再審の請求は、左の場合において、有罪の言渡をした確定判決に対して、その言渡を受けた者の利益のために、これをすることができる。原判決の証拠となつた証拠書類又は証拠物が確定判決により偽造又は変造であつたことが証明されたとき。原判決の証拠となつた証言、鑑定、通訳又は翻訳が確定判決により虚偽であつたことが証明されたとき。有罪の言渡を受けた者を誣告した罪が確定判決により証明されたとき。但し、誣告により有罪の言渡を受けたときに限る。原判決の証拠となつた裁判が確定裁判により変更されたとき。特許権、実用新案権、意匠権又は商標権を害した罪により有罪の言渡をした事件について、その権利の無効の審決が確定したとき、又は無効の判決があつたとき。有罪の言渡を受けた者に対して無罪若しくは免訴を言い渡し、刑の言渡を受けた者に対して刑の免除を言い渡し、又は原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき。原判決に関与した裁判官、原判決の証拠となつた証拠書類の作成に関与した裁判官又は原判決の証拠となつた書面を作成し若しくは供述をした検察官、検察事務官若しくは司法警察職員が被告事件について職務に関する罪を犯したことが確定判決により証明されたとき。但し、原判決をする前に裁判官、検察官、検察事務官又は司法警察職員に対して公訴の提起があつた場合には、原判決をした裁判所がその事実を知らなかつたときに限る。
1 原判決の証拠となつた証拠書類又は証拠物が確定判決により偽造又は変造であつたことが証明されたとき。
2 原判決の証拠となつた証言、鑑定、通訳又は翻訳が確定判決により虚偽であつたことが証明されたとき。
3 有罪の言渡を受けた者を誣告した罪が確定判決により証明されたとき。但し、誣告により有罪の言渡を受けたときに限る。
4 原判決の証拠となつた裁判が確定裁判により変更されたとき。
5 特許権、実用新案権、意匠権又は商標権を害した罪により有罪の言渡をした事件について、その権利の無効の審決が確定したとき、又は無効の判決があつたとき。
6 有罪の言渡を受けた者に対して無罪若しくは免訴を言い渡し、刑の言渡を受けた者に対して刑の免除を言い渡し、又は原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき。
7 原判決に関与した裁判官、原判決の証拠となつた証拠書類の作成に関与した裁判官又は原判決の証拠となつた書面を作成し若しくは供述をした検察官、検察事務官若しくは司法警察職員が被告事件について職務に関する罪を犯したことが確定判決により証明されたとき。但し、原判決をする前に裁判官、検察官、検察事務官又は司法警察職員に対して公訴の提起があつた場合には、原判決をした裁判所がその事実を知らなかつたときに限る。
この条文の過去問 5問
誤り。違うのは「有罪の言渡しを受けた者の利益のために,再審を請求することはできません」の部分であり、再審は有罪の言渡しを受けた者の利益のためにする手続であり、検察官もその請求権者である(435条・439条1項1号)。
435条は、再審の請求は、同条各号の場合に、有罪の言渡しをした確定判決に対して、その言渡しを受けた者の利益のためにすることができると定める。再審は有罪の確定判決に対する利益再審であり、無罪の確定判決を覆して有罪にする不利益再審は認められていない。そして439条1項は再審の請求権者として、検察官(1号)、有罪の言渡しを受けた者(2号)、その法定代理人及び保佐人(3号)、本人が死亡し又は心神喪失の状態にある場合の配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹(4号)を列挙する。検察官は公益の代表者として、確定判決に誤りがあるときにはそれを正す責務を負うので、有罪の言渡しを受けた者の利益のために再審を請求することができるのである。再審の請求がそもそも言渡しを受けた者の利益のためにしかできない以上、検察官の再審請求も当然にその者の利益のためのものになる。したがって、検察官は有罪の言渡しを受けた者の利益のために再審を請求できないとする発言は、435条・439条1項に反する。

再審の請求は、左の者がこれをすることができる。一 検察官 二 有罪の言渡を受けた者 三 有罪の言渡を受けた者の法定代理人及び保佐人 四 有罪の言渡を受けた者が死亡し、又は心神喪失の状態に在る場合には、その配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹
- 検察官(1号)。有罪の言渡しを受けた者の利益のために請求できる
- 有罪の言渡しを受けた者(2号)
- 有罪の言渡しを受けた者の法定代理人及び保佐人(3号)
- 有罪の言渡しを受けた者が死亡し又は心神喪失の状態にある場合には、その配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹(4号)
- 再審は有罪の確定判決に対して、言渡しを受けた者の利益のためにだけ請求できる(435条)。不利益再審はない
正しい。435条柱書は、再審の請求を有罪の言渡しをした確定判決に対してその言渡しを受けた者の利益のためにすることができると定め、不利益再審を認めていない。
435条柱書は、再審の請求は、有罪の言渡をした確定判決に対して、その言渡を受けた者の利益のために、これをすることができると定める。控訴又は上告を棄却した確定判決に対する再審(436条)も有罪の言渡しを受けた者の利益のためのものであり、無罪や免訴の確定判決を覆して有罪にするための不利益再審は現行法に存在しない。その根拠は、憲法39条後段が同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問われないと定め、何人も同じ犯行について二度以上罪の有無の裁判を受ける危険にさらされてはならないという二重の危険の禁止を宣言した点にある。確定判決で手続を終えた者を、後に見つかった証拠で再び有罪の方向で審理にさらすことは、重ねて処罰の危険に置くものとして同条に反する疑いが強い。そこで現行法は旧法が認めていた不利益再審を廃止し、誤って有罪とされた者の救済という一方向に限って再審を認めた。再審で原判決の刑より重い刑を言い渡せないこと(452条)も同じ趣旨である。

再審の請求は、左の場合において、有罪の言渡をした確定判決に対して、その言渡を受けた者の利益のために、これをすることができる。
誤り。違うのは「無罪の言渡しをした確定判決に対しても再審の請求をすることができる」の部分である。再審は有罪の言渡しをした確定判決に対して、言渡しを受けた者の利益のためにだけ請求できる(435条柱書)。
435条柱書は、再審の請求は、同条各号の場合に、有罪の言渡しをした確定判決に対して、その言渡しを受けた者の利益のために、これをすることができると定める。現行法が認めるのは言渡しを受けた者の利益のための再審だけであり、無罪や免訴の確定判決を被告人に不利益な方向で覆す再審は認められていない。確定した無罪判決を覆して再び処罰の危険にさらすことは、憲法39条が禁じる二重の危険に反するからである。旧刑訴法には不利益再審があったが、現行法の制定で廃止された。新証拠による再審事由を定める435条6号も、無罪若しくは免訴、刑の免除、又は原判決より軽い罪を認めるべき明らかな証拠を新たに発見したときとしており、被告人に有利な方向の証拠に限っている。したがって、有罪を認めるべき明らかな証拠を新たに発見しても、無罪の確定判決に対して再審を請求することはできない。

再審の請求は、左の場合において、有罪の言渡をした確定判決に対して、その言渡を受けた者の利益のために、これをすることができる。
- 対象:有罪の言渡しをした確定判決に対して、言渡しを受けた者の利益のためにだけ(435条柱書)。不利益再審はない
- 請求権者:検察官、有罪の言渡しを受けた者、その法定代理人・保佐人、本人が死亡・心神喪失なら配偶者・直系の親族・兄弟姉妹(439条1項)
- 明らかな証拠(435条6号):確定判決の事実認定に合理的な疑いを抱かせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠。新旧全証拠を総合して判断(最決昭和50年5月20日)
- 時期:刑の執行が終わり、又は執行を受けることがなくなった後でも請求できる(441条)
- 効果:請求だけでは刑の執行は止まらない(442条)。理由があれば開始決定をしなければならず、そのとき決定で刑の執行を停止できる(448条)
正しい。判例は、435条6号の明らかな証拠とは、確定判決における事実認定につき合理的な疑いを抱かせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠をいうとした(最決昭和50年5月20日)。
最決昭和50年5月20日は、435条6号にいう無罪を言い渡すべき明らかな証拠とは、確定判決における事実認定につき合理的な疑いを抱かせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠をいうとした。そのうえで、明らかな証拠かどうかは、その証拠が確定判決を下した裁判所の審理中に提出されていたならば、同じ事実認定に到達したかという観点から、その証拠と他の全証拠とを総合的に評価して判断すべきであり、再審開始には確定判決の事実認定に合理的な疑いを生じさせれば足りるという意味で、疑わしいときは被告人の利益にという刑事裁判の鉄則がここにも適用されるとした。新証拠だけで無罪が確実といえることまで求めると、誤った有罪判決を正す道がほとんど閉ざされてしまうからである。本肢はこの判示の前半をそのまま述べている。

同法四三五条六号にいう「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」とは、確定判決における事実認定につき合理的な疑いをいだかせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠をいうものと解すべきである
- 対象:有罪の言渡しをした確定判決に対して、言渡しを受けた者の利益のためにだけ(435条柱書)。不利益再審はない
- 請求権者:検察官、有罪の言渡しを受けた者、その法定代理人・保佐人、本人が死亡・心神喪失なら配偶者・直系の親族・兄弟姉妹(439条1項)
- 明らかな証拠(435条6号):確定判決の事実認定に合理的な疑いを抱かせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠。新旧全証拠を総合して判断(最決昭和50年5月20日)
- 時期:刑の執行が終わり、又は執行を受けることがなくなった後でも請求できる(441条)
- 効果:請求だけでは刑の執行は止まらない(442条)。理由があれば開始決定をしなければならず、そのとき決定で刑の執行を停止できる(448条)
正しい。判例は、435条6号の明らかな証拠かどうかの判断に際しても、再審開始のためには確定判決の事実認定につき合理的な疑いを生じさせれば足りるという意味において、「疑わしいときは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則が適用されるとした(最決昭和50年5月20日)。
435条6号は、有罪の言渡しを受けた者に対して無罪等を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したときに再審の請求を認める。最決昭和50年5月20日は、明らかな証拠とは、確定判決における事実認定につき合理的な疑いを抱かせ、その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠をいうとし、その判断は、当の証拠が確定判決の審理中に提出されていたならば同じ事実認定に到達したかという観点から、他の全証拠と総合的に評価して行うべきであるとした。そのうえで、この判断に際しても、再審開始のためには確定判決における事実認定につき合理的な疑いを生じさせれば足りるという意味で、「疑わしいときは被告人の利益に」という鉄則が適用されるとした。新証拠だけで無罪を確実に証明することまで求めれば、誤った有罪判決の救済が極めて困難になるからである。本肢は判示どおりであり、正しい。

この判断に際しても、再審開始のためには確定判決における事実認定につき合理的な疑いを生ぜしめれば足りるという意味において、「疑わしいときは被告人の利益に」という刑事裁判における鉄則が適用されるものと解すべきである。

