第43条過去問 2
1判決は、この法律に特別の定のある場合を除いては、口頭弁論に基いてこれをしなければならない。
2決定又は命令は、口頭弁論に基いてこれをすることを要しない。
3決定又は命令をするについて必要がある場合には、事実の取調をすることができる。
4前項の取調は、合議体の構成員にこれをさせ、又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。
この条文の過去問 2問
裁判所は,保釈請求に対して許可又は却下の決定をするに当たり,公判期日において証拠として取り調べていない資料に基づいて判断することができない。
解説
本肢は誤り。判決が原則として口頭弁論に基づいてしなければならないのに対し(43条1項)、決定・命令については「口頭弁論に基いてこれをすることを要しない」とされ(43条2項)、必要がある場合には事実の取調べをすることができる(同条3項)。ここでいう事実の取調べは、公判期日における証拠調べのように厳格な証明の方式によることを要せず、書面の閲読、関係者からの事情聴取、電話照会など適宜の方法によることができ、伝聞法則(320条以下)をはじめとする証拠能力の制限も及ばない。いわゆる自由な証明で足りるのである。
保釈の許否は、権利保釈の除外事由(89条各号、とりわけ4号の罪証隠滅のおそれ、5号の証人等への加害のおそれ)や裁量保釈における諸事情(90条)の有無を判断するものであり、これは訴訟法的事実に関する判断であって、犯罪事実の存否を確定する実体判断ではない。したがって裁判所は、捜査記録や検察官の意見書、被告人の身上関係資料など、公判期日で証拠として取り調べていない資料に基づいて判断することができる。逆に、公判で取り調べた証拠だけしか用いられないとすれば、公判前や証拠調べの初期段階で迅速な判断を要する保釈制度は機能しない。よって「判断することができない」とする本肢は誤りである。
裁判所は,決定をもって公訴を棄却する場合,口頭弁論に基づく必要はない。
解説
本肢は正しい。公訴棄却には判決による場合(338条各号。公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき等)と、決定による場合(339条1項各号)とがある。決定による公訴棄却の事由は、起訴状謄本が法定期間内に送達されなかったとき(1号、271条2項)、起訴された事件が裁判所の管轄に属しないことが明らかなときを除く形式的・明白な事由、公訴が取り消されたとき(3号)、被告人が死亡し、または被告人たる法人が存続しなくなったとき(4号)、同一事件が数個の裁判所に係属する場合の一定の場合(5号、10条・11条)などであり、いずれも訴訟条件の欠缺が形式的・明白で、実質的な審理を要しない類型である。
そして、判決は原則として口頭弁論に基づかなければならないが(43条1項)、決定および命令については「口頭弁論に基いてこれをすることを要しない」と定められている(43条2項)。したがって、339条により決定で公訴を棄却する場合には、公判廷での口頭弁論を経る必要はない。ただし、裁判所は必要があると認めるときは事実の取調べをすることができ(43条3項)、また決定をするに当たり検察官・被告人・弁護人等の意見を聴くことができる(規則33条参照)。これは口頭弁論に基づくことが不要であることと矛盾しない。よって本肢は正しい。