司法試験・予備試験AIブートラボ 司法試験AIブートラボ
用語集 / 民事訴訟法 / 訴えの取下げの要件と方式

訴えの取下げの要件と方式(261条)とは

うったえのとりさげのようけんとほうしき

民事訴訟法 訴訟行為・攻撃防御

訴えの取下げとは、原告が裁判所に対して訴えを撤回する意思表示のことです。判決が確定するまで全部又は一部についてでき、被告が本案について応訴した後は被告の同意が必要で、書面でするのが原則ですが口頭弁論等の期日では口頭でもできます(261条)。

訴えを起こした原告が、相手方と話がついたり勝ち目がないと分かったりして、裁判をやめたいと考えることがあります。訴えるかどうかは原告の自由なので、判決が確定するまでは訴えを取り下げられます。ただ、被告が本案について反論を始めた後は、被告にも請求棄却の判決をもらって決着をつける利益が生まれています。そこで、そこから先の取下げには被告の同意が必要になります。取下げは書面でするのが原則で、期日では口頭でもできます。

裁判所書記官室の受付カウンターの場面。原告の男性(札「原告」)が書面「訴えの取下書」を差し出している。カウンターの内側で先生が裁判官役(札「裁判所」)として書面を受け取り、手元のメモに「被告:本案について答弁書提出済み」と書かれている。先生

訴えは判決が確定するまでなら、控訴審でも上告審でも、全部又は一部を取り下げられます

訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができます(261条1項)。終局判決の後でも確定前であれば取り下げられるので、控訴審でも上告審でもできます。「訴えは,控訴審では取り下げることができない」という肢と、「上告審においては,訴えを取り下げることができない」という肢は誤りです。これに対し、判決が確定すれば訴訟は終わっているので、取り下げることはできません。「訴えは,判決が確定した後も,その全部又は一部を取り下げることができる」という肢と、「判決が確定した後でも,相手方の同意を得れば,訴えを取り下げることができる」という肢は誤りです。一部の取下げもでき、「訴えは,その一部を取り下げることができる」という肢は正しいです。訴えの取下げは、訴訟を始めなかった状態に戻すだけなので、人事訴訟でもでき、「実親子関係の不存在の確認の訴えについても,訴えを取り下げることができる」という肢は正しいです。反対に、「処分権主義が制限される人事訴訟においては,訴えの取下げは許されない」という肢は誤りです。取下げによって請求について判断が示されるわけではないので、「請求を放棄した場合と異なり,訴えを取り下げた場合には,確定判決と同一の効力は生じない」という肢は正しいです。

被告が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続で申述し、又は口頭弁論をした後は、被告の同意がなければ取下げは効力を生じません

訴えの取下げは、相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ効力を生じません(261条2項本文)。被告が請求の当否について応訴した以上、請求棄却判決で紛争を蒸し返されないようにする利益を保護するためです。「相手方が本案について口頭弁論をした後には,その同意なしにすることができない」という肢は正しいです。訴状の送達を受けただけでは本案の応訴をしていないので、「被告に訴状が送達された後は,被告の同意を得なければすることができない」という肢は誤りです。被告が訴訟要件の欠缺を理由に訴えの却下だけを求めているときも、本案について有利な判断を受ける利益は生じていないので同意は要りません。「被告が訴えの却下を求めて準備書面を提出した後に原告が訴えの取下げをしたときは,被告の同意を得なければ,取下げの効力を生じない」という肢と、「相手方が訴えの却下を求め,その理由のみを主張している場合であっても,相手方の同意を得なければ,その効力を生じない」という肢は誤りです。被告が第1回期日で請求原因を否認した後に、第2回期日で原告が取り下げると述べ、被告が同意しない旨を述べた場合、訴訟は終了しません。判例(最判昭和37年4月6日)は、被告が同意を確定的に拒絶すれば取下げは無効と確定するとしました。「後に被告が改めて同意をしても,当該訴えの取下げは効力を生じない」という肢は正しいです。

  • 時期判決の確定まで(261条1項)。控訴審・上告審でもできます
  • 範囲全部又は一部を取り下げられます
  • 相手方の同意相手方が本案について準備書面の提出・弁論準備手続での申述・口頭弁論をした後は必要です(同条2項本文)。訴えの却下だけを求めている場合は不要です
  • 反訴の取下げ本訴が取り下げられた後は、相手方の同意は要りません(同条2項ただし書)
  • 方式書面が原則で(同条3項)、口頭弁論・弁論準備手続・和解の期日では口頭でもできます(同条4項)
  • 同意の擬制取下げの書面の送達を受けた日から2週間以内に異議を述べなければ同意したものとみなされます(同条6項)

本訴が取り下げられた後の反訴の取下げには相手方の同意が要りませんが、反訴が当然に取り下げられたことにはなりません

本訴の取下げがあった場合の反訴の取下げは、相手方の同意を要しません(261条2項ただし書)。反訴は本訴に対抗して起こされたもので、本訴を取り下げた原告が反訴の続行だけを求めるのは公平でないからです。そのため、相手方が反訴の本案について弁論をした後でも同意は要りません。「本訴が取り下げられた場合において,反訴を取り下げるには,相手方の同意を得なければならない」という肢は誤りで、「本訴の取下げ後に被告が反訴を取り下げるときは,相手方が反訴の本案について口頭弁論をした後においても,相手方の同意を要しない」という肢と、「本訴取下げ後における反訴の取下げには,反訴被告の同意を要しない」という肢は正しいです。ただし、反訴は独立の訴えなので、本訴が取り下げられても反訴の係属は当然には消えません。被告が本訴の取下げに同意した場合について、「被告による反訴の取下げがあったものとみなされる」という肢は誤りです。

和解室の場面。丸いテーブルを囲み、先生が裁判官役(札「裁判所」)、原告(札「原告」)、被告(札「被告」)が座る。壁に札「和解期日」。原告が口頭で「訴えを取り下げます」と述べ、被告が「同意します」と答えている。書記官(札「裁判所書記官」)がパ

取下げは書面でするのが原則ですが、口頭弁論・弁論準備手続・和解の期日では口頭でもでき、書面は相手方に送達されます

訴えの取下げは書面でしなければなりませんが(261条3項)、口頭弁論・弁論準備手続・和解の期日(口頭弁論等の期日)では口頭ですることもでき、その場合は裁判所書記官が電子調書に記録します(同条4項)。期日外でも書面で取り下げられるので、「訴えの取下げは,期日外においてもすることができる」という肢は正しいです。「訴えの取下げは,和解の期日において口頭ですることができる」という肢は正しいです。反対に「和解の期日においては、訴えの取下げを口頭ですることはできない」という肢は誤りです。電話会議やウェブ会議で弁論準備手続に関与した当事者は期日に出頭したものとみなされるので(170条4項)、その期日に訴えを取り下げることもできます。「期日に出頭していない原告は,訴えを取り下げることはできない」という肢は誤りです。相手方の同意を要する場合に書面で取り下げたときは、その書面を相手方に送達し(同条5項)、送達を受けた日から2週間以内に異議がなければ同意したものとみなされます(同条6項)。「裁判所は,その訴えの取下げの書面を被告に送達しなければならない」という肢は正しいです。同意の有無が判明するまでは取下げの効力は生じておらず訴訟は係属しているので、判決言渡期日の前日に取下書が出されても予定どおり判決を言い渡せます。「裁判所は予定していた判決言渡期日において,判決を言い渡すことができない」という肢は誤りです。

通常共同訴訟や同時審判申出訴訟では一部の被告に対する訴えだけを取り下げられますが、固有必要的共同訴訟では一人の取下げは効力を生じません

通常共同訴訟では、共同訴訟人の一人がした訴訟行為は他の共同訴訟人に影響しないので(39条)、一部の被告に対する訴えだけを取り下げられます。主債務者と保証人を共同被告とした訴訟で、「原告が主債務者に対する訴えを取り下げた場合には,保証人に対する訴えも,同時に取り下げられたことになる」という肢は誤りです。土地の占有者と所有者を共同被告として同時審判の申出をした事例で、「Xは,Yに対する訴えのみを取り下げることができない」という肢も誤りです。同時審判の申出がされた共同訴訟も通常共同訴訟なので、本人と代理人を共同被告とした事例で、「一方に対する訴えのみを取り下げることはできる」という肢は正しいです。これに対し、固有必要的共同訴訟では全員が当事者でなければならず、共同原告の一人の取下げは全員の不利益になる行為なので、効力を生じません(40条1項、最判昭和46年10月7日)。「原告側の固有必要的共同訴訟においては,原告の一人による訴えの取下げは効力を生じない」という肢は正しいです。反対に「その取下げの効力は取下げをしたX1にしか及ばず,X2及びX3には効力を生じない」という肢と、取下げに被告が同意すれば「裁判所は,B及びCの訴えを不適法として却下しなければならない」という肢は誤りです。取下げが有効かどうかは訴訟係属の有無にかかわるので、「裁判所は,訴えの取下げの有効性について,職権で調査しなければならない」という肢は正しいです。

民事訴訟法261条1項

訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。

民事訴訟法261条2項

訴えの取下げは、相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。ただし、本訴の取下げがあった場合における反訴の取下げについては、この限りでない。

民事訴訟法261条4項

前項の規定にかかわらず、口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)において訴えの取下げをするときは、口頭ですることを妨げない。この場合において、裁判所書記官は、その期日の電子調書に訴えの取下げがされた旨を記録しなければならない。

試験ではこう問われる

「訴えの取下げの要件と方式」が短答式でどう出題されてきたか、ひっかけの型9件と関係する過去問の肢64本は、無料のアカウントでログインすると読めます。

読んだあとに、民事訴訟法の肢別演習を

この用語が出た過去問の肢を、正誤を選んで解説で確かめられます。

関連する用語

訴訟行為・攻撃防御

請求の放棄・認諾(266条・267条)