めるが、これは裁判所又は裁判官が行う押収・捜索(99条以下・102条)の令状の執行についての規定であり、当事者に立会いの機会を保障して手続の適正を担保する趣旨である。これに対して、捜査機関が218条等によって行う押収・捜索に準用される規定を列挙する222条1項には113条が含まれていない。したがって捜査機関の捜索差押えについて弁護人に立会権はない。捜査段階の処分は密行性を要し、対象者側の立会いを一律に求めれば証拠収集の実効性が失われるからである。捜査機関の捜索差押えで求められる立会いは、住居主等の立会い(114条2項)や女子の身体の捜索における成年の女子の立会い(115条)であり、被疑者は立ち会わせることができるにとどまる(222条6項)。公訴の提起後であっても、捜査機関が捜査の必要から218条により令状の発付を受けて捜索差押えをすること自体は妨げられず、その場合にも準用される条文は変わらない。本肢は裁判所の捜索差押えの規律を捜査機関の処分に持ち込んでいる。

検察官、被告人又は弁護人は、差押状又は捜索状の執行に立ち会うことができる。ただし、身体の拘束を受けている被告人は、この限りでない。
| 誰が | 捜査機関の捜索差押え(222条1項の準用) | 裁判所の捜索差押え |
|---|---|---|
| 住居主・看守者又はこれに代わる者(いなければ隣人・地方公共団体の職員) | 立ち会わせなければならない(114条2項) | 同じ |
| 公務所の長又はこれに代わる者 | 通知して立ち会わせる(114条1項) | 同じ |
| 被疑者・被告人 | 必要があれば立ち会わせることができる(222条6項) | 必要があれば立ち会わせることができる(113条3項) |
| 弁護人・検察官 | 立会権なし(113条は準用されない) | 立会権あり。日時・場所をあらかじめ通知(113条1項・2項) |
| 成年の女子(女子の身体の捜索) | 急速を要する場合を除き立ち会わせる(115条) | 同じ |
誤り。違うのは「複写すべきものの範囲の記載がなされる必要はない」の部分である。リモートアクセスによる差押えの令状には、複写すべきものの範囲を記載しなければならない(219条2項)。
肢が述べる処分はリモートアクセスによる差押えであり、218条2項は、差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、それに電気通信回線で接続している記録媒体で、その電子計算機で作成・変更した電磁的記録などを保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、電磁的記録を複写したうえで、電子計算機又は他の記録媒体を差し押さえることができると定める。接続先の記録媒体は差押えの現場からは見えず、どこまで手が伸びるかは差し押さえるべき物の記載だけでは定まらない。そこで219条2項は、この場合の令状に、差し押さえるべき電子計算機に接続している記録媒体であって、その電磁的記録を複写すべきものの範囲を記載しなければならないとし、接続先の範囲にも裁判官の事前審査を及ぼしている。裁判所が行う場合も同じである(99条2項・107条2項)。範囲の記載を不要とする肢は219条2項に反する。

前条第二項の場合には、同条の令状に、前項に規定する事項のほか、差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、その電磁的記録を複写すべきものの範囲を記載しなければならない。
- リモートアクセス(218条2項・99条2項):差し押さえるべき物が電子計算機のとき、接続している記録媒体から電磁的記録を複写して、電子計算機又は他の記録媒体を差し押さえる。令状に複写すべきものの範囲を記載する(219条2項)
- 差押えに代わる処分(110条の2):差し押さえるべき物が記録媒体のとき、執行者が複写・印刷・移転して、又は差押えを受ける者にこれらをさせて、他の記録媒体を差し押さえる
- 協力要請(111条の2):差し押さえるべき物が記録媒体のとき、処分を受ける者に電子計算機の操作その他の必要な協力を求めることができる。強制の手段はない
- 保全要請(197条3項・4項):通信事業者等に通信履歴を30日を超えない期間を定めて消去しないよう求める。延長は通じて60日まで
- 記録命令付差押え(出題当時。旧99条の2・旧218条1項):保管者等に記録・印刷させて記録媒体を差し押さえる。令和7年改正で電磁的記録提供命令(102条の2)に改められ、令状には提供させるべき電磁的記録・提供させるべき者・提供の方法を記載する(219条1項)
- 立会い:裁判所の執行には検察官・被告人・弁護人が立ち会える(113条1項)。捜査機関の処分には準用がなく(222条1項)、被疑者を立ち会わせるかは捜査機関の裁量(222条6項)



















