第350条の29過去問 2 即決裁判手続において拘禁刑の言渡しをする場合には、その刑の全部の執行猶予の言渡しをしなければならない。 この条文の過去問 2問 2011年 予備試験 第18問 肢エ 裁判所が即決裁判手続において懲役又は禁錮の言渡しをする場合には,その刑の執行猶予の言渡しをしなければならない。 解説 本肢は正しい。刑訴法350条の29は「即決裁判手続において拘禁刑の言渡しをする場合には、その刑の全部の執行猶予の言渡しをしなければならない」と定めており、実刑判決を言い渡すことはできない。すなわち、裁判所が即決裁判手続により有罪と認めて自由刑を科す場合、執行猶予を付すか否かは裁量の問題ではなく、必要的に刑の全部の執行猶予を言い渡さなければならない。この規律は、即決裁判手続が原則として即日結審・即日判決(350条の28)という極めて簡略な審理により処理され、証拠調べも相当と認める方法で足りるとされる(350条の27)ことの見返りとして、被告人に生じる不利益の上限を画する趣旨である。被疑者が同意(350条の16第2項)してこの手続を選択する実質的な誘因もここにある。なお、実刑相当と判断される事案であれば、裁判所は即決裁判手続によることが相当でないとして決定を取り消し(350条の25第1項各号参照)、通常の公判手続に移行させることになる。よって、本肢は正しい。なお、出題当時の条文は「懲役又は禁錮の言渡しをする場合」と規定していたが、令和4年改正による拘禁刑への一本化に伴い文言が改められたもので、結論は変わらない。 ○× 解説 2011年 司法試験 第27問 肢エ 裁判所が即決裁判手続において懲役又は禁錮の言渡しをする場合には,その刑の執行猶予の言渡しをしなければならない。 解説 本肢は正しい。刑訴法350条の28は、即決裁判手続において拘禁刑の言渡しをする場合には、その刑の全部の執行猶予の言渡しをしなければならないと定めている。すなわち、即決裁判手続では実刑を科すことができず、必要的に刑の全部の執行が猶予される。罰金・科料を言い渡す場合はこの規律の対象外であるが、いずれにせよ身体拘束を伴う刑が現実に執行される事態は生じない。 このような規律が置かれたのは、被疑者・被告人の同意を前提として防御の機会を縮減する手続である以上、同意によって被告人が被る不利益の上限をあらかじめ画しておく必要があるからである。実刑の可能性がないことが明らかであれば、被告人にとって即決裁判手続に同意するかどうかの判断が容易となり、同意の任意性・合理性も担保される。また、検察官の申立ての段階で事案が明白かつ軽微であることが要件とされていること(350条の16第1項)とも整合する。 なお、出題当時の条文は旧350条の14であり、「懲役又は禁錮の言渡しをする場合には、その刑の執行猶予の言渡しをしなければならない」と規定されていた。令和4年改正による拘禁刑への一本化に伴い刑名の表記は改められたが、必要的に執行猶予を付さなければならないという結論に変わりはない。 ○× 解説