第175条過去問 1
国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならない。
この条文の過去問 1問
司法警察職員は、日本語に通じない被疑者を通訳を介して取り調べる場合、その供述録取書を日本語で作成しても違法ではない。
解説
本肢は正しい。裁判所法74条は「裁判所では、日本語を用いる。」と定めるところ、これは法廷における使用言語のみならず、我が国の司法手続一般において日本語を用いるべきことを定めた規定と解されている。捜査機関が作成する供述録取書も、後に刑事手続で用いられる書面である以上、日本語で作成するのが原則であり、日本語に通じない被疑者の供述を通訳人を介して聴取し、これを日本語に翻訳した形で調書に録取することは違法ではない。実務上も、外国人被疑者の取調べにおいては通訳人を介して供述を聴取し、日本語の供述録取書を作成する扱いが一般的である。
もっとも、その場合でも録取の正確性の担保は必要であり、刑訴法198条4項に基づく読み聞け又は閲覧は、通訳人を介して被疑者が理解できる言語で行われなければならない。そのうえで被疑者が誤りのないことを申し立てて署名押印し(同条5項)、通訳の正確性を担保するために通訳人にも署名押印を求めるのが通例である。これらの手続を欠き、被疑者が内容を理解しないまま署名押印がされたような場合には、当該調書の任意性・信用性が問題となり、証拠能力(刑訴法322条1項)が否定されることもあり得る。しかし、それは録取手続の適否の問題であって、日本語で調書を作成すること自体が違法となるわけではない。なお、公判段階については、国語に通じない者に陳述をさせる場合には通訳人に通訳をさせなければならないとする刑訴法175条があり、被告人の防御権保障が図られている。